第105回(H28) 看護師国家試験 解説【午後111~115】

 

次の文を読み109〜111の問いに答えよ。
 Aさん(23歳、女性)は、未婚で両親と3人で暮らしている。専門学校卒業後に就職し、仕事も順調であった。4か月前、仕事のミスがあったことをきっかけに気分が落ち込み、食欲のない状態が1か月ほど続いたが、通勤は続けていた。Aさんは2か月前から不眠を訴えるようになり、先月からは給料の全額を宝くじの購入に費やしてしまう行為がみられるようになった。Aさんは、心配した両親に付き添われて精神科病院を受診した。

111 入院して2か月が経過し、Aさんは服薬による治療で多弁や易怒性などの症状が改善し、落ち着いて過ごせるようになった。Aさんは治療を継続する必要性についても理解している。看護師がAさんと家族への退院指導を行うことになった。
 退院指導における説明で最も適切なのはどれか。

1.「薬の管理は家族が行ってください」
2.「今後も定期的な入院が必要になります」
3.「Aさんの言動の変化に気を付けましょう」
4.「服薬していれば再発することはありません」

解答3

解説

1.× 薬の管理は、家族ではなく本人が行うことが大切である。Aさんは治療継続の必要性がわかっており、認知機能面も問題ないことからも薬の自己管理能力もあると考えられる。
2.× 今後、定期的な入院が必要になるとは限らない。なぜなら、状態が悪化したら入院治療も必要となる可能性はあるため。症状のコントロールがうまくいかないとは断定できない。
3.〇 正しい。Aさんの言動の変化に気を付ける。なぜなら、うつ状態も繰状態も、言動の変化をモニタリングしていくことで早期発見できるため。家族に日々の変化を観察してもらう。
4.× 服薬していても再発するリスクがある。なぜなら、服薬を継続していても、過労やストレスにより症状のコントロールが不良となるため。

躁状態の患者との付き合いかた

繰状態の患者は多弁・過活動・易刺激的であることが多く、気分は高揚し、ときには人間関係を壊したり経済的に破綻したりするような言動・行動をとることがある。繰状態は心身のエネルギーを枯渇させるため、再びうつ状態に転じることにつながる。また、迷惑行為などは、症状が改善し現実に直面したときに大きな後悔や絶望感につながり、自殺に至ることもある。できるだけ刺激を減らし、心身の安静が保て,患者も周囲の人も守ることができるようなかかわりが求められる。

 

 

 

 

 

次の文を読み112〜114の問いに答えよ。
 Aさん(19歳、男性、大学生)は、実家近くのアパートに1人で暮らしている。ある日、線路沿いの道を裸足で歩きながら険しい表情でカッターナイフを振り回し、ぶつぶつと独り言を言い続けていたことから警察に保護された。Aさんは、警察から連絡を受けた両親とともに精神科病院を受診したが「自分は命を狙われている」、「この人たちは自分の親じゃない」と言い、医療者に対しても拒否的な態度をとっている。診察の結果、Aさんは統合失調症と診断された。Aさんの頭髪は乱れ、食事や睡眠がとれていない様子であったため、そのまま医療保護入院をすることになった。

112 入院当日にAさんの両親から情報収集する内容として、優先度が高いのはどれか。

1.Aさんの大学の出席状況
2.両親がAさんと同居する可能性
3.Aさんの子ども時代の両親の育て方
4.Aさんの入院に対する両親の受け止め方

解答4

解説

1.× Aさんの大学の出席状況を聴取することは優先度は低い。なぜなら、Aさんは1人暮らしをしており、大学の出席状況を両親に聞いても正確な情報は得られない可能性が高いため。また、発症の時期などを知るきっかけにはなるかもしれないが優先度は低い。
2.× 両親がAさんと同居する可能性を聴取することは優先度は低い。なぜなら、現在は入院の段階であるため。退院後の生活に関する情報である。
3.× Aさんの子ども時代の両親の育て方を聴取することは優先度は低い。なぜなら、このようなことを質問すると、両親は自分達の育て方が悪かったのではないかと自責的になり、統合失調症を正しく理解することを妨げるおそれがあるため。治療の過程で必要となるが、今の段階で最優先とはならない。
4.〇 正しい。Aさんの入院に対する両親の受け止め方を聴取することは優先度は高い。なぜなら、子どもが突然警察経由で病院に行き、統合失調症と診断されて入院となったことに、両親は困惑していると考えられるため。また、突然のことであり「この人たちは自分の親じゃない」との発言からも両親が動揺することが考えられる。どのように受け止めているのかを聞き、両親の精神的ケアのために支持的・共感的にかかわることが必要である。

 

 

 

 

 

次の文を読み112〜114の問いに答えよ。
 Aさん(19歳、男性、大学生)は、実家近くのアパートに1人で暮らしている。ある日、線路沿いの道を裸足で歩きながら険しい表情でカッターナイフを振り回し、ぶつぶつと独り言を言い続けていたことから警察に保護された。Aさんは、警察から連絡を受けた両親とともに精神科病院を受診したが「自分は命を狙われている」、「この人たちは自分の親じゃない」と言い、医療者に対しても拒否的な態度をとっている。診察の結果、Aさんは統合失調症と診断された。Aさんの頭髪は乱れ、食事や睡眠がとれていない様子であったため、そのまま医療保護入院をすることになった。

113 Aさんの入院後2週が経過した。Aさんの母親が疲れた表情で「Aはまだ誰かに殺されるのではないかと怖がっています。Aはなぜこんな病気になったのでしょうか。親としてどのようにAに接したらよいか分かりません」と担当の看護師に相談してきた。
 この時点でAさんの両親に勧めるのはどれか。

1.毎日の面会
2.家族心理教育
3.Aさんとの同伴での外出
4.共同生活援助<グループホーム>の見学

解答2

解説

1.× 毎日の面会を勧めるのは優先度は低い。なぜなら、母親は疲れた表情をみせており息子とのかかわりにも不安を抱いているため。母親を心理的に追い詰めてしまう可能性がある。
2.〇 正しい。家族心理教育を勧める。なぜなら、母親は、疾患や患者とのかかわり方について正確な情報を必要としているため。家族心理教育によって疾患理解を促す援助が必要である。
3.× Aさんとの同伴での外出を勧めるのは優先度は低い。なぜなら、Aさんにはまだ被害妄想があり、外出によって精神症状が悪化するおそれがあるため。Aさんはまだ誰かに殺されるのではないかと妄想を持っており外出できる状態ではない。
4.× 共同生活援助<グループホーム>の見学を勧めるのは優先度は低い。なぜなら、共同生活援助(グループホーム)は、家族との同居が困難で、かつ単身生活が難しい患者の退院先として選択肢にするため。Aさんの退院のめどが立っていない今の状況では、共同生活援助(グループホーム)の見学を勧める必要はなく時期尚早である。

 

 

 

 

 

次の文を読み112〜114の問いに答えよ。
 Aさん(19歳、男性、大学生)は、実家近くのアパートに1人で暮らしている。ある日、線路沿いの道を裸足で歩きながら険しい表情でカッターナイフを振り回し、ぶつぶつと独り言を言い続けていたことから警察に保護された。Aさんは、警察から連絡を受けた両親とともに精神科病院を受診したが「自分は命を狙われている」、「この人たちは自分の親じゃない」と言い、医療者に対しても拒否的な態度をとっている。診察の結果、Aさんは統合失調症と診断された。Aさんの頭髪は乱れ、食事や睡眠がとれていない様子であったため、そのまま医療保護入院をすることになった。

114 入院後2か月が経過し、主治医からは退院の話も出始めた。Aさんは入院をきっかけに大学を休学している。Aさんの両親が「Aは学業の遅れを心配して、退院後すぐに復学したいと言っています。Aはすぐに復学できるのでしょうか」と相談してきた。
 看護師の説明として適切なのはどれか。

1.「復学の時期を大学に判断してもらいましょう」
2.「復学できる状態になるまで退院を延期しましょう」
3.「ご両親からAさんに焦らないよう説得してください」
4.「まずは家庭での日常生活に慣れることから始めましょう」

解答4

解説

1.× 復学の時期の判断は、大学ではなく、医師と本人・家族が行う。
2.× 復学できる状態になるまで退院を延期する必要はない。入院治療が必要な時期を過ぎたら、退院となる。退院をして社会復帰への段階を経ながら復学していくべきである。
3.× 両親からAさんに焦らないよう説得する必要はない。なぜなら、退院後の生活について、患者本人だけでなく家族も焦る気持ちになることが多いため。また、かえって説得すると焦る気持ちが増す可能性もある。両親に説得を任せるのではなく、看護師がかかわって、患者と家族に焦らないよう声をかけていく(説得ではなく説明)必要がある。
4.〇 正しい。「まずは家庭での日常生活に慣れることから始めましょう」と説明する。なぜなら、Aさんは、退院後はこれまでの生活とは異なり、服薬管理やストレスマネジメントなど統合失調症とうまく付き合うための生活スタイルを確立していかなければならないため。まずは家庭での日常生活に慣れることから始めるよう説明する。

 

 

 

 

 

次の文を読み115〜117の問いに答えよ。
 Aさん(58歳、男性)は、妻(55歳、会社員)、長女夫婦および生後5か月の孫の5人で暮らしている。頸椎の後縦靱帯骨化症と診断され椎弓形成術を受けた。リハビリテーション病院に転院しか2月前に退院した。退院時から週1回の訪問看護を受けている。現在の症状は、下肢のしびれ、知覚鈍麻、筋力低下、上下肢の痙性麻痺および膀胱直腸障害である。移動は車椅子で、食事はリハビリテーション用のフォークを使用して座位で摂取している。排泄は家族に見守られながら尿器とポータブルトイレとを使用し、自分で行っている。

115 Aさんへの訪問看護における身体状態の観察で、疾患に関連して最も重要なのはどれか。

1.排尿状態
2.上肢の筋力
3.嚥下の状態
4.外傷の有無
5.下肢のしびれ

解答1

解説

後縦靭帯骨化症(OPLL)とは?

 後縦靭帯骨化症(OPLL)は、椎骨の後ろを走る報帯である後縦靭帯が肥厚し骨化することで、脊髄や神経根が圧迫されさまざまな神経障害が起こる原因不明の難病である。手足のしびれや手指の細かい動きが困難になる巧緻性障害、下肢が上がらず引きずるような歩行になる痙性歩行、残尿感や便秘などの膀胱直腸障害や頚椎可動域の減少による痛みや肩こりといった症状が表れることが多い。根治的な治療方法はなく、基本は保存療法を行い、症状が進行している場合は手術療法が選択される。

1.〇 正しい。排尿状態は、観察項目として優先度が高い。なぜなら、排尿障害増悪がみられた場合、緊急手術の適応ともなり得るため。Aさんは膀胱直腸障害があり、残尿感や頻尿、尿が出にくい、尿が出るときの勢いがなくなるといった症状が生じていると考えられる。
2.× 上肢の筋力は、観察項目として優先度が低い。なぜなら、リハビリテーション用のフォークを使用できる状況であるため。しかし、上肢麻痺の進行がみられた場合、再手術の適応となりうるため観察する必要はある。膀胱直腸障害は不可逆性となる可能性が高いため、選択肢1がより優先度は高いと考える。
3.× 嚥下の状態は、観察項目として優先度が低い。なぜなら、Aさんの食事は坐位で、誤嚥なく、リハビリテーション用のフォークを使用して介助なしで行うことができるため。
4~5.× 外傷の有無/下肢のしびれは、観察項目として優先度が低い。なぜなら、移動は車椅子であり、排泄時も家族に見守られており転倒の危険が高い状況ではないため。下肢のしびれ、知覚鈍麻などの症状が認められるため、外傷が生じやすい可能性が考えられる。したがって、最も重要とは考えにくいが必要な観察項目ではある。

 

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