第104回(R3) 助産師国家試験 解説【午前31~35】

 

31 Rubin<ルービン>の母性論の模倣にあたるのはどれか。

1.受動的な行動である。
2.悲嘆作業の一つである。
3.模写と役割演技がある。
4.妊娠期に限定された行動である。
5.自分なりの方法で子どもの世話をする。

解答

解説

1.× 受動的な行動は母親役割獲得の中にある模倣ではなく、母親への適応過程である。ルービンの親への適応過程の3つの時期として①受容期、②保持期、③解放期の三段階に分けている。
2.× 悲嘆作業は母親役割獲得の過程の一つであるが、模倣とは異なる。ルービンは母親役割獲得の5つの過程として①模倣、②ロールプレイ、③空想、④取り込み-投影-拒絶、⑤悲嘆作業の心理体験を挙げている。
3.〇 正しい。模倣は先輩母親や専門家の行動を母親役割のモデルとしてまねることであり、模写と役割演技があてはまる。ルービンの母親役割獲得の5つの過程の中の1番目である。
4.× 模倣は妊娠期に限定された行動ではなく、産後も行われる。
5.× 模倣は先輩母親や専門家の行動を母親役割のモデルとしてまねることであり、自分なりの方法で子どもの世話をするのは模倣ではない。

 

 

 

 

 

 

32 分娩第1期の母体内の胎児の図を示す。
 図の状態はどれか。

1.正軸進入
2.低在横定位
3.高在縦定位
4.前在頭頂骨進入
5.後在頭頂骨進入

解答

解説
1.× 正軸進入とは骨盤入口部において児頭矢状縫合が仙骨岬角と恥骨結合との中間に位置する正常な状態である。児頭が背骨に対して左右どちらかへ傾いた状態で骨盤の中に入り込んでしまうことを不正軸進入といい、恥骨や仙骨が邪魔になって分娩が停止してしまう。図のような前方の恥骨側に偏位している後在頭頂骨進入といい、後方の仙骨側に偏位した場合を前在頭頂骨進入という。
2.× 低在横定位とは異常分娩の1つであり、第2回旋が起こらなかったため骨盤底に達しても矢状縫合が横径に一致した状態である。児頭が横向きのまま下降するため、縦長の骨盤峡部で引っかかってしまい分娩が停止した状態となる。図ではまだ骨盤底に達していない。
3.× 高在縦定位とは児頭が骨盤に進入する際、矢状縫合が前後径に一致した状態である。児頭が縦向きのまま下降するため、横長の骨盤入口部で引っかかってしまい分娩が停止した状態となる。前方高在縦定位と後方高在縦定位がある。図では児頭は横向きであり骨盤入口部でも引っかかっていない。
4.× 前在頭頂骨進入とは不正軸進入のことであり、矢状縫合が骨盤誘導線より後方(仙骨側)に偏位した場合をいう。仙骨の形が正常であれば分娩が進行することはある。図では骨盤誘導線より前方(恥骨側)に偏位しているため後在頭頂骨進入である。
5.〇 正しい。後在頭頂骨進入とは不正軸進入のことであり、矢状縫合が骨盤誘導線より前方(恥骨側)に偏位した場合をいう。帝王切開になることが多い。

 

 

 

 

 

 

33 A さん(32歳、初妊婦)。妊娠39 週5日、陣痛発来後、3時間の経過で3,850 gの児を分娩した。胎盤娩出直後から子宮収縮が不良で、子宮双手双合圧迫法が行われた。分娩後30分時点で出血量の総量が1,500 mLを超えたが、子宮からの出血が持続している。体温37.3 ℃、脈拍120/分、血圧95/50 mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度<SpO2>99 %(room air)。
 この時点での新鮮凍結血漿の輸血の判断に必要な血液検査値で最も重要なのはどれか。

1.血小板数
2.白血球数
3.ヘモグロビン値
4.血清アルブミン値
5.フィブリノゲン値

解答

解説
1.× 血漿血液の細胞以外の成分であり、血液の約60%を占め、残り40%が赤血球、白血球、血小板を含む血球となっている。血液の細胞以外の成分である新鮮凍結血漿には血球である血小板数は含まれないため必要な検査値ではない。
2.× 血液の細胞以外の成分である新鮮凍結血漿には血小板と同様に血球である白血球数は含まれないため必要な検査値ではない。
3.× ヘモグロビンは赤血球の中に含まれるタンパク質で、酸素と結合して全身に運ぶ役割を担っている。血液の細胞以外の成分である新鮮凍結血漿には血球である赤血球は含まれないため必要な検査値ではない。
4.× 血清アルブミンは血液中のタンパク質の一種で総たんぱくの約6割を占める。栄養・代謝物質の運搬、浸透圧の維持などの働きを行う。主に低栄養を調べる指標であり、新鮮凍結血漿の輸血の判断には必要ない。
5.〇 正しい。新鮮凍結血漿(FFP)は採血して4時間以内の全血を遠心分離して得た血漿を凍結したものである。凝固因子の補充目的の輸血用血液製剤として用いられる。フィブリノゲン値血液凝固因子の1つであり、止血の働きをする。出血傾向や血栓傾向のスクリーニング検査、術前検査として血小板数、PT、APTTとともに測定される。

 

 

 

 

 

 

34 妊娠分娩経過に問題なく、経腟分娩で出生した正期産新生児の感染予防対策として正しいのはどれか。

1.出生直後に胎脂を拭い取る。
2.出生直後に抗菌薬の点眼を行う。
3.生後1時間以内に初回の沐浴を行う。
4.臍帯断端をポビドンヨードで消毒する。
5.早期母子接触時に母親に手袋を装着させる。

解答

解説
1.× 胎脂は赤ちゃんの全身を覆う白いクリーム様のもので児の肌を守る役割がある。産後24時間以内に胎脂は自然に消えてしまい乾燥が始まってしまうため、胎脂を拭い取ってはいけない。
2.〇 正しい。児は分娩時に有害な微生物などに接触している可能性があるため、感染症を予防のために眼にエリスロマイシン、テトラサイクリン、または硝酸銀などの抗菌薬を出生直後に点眼する。
3.× 生後1時間以内に初回の沐浴を行う必要はない。沐浴は生後約6時間以上経過してから行い、児の皮膚の大半を覆っている胎脂を洗い流さないようにする必要がある。胎脂は児の肌を細菌や乾燥などから守る効果があり、生まれてからの数日間は沐浴をせず、タオルでふくだけのドライケアなどもある。
4.× 臍帯断端は清潔で乾いた状態にしておく必要がある。ポビドンヨードやアルコール溶液などで断端を消毒することは勧められていない。
5.× 早期母子接触では肌と肌を接触することで母体の正常な細菌に触れることで児の抵抗力が高まる効果も期待されるため、早期母子接触時に母親に手袋を装着させる必要はない。

 

 

 

 

 

 

35 1か月児健康診査に来院した母親と児。完全母乳栄養で児の全身状態は良好だが、睡眠中に呼吸が2〜3秒停止することがあり、乳幼児突然死症候群<SIDS>を母親は心配している。児は家ではベビーベッドに仰臥位で就寝しており、寝入ると体温は37 ℃台後半のことが多く、また溢乳が1日10 回程度認められている。
 母親への指導で正しいのはどれか。

1.夜間の人工栄養を併用する。
2.児を温めすぎないようにする。
3.夜間は添い寝で児を観察する。
4.寝かせはじめは腹臥位にしておく。
5.表面が柔らかいマットレスを使用する。

解答

解説
1.× 完全母乳栄養で児の全身状態は良好であり、夜間に人工栄養を併用する必要はない。またSIDS予防のために厚生労働省は母乳で育てることを推奨している。乳幼児突然死症候群(SIDS:Sudden Infant Death Syndrome)とは何の予兆や既往歴もないまま乳幼児が死に至る原因のわからない病気であり、SIDS予防のために厚生労働省は①1歳になるまでは仰臥位で寝かせる、②できるだけ母乳で育てる、③禁煙するという3つのポイントをあげている。
2.〇 正しい。児は寝入ると体温は37℃台後半のことが多いことからも掛け物や衣類を調整するなど児を温めすぎないようにする。
3.× 児はベビーベッドで就寝していることや添い寝で児を観察することは母親の負担にもなるため適さない。
4.× SIDS予防のために厚生労働省は1歳になるまでは仰臥位で寝かせることが推奨されている。寝かせる時に腹臥位に寝かせたときの方がSIDSの発生率が高いことがわかっている。
5.× 児を寝かせるマットレスは表面が柔らかいものではなく硬いマットレスを使用する。児の骨や筋肉はまだ未熟なため、柔らかいマットレスだと沈み込みすぎて姿勢が崩れて成長を妨げられることや寝返りをして窒息する危険性が考えられる。

 

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