第105回(H31) 保健師国家試験 解説【午後6~10】

 

6 Aさん(54歳、女性)。会社で実施した特定健康診査の結果、特定保健指導の積極的支援の対象者として、保健指導の予約を入れるように会社の健康管理の担当者から連絡を受けた。A さんは「保健指導を受けると、今までの食事の見直しを指導されるかもしれないが、病気を防いで健康に暮らすことができる」と考えた。
 Aさんの考えはヘルス・ビリーフ・モデルにおける構成要素のどれか。

1.疾病の重大さの自覚
2.予防行動の利益の自覚
3.疾病にかかる可能性の自覚
4.必要な行動をうまく実行できる確信の自覚

解答

解説

(図引用:SGS(商工技能振興会)株式会社様HPより)

ヘルス・ビリーフ・モデルとは?

ヘルス・ビリーフ・モデルは、行動変容に至る過程に影響する構成要素を説明するモデル理論である。対象者がモデルのどの段階にいるのかを、発言や態度からアセスメントし、適切な支援につなげることができる。

Aさんは、今までの食事を見直す「行動による負担」と、病気を防ぐ「行動による利益」を比較し病気を予防することで健康になれるという利益を感じている。これは「予防行動の利益の自覚」にあたる。したがって、選択肢2.予防行動の利益の自覚が正しい。

Aさんの考えは、保健指導を受けることで得られる「行動による利益」に該当し、選択肢4.必要な行動をうまく実行できる確信の自覚(自己効力感)には該当しない。

1/3.× 疾病の重大さの自覚/疾病にかかる可能性の自覚は、設問上から読み取ることができない。

 

 

 

 

 

7 VDT作業における労働衛生管理のためのガイドラインに基づき、1日4時間以上のデータ入力を行う社員に対する産業保健師の指導で適切なのはどれか。

1.椅子には浅く腰かける。
2.ディスプレイからは30cm以内の視距離にする。
3.一連続作業時間が1時間を超えないようにする。
4.キーボードの周辺と部屋の明るさの差を大きくする。

解答

解説

 VDT作業とは、ディスプレイを持つ画面表示装置、言い換えるとVDT を用いた作業のこと。コンピュータや監視カメラを用いた作業を指す。 VDT作業はVDT症候群のように、心身の負担を感じさせることにつながるため、厚生労働省においても「VDT作業における労働衛生環境管理のためのガイドライン」を定めている。

1.× 椅子には浅く腰かけるのではなく、足の裏全体が床につくように高さを調整し、深く腰かけ、背もたれに背を十分に当てることで腰の負担軽減へとつながる。
2.× ディスプレイからは、30cm 以内ではなく、おおむね40cm以上の視距離にする。なぜなら、目の負担を減らすためである。
3.〇 正しい。一連続作業時間が1時間を超えないようにする。さらに、10~15分の作業休止時間を設けるとよい。
4.× キーボードの周辺と部屋の明るさの差は、大きくするのではなく、小さくする

 

 

 

 

 

8 労働安全衛生法に基づき、労働者50人未満の事業者に義務付けられているのはどれか。

1.産業医の選任
2.衛生委員会の設置
3.ストレスチェックの実施
4.長時間労働者への医師の面接指導

解答

解説
1.× 産業医の選任が義務付けられているは、常時使用する労働者が50人以上の事業者である。
2.× 衛生委員会の設置が義務付けられているは、常時使用する労働者が50人以上の事業者である。
3.× ストレスチェックの実施が義務付けられているは、常時使用する労働者が50人以上の事業者である。
4.〇 正しい。長時間労働者への医師の面接指導は、事業場の規模を問わず、実施が義務づけられている。

 

 

 

 

 

9 避難行動要支援者で、発災直後に最も優先して安否確認するのはどれか。

1.在宅人工呼吸療法をしている筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者
2.デイケアに通所している統合失調症患者
3.介護認定で要支援2の認知症高齢者
4.出産予定月の妊婦

解答

解説

避難行動要支援者とは?

避難行動要支援者とは、要配慮者のうち、災害が発生し、または災害が発生するおそれがある場合に自ら避難することが困難で、その円滑かつ迅速な避難の確保を図るために特に支援を要する者である。

1.〇 正しい。在宅人工呼吸療法をしている筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者は、発災直後に最も優先して安否確認する必要がある。なぜなら、在宅人工呼吸器など在宅で医療機器を使用している場合には、災害時の停電などが患者の生命に重大な影響を及ぼす可能性があるため。
2~4.× デイケアに通所している統合失調症患者/介護認定で要支援2の認知症高齢者/出産予定月の妊婦は、いずれも要配慮者に該当する。いずれも配慮は必要であるが、安否確認の優先度は選択肢1より低い。

 

 

 

 

 

10 A市では、自然災害によって一部の家屋に床上浸水の被害があった。
 住民やボランティアが泥のかき出しや片付けを行うにあたり、保健所の感染症担当の保健師が行う保健指導の内容で適切なのはどれか。

1.窓は閉めて行う。
2.次亜塩素酸ナトリウムの消毒液を噴霧する。
3.消毒液は使用する濃度に前日に作り置きしておく。
4.衣類は洗濯する前に80 ℃のお湯に10分以上つける。

解答

解説
1.× 窓は、閉めてではなく開けて行う。なぜなら、水害時は、下水の氾濫や腐敗物の漂着、カビの発生などにより、衛生状態が悪化するため。したがって、換気や室内の乾燥のため、できる限りドアと窓を開放する。
2.× 次亜塩素酸ナトリウムの消毒液を噴霧する必要はない。なぜなら、吸い込むと健康障害につながるため。次亜塩素酸ナトリウムは、台所用漂白剤に含まれ水で希釈して食器類の消毒に用いる。噴霧して使用してはならない。
3.× 消毒液は、使用する濃度に前日に作り置きしておく必要はない。なぜなら、消毒液は揮発性のものもあり、時間とともに濃度が低下するため。したがって、消毒液はつくり置きはしない。
4.〇 正しい。衣類は、洗濯する前に80 ℃のお湯に10分以上つける。なぜなら、感染症の原因となる汚泥が付着した衣類を消毒するため。

 

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