第105回(H31) 保健師国家試験 解説【午後16~20】

 

16 社会福祉制度において権利擁護を目的として行われているのはどれか。

1.障害者に対する公費負担医療制度
2.ニーズに応じた就労支援
3.福祉サービスの利用援助
4.生活資金の貸し付け

解答

解説

権利擁護とは?

権利擁護(アドボカシー)とは、自己の権利を十分に表明することができない者の人権を尊重し、当事者の権利を代弁者として擁護し、当事者の自己決定を支え、その人らしく生活すること(自己実現)を支援することである。

1.× 障害者に対する公費負担医療制度は、経済的負担の軽減が目的である。
2.× ニーズに応じた就労支援は、自立の促進が目的である。
3.〇 正しい。福祉サービスの利用援助は、権利擁護を目的とした活動である。自己の権利を十分に表明することができない者の人権を尊重し、当事者の権利を代弁者として擁護し、当事者の自己決定を支え、その人らしく生活すること(自己実現)を支援する
4.× 生活資金の貸し付けは、経済的自立が目的である。ちなみに、生活福祉資金貸付制度は、低所得者世帯・障害者世帯・高齢者世帯を対象に一定の資金を貸し付けるものである(生活福祉資金貸付制度要綱)。都道府県社会福祉協議会が実施している。

 

 

 

 

 

17 平成28年(2016年)の歯科疾患実態調査において80歳で20本以上の自分の歯を有する者の割合に最も近いのはどれか。

1.20 %
2.30 %
3.40 %
4.50 %

解答

解説

(図引用:平成28年歯科疾患実態調査|厚生労働省HPより)

国民の歯の健康づくりを推進する一環として、80歳で20本以上の歯を保つことを目標にした8020運動が推進されている。80歳で20本以上の自分の歯が残っている人の割合(8020達成者)は、51.2%である。したがって、選択肢4.50 %が正しい。

 

 

 

 

 

18 A事業所の保健師は禁煙を希望する職員に対し、グループ活動を通して支援を行うことにした。
 初回のグループワークにおける保健師の支援で最も適切なのはどれか。

1.グループの支援計画を作成する。
2.グループメンバー同士の助け合いを推奨していく。
3.グループ支援において生じる問題や障害を予測する。
4.グループ活動に関連する関係者とネットワークをつくる。
5.グループワークの目標についてグループメンバー間で合意を得る。

解答

解説
1.× グループの支援計画を作成する優先度は低い。なぜなら、グループの支援計画を作成するのは、初回のみの支援ではないため。
2.× グループメンバー同士の助け合いを推奨していく優先度は低い。なぜなら、メンバー同士の助け合いは、グループとして関係が成立してから行う支援であるため。
3.× グループ支援において生じる問題や障害を予測する優先度は低い。なぜなら、初回のみならずグループの発達に応じて、保健師はグループ内で生じる問題や障害を予測しながら、見守り、必要に応じて支援を行うため。
4.× グループ活動に関連する関係者とネットワークをつくる優先度は低い。なぜなら、グループがどのような目標に向かい、どのような活動をしているのかによって連携すべき関係者が異なるため。
5.〇 正しい。グループワークの目標についてグループメンバー間で合意を得る。なぜなら、グループ活動を開始した時点では、まずメンバーとなる人々の不安や緊張を抱えながら、グループの形成が始まるため。まずはメンバー同士の関わりを促し、信頼関係の確立を図る必要がある。

グループの発達段階

準備期(保健師はグループをつくる計画・準備を行う):グループづくりの計画を立てる。メンバーを募集し、準備する。参加予定のメンバーと予備的な接触を行い、考えや思いを理解する。
開始期(メンバー同士が顔を合わせ、不安や緊張を抱えながら、グループの形成が始まる。 ):グループの目的を共有し、グループ活動の計画作成を支援する。メンバー同士のかかわりを促し、信頼関係の確立を図る。メンバーが主体的に意思決定に参加するように支援する。
作業期(メンバー同士の考え方の違いによる対立を乗り越え、グループ活動の目標達成に向かい、課題に取り組む。グループの規範とメンバーの役割が確立する。):メンバーそれぞれの思いを受容し、対立をメンバー同士が主体的に解決できるよう対応する。グループの相互作用を促進させる。
終結期(目標の達成状況や活動の評価を行う。メンバーがグループで学んだことを活かし、次のステップへ移行する。):メンバー同士が気持ちを分かち合う支援を行う。グループ活動の評価を行う。

詳しくまとめました。参考にしてください↓

【保健師国家試験】グループの発達段階と主要課題について完全解説

 

 

 

 

 

19 市では、希望者による生活習慣病予防の運動教室を実施している。事業担当の保健師は、運動教室の終了後に自主的に活動するグループづくりを目指している。
 グループづくりのため、運動教室開催中に保健師が取り組む内容で優先度が高いのはどれか。

1.問題意識の共有
2.メンバーの社会化
3.ロールモデルの設定
4.情緒的サポートを受ける機会
5.権利擁護(アドボカシー)の自覚

解答

解説

 自主グループの形成には、メンバー同士で問題意識を共有し、グループの連帯感を高める必要がある。したがって、選択肢1.問題意識の共有は、最も優先度が高い。保健師は、運動教室開催中から問題意識を共有できるようメンバーを支援する必要がある。

2.× メンバーの社会化は、優先度は低い。なぜなら、メンバー同士が活動を通して、相互に影響する過程で形成されるものであるため。社会化とは、メンバーがグループにおける自分の役割やほかのメンバーとの関係を理解し、グループの一員となる過程を指す。
3.× ロールモデルの設定は、優先度は低い。なぜなら、ロールモデルの設定を行うのは、メンバーであるため。メンバーが自主的に活動を進めるイメージをつかむために、ロールモデルを設定することは有用である。
4.× 情緒的サポートを受ける機会は、優先度は低い。なぜなら、メンバー間での対立や摩擦が表面化した場合に行う支援であり、問題文にこのような情報はないため。情緒的サポートとは、愛情・共感など、他者との情緒的なつながりを築くための支援である。
5.× 権利擁護(アドボカシー)の自覚は、優先度は低い。なぜなら、グループが発展していくなかで施策への提言が必要となる場合に行われるものであり、問題文にこのような情報はないため。権利擁護(アドボカシー)とは、対象者の権利と尊厳を守り、その人らしく生活するために、働きかける活動のことである。

 

 

 

 

 

20 系統誤差の原因はどれか。

1.マッチング
2.高い追跡率
3.低い抽出率
4.無作為化(割付)
5.検者間の測定差

解答

解説

誤差の種類

①偶然誤差:理想的な状況でも偶然におこるもの。
②系統誤差:データの収集方法が適切でないため系統的におこる一定の方向性をもつもの。

1.× マッチングは、症例対照研究において交絡因子の影響を小さくする方法である。症例群に対して対照群を選定する際に、対照群の交絡因子を症例群と一致させることを指す。
2.× 高い追跡率は、追跡中に転出や死亡などで追跡不可能となる対象者が少なく、研究ではじめに設定した標本数を確保することにつながり、偶然誤差を小さくする要因となり信頼性を高める。
3.× 低い抽出率は、系統誤差の原因ではない。抽出率は、母集団から標本を抽出する割合を示す。低い抽出率では母集団を説明するための適切な標本数が確保できず、偶然誤差が大きくなる。
4.× 無作為化(割付)は、研究の対象を介入群と非介入群に無作為(ランダム)に割り付ける方法である。介入研究で偏りを避けるため行う。
5.〇 正しい。検者間の測定差は、系統誤差の原因となる。系統誤差とは、特定の要因が影響してある方向へ偏って生じる誤差を指す。①選択バイアスや②情報バイアスがある。検者間の測定差は、「情報バイアス」にあたり、系統誤差の原因となる。検者間で測定に差が生じないように、測定方法や手順を定めておくことが重要である。

 

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