第105回(H28) 看護師国家試験 解説【午後101~105】

 

次の文を読み100〜102の問いに答えよ。
 Aさん(81歳、女性)は、6年前にレビー小体型認知症と診断された。Aさんは雨の中を1人で外出して自宅に戻れなくなり、同居している娘に発見された。その夜、娘が話しかけたときのAさんの反応が鈍くなったため、かかりつけの病院を受診し、細菌性肺炎と診断され入院した。呼吸器疾患の既往はない。

101 入院当日、抗菌薬の点滴静脈内注射が開始された。投与開始直後からAさんが輸液ラインを指し「虫がいる」と大きな声を上げている。
 このときの看護師の対応で最も適切なのはどれか。

1.虫がいないことを説明する。
2.点滴静脈内注射を中止する。
3.Aさんをナースステーションに移動する。
4.輸液ラインをAさんから見えない状態にする。

解答4

解説

1.× 虫がいないことを説明する優先度は低い。なぜなら、Aさんには虫が見えており、否定することで不安が増すため。大きな声を上げているなど興奮状態にあるときは、基本的に、むやみに訂正や否定はせず、本人の安心につながる対応(傾聴や付き添うなど)をすることが重要である。
2.× 点滴静脈内注射を中止する優先度は低い。なぜなら、肺炎の治療は予後に影響するため。抗菌薬の点滴静脈内注射は、細菌性肺炎の治療として有効であり、直ちに中止せず看護援助の工夫を考える。
3.× Aさんをナースステーションに移動する優先度は低い。なぜなら、人が頻繁に出入りするナースステーションではAさんは安心することができないため。病室と比べて騒がしいと考えられ、また、Aさんをナースステーションに移動することで興奮状態を助長させてしまう可能性がある。
4.〇 正しい。輸液ラインをAさんから見えない状態にする。なぜなら、Aさんは輸液ラインを指し「虫がいる」と大きな声を上げており、輸液ラインの自己抜去の可能性も考えられるため。まずは、見えないように工夫し環境を整える。

 

 

 

 

 

次の文を読み100〜102の問いに答えよ。
 Aさん(81歳、女性)は、6年前にレビー小体型認知症と診断された。Aさんは雨の中を1人で外出して自宅に戻れなくなり、同居している娘に発見された。その夜、娘が話しかけたときのAさんの反応が鈍くなったため、かかりつけの病院を受診し、細菌性肺炎と診断され入院した。呼吸器疾患の既往はない。

102 入院後7日、症状が軽快し明日退院することが決まった。消灯前にAさんが部屋にいないため探すと、小刻みにすり足で歩いているところを発見した。看護師がどうしたのか質問すると「そこに小さい子どもがいるので見に行きたい」と、思いつめた表情で話した。
 このときのAさんへの対応で最も適切なのはどれか。

1.転倒の危険を説明する。
2.行きたい場所へ付き添う。
3.子ども時代の思い出を尋ねる。
4.子どもはどこかへ行ってしまったと説明する。

解答2

解説

1.× 転倒の危険を説明する優先度は低い。なぜなら、Aさんは子どもに意識が向いているため。転倒の危険性を説明しても聞き入れてもらえない可能性が高い。
2.〇 正しい。行きたい場所へ付き添う。なぜなら、Aさんの思いを尊重し行きたい場所へ付き添うことにより、患者は安心することができるため。また、消灯前というタイミングを考慮し、転倒を予防するためにも付き添うことが適切と考えられる。
3.× 子ども時代の思い出を尋ねる優先度は低い。なぜなら、Aさんの子供を探している様子であるので、話題を変えようとしても無理があるため。またAさんが話を聞いてもらえないと感じてしまうと、自尊心を傷つけることになりかねない。ただ認知症患者の対応として、子ども時代の思い出をたずねることは、コミュニケーションをとるうえで有効な場合もある。
4.× 子どもはどこかへ行ってしまったと説明する優先度は低い。なぜなら、Aさんに子どもが見えているのであれば、どこかに行ってしまったという説明は否定にあたるため。また、Aさんは子供の存在を現実のものであると思っているため、いないことを告げることで混乱する可能性が高い。

 

 

 

 

 

次の文を読み103〜105の問いに答えよ。
 Aちゃん(11歳、女児)は、両親と3人で暮らしている。3週前から疲労感を訴え昼寝をするようになった。そのころから夜間に尿意で起きてトイレに行くようになり、1日の尿の回数が増えた。2日前から食欲がなくヨーグルトや水分を摂取していたが、今朝から吐き気と嘔吐とがあり水分も摂れない状態になったため、母親とともに受診した。血液検査データは、赤血球580万/μL、Hb13.9g/dL、Ht44%、白血球9,500/μL、尿素窒素31mg/dL、クレアチニン0.7mg/dL、Na141mEq/L、K4.8mEq/L、Cl94mEq/L、随時血糖900mg/dL。動脈血ガス分析は、pH7.21、BE-12.3、HCO3-10.9mEq/L。尿検査は、尿糖2+、尿ケトン体3+であった。
 Aちゃんは1型糖尿病の疑いで入院した。

103 入院時のバイタルサインは、体温37.3℃、呼吸数20/分、脈拍120/分、整、血圧110/68mmHgであり、点滴静脈内注射が開始された。
 入院時のAちゃんの状態で注意すべき所見はどれか。2つ選べ。

1.冷汗
2.浮腫
3.悪寒
4.意識障害
5.皮膚の弾力性の低下

解答4/5

解説

Aさんは、血糖900mg/dl、pH7.21、尿ケトン体3+より、糖尿病ケトアシドーシスを発症している。糖尿病ケトアシドーシスとは、糖尿病急性合併症である「糖尿病昏睡」のひとつであり、 喉の乾き、多尿、全身の倦怠感などの症状に引き続いて急激に発症し、悪化すると呼吸困難や吐き気、嘔吐、腹痛、意識障害などが起こる。

 

1.× 冷汗は、低血糖時にみられる症状である。1型糖尿病の発症時に冷汗が特に生じやすいということはない。
2.× 浮腫は生じない。なぜなら、糖尿病ケトアシドーシスの症状として、多尿・嘔吐があり、したがって脱水傾向となるため。
3.× 悪寒は生じない。1型糖尿病にシックデイが起こると、悪寒をみとめることがある。
4~5.〇 正しい。意識障害/皮膚の弾力性の低下が起こる。糖尿病ケトアシドーシスは、血中の糖が利用できないため脂質の分解が促進され、ケトン体が産生・pHを低下させ、意識障害が生じる。また、高血糖による浸透圧利尿により脱水となり、これに伴い、皮膚の弾力性(ツルゴール)の低下が生じる。

 

 

 

 

 

次の文を読み103〜105の問いに答えよ。
 Aちゃん(11歳、女児)は、両親と3人で暮らしている。3週前から疲労感を訴え昼寝をするようになった。そのころから夜間に尿意で起きてトイレに行くようになり、1日の尿の回数が増えた。2日前から食欲がなくヨーグルトや水分を摂取していたが、今朝から吐き気と嘔吐とがあり水分も摂れない状態になったため、母親とともに受診した。血液検査データは、赤血球580万/μL、Hb13.9g/dL、Ht44%、白血球9,500/μL、尿素窒素31mg/dL、クレアチニン0.7mg/dL、Na141mEq/L、K4.8mEq/L、Cl94mEq/L、随時血糖900mg/dL。動脈血ガス分析は、pH7.21、BE-12.3、HCO3-10.9mEq/L。尿検査は、尿糖2+、尿ケトン体3+であった。
 Aちゃんは1型糖尿病の疑いで入院した。

104 Aちゃんは、インスリンの持続的な注入を開始し、3日後、血糖値が安定した。1型糖尿病と診断が確定しインスリン自己注射を始めることになった。ペン型注入器を用いて、毎食前に超速効型インスリンの皮下注射、21時に持効型溶解インスリンの皮下注射を行うという指示が出ている。
 Aちゃんと両親に対するインスリン自己注射の指導で適切なのはどれか。2つ選べ。

1.インスリンを注射する部位は前回と違う部位に行う。
2.超速効型インスリンは単位数を変更せずに注射する。
3.食欲がないときは食後に超速効型インスリンを注射する。
4.血糖値が100mg/dL以下のときは持効型溶解インスリンの注射を中止する。
5.インスリンの注射をした後は針を刺した場所をよくもむ。

解答1/3

解説

1.〇 正しい。インスリンを注射する部位は前回と違う部位に行う。なぜなら、インスリン注射は同じ所に連続して打つと、皮膚の硬結(インスリンボール)につながるため。硬結部位からではインスリン吸収が低下してしまうため、インスリン注射は毎回違う部位に行うことが大切である。
2.× 超速効型インスリンは、単位数を変更することがある。なぜなら、超速効型インスリンの単位は、血糖値や食事量によるため。
3.〇 正しい。食欲がないときは食後に超速効型インスリンを注射する。なぜなら、食欲がないときなど食事量が不安定な場合は、食事量に合わせて超速効型インスリンを減量し、食後に注射するため。シックデイのインスリン自己注射の指導は大切である。
4.× 血糖値が100mg/dL以下のときでも、持効型溶解インスリンを注射を中止する必要はない。なぜなら、持効型溶解インスリンは、インスリンの基礎分泌を補う役割があるため。また、長時間作用型インスリン製剤のため低血糖を生じさせにくい。血糖値が低い場合は補食後に打つなどし、中止しないようにすることが大切である。
5.× インスリンの注射をした後は、針を刺した場所をよくもむのはよくない。なぜなら、インスリンは、注射後にもんだり温めたりすると、急速に吸収されて低血糖を引き起こすことがあるため。注射後はもまないようにする。

 

 

 

 

 

次の文を読み103〜105の問いに答えよ。
 Aちゃん(11歳、女児)は、両親と3人で暮らしている。3週前から疲労感を訴え昼寝をするようになった。そのころから夜間に尿意で起きてトイレに行くようになり、1日の尿の回数が増えた。2日前から食欲がなくヨーグルトや水分を摂取していたが、今朝から吐き気と嘔吐とがあり水分も摂れない状態になったため、母親とともに受診した。血液検査データは、赤血球580万/μL、Hb13.9g/dL、Ht44%、白血球9,500/μL、尿素窒素31mg/dL、クレアチニン0.7mg/dL、Na141mEq/L、K4.8mEq/L、Cl94mEq/L、随時血糖900mg/dL。動脈血ガス分析は、pH7.21、BE-12.3、HCO3-10.9mEq/L。尿検査は、尿糖2+、尿ケトン体3+であった。
 Aちゃんは1型糖尿病の疑いで入院した。

105 Aちゃん及び両親は、1型糖尿病の療養生活に必要な知識や手技を順調に獲得した。血糖値が良好にコントロールされたため、退院に向けてAちゃんと両親、主治医、担当看護師および学校の関係者との間でこれからの学校生活について話し合った。
 医療者から学校の関係者に伝える内容で最も適切なのはどれか。

1.「長距離走や水泳の授業は見学させてください」
2.「宿泊を伴う校外活動は保護者の同伴が必要です」
3.「教室内にインスリン注射を行う場所を設けてください」
4.「家庭科の調理実習は同級生と違う献立にしてください」
5.「手指の震えや強い空腹感があるときはブドウ糖の補食が必要です」

解答5

解説

1.× 長距離走や水泳を授業見学にするのは、優先度が低い。なぜなら、1型糖尿病は、適切な食事をしてインスリン注射を行っている限りは、通常の生活を行うことができるため。低血糖を生じないように、補食をしたりインスリンを減量したりすることにより、運動も通常どおり行うことができる。
2.× 宿泊を伴う校外活動を保護者の同伴にするのは、優先度が低い。なぜなら、Aさんは自分でインスリン注射や自己血糖測定、補食の管理ができるため。したがって、保護者の同伴は不要であるため。ただし、個室での宿泊は避けるなどの注意は必要である。
3.× 教室内にインスリン注射を行う場所を設けることは、優先度が低い。なぜなら、インスリン注射を気兼ねなく行える環境は必要であるが、教室内に場所を特別に設けなくとも、保健室などを利用することもできるため。また、そういった環境の必要性を学校関係者に理解してもらうことが大切である。
4.× 家庭科の調理実習を同級生と違う献立にする必要はない。献立内容を事前に確認し、インスリン量を調整する。成長期の1型糖尿病では,同級生と同じ食事で問題ない。
5.〇 正しい。手指の震えや強い空腹感があるときは、ブドウ糖の補食を勧める。なぜなら、低血糖症状がある場合は、すばやく吸収されるグルコース(ブドウ糖)などの単糖類の補食が低血糖症状を予防につながるため。

 

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