第105回(H31) 保健師国家試験 解説【午前21~25】

 

21 現行の自殺対策基本法で正しいのはどれか。

1.自殺者の親族等に対する支援が目的に含まれる。
2.事業主の責務に長時間労働の禁止を規定している。
3.保健所に自殺総合対策会議の実施を義務付けている。
4.市町村に自殺予防総合相談窓口の設置を義務付けている。

解答

解説

自殺対策基本法とは?

自殺対策基本法は、①自殺の防止と②自殺者の親族などの支援の充実を図り、国民が健康で生きがいをもって暮らすことのできる社会の実現を目的としている。

1.〇 正しい。自殺者の親族等に対する支援が目的に含まれる。ちなみに、自殺者の親族などに対する支援は、国および地方自治体の義務として定められている。
2.× 事業主の責務に長時間労働の禁止を規定しているのは、『労働基準法』である。『自殺対策基本法』は、事業主の責務として、国や地方自治体の自殺対策への協力や労働者のこころの健康の保持を図るために必要な措置を講ずるよう努めることが規定されている。
3.× 自殺総合対策会議の実施を義務付けているのは、保健所ではなく『厚生労働省』である。ちなみに、自殺総合対策会議は、自殺総合対策大綱の案の作成などを行う。
4.× 市町村に自殺予防総合相談窓口の設置の義務などといった具体的な相談窓口の設置は規定されていない。『自殺対策基本法』では、自殺の防止のため、国および地方自治体が相談体制の整備をすることが定められている。

 

 

 

 

 

22 平成26年(2014年)に実施された患者調査のうち高齢者の調査結果で正しいのはどれか。

1.入院患者では65歳以上が約7割を占めている。
2.外来患者では65歳以上が約8割を占めている。
3.年齢階級別外来受療率(人口10万対)では90歳以上が最も高い。
4.年齢階級別入院受療率(人口10万対)では75〜79歳が最も高い。

解答

解説

患者調査とは?

目的:病院・診療所を利用する患者について、傷病状況の実態を明らかにする。

調査頻度:昭和28~58(1953~1983)年までは毎年実施していたが、昭和59(1984)年から抽出施設数を拡大し、3年に1回、医療施設静態調査と同時期に実施している。

調査対象:標本調査(全国の病院、一般診療所、歯科診療所から層化無作為により抽出した医療施設の患者)

調査項目:患者の性別、出生年月日、住所、入院・外来の種別、受療の状況等。

調査方法:医療施設の管理者が記入。

1.〇 正しい。入院患者では、65歳以上が約7割(71.1%)を占めている。
2.× 外来患者では、65歳以上が約8割ではなく、48.5%を占めている。
3.× 年齢階級別外来受療率(人口10万対)では、90歳以上が最も高いのではなく、男性では80~84歳、女性では75~79歳が最も高くなっている。
4.× 年齢階級別入院受療率(人口10万対)では、75〜79歳が最も高いのではなく、男女とも90歳以上が最も高くなっている。

(※引用先:厚生労働省HP「平成26年(2014)患者調査の概況」)

 

 

 

 

 

23 公衆衛生看護活動で用いるハイリスクアプローチはどれか。

1.母子健康手帳交付時に喫煙防止のリーフレットを渡す。
2.肥満予防のリーフレットを健診結果通知に同封する。
3.小学校と連携して赤ちゃん抱っこ体験学習を行う。
4.自治会と連携して健康セミナーを開催する。
5.血圧が高めの人に減塩方法を指導する。

解答

解説

ハイリスクアプローチとは?

ハイリスクアプローチは、リスクが高い者に対象を絞って介入するアプローチ方法である。二次予防に効果を発揮し、個人への効果が高い。

1~4.× 母子健康手帳交付時に喫煙防止のリーフレットを渡す。/肥満予防のリーフレットを健診結果通知に同封する。/小学校と連携して赤ちゃん抱っこ体験学習を行う。/自治会と連携して健康セミナーを開催する。それぞれの選択肢は、ポピュレーションアプローチである。特徴として、集団全体を対象に一次予防として介入することである。
5.〇 正しい。血圧が高めの人に減塩方法を指導することは、ハイリスクアプローチである。なぜなら、血圧が高めな人への指導は、疾病などのリスクが高い対象者に絞った支援に該当するため。

 ポピュラーアプローチ(ポピュレーションストラテジー):対象を限定せず地域や職場など、集団全体に働きかけてリスクを下げる方法である。一次予防とされる。

 ハイリスクアプローチ(ハイリスクストラテジー):リスクの高いものに対象を絞り込んで働きかける方法である。2次予防とされる。

 

 

 

 

 

24 いわゆる成人病の対策に生活習慣の改善による発症予防の考えを導入した国の施策で、生活習慣病の呼称を最初に用いたのはどれか。

1.第1次国民健康づくり対策
2.第2次国民健康づくり対策
3.健康づくりのための運動指針
4.健康日本21
5.健康づくりのための睡眠指針

解答

解説
1.× 第1次国民健康づくり対策は、生活習慣病の呼称を最初に用いたものではない。第1次国民健康づくり対策は、昭和53(1978)年に開始され、健康づくりの3要素(栄養、運動、休養)の健康増進事業(特に栄養に重点)が推進された。
2.× 第2次国民健康づくり対策は、生活習慣病の呼称を最初に用いたものではない。第2次国民健康づくり対策は、昭和63(1988)年に開始され、健康づくりの3要素の健康増進事業(特に遅れていた運動習慣の普及に重点)が推進された。
3.× 健康づくりのための運動指針は、生活習慣病の呼称を最初に用いたものではない。平成5年に策定された「健康づくりのための運動指針」は、健康づくりのための運動基準・運動指針の改定を経て、平成25年に健康づくりのための身体活動基準2013、健康づくりのための身体活動指針(アクティブガイド)が新たに策定されている.
4.〇 正しい。健康日本21は、生活習慣病の呼称を最初に用いたものである。生活習慣病が定義されたのは、平成8年の公衆衛生審議会意見具申「生活習慣に着目した疾病対策の基本的な方向性について」であり、その後、平成12年開始の健康日本21(21世紀における国民健康づくり運動)において、施策で初めて生活習慣病の呼称が用いられた。
5.× 健康づくりのための睡眠指針は、生活習慣病の呼称を最初に用いたものではない。平成15年に策定された「健康づくりのための睡眠指針」は、平成26年に健康づくりのための睡眠指針2014が新たに策定されている。

 

 

 

 

 

25 市の乳児健康診査において股関節開排制限の有無について確認を行い、片側に異常を認めた児の状況を図に示す。
 この時に確認できた児の状況で正しいのはどれか。

1.左側の足の長さが右側より長い。
2.右側の鼠径部の皮膚溝が左側より深い。
3.右側の大腿部のしわの数が左側より多い。
4.左側の股関節の開排が正中より70度以下である。
5.右側の股関節の開排が正中より120度以上である。

解答

解説

乳児健康診査とは?

乳児健康診査は、発育性股関節形成不全(先天性股関節脱臼)の有無を診るため、股関節開排制限や大腿皮膚溝、鼠径皮膚溝の非対称を確認する。

1~3,5.× 左側の足の長さが右側より長い。/右側の鼠径部の皮膚溝が左側より深い。/右側の大腿部のしわの数が左側より多い。/右側の股関節の開排が正中より120度以上である。といった状態は観察できない。
4.〇 正しい。左側の股関節の開排が正中より70度以下である。図を見ると、左右の股関節の開きに差がある。左側の開きが不十分であることが観察される。左側は正中を0度とし70度以下と判断できる。 

 

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