第105回(H31) 保健師国家試験 解説【午前1~5】

 

※注意:著者は看護師で、解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究・自己研鑽のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。またコメントにて解き方等教えてくださると幸いです。

 

問題引用:第105回保健師国家試験、第102回助産師国家試験、第108回看護師国家試験の問題および正答について

 

 

 

1 市町村に勤務する保健師が、業務上知り得た人の秘密を、他に漏らしてはならないことを規定しているのはどれか。

1.医療法
2.地域保健法
3.地方公務員法
4.地域保健対策の推進に関する基本的な指針

解答

解説
1.× 医療法は、①病院などの開設・管理に関する事項や②医療機関の機能の分担、③業務の連携などを定めた法律である。
2.× 地域保健法は、保健所の設置などを定めることにより、①地域保健の推進、②地域住民の健康の保持・増進に寄与するための法律である。
3.〇 正しい。地方公務員法は、市町村に勤務する保健師が、業務上知り得た人の秘密を、他に漏らしてはならないことを規定している。なぜなら、本問の保健師は、市町村に勤務する地方公務員であるため。
4.× 地域保健対策の推進に関する基本的な指針は、地域保健対策の円滑な実施および総合的な推進を図る指針である。『地域保健法』に基づき厚生労働大臣が定める。

 

 

 

 

 

2 日本で、いわゆる公害病が公衆衛生上の問題として認識され始めた時期はどれか。

1.1940年から1950年代
2.1960年から1970年代
3.1980年から1990年代
4.2000年以降

解答

解説

 公害病(こうがいびょう)は、人間の産業活動により排出される有害物質により引き起こされる健康被害である。4大公害病は、経済成長のなかで1960年代に社会的に大きな問題となり、1960年代後半に裁判となった(四日市喘息:1967年、新潟水俣病:1967年、イタイイタイ病:1968年、熊本水俣病:1969年)。これを受け公害対策として、1967年に『公害対策基本法』、1973年に『公害健康被害補償法』などが制定された。したがって、選択肢2.1960年から1970年代が、公衆衛生上の問題として認識され始めた時期として正しい。

 

 

 

 

 

3 保健師が生後14日の乳児のいる家庭に家庭訪問した。児の体重増加量は1日当たり30gであった。母親は母乳を1日平均10 回、2〜3時間間隔で授乳しており、母乳育児を続けたいと希望していた。
 児が1か月児健康診査を受診するまでの母親への指導で適切なのはどれか。

1.「赤ちゃんが泣いた時に授乳しましょう」
2.「食事以外にも水分を十分に摂りましょう」
3.「1回の授乳時間は30分以上にしましょう」
4.「乳房が張るまで待ってから飲ませましょう」

解答

解説
1.× 「赤ちゃんが泣いた時に授乳しましょう」は、不適切である。赤ちゃんが泣いてから授乳するのではなく、赤ちゃんの口の動きなどからほしがるサインに早期に気づき、授乳できるよう指導する。なぜなら、出生後から2~3か月頃までの母乳育児は、赤ちゃんが欲しがるときに欲しがるだけ与える自律授乳が基本となるため。
2.〇 正しい。「食事以外にも水分を十分に摂りましょう」と指導する。なぜなら、母乳成分の約88%は水分であるため。授乳中の母親の食事には汁物などをつけるとともに、食事以外にも水分摂取を心がける。
3.× 「1回の授乳時間は30分以上にしましょう」は、不適切である。なぜなら、はじめの10分間で全量の約90%を哺乳するため。また、1回の授乳時間は片側15分程度ずつと言われている。授乳時間が長くなる場合は母乳不足を疑う。
4.× 「乳房が張るまで待ってから飲ませましょう」は、不適切である。なぜなら、乳房が張るまで乳房内に母乳を充満させると、母乳を作らないように作用する乳汁産生抑制因子の働きなどによって、逆に母乳の分泌が抑制されてしまうため。

 

 

 

 

 

4 A ちゃん(生後5か月、男児)。定期予防接種であるBCG接種を受けた。接種7日後に、母親が保健センターに来所し、地区担当保健師に「接種したところが腫れているが大丈夫か」と相談があった。接種部位の写真を下に示す。
 母親に対する地区担当保健師の対応で正しいのはどれか。

1.「入浴は控えましょう」
2.「免疫がついた証拠です」
3.「すぐに小児科を受診してください」
4.「接種後3か月程度で自然に治ります」

解答

解説

①通常のBCG接種後の経過と②コッホ現象の違いについて。
①BCG接種後の経過
通常、BCG接種後10日から2週間が経過したのちに発赤が出現し、接種1~2か月後に化膿巣ができ、瘢痕化する。

コッホ現象
コッホ現象とは、結核に感染している乳児にBCG接種をした場合、10日以内に針痕部位に、発赤・化膿・腫れなどの反応が現れる現象のこと。

本問のAちゃんは、BCG接種後通常より早い7日で、画像にある発赤や痛疲形成などの反応を示している。したがって、コッホ現象の可能性がある。コッホ現象が疑われる場合には、小児科受診を勧め、精密検査を受ける必要がある。なお、コッホ現象が出現した場合でも、接種部位を清潔に保つ以外に日常生活上の特別の処置は不要である。したがって、選択肢3.「すぐに小児科を受診してください」が母親に対する地区担当保健師の対応で正しい。

1.× 入浴を控える必要はない。なぜなら、コッホ現象が出現した場合でも、接種部位を清潔に保つ以外に日常生活上の特別の処置は不要であるため。
2.× 免疫がついた証拠ではなく、コッホ現象の可能性がある。
4.× 接種後3か月程度で自然に治る場合は、通常の反応である。本症例は、コッホ現象の可能性があるため、通常の反応となると判断できない。

BCGとは?

 BCGは、結核による重い病気を予防する生ワクチン である。ワクチンの液を左腕に1滴た らし、はんこ型の注射を2回押して接種する。生後1歳になる前までに1回接種する。

 

 

 

 

 

5 双子の育児をしている母親が、1歳6か月児健康診査の受診時に「双子の子育ては大変です。子どもたちが言うことを聞かないと、つい叩いてしまいそうになります。私は、幼少のころ母親から殴られて育ちました。このままでは虐待をしてしまうのではないかと不安です」と保健師に訴えた。
 母親に対する保健師の対応で最も適切なのはどれか。

1.双子の親の会を紹介する。
2.保育所の利用を提案する。
3.家庭訪問をして話を聞くことを約束する。
4.よくあることだから気にすることはないと言う。

解答

解説
1.× 双子の親の会を紹介することよりも最優先事項がほかの選択肢にある。なぜなら、育児困難を訴え、虐待に対しての不安がある母親に対しては個別支援が最優先となるため。双子の親の会とは、双子の子どもを持つ親たちが普段悩んでいる双子ならではの悩みを話して、他のお母さんがアドバイスしたり共感したりする、いわゆる座談会のようなものである。
2.× 保育所の利用を提案することよりも最優先事項がほかの選択肢にある。なぜなら、本問題を読んだ限りでは、保育所の利用が必要かどうかは不明であるため。まずは、個別支援で育児や家庭状況を把握することが必要である。
3.〇 正しい。家庭訪問をして話を聞くことを約束する。なぜなら、家庭訪問を行うことで、生活の場で子どもの様子や家庭環境を含めた状況把握を行い、支援方法を検討していくことができるため。本問の母親は、自らの被虐待の経験から子どもを虐待してしまうのではないかと不安を訴えている。したがって、別の日に家庭訪問を行い、安心してゆっくり話ができる機会をつくっていく。
4.× よくあることだから気にすることはないと言うことは不適切である。なぜなら、不安を訴えている母親に対し、拒否的な印象を与えてしまうため。本問の母親の背景として、母親自身が虐待を受けていた。自分自身が虐待の加害者になるのではないかと不安を訴えているため、母親の訴えを十分に傾聴しながら、ケースに応じた個別支援を行う必要がある。

 

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