第105回(H28) 看護師国家試験 解説【午後46~50】

 

46 Aさん(37歳、女性)は、月経異常で病院を受診し、糖尿病および高血圧症と診断された。また、満月様顔貌や中心性肥満の身体所見がみられたため検査が行われ、ホルモン分泌異常と診断された。
 原因となるホルモンを分泌している臓器はどれか。

1.副甲状腺
2.甲状腺
3.副腎
4.卵巣

解答3

解説

1.× 副甲状腺ホルモンは、カルシウム代謝を調節しており、過剰になると高カルシウム血症、欠乏すると低カルシウム血症の原因になる。
2.× 甲状腺ホルモンは、主に全身の代謝にかかわる。過剰症(バセドウ病)では動機・体重減少・手指振戦・暑がりなどの症状(甲状腺中毒症状)を引き起こす。低下症では、全身の倦怠感・体重増加・便秘症・寒がりなどの症状を引き起こす。
3.〇 正しい。副腎皮質ホルモンであるコルチゾールの過剰によりクッシング症候群となる。特徴として、満月様顔貌、中心性肥満、皮膚非薄化、赤色皮膚線条などである。そのほか糖尿病・高血圧などの症状を引き起こす。
4.× 卵巣から分泌されるエストロゲン・プロゲステロンの分泌異常は、月経異常の原因となる。

補足事項

副腎皮質ホルモンには、コルチゾール・アルドステロン・アンドロゲン(男性ホルモン)などがある。
コルチゾール:血糖値の上昇や脂質・蛋白質代謝の更新、免疫抑制・抗炎症作用、血圧の調節など、さまざまな働きがあるが、過剰になるとクッシング症候群、不足するとアジソン病を引き起こす。

 

 

 

 

 

47 日本の平成25年(2013年)の国民生活基礎調査において高齢者世帯の所得で、1世帯当たり平均所得金額の構成割合が最も高いのはどれか。

1.稼働所得
2.財産所得
3.公的年金・恩給
4.仕送り・企業年金・個人年金・その他の所得

解答3

解説

1.× 稼働所得は、高齢者世帯の1世帯あたり55万円で、構成割合は18.3%である。ちなみに稼動所得とは、雇用者所得、事業所得、農耕、畜産所得などいわゆる「勤労」によって得ている収入のこと。
2.× 財産所得は、高齢者世帯の1世帯あたり22万9千円で、構成割合は7.6%である。ちなみに財産所得とは、カネ、土地および無形資産(著作権・特許権など)を貸借する場合、この貸借を原因として発生する所得の移転である。
3.〇 正しい。公的年金・恩給は、高齢者世帯の1世帯あたり203万3千円で、構成割合は67.6%である。最も高い。
4.× 仕送り・企業年金・個人年金・その他の所得は、高齢者世帯の1世帯あたり16万円で、構成割合は5.3%である。

平成26年国民生活基礎調査(厚生労働省)による。

 

 

 

 

 

48 認知症の高齢者に対するノーマライゼーションで正しいのはどれか。

1.散歩を勧める。
2.決められた服を着るよう勧める。
3.重度の場合は精神科病棟に入院を勧める。
4.食べこぼしのあるときに箸を使用しないよう勧める。

解答1

解説

ノーマライゼーションとは?

 ノーマライゼーションとは、障害者や高齢者を特別視するのではなく、障害者も高齢者も一般社会のなかで普通の生活を送れるような条件を整え、すべての人がともに生活できる社会・環境をつくりだしていくことを目的とする考え方である。

1.〇 正しい。散歩を勧める。なぜなら、障害のある人(認知症患者)や高齢者が、その他の人(健常者)と同様に生活し活動することが本来のあるべき姿であるため。このことが、ノーマライゼーションの理念である。
2~4.× 決められた服を着るよう勧める。/重度の場合は精神科病棟に入院を勧める。/食べこぼしのあるときに箸を使用しないよう勧める。上記は、ノーマライゼーションの概念から外れる。なぜなら、決められた服や精神科の入院、箸を使用しないように勧めることは、強制や差別にあたる可能性があるため。

 

 

 

 

 

49 Aさん(80歳、男性)は、脳梗塞の治療のために入院した。Aさんは多弁であり「めがねをとってください」のことを「めとねをとってください」などと話す様子が観察される。
 Aさんの症状で正しいのはどれか。

1.錯語
2.感情失禁
3.喚語困難
4.運動性失語

解答1

解説

1.〇 正しい。錯語である。「めがね」を「めとね」と言い間違えるのを音韻性錯語という。一方で、「時計」を「めがね」と言い間違えるのを意味性錯語という。どちらも側頭葉病変が多く感覚性失語(流暢性:ウェルニッケ失語)で出現しやすい。
2.× 感情失禁とは、わずかな感情の刺激に対して感情がコントロールできず、涙もろくなることをいう。多発性脳梗塞に多い。
3.× 喚語困難とは、言いたい言葉が出てこない症状である。言いたい言葉が思い浮かばない、適切な言葉が選べないなどさまざまなタイプの失語で出現する。認知症に伴うことが多い。
4.× 運動性失語(ブローカ失語)とは、簡単な言葉は理解できるが、言いたい言葉が出てこない非流暢性失語である。前頭葉病変が多い。

 

 

 

 

 

50 便秘の原因となる加齢に伴う身体的変化で誤っているのはどれか。

1.大腸粘膜の萎縮
2.骨盤底筋群の筋力低下
3.直腸内圧の閾値の低下
4.大腸の内括約筋の緊張の低下

解答3

解説

1.〇 正しい。大腸粘膜の萎縮は、加齢に伴い起こりえる。粘膜異常により粘液分泌が低下することによって、便のスムーズな腸管内輸送が妨げられ、便秘の原因となる。
2.〇 正しい。骨盤底筋群の筋力低下は、加齢に伴い起こりえる。排便時に便を押し出す力が低下(=骨盤底筋群の筋力の低下)し、便秘の原因となる。
3.× 誤っている。加齢に伴い、直腸内圧の閾値は、低下ではなく上昇する。直腸内圧の闘値の低下とは、便意に敏感になることであるため、便秘の原因とはならない。むしろ加齢に伴い直腸内圧の闘値は上昇する。すなわち、便意を感じにくくなるため便秘となる。
4.〇 正しい。大腸の内括約筋の緊張の低下は、加齢に伴い起こり、便秘(習慣性便秘)の原因となる。なぜなら、便意を感じても外肛門括約筋(随意筋)を緩めないことで意識的に排便抑制するようになるため。

 

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