第105回(H31) 保健師国家試験 解説【午前31~35】

 

31 地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律(医療介護総合確保推進法)において、地域包括ケアシステムとして包括的に確保されるのはどれか。2つ選べ。

1.介護予防
2.年金保険
3.雇用の促進
4.自然とのふれあいの推進
5.自立した日常生活の支援

解答1・5

解説

地域包括ケアシステムとは?

地域包括ケアシステムは、医療・介護のみならず福祉サービスを含めたさまざまなサービスが日常の生活の場で提供できるような地域での体制をいう。

 高齢者の日常生活圏域において、重度な要介護状態になっても住み慣れた地域で暮らし続けることができるよう、医療・介護・予防・住まい・見守り・配食・買い物などの生活支援の5つの視点での取り組みを包括的継続的に行うものである。したがって、選択肢1.5.介護予防/自立した日常生活の支援が正しい。選択肢2~4.年金保険/雇用の促進/自然とのふれあいの推進は含まれていない。

 

 

 

 

 

32 学校保健の歴史的変遷で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.学制発布によって学校衛生の施策が始まった。
2.痘そうの蔓延によって学校看護婦が置かれた。
3.昭和16年(1941年)に学校看護婦は養護教諭に名称変更された。
4.学校教育法の改正によって養護教諭の保健授業担当が可能になった。
5.学校保健法の改正によって学校保健安全法が制定された。

解答1・5

解説

1.〇 正しい。学制発布によって学校衛生の施策が始まった。日本の学校保健の歴史は、明治5(1872)年の学制発布と同時に始まった。当時流行していたコレラや痘瘡(天然痘)などの伝染病予防を中心とした学校衛生施策が展開された。学制とは、日本最初の近代学校制度について示した基本法令である。明治5(1872)年に発布され、日本における近代学校の成立発展の基礎となり、明治12(1879)年の『教育令』公布とともに廃止された。
2.× 学校看護婦が置かれたのは、痘そうではなく、トラコーマ(顆粒性結膜炎、エジプト眼炎)の蔓延によってである。日本の学校看護婦は、当時、多くみられたトラコーマ(顆粒性結膜炎、エジプト眼炎)に感染した児童生徒に、校内で洗眼や点眼を実施する学校医の助手として配置されたのが始まりである。
3.× 昭和16年(1941年)に学校看護婦は、養護教諭ではなく、養護訓導に名称変更された。学校看護婦は、昭和16(1941)年に『国民学校令』によりと養護訓導に規定され、教育職員の位置づけとなった。ちなみに、昭和22(1947)年の『学校教育法』の制定により、養護訓導から養護教諭に名称変更となった。
4.× 養護教諭の保健授業担当が可能になったのは、学校教育法の改正によってではなく、『教育職員免許法(平成10年)』の一部改正によるものである。ちなみに、3年以上の勤務経験のある養護教諭は保健の教科を受け持ち、単独で授業を行えるようになった。
5.〇 正しい。学校保健法の改正によって学校保健安全法が制定された。昭和33(1958)年に制定された『学校保健法』は、平成20年の改正により保健と安全の両方を規定した法律であることが明確化され、『学校保健安全法』に改称された。

 

 

 

 

 

33 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)の五類感染症のうち、直ちに届け出る必要があるのはどれか。2つ選べ。

1.麻しん
2.百日咳
3.破傷風
4.侵襲性髄膜炎菌感染症
5.Creutzfeldt-Jakob(クロイツフェルト・ヤコブ)病

解答1・4

解説

 五類感染症の多くが7日以内の届出だが、影響の程度により、直ちに届け出る必要のある感染症(侵襲性髄膜炎菌感染症、風しん及び麻しん)、食中毒)が規定されている。

1.〇 正しい。麻しんは、診断後直ちに届け出る。なぜなら、空気感染する麻疹は感染力が強く、社会全体への影響が大きいため。ちなみに、風疹も五類感染症であるが、診断後直ちに届け出なければならない。
2.× 百日咳(ひゃくにちせき)は、7日以内に届け出る。症状は、風邪に似た症状(2週間程度) が起こり、その後、発作性の咳(2~3週間) 起こる。連続的な短い咳と息を吸うときにヒューと音のする発作が起こる。 少しずつ回復(2~3週間) 発作が減り、咳も次第におさまる。
3.× 破傷風は、7日以内に届け出る。破傷風菌を病原体とする人獣共通感染症の一つであり、 病原菌が産生する神経毒による急性中毒である。
4.〇 正しい。侵襲性髄膜炎菌感染症は、診断後直ちに届け出る。なぜなら、予防内服など迅速な対処が必要であるため。侵襲性髄膜炎菌感染症は、潜伏期間は2~10日(平均4日)で、発症は突発的である。 髄膜炎例では、頭痛、発熱、髄膜刺激症状の他、痙攣、意識障害、乳児では大泉門膨隆等を示す。
5.× Creutzfeldt-Jakob(クロイツフェルト・ヤコブ)病は、7日以内に届け出る。Creutzfeldt-Jakob(クロイツフェルト・ヤコブ)病とは、プリオン病と呼ばれるまれな疾患群のひとつである。症状は、抑うつ、不安などの精神症状で始まり、進行性認知症、運動失調等を呈し、発症から1年~2年で全身衰弱・呼吸不全・肺炎などで死亡する。

 

 

 

 

 

34 学校保健における組織活動で適切なのはどれか。2つ選べ。

1.校長は学校保健活動を管理する。
2.学校保健計画は副校長が策定する。
3.保健主事は学校保健活動を総括する。
4.養護教諭は保健室経営計画を立案する。
5.学校保健委員会は地域との連携を推進する。

解答4・5

解説
1.× 学校保健活動を管理するのは、校長ではなく、保健主事である。ちなみに、校長は、学校保健計画および学校安全計画の内容を決定する権限をもつ。

2.× 学校保健計画は、副校長ではなく、校長が策定する。ちなみに、副校長は、校長を補佐する立場にある管理職である。
3.× 学校保健活動を総括するのは、保健主事ではなく、校長である。ちなみに、保健主事は、学校保健と学校全体の活動との調整・管理を行う立場にある。

4.〇 正しい。養護教諭は、保健室経営計画を立案する。保健室経営計画は、学校保健計画を踏まえた上で、養護教諭が中心となって取り組む計画である。養護教諭は、主に保健室を職務の拠点としており、保健管理や保健教育、健康相談のほか、保健室経営計画の作成、備品の管理を行う。
5.〇 正しい。学校保健委員会は、地域との連携を推進する。学校保健委員会は、学校保健計画や学校安全計画などを協議し、学校における健康づくりを推進する組織である。メンバーは教職員のほか、保護者代表や保健センター、防災関係組織などが含まれており、地域との連携を推進する役割をもつ。

 

 

 

 

 

 

35 市では乳幼児健康診査の集団指導において、防災および災害対策についての普及啓発を図ることとした。
 集団指導の内容で適切なのはどれか。2つ選べ。

1.風呂の水をためておく。
2.母子健康手帳を常時携帯する。
3.最低1日分の食料品を備えておく。
4.停電時にはブレーカーを入れておく。
5.非常用の持ち出し品はバッグに入れておく。

解答2・5

解説
1.× 風呂の水は、ためておくのではなく、抜いておく。なぜなら、乳幼児の事故予防において、溺死・溺水は1~4歳児の事故死の死因のひとつであるため。入浴後は、風呂の水を必ず抜いておくよう指導する。
2.〇 正しい。母子健康手帳を常時携帯する。なぜなら、母子健康手帳は、出生時の状況や成長発達の記録が記されているため。
3.× 最低1日分ではなく、最低3日分程度の食料品を備えておく。普段の生活のなかで使用しているものを災害時の備蓄と考え準備しておく。
4.× 停電時にはブレーカーを入れておくのではなく、落としておく。なぜなら、災害時に電化製品の火災に注意が必要であるため。熱を発する電化製品のコンセントを抜き、停電時はブレーカーを落とす。
5.〇 正しい。非常用の持ち出し品はバッグに入れておく。なぜなら、災害時には普段の生活で入手できたものができなくなることが考えられるため。いざというときに備え、非常用の持ち出し品はバッグに入れておく。特に、乳幼児がいる家庭では、一般的な非常用持ち出し品に加えて、「粉ミルク、哺乳瓶、市販の離乳食、おむつ、肌着・服、おしりふき、抱っこひも、おもちゃ(最低限)」など、子どもの年齢に合わせて準備をしておく。

 

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