第105回(H31) 保健師国家試験 解説【午前51~55】

 

次の文を読み47〜49の問いに答えよ。
 平成26年(2014年)の医療法改正に伴い、A 県は平成28年度(2016年度)の第6次医療計画に地域医療構想を追記した。A 県および構想区域B、Cについて、厚生労働省の示す地域医療構想策定ガイドラインにより推計された2025年の必要病床数推計値を表に示す。

51 問診の場面で、母親は「Aは友達と活発に遊び、食欲も旺盛でとても元気です」と話した。Aちゃんは机の上に置いてある紙や鉛筆に興味を示し、保健師と母親を交互に見ていた。
 Aちゃんの発達を評価するために、保健師がAちゃんに直接行う質問として適切なのはどれか。2つ選べ。

1.「お口はどこですか」
2.「お名前はなんですか」
3.「この絵の中で犬はどれですか」
4.「昨日は何をして遊びましたか」
5.「2つの丸のうち大きいのはどちらですか」

解答2・5

解説
1.× 「お口はどこですか」は、不適切である。なぜなら、目、耳、ロなどの身体の部分を尋ねると指させるようになるのは、1歳6か月頃であるため。3歳児の発達を評価する質問としては適切ではない。
2.〇 正しい。「お名前はなんですか」は、適切である。なぜなら、自分の名前が言えるようになるのは3歳頃であるため。3歳児健康診査の発達を評価する。
3.× 「この絵の中で犬はどれですか」は、不適切である。なぜなら、犬、電車、魚などの簡単な物の絵の名前を聞くと指させるようになるのは、1歳6か月頃であるため。3歳児の発達を評価する質問としては適切ではない。
4.× 「昨日は何をして遊びましたか」は、不適切である。なぜなら、昨日などの時間の概念を理解できるのは5歳頃であるため。3歳児の発達を評価する質問としては適切ではない。
5.〇 正しい。「2つの丸のうち大きいのはどちらですか」は、適切である。なぜなら、大小の区別がつくようになるのは3歳頃であるため。3歳児健康診査の発達を評価する。

 

 

 

 

 

次の文を読み52、53の問いに答えよ。
 人口8万人のA市。定年が近い世代が多く居住しており、高齢化率は25 %、要介護認定率17 %、夜間人口が昼間人口に比べて高い。平成28年(2016年)の特定健康診査の実施率は45 %、特定保健指導の対象者割合は20 %であり、対象者には中性脂肪高値、次いで空腹時血糖高値を示す人が多い。特定保健指導対象者は増加傾向であるが、終了者はむしろ減少している。そこで、次年度から生活習慣病の重症化予防を目標に掲げ、重点的に取り組む計画である。

52 A市の状況から、生活習慣病の重症化予防対策を行う集団で最も優先度が高いのはどれか。

1.特定健康診査の受診者
2.特定健康診査の未受診者
3.特定健康診査の有所見者
4.特定保健指導の対象者
5.特定保健指導の未終了者

解答

解説
1.× 特定健康診査の受診者は、優先度は低い。なぜなら、生活習慣病の重症化予防対策を行う対象としては、重症化に移行しやすい集団が優先されるため。特定健康診査の受診者は、重症化に移行しやすいハイリスク者とそうでない者が混在している集団である。
2.× 特定健康診査の未受診者は、優先度は低い。なぜなら、生活習慣病の重症化予防対策を行う対象としては、重症化に移行しやすい集団が優先されるため。未受診者のなかにハイリスク者が潜在している可能性はあるが、現時点でハイリスク者として選定されている人を優先的に支援する必要がある。
3.× 特定健康診査の有所見者は、優先度は低い。特定健康診査の有所見者すべてが重症化に移行しやすいハイリスク者ではないため。選択肢5と比較すると優先度は低い。
4.× 特定保健指導の対象者は、優先度は低い。なぜなら、特定保健指導の対象者でも、医療機関を受診したり、生活習慣の改善に取組んでいる者もいるため。選択肢5と比較すると優先度は低い。
5.〇 正しい。特定保健指導の未終了者は、優先度は高い。なぜなら、特定保健指導未終了者は、生活習慣改善に取り組んでいない場合や、医療受関受診につながっていない可能性が高いため。重症化予防対策の集団として最も優先度が高い。

 

 

 

 

 

次の文を読み52、53の問いに答えよ。
 人口8万人のA市。定年が近い世代が多く居住しており、高齢化率は25 %、要介護認定率17 %、夜間人口が昼間人口に比べて高い。平成28年(2016年)の特定健康診査の実施率は45 %、特定保健指導の対象者割合は20 %であり、対象者には中性脂肪高値、次いで空腹時血糖高値を示す人が多い。特定保健指導対象者は増加傾向であるが、終了者はむしろ減少している。そこで、次年度から生活習慣病の重症化予防を目標に掲げ、重点的に取り組む計画である。

53 A市では年々医療費が増大傾向にある。そのことを踏まえて、次年度から5か年の目標を設定し、生活習慣病の重症化予防のための事業計画を立案することになった。
 目標として設定する指標で最も優先されるのはどれか。

1.人工透析の新規導入者数
2.定期的に運動する人の数
3.特定健康診査受診者数
4.がんによる死亡者数
5.要介護認定者数

解答

解説

 人工透析は、医療費の増大に大きな影響を与える。A市では年々医療費が増大しており、5年計画の目標として、人工透析の新規導入者数を設定することは、最も優先度が高い。健康日本21(第二次)においても、医療費増大に最も影響がある人工透析の新規導入患者数の減少が目標に設定され、糖尿病性腎症重症化予防プログラムなどが推進されている。したがって、選択肢1.人工透析の新規導入者数が目標として設定する指標で最も優先される。

2~5.× 定期的に運動する人の数/特定健康診査受診者数/がんによる死亡者数/要介護認定者数は、医療費が増大傾向に対する目標として設定する指標での優先度は低い。ちなみに、健康日本21(第二次)において、「75歳未満の」がんによる死亡者数の減少の記載がある。【※厚生労働省HPより:国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針

 

 

 

 

 

次の文を読み54、55の問いに答えよ。
 A さん(62歳、女性)。夫(67歳)と次男夫婦(ともに30代、会社員)の4人暮らしである。起立時にふらつきが見られたため、専門病院を受診したところ、脊髄小脳変性症と診断された。難病の医療費助成の申請書が保健所に届き、保健師は家庭訪問を実施した。Aさんは起立時にふらつくことはあるが、日常生活動作(ADL)は自立、専門病院に月1回、一人で受診している。既往歴に特記すべきことはない。脊髄小脳変性症については医師より病名の告知、説明は受けている。A さんは料理が好きで、食事の準備はA さんが行っている。

54 現時点で、保健師が行うA さんの支援で適切なのはどれか。

1.嚥下訓練の導入を計画する。
2.コミュニケーション手段を確立する。
3.料理が継続できるよう環境を整える。
4.訪問看護を導入し、ケア体制を整える。

解答

解説

脊髄小脳変性症とは?

脊髄小脳変性症とは、小脳の障害により運動失調を主要症候とする神経変性疾患であり、一般的には、運動症状・自律神経症状などが出現し、緩徐進行性に経過する。

1~2.× 嚥下訓練の導入を計画する/コミュニケーション手段を確立するのは、現時点では優先度は低い。小脳症状に伴う舌のもつれや飲み込みのタイミングのずれなどの嚥下障害/コミュニケーション障害の出現が予測される。今後、嚥下訓練/コミュニケーション手段の導入を検討する必要はあるが、現時点のAさんは、「起立時にふらつくことはあるが、日常生活動作(ADL)は自立、専門病院に月1回、一人で受診している」ため、優先度は低い。
3.〇 正しい。料理が継続できるよう環境を整えるのは、現時点で優先度は高い。上肢の運動失調症状の特徴として、手を動かすことはできても、今までと同じように動かすことは難しくなると予測される。好きなこと、できることを安全に行えるよう工夫しながらQOLを維持していく支援が、現時点のAさんに対する支援で最も適切である。
4.× 訪問看護を導入し、ケア体制を整えるのは、現時点では優先度は低い。今後、運動失調症状に加えて、喋下機能や呼吸機能の低下など、身体状態の変化が予測される。通院困難となることを見据えて早期に訪問看護につなげることは重要であるが、Aさんは専門病院に月1回ひとりで受診できている現時点において優先度は高くない。

 

 

 

 

 

次の文を読み54、55の問いに答えよ。
 A さん(62歳、女性)。夫(67歳)と次男夫婦(ともに30代、会社員)の4人暮らしである。起立時にふらつきが見られたため、専門病院を受診したところ、脊髄小脳変性症と診断された。難病の医療費助成の申請書が保健所に届き、保健師は家庭訪問を実施した。Aさんは起立時にふらつくことはあるが、日常生活動作(ADL)は自立、専門病院に月1回、一人で受診している。既往歴に特記すべきことはない。脊髄小脳変性症については医師より病名の告知、説明は受けている。A さんは料理が好きで、食事の準備はA さんが行っている。

55 保健師が描いたAさん宅1階の見取り図を示す。A さんと夫は1階で生活をし、日中はリビングで過ごし、夜は和室で布団に寝ている。2階は次男家族が使用している。台所とリビング、浴室は1階のみにあり、大きな段差は廊下から玄関に降りるところのみである。
 Aさんの生活環境を改善するために現時点で優先度が高いのはどれか。

1.夜間のポータブルトイレの使用
2.夫婦の寝室を2階に移動
3.玄関にスロープを設置
4.ベッドの使用

解答

解説
1.× 夜間のポータブルトイレの使用は、現時点で優先度が低い。なぜなら、見取り図から、寝室の向いにトイレがあり、導線には段差がなく、トイレまでの安全な移動は現時点で可能と考えられるため。
2.× 夫婦の寝室を2階に移動は、現時点で優先度が低い。なぜなら、Aさんはふらつきがあり、日常的な階段の使用は危険を伴うため。トイレ、入浴、料理などの日常生活を1階で過ごすことが多いAさんの療養環境は、1階のままとすることが望ましい。
3.× 玄関にスロープを設置は、現時点で優先度が低い。なぜなら、Aさんは「起立時にふらつくことはあるが、日常生活動作(ADL)は自立、専門病院に月1回、一人で受診している」程度の身体機能を現時点では維持しているため。玄関にスロープを設置するのは主に車椅子介助になったときに使用することが多い。
4.〇 正しい。ベッドの使用は、現時点で優先度が高い。なぜなら、Aさんは起立時のふらつきがあることから、自律神経症状である起立性低血圧を呈していると考えられるため。また、現在の布団からの立ち上がりは、重心移動が大きくさらにふらつきやすくなると考えられる。段階的に上半身を起こすことができるベッドを準備しておく。

 

 

 

※注意:著者は看護師で、解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究・自己研鑽のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。またコメントにて解き方等教えてくださると幸いです。

 

問題引用:第105回保健師国家試験、第102回助産師国家試験、第108回看護師国家試験の問題および正答について

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