第105回(R4) 助産師国家試験 解説【午前1~5】

 

問題の引用:第108回保健師国家試験、第105回助産師国家試験及び第111回看護師国家試験の合格発表

※注意:解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。コメント欄にて誤字・脱字等、ご指摘お待ちしています。よろしくお願いいたします。

 

1 平成27年(2015年)9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の目標3「健康と幸福度」における2030年までの達成基準で正しいのはどれか。

1.新生児および5歳未満児の予防可能な死を根絶する。
2.世界の乳児の死亡率を出生1,000人当たり50人未満に削減する。
3.世界の妊産婦の死亡率を出生10万人当たり100人未満に削減する。
4.性と生殖に関する保健サービスを全対象者の7割が利用できるようにする。

解答

解説

持続可能な開発目標SDGsとは?

持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)とは、2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として、2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標である。17のゴール・169のターゲットから構成され、地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っている。SDGsは発展途上国のみならず、先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり、日本としても積極的に取り組んでいる。

(参考:「SDGsとは?」外務省HPより)

1.〇 正しい。新生児および5歳未満児の予防可能な死を根絶する。平成27年(2015年)9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の目標3「健康と幸福度」における2030年までの達成基準で13個のターゲットに該当する。
2.× 世界の乳児の死亡率を出生1,000人当たり「50人未満」ではなく25件以下に削減する。全ての国が新生児死亡率を少なくとも出生1,000件中12件以下まで減らし、5歳以下死亡率を少なくとも出生1,000件中25件以下まで減らすことを目指す。ちなみに、新生児とは、生後0日から28日未満の赤ちゃんのことで、それ以降は乳児と呼ばれる。
3.× 世界の妊産婦の死亡率を出生10万人当たり「100人未満」ではなく70人未満に削減する。
4.× 性と生殖に関する保健サービスを全対象者の「7割」ではなく、すべての人が利用できるようにする。性と生殖に関する保健サービスを全ての人々が利用できるようにする。

目標3を構成する13個のターゲット

①2030年までに、世界の妊産婦の死亡率を出生10万人当たり70人未満に削減する。
全ての国が新生児死亡率を少なくとも出生1,000件中12件以下まで減らし、5歳以下死亡率を少なくとも出生1,000件中25件以下まで減らすことを目指し、 2030年までに、新生児及および5歳未満児の予防可能な死亡を根絶する
③2030年までに、エイズ、結核、マラリア及および顧みられない熱帯病といった伝染病を根絶するとともに肝炎、水系感染症及およびその他の感染症に対処する。
④2030年までに、非感染性疾患による若年死亡率を、予防や治療を通じて3分の1減少させ、精神保健及および福祉を促進する。
⑤薬物乱用やアルコールの有害な摂取を含む、物質乱用の防止・治療を強化する。
⑥2020年までに、世界の道路交通事故による死傷者を半減させる。
⑦2030年までに、家族計画、情報・教育及および性と生殖に関する健康の国家戦略・計画への組み入れを含む、性と生殖に関する保健サービスを全ての人々が利用できるようにする。
⑧全ての人々に対する財政リスクからの保護、質の高い基礎的てきな保健サービスへのアクセス及および安全で効果的かつ質が高く安価な必須医薬品とワクチンへのアクセスを含む、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)を達成する。
⑨2030年までに、有害化学物質、並びに大気、水質及および土壌の汚染による死亡及および疾病の件数を大幅に減少させる。
⑩全ての国々において、たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約の実施を適宜強化する。
⑪主に途上国に影響を及ぼす感染性及および非感染性疾患のワクチン及び医薬品の研究開発を支援する。また、知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)及および公衆の健康に関するドーハ宣言に従い、安価な必須医薬品及およびワクチンへのアクセスを提供する。同宣言は公衆衛生保護及び、特に全ての人々への医薬品のアクセス提供にかかわる「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)」の柔軟性に関する規定を最大限に行使する途上国の権利を確約したものである。
⑫途上国、特に後発途上国及び小島嶼途上国において保健財政及び保健人材の採用、能力開発・訓練及び定着を大幅に拡大させる。
⑬全ての国々、特に途上国の国家・世界規模な健康危険因子の早期警告、危険因子緩和及および危険因子管理のための能力を強化する。

(※参考:「3.すべての人に健康と福祉を」unicef様HPより)

 

 

 

 

 

2 放射線被ばくの時期と児への影響との組合せで正しいのはどれか。

1.妊娠3週:中枢神経障害
2.妊娠8週:胎児奇形
3.妊娠15週:流産
4.妊娠35週:精神発達遅滞

解答

解説

(図引用:「放射線被爆と先天異常」日本産婦人科医会HPより)

胎芽・胎児への影響

 胎芽・胎児の発育期は、着床前期(受精0~8日)、主要器官形成期(受精9日~60日)、胎児期(受精60~270日)に分けられ、時期により発生する異常が異なる。

1.× 妊娠3週(2~8週)は、「中枢神経障害」ではなく、最も胎児奇形が起こりやすい。他にも流産や発育遅延、悪性新生物があげられる。
2.〇 正しい。妊娠8週は、胎児奇形が最も起こりやすい。
3.× 妊娠15週は、「流産」ではなく発育遅延や精神遅滞、悪性新生物があげられる。ちなみに、流産は着床前期(0~8日)が最も起こりやすい。
4.× 妊娠35週は、「精神発達遅滞」ではなく発育遅延、悪性新生物があげられる。ちなみに、精神発達遅滞は器官形成期(8~15週)が最も起こりやすい。

 

 

 

 

 

3 家族計画について正しいのはどれか。

1.子宮内避妊具は助産師が挿入できる。
2.受胎調節のひとつに人工妊娠中絶がある。
3.避妊薬の品質は母体保護法に規定されている。
4.受胎調節実地指導員は母体保護法に規定されている。

解答

解説
1.× 子宮内避妊具は、「助産師」ではなく医師が挿入できる。これは、母体保護法の15条に「女子に対して厚生労働大臣が指定する避妊用の器具を使用する受胎調節の実地指導は、医師のほかは、都道府県知事の指定を受けた者でなければ業として行ってはならない。ただし、子宮腔内に避妊用の器具を挿入する行為は、医師でなければ業として行ってはならない」と規定されている(※一部引用:「母体保護法」e-GOV法令検索様HPより)。子宮内避妊器具とは、子宮の中に留置して用いられる避妊器具である。一度留置すると5~10年継続して効果を発揮し、妊娠回避効果も高い。
2.× 人工妊娠中絶は、受胎調節のひとつとはいえない。受胎調節に応用される避妊法は、一時的避妊法(受精阻止と受胎阻止)にである。受胎調節とは、母体の健康や経済的理由などから妊娠しては困る場合には避妊を続け、子供が欲しくなったら避妊をやめて妊娠できるように、受胎を人工的に調節することをいう。なお、産児制限というのは人口抑制を目的としたものであり、家族計画と受胎調節は異なったものである。
3.× 避妊薬の品質は、「母体保護法」ではなく「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行令」に規定されている。ちなみに、母体保護法とは、不妊手術及び人工妊娠中絶に関する堕胎罪の例外事項を定めること等により、母親の生命健康を保護することを目的とした法律である。1948年7月13日に公布された。
4.〇 正しい。受胎調節実地指導員は母体保護法に規定されている。これは、母体保護法の(受胎調節の実地指導)15条2項に「前項の都道府県知事の指定を受けることができる者は、厚生労働大臣の定める基準に従つて都道府県知事の認定する講習を終了した助産師保健師又は看護師とする」と規定されている(※一部引用:「母体保護法」e-GOV法令検索様HPより)。ちなみに、受胎調節実地指導員とは、女子に対して厚生労働大臣が指定する避妊用の器具を使用する受胎調節の実地指導を行う者として都道府県知事の指定を受けた人のことである。避妊をすることによって妊娠、出産を計画的に調節することを受胎調節という。

 

 

 

 

 

4 妊娠中の梅毒スクリーニング検査の説明で正しいのはどれか。

1.妊娠中期に行う。
2.子宮頸管から検体を採取する。
3.陽性判明後14日以内に保健センターに届け出る。
4.非特異的検査と抗原特異的検査を組み合わせて行う。

解答

解説

妊婦健康診査について

(1)妊婦健康診査においては、各回、基本的な妊婦健康診査の項目として、①健康状態の把握(妊娠月週数に応じた問診、診察等)、②検査計測、③保健指導を実施するとともに、妊娠期間中の適時に、必要に応じた医学的検査を実施すること。
(2)基本的な妊婦健康診査の一環として、各回実施する検査計測の項目の例としては、子宮底長、腹囲、血圧、浮腫、尿化学検査(糖・蛋白)、体重があり、第1回目の健康診査では、身長も測定すること。
(3)基本的な妊婦健康診査の一環として、各回実施する保健指導については、妊娠中の食事や生活上の注意事項等について具体的な指導を行うとともに、妊婦の精神的な健康の保持に留意し、妊娠、出産、育児に対する不安や悩みの解消が図られるようにすること。
(4)各回実施する基本的な妊婦健康診査の項目以外の各種の医学的検査について、標準的な検査項目を以下に例示するので、市町村における公費負担の対象となる検査項目の設定にあたって参酌されたい。(医学的検査の例)
①血液検査
妊娠初期に1回、血液型(ABO血液型・Rh血液型、不規則抗体)、血算、血糖、B型肝炎抗原、C型肝炎抗体、HIV抗体、梅毒血清反応、風疹ウイルス抗体の検査を実施。
・妊娠24週から35週までの間に1回、血算、血糖の検査を実施。
・妊娠36週以降に1回、血算の検査を実施。
・妊娠30週頃までにHTLV-1抗体検査を実施。
②子宮頸がん検診(細胞診)
妊娠初期に1回実施。
③超音波検査
妊娠23週までの間に2回、妊娠24週から35週までの間に1回、36週以降に1回実施。
④B群溶血性レンサ球菌(GBS)
妊娠24週から35週までの間に1回実施。
⑤性器クラミジア
妊娠30週頃までに1回実施。

(※「妊婦健康診査について」厚生労働省HPより)

1.× 「妊娠中期」ではなく妊娠初期に行う。妊娠初期(妊娠4か月まで)に1回、血液型(ABO血液型・Rh血液型、不規則抗体)、血算、血糖、B型肝炎抗原、C型肝炎抗体、HIV抗体、梅毒血清反応、風疹ウイルス抗体の検査を実施する。ちなみに、妊娠中期は妊娠4か月~7か月までのことをさす。
2.× 「子宮頸管」ではなく血液から検体を採取する。つまり血液検査である。ちなみに、子宮頸管から検体を搾取するのは、子宮頸がん検診(細胞診)であり、妊娠初期に1回実施する。
3.× 陽性判明後、「14日以内に保健センター」ではなく「7日以内都道府県知事」に届け出る。これは感染症法(医師の届出)第12条「医師は、次に掲げる者を診断したときは、厚生労働省令で定める場合を除き、第一号に掲げる者については直ちにその者の氏名、年齢、性別その他厚生労働省令で定める事項を、第二号に掲げる者については七日以内にその者の年齢、性別その他厚生労働省令で定める事項を最寄りの保健所長を経由して都道府県知事(保健所を設置する市又は特別区(以下「保健所設置市等」という。)にあっては、その長。以下この章(次項及び第三項、次条第三項及び第四項、第十四条第一項及び第六項、第十四条の二第一項及び第八項並びに第十五条第十三項を除く。)において同じ。)に届け出なければならない」と規定されている(※一部引用:「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」e-GOV法令検索様HPより)。ちなみに、梅毒は、5類感染症に指定されている。
4.〇 正しい。非特異的検査(RPR法)と抗原特異的検査(TPHA法など)を組み合わせて行う。梅毒の診断には、①脂質抗原(カルジオリピン)に対する抗体を測定するRPR法や②トレポネーマ(Treponema:TP)に対する特異的抗体を測定するTP抗体検査法(TPHA法等)を使用する。スクリーニング検査として血液中の抗カルジオリピン抗体が陽性、さらに抗TP抗体陽性であった場合に、梅毒抗体陽性と判定する。(※参考:「梅毒 Syphilis」東京都感染症情報センターHPより)

 

 

 

 

 

5 Aさん(28歳、1回経産婦)は現在、妊娠18週である。第1子は分娩後に先天性心疾患と診断され緊急手術を受けた。Aさんは「今回も上の子と同じ病気が起こるのでないか」と心配し、出生前診断を希望している。第1子は心臓以外に異常の指摘はない。
 Aさんの心配の解消に最も寄与する出生前診断の方法はどれか。

1.絨毛検査
2.羊水検査
3.胎児超音波検査
4.母体血清マーカー検査

解答

解説

本症例のポイント

・Aさん(28歳、1回経産婦)
・現在、妊娠18週(妊娠中期)
・第1子:分娩後に先天性心疾患と診断され緊急手術を受けた。
・Aさん「今回も上の子と同じ病気が起こるのでないか」と心配し出生前診断を希望。
・第1子:心臓以外に異常の指摘はない。
→出生前診断とは、妊娠中に実施される胎児の発育や異常の有無などを調べる検査を行い、その検査結果をもとに、医師が行う診断のことをいう。広い意味では、通常の妊婦健診で行われる超音波(エコー)検査や胎児心拍数モニタリングなどを使った診断も出生前診断に含まれる。出生前診断を行うことにより、形態異常や染色体異常といった胎児の先天性疾患を調べることができる。超音波画像を使う超音波検査(エコー検査)は、形態異常を検査するものである。血液や羊水などを採取して行われる検査は、染色体異常を調べる検査になる。

1.× 絨毛検査(読み方:じゅうもうけんさ)とは、胎盤にある絨毛組織を妊娠初期に絨毛細胞の採取をおこない、出産前に胎児の染色体異常や先天性疾患などを診断する検査のことである。絨毛検査は多くの場合、妊娠10〜13週におこなわれる。本症例は、現在、妊娠18週(妊娠中期)である。
2.× 羊水検査の目的は、「胎児染色体異常・遺伝子異常」の検査である。第1子は「先天性心疾患」と診断されているため、目的が異なる。妊娠子宮に長い注射針に似た針を刺して羊水を吸引することによって得られた羊水中の物質や羊水中の胎児細胞をもとに、染色体や遺伝子異常の有無を調べる。一般に妊娠16週以降の時期に実施される。羊水検査で診断できるのは染色体や遺伝子など特定の異常に限られている。
3.〇 正しい。胎児超音波検査がAさんの心配の解消に最も寄与する出生前診断の方法である。なぜなら、超音波検査は、全週数に行え、胎児に対して非侵襲的確定的検査にもなりうるため。ただし、検査者によって、発見率が異なる点や発見率(36 ~ 56%)は決して高くないことが短所としてあげられる。
4.× 母体血清マーカー検査の目的は、「胎児染色体異常」の検査である。第1子は「先天性心疾患」と診断されているため、目的が異なる。母体血清マーカー検査の利点として、非侵襲的である点と、陰性の場合には、羊水検査を回避できるかもしれない点、胎児二分脊椎の診断につながるかもしれない点があげられる。欠点として、確定診断ではない対象となる染色体異常は、18、21 トリソミー(13 トリソミーは対象でない)ことがあげられる。

(※図引用「産婦人科ガイドライン」公益社団法人 日本産科婦人科学会より)

 

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