第105回(H31) 保健師国家試験 解説【午後46~50】

 

次の文を読み45、46の問いに答えよ。
 Aちゃん(5歳、男児、第1子)。1歳6か月児健康診査で言葉の遅れ及びこだわりを指摘され、2歳6か月の時に、専門外来にて自閉症スペクトラム障害(ASD)と診断された。現在、療育手帳を取得し、保育所へ通いながら児童発達支援センターの療育に週2日通っている。地区担当保健師は1歳6か月児健康診査後から関わっており、母親からの相談に対応している。

46 Aちゃんは地元の公立小学校に入学し、通常の学級に籍を置きながら通級による指導を受けることになった。入学して半年後、母親から地区担当保健師に電話があり「Aは学校にもだいぶ慣れて楽しそうにやっているようだが、家で過ごす時間が長いことが気になっている」と話した。
 保健師が母親に提案することで最も適切なのはどれか。

1.自閉症スペクトラム障害(ASD)家族会への参加
2.放課後等デイサービスの利用
3.特別支援学校への転校
4.障害児入所施設の利用

解答

解説
1.× 自閉症スペクトラム障害(ASD)家族会への参加の優先度が低い。なぜなら、家族会は、同じ境遇にある家族が集い、悩みの共有や情報交換を行える場となるため。
2.〇 正しい。放課後等デイサービスの利用を促す。なぜなら、Aちゃんが家で過ごす時間が長いことを気にしている母親にとっては適切な支援機関であるため。放課後等デイサービスは『児童福祉法』に規定されており、障害のある学齢期児童が学校の授業終了後や休日に通う施設である。
3.× 特別支援学校への転校の優先度が低い。なぜなら、現在もAちゃんは通級による指導を受けながら、公立小学校で楽しく過ごせているため。特別支援学校とは、障害者等が「幼稚園、小学校、中学校、高等学校に準じた教育を受けること」と「学習上または生活上の困難を克服し自立が図られること」を目的とした日本の学校である。
4.× 障害児入所施設の利用の優先度が低い。なぜなら、Aちゃんは公立小学校への通学ができており、在宅による社会生活を維持しているため。障害児入所施設は、障害のある児童を入所させて、保護、日常生活の指導及び自活に必要な知識や技能の付与を行う施設である。

 

 

 

 

 

次の文を読み47、48の問いに答えよ。
 Aさん(40歳、会社員、初妊婦)。夫(44歳、会社員)と2人暮らし。妊娠9週の時に市の子育て世代包括支援センターに妊娠届の提出のため来所した。市では、妊娠期から切れ目のない支援に取り組んでおり、継続した支援が必要な妊婦に支援プランを作成する母子保健コーディネーターとして、専従のB保健師を配置している。妊娠届出時のAさんのアンケート結果を表に示す。

47 B保健師が、A さんをアセスメントするために面接時に追加で確認する情報で、最も優先度が高いのはどれか。

1.勤務状況
2.現在の体重
3.妊娠前の飲酒量
4.里帰り出産の有無
5.妊娠に対する夫の反応

解答

解説

 設問からAさんは、つわりと貧血で体調が悪い以外は特に問題がない印象である。しかし、Aさんは、①40歳で初妊婦であること、②会社員として勤務を継続していること、③夫と2人暮らしでほかに援助者もいない様子から、妊娠中何かのきっかけでハイリスクになる可能性はある。妊娠時の面接場面であっても、母子保健コーディネーターのB保健師による予防的な視点からの情報収集は重要となる。また、出産後はうつ病の早期発見とその適切な支援は最重要課題であるため、早急に適切な対応を考える必要がある。

1.〇 正しい。勤務状況は優先度が高い。なぜなら、現在Aさんは、つわりもあり、疲れやすく、貧血の可能性もあるため。勤務状況を確認し、その状況によっては、勤務時間や仕事量の調整などを職場に申し出ることも必要となる。
2.× 現在の体重は優先度が低い。なぜなら、BMIでは標準体重の範囲内(身長:158㎝、体重:55㎏、BMI:22)であるため。
3.× 妊娠前の飲酒量は優先度が低い。なぜなら、妊娠後は飲酒しておらずコントロールはできているため。
4.× 里帰り出産の有無は優先度が低い。なぜなら、妊娠9週目であるため。里帰り出産とは、奥さんが出産前後、里(故郷)へ戻り、そこで生活をしたり育児をすること。期間は、妊娠34~36週ごろ~産後1ヶ月の2ヶ月半ほどが多い。
5.× 妊娠に対する夫の反応は優先度が低い。なぜなら、夫は出産後、家事を手伝ってくれる予定で協力的な姿勢がうかがえるため。

 

 

 

 

 

次の文を読み47、48の問いに答えよ。
 Aさん(40歳、会社員、初妊婦)。夫(44歳、会社員)と2人暮らし。妊娠9週の時に市の子育て世代包括支援センターに妊娠届の提出のため来所した。市では、妊娠期から切れ目のない支援に取り組んでおり、継続した支援が必要な妊婦に支援プランを作成する母子保健コーディネーターとして、専従のB保健師を配置している。妊娠届出時のAさんのアンケート結果を表に示す。

48 Aさんは、妊娠37週で出生体重2,600 gの男児を出産した。産後2週、産婦健康診査を受けたAさんは疲れている様子で、エジンバラ産後うつ病質問票(EPDS)の結果は9点だった。A さんの状況について病院から連絡を受けたB保健師は、産婦健康診査の翌日、A さん宅を訪問した。児は母乳栄養で、体重増加は良好だった。A さんは「思っていたより育児は疲れる。夫は仕事が繁忙期で帰りは遅いが、手伝ってくれている。私も夫も睡眠不足です」と話した。
 この時のB 保健師のA さんへの支援で最も適切なのはどれか。

1.産後ケア事業の利用を勧める。
2.新生児訪問時に状況を再確認する。
3.研修を受けた子育て経験者の訪問を勧める。
4.搾乳した母乳を夫に授乳してもらうよう勧める。

解答

解説

エジンバラ産後うつ病質問票(EPDS:Edinburgh Postnatal Depression Scale)とは?

産後うつ病をスクリーニングするために使用する質問票のこと。10項目の質問で、対象者は過去7日間の気分を答える。日本におけるカットオフポイント(区分点)は9点で、EPDS9点以上で「うつの可能性が高い」と考える。ただし、9点以上がうつ病で、8点以下はうつ病ではないと判断するものではない。

産後ケア事業:分娩施設退院後から一定の期間、病院・診療所・助産所・対象者の居宅などにおいて、助産師などの看護職が中心となり、母親の身体的回復と心理的な安定を促進するとともに、母親自身がセルフケア能力を育み、母子とその家族が健やかな育児ができるよう支援することを目的としている。市町村が実施主体である。

1.〇 正しい。産後ケア事業の利用を勧める。なぜなら、産後2週目は産後うつ病の好発時期であり、またエジンバラ産後うつ病質問票(EPDS)の9点はうつ状態を示す点数であるため。早急にケアが受けられる環境を整える必要がある。
2.× 新生児訪問時に状況を再確認する優先度が低い。現在は、Aさんと家族の状況やEPDSの点数から、Aさんの早急な対応が必要と考えられる。
3.× 研修を受けた子育て経験者の訪問を勧める優先度が低い。なぜなら、現在Aさんの体調がすぐれていないため。子育て経験者の話は、Aさんの体調が良ければ支援になる可能性はある。
4.× 搾乳した母乳を夫に授乳してもらうよう勧める優先度が低い。なぜなら、夫は繁忙期の仕事をこなしつつ育児を手伝っており、睡眠不足もあることから、これ以上、夫に対して育児の時間を増やすよう勧めるのは負担となるため。

子育て世代包括支援センターとは?

 妊娠から出産育児までの切れ目ない包括的な支援を目的に、平成28年の『母子保健法』改正により設置された。主な事業は、健康診査や家庭訪問などによる相談や保健指導であり、保健師が母子保健コーディネータ―として継続支援の必要な妊産婦や家族をケアすることも多い。

【子育て世代包括支援センターが行う事業】
・母性・乳幼児の健康の保持増進に関する実情の把握
・母子保健に関する相談への対応
・母性・乳幼児に対する保健指導:
・母子保健に関する機関との連絡調整等,健康の保持・増進に関する支援
・健康診査,助産その他の母子保健に関する事業

 

 

 

 

 

次の文を読み49、50の問いに答えよ。
 Aちゃん(5歳、男児)。小学校に入学を予定している。Aちゃんには食物アレルギーがあり、保護者から就学時健康診断の際に、学校での対応を希望する旨の申し出があった。

49 Aちゃんの入学までに養護教諭が最初に行う対応はどれか。

1.校長に支援計画を提出する。
2.対応委員会の開催を提案する。
3.A ちゃんの主治医に電話で意見を聞く。
4.学校栄養職員と給食時の対応を話し合う。
5.保護者に学校生活管理指導表の提出を依頼する。

解答

解説
1.× 校長に支援計画を提出するは優先度が低い。なぜなら、校長への支援計画の提出は、Aちゃんの食物アレルギーの情報と必要な対応について十分に検討された後に行うものであるため。
2.× 対応委員会の開催を提案する優先度が低い。なぜなら、まずはAちゃんにどのようなアレルギーがあり、学校生活においてどのような配慮が必要なのか、情報を得ることが必要であるため。対応委員会の開催により、学校内での対応方法を検討することは今後必要となる。
3.× Aちゃんの主治医に電話で意見を聞く優先度が低い。まずはAちゃんにどのようなアレルギーがあり、学校生活においてどのような配慮が必要なのか、情報を得ることが必要である。ただ、Aちゃんへの対応について医学的な助言が必要な場合、保護者の了解を得たうえで主治医と連携をとることがある。
4.× 学校栄養職員と給食時の対応を話し合う優先度が低い。まずはAちゃんにどのようなアレルギーがあり、学校生活においてどのような配慮が必要なのか、情報を得ることが必要である。その後、給食時の対応を検討することは大切である。
5.〇 正しい。保護者に学校生活管理指導表の提出を依頼するのは、養護教諭が最初に行う対応である。なぜなら、Aちゃんの学校での対応を検討するために重要な情報源となるため。学校生活管理指導表には、慢性疾患やアレルギーがある児童生徒のために、医学的見地から運動や給食など、学校生活上の留意点を学校側へ示す内容が記載されている。

 

 

 

 

 

次の文を読み49、50の問いに答えよ。
 Aちゃん(5歳、男児)。小学校に入学を予定している。Aちゃんには食物アレルギーがあり、保護者から就学時健康診断の際に、学校での対応を希望する旨の申し出があった。

50 保護者や主治医からの情報により、A ちゃんは、卵によるアナフィラキシーの既往があり、アドレナリン自己注射薬が処方されていることが分かった。そこで、養護教諭を中心に、学校においてA ちゃんに必要な配慮や管理の対応策について、学校内で話し合うことになった。
 検討する事項で適切なのはどれか。

1.自己注射を補助する担当者の設定
2.A ちゃんの体育活動への参加の仕方
3.アナフィラキシーの対応のための職員研修
4.自己注射薬がクラスの児童にも取り出せる保管場所の確保

解答

解説
1.× 自己注射を補助する担当者の設定は優先度が低い。なぜなら、なぜなら、自己注射を補助する担当者を設定しても、急なアナフィラキシーショックを発症したときに担当者が不在であれば、かえって対応が遅れる可能性があるため。
2.× Aちゃんの体育活動への参加の仕方は優先度が低い。なぜなら、アナフィラキシーショックを発症していなければ、体育活動への参加は通常どおり行って問題はないため。ただ、食物依存性運動誘発アナフィラキシーの対応の場合は運動の制限も必要となる。
3.〇 正しい。アナフィラキシーの対応のための職員研修は優先度が高い。なぜなら、アナフィラキシーショックを万が一発症しても、迅速に対応できるよう職員に研修を行っておくことで、Aちゃんの安全が確保できるため。
4.× 自己注射薬がクラスの児童にも取り出せる保管場所の確保は優先度が低い。なぜなら、クラスの児童が自己注射薬を扱える状況は、安全管理上、危険を伴うため。

 

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