第105回(H31) 保健師国家試験 解説【午後51~55】

 

次の文を読み51、52の問いに答えよ。
 人口約30万人の市。午後1時、震度6強の地震が発生し、市は避難所を設置した。家屋の倒壊や火災が確認され、大規模な被害が予測された。県と市に災害対策本部が設置された。

51 発災直後の緊急対策期における市の保健師の対応で優先度が高いのはどれか。

1.医療救護活動
2.福祉避難所の準備
3.健康調査票の作成
4.家庭訪問による個別健康相談

解答

解説
1.〇 正しい。医療救護活動は優先度が高い。発災直後の市の保健師の対応では、救命救護にかかわる活動が最も優先される。
2.× 福祉避難所の準備は優先度が低い。なぜなら、市町村はあらかじめ指定された福祉避難所の管理者に開設を要請するため。
3.× 健康調査票の作成は優先度が低い。なぜなら、健康調査票は平常時に作成し、避難所開設以降に健康調査が行われるため。
4.× 家庭訪問による個別健康相談は優先度が低い。なぜなら、急性期を過ぎた頃から、家庭訪問による個別健康相談を行うため。

 

 

 

 

 

52 発災後10日。保健師は、避難所への巡回訪問中に4歳児の母親から「子どもが自分から全く離れなくなり、寝ている間に急に大声をあげて泣き出すようになった。心配だ」と相談を受けた。保健師は子どもの反応の意味を説明し、いつでも相談に乗ることを伝えた。
 この時の保健師の母親への助言で適切なのはどれか。

1.子どもが一人で行動できることを経験させるよう勧める。
2.できるだけスキンシップを図るよう伝える。
3.別の避難所に移動するように勧める。
4.特に何もしなくてよいと伝える。

解答

解説

問題文にあるような子どもの様子「子どもが自分から全く離れなくなり、寝ている間に急に大声をあげて泣き出すようになる」は、異常な事態に対する正常な反応である。子どもが安心感を得られるように、スキンシップを図るよう伝える。したがって、選択肢2.できるだけスキンシップを図るよう伝えるが正しい。

1/3.× 子どもが一人で行動できることを経験させるよう勧める/別の避難所に移動するように勧めるのは、逆に子供の不安を増強させてしまうため不適切である。
4.× 特に何もしなくてよいと伝えるのは、現状困っている母親や子供の根本的解決にはならない。時間が解決してくれる問題ではない。

 

 

 

 

 

次の文を読み53、54の問いに答えよ。
 A市(人口10万人)では高齢化が進み、医療福祉分野の課題が増えている。地域包括支援センターでは、介護支援専門員から「複数の病院で処方された多種類、多量の薬を服用している高齢者が多い。副作用などの問題があるのではないか」との相談を受けることが増えた。そこで今年度から4か所の地域包括支援センターが合同で2か月ごとに、「高齢者の服薬」をテーマに事例検討による地域ケア会議を開催することにした。A 市からは介護保険担当課の保健師が参加する予定である。
 A市の概況を表に示す。

53 保健師が会議の前に確認する情報で優先するのはどれか。

1.薬剤師会名簿
2.訪問介護の利用状況
3.要介護認定者数の推移
4.国民健康保険加入者の調剤医療費

解答

解説

A市の高齢者の服薬をテーマに話し合うため、「服薬で何が問題となっているか?」「その要因としてはどのようなことが推察されるか?」を考える。

1.× 薬剤師会名簿は優先度が低い。薬剤師会名簿は、地域包括支援センターがケア会議のメンバーを選定するために確認する。
2.× 訪問介護の利用状況は優先度が低い。なぜなら、訪問介護の利用状況は、高齢者の服薬について直接的に関連するものではないため。
3.× 要介護認定者数の推移は優先度が低い。なぜなら、要介護認定者数の推移は、高齢者の服薬について直接的に関連するものではないため。
4.〇 正しい。国民健康保険加入者の調剤医療費は優先度が高い。なぜなら、国民健康保険データベース(KDB)などで、国民健康保険加入者の調剤医療費を確認することで、重複服薬や多剤投与など、現在の高齢者の服薬の問題点を把握できるため。

 

 

 

 

 

次の文を読み53、54の問いに答えよ。
 A市(人口10万人)では高齢化が進み、医療福祉分野の課題が増えている。地域包括支援センターでは、介護支援専門員から「複数の病院で処方された多種類、多量の薬を服用している高齢者が多い。副作用などの問題があるのではないか」との相談を受けることが増えた。そこで今年度から4か所の地域包括支援センターが合同で2か月ごとに、「高齢者の服薬」をテーマに事例検討による地域ケア会議を開催することにした。A 市からは介護保険担当課の保健師が参加する予定である。
 A市の概況を表に示す。

54 A市では、4つの地域包括支援センター合同の地域ケア会議を1年間継続した。A市の訪問介護サービスを利用する高齢者の問題として、多種類、多量の薬剤の不適切な併用による健康障害と、介護支援専門員と主治医との連携の困難さの2つが明らかになった。A市では医療と介護の連携の強化の具体策の検討を目的に「在宅医療推進会議」を立ち上げることになった。この会議に介護支援専門員、医師、歯科医師、薬剤師の代表者が参加することは決まっている。
 他に参加を呼びかけるメンバーで最も優先されるのはどれか。

1.民生委員の代表
2.訪問看護師の代表
3.理学療法士の代表
4.医療経済学の学識経験者

解答

解説

今回の会議のテーマは、「適切な服薬や医療・介護の連携」である。

1.× 民生委員の代表は、優先度は低い。なぜなら、民生委員は高齢者の生活の見守りなどを行う役割で、医療や介護は行わないため。
2.〇 正しい。訪問看護師の代表は、優先度は高い。なぜなら、訪問看護師は、介護と医療の両方に大きく関与し、高齢者の服薬などにおいても重要な役割を担うため。
3.× 理学療法士の代表は、優先度は低い。なぜなら、理学療法士は、在宅リハビリテーションにおいて重要な役割を果たすが、問題となっている薬剤の不適切な使用などについて話し合う際の参加メンバーとして優先度は低いため。
4.× 医療経済学の学識経験者は、優先度は低い。なぜなら、経済効果などについて話し合う場ではないため。医療と介護の連携強化の具体策を検討することが目的である。

 

 

 

 

 

次の文を読み55の問いに答えよ。
 食品加工業のA社には、60歳の定年後に継続雇用制度があり、65歳まで働くことができる。今後、製造現場の定年退職者と継続雇用労働者が増加することが見込まれている。安全衛生委員会で55歳以上の高年齢労働者の安全な就労に向け過去の労働災害状況を分析したところ、労働災害の発生率は年齢が高くなるほど上昇し、作業場での転倒が多かった。作業場の清掃は1日3回定期的に行い、照明は300ルクスの全体照明である。

55 A社の製造現場での高年齢労働者に対する労働災害防止対策への取組みで、優先度が高いのはどれか。

1.作業場の照度を高くする。
2.健康づくり用具を作業場に置く。
3.高年齢労働者向けの作業を用意する。
4.転倒が発生しやすい場所に注意喚起の掲示を行う。

解答

解説
1.× 作業場の照度を高くする必要はない。なぜなら、『労働安全衛生規則』では、作業場(精密な作業)は300ルクス以上の全体照明にすると基準が設けられている。この職場は、300ルクスの全体照明になっており基準は満たしている。
2.× 健康づくり用具を作業場に置く優先度は低い。なぜなら、高年齢労働者の筋力低下を防ぐための身体活動は重要であるが、健康づくり用具を作業場に置く必要はなく、逆に作業スペースを圧迫する恐れがあるため。
3.× 高年齢労働者向けの作業を用意する優先度は低い。高年齢労働者の筋力や生理機能などの低下に合わせて作業方法を見直す必要はあるが、高年齢労働者が活力を失わずにその能力を十分に発揮することが重要であることからも、高年齢労働者向けの作業を特別に用意する必要はない。
4.〇 正しい。転倒が発生しやすい場所に注意喚起の掲示を行う優先度は高い。なぜなら、高年齢労働者の視覚機能の低下に対応した作業環境の形成のため。

 

※注意:著者は看護師で、解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究・自己研鑽のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。またコメントにて解き方等教えてくださると幸いです。

 

問題引用:第105回保健師国家試験、第102回助産師国家試験、第108回看護師国家試験の問題および正答について

 

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