第105回(H28) 看護師国家試験 解説【午後66~70】

 

66 山村部で地震による家屋倒壊と死者が出た災害が発生し、3週が経過した。避難所では、自宅の半壊や全壊の被害にあった高齢者を中心に10世帯が過ごしている。
 高齢者の心のケアとして最も適切なのはどれか。

1.認知行動療法を行う。
2.自分が助かったことを喜ぶよう説明する。
3.地震発生時の状況について詳しく聞き取る。
4.長年親しんだものの喪失について話せる場をつくる。

解答4

解説

被災者へのこころのケアは、大まかに災害発生「直後」「1か月以内」「1か月以上」で分けて対応する。1か月以上続く悲嘆反応や精神症状には心的外傷後ストレス障害(PTSD)への移行を考慮して専門家の介入を必要とするが、それ以内の時期の悲嘆反応は正常な反応である。

 

1.× 認知行動療法を行う時期ではない。なぜなら、現在は被災後3週であり、悲嘆反応が生じるのは正常であるため。認知行動療法は、困難な状況にあるときに実際にやって試してみることを重視した治療法である。
2.× 自分が助かったことを喜ぶよう説明する必要はない。なぜなら、地震によって自宅が倒壊し、住民が死亡するという事態に直面したとき、悲しみ・不安・罪悪感などが生じるのは当然の反応であるため。自分が助かったことに対して無理に喜びを表出させ、悲しみなどの感情を抑圧させる必要はない。
3.× 地震発生時の状況について詳しく聞き取る必要はない。なぜなら、かえって心理的侵襲(不安・ストレス)となるため。
4.〇 正しい。長年親しんだものの喪失について話せる場をつくる。なぜなら、自宅や思い出の品を喪失したことに伴う感情を1人で抱え込むことのないよう配慮するため。不安を表出することが出来るよう援助する。

 

 

 

 

 

67 国間の国際保健医療協力を行うのはどれか。

1.国際協力機構 <JICA>
2.国際看護師協会 <ICN>
3.国連開発計画 <UNDP>
4.国連食糧農業機関 <FAO>

解答1

解説

1.〇 正しい。国際協力機構<JICA>は、2国間援助の形態である技術協力・有償資金協力・無償資金協力を行う。
2.× 国際看護師協会<ICN>は、専門看護実践・看護規制・社会経済福祉の各領域に関する様々な活動を行う。国際的な保健医療専門職団体として、1899年に設立された。
3.× 国連開発計画<UNDP>は、生計向上支援、ガバナンス支援、紛争・災害復興支援等を行う。また、各国の開発目標やミレニアム開発目標(MDGs)などの国際的に合意された目標の達成を支援する国連機関である。ちなみに、2016~2030年の「持続可能な開発目標(SDGs)」の策定にもかかわった。
4.× 国連食糧農業機関<FAO>は、世界各国の国民の栄養水準及び生活水準の向上、食料及び農産物の生産及び流通の改善、農村住民の生活条件の改善を目的とした活動を行う。国連の専門機関のひとつである。

 

 

 

 

 

68 体温に影響しないのはどれか。

1.運動
2.食事
3.ふるえ
4.不感蒸泄
5.精神性発汗

解答5

解説

1.× 運動は、体温に影響を及ぼす。なぜなら、運動による骨格筋の熱産生や末梢への血行増加で、体温は上昇するため。
2.× 食事は、体温に影響を及ぼす。なぜなら、食事の摂取により、代謝が亢進し体温は上昇するため。
3.× ふるえは、体温に影響を及ぼす。なぜなら、ふるえは自律神経による強制的な筋肉運動であるため。これによる熱産生で体温は上昇する。
4.× 不感蒸泄は、体温に影響を及ぼす。なぜなら、水分が蒸発する際に体表から熱を奪い、気化熱で体温を低下させるため。ちなみに、不感蒸泄とは、発汗のように自覚されない水分の蒸散(呼吸など)のことである。
5.〇 正しい。精神性発汗は、体温に影響を及ぼさない。なぜなら、精神性発汗は、手のひらや足の裏を中心に起こり、滑り止めの働きを持つため。体温調整の意味合いはない。ちなみに、精神性発汗とは、精神的緊張感や情動刺激に自律神経が反応して起こる発汗(いわゆる冷や汗)である。

 

 

 

 

 

69 貪食能を有する細胞はどれか。

1.好酸球
2.Bリンパ球
3.線維芽細胞
4.血管内皮細胞
5.マクロファージ

解答5

解説

1.× 好酸球は、アレルギー反応の制御を行う。
2.× Bリンパ球は、形質細胞に分化し、免疫グロブリン(抗体)を産生する。液性免疫の主役である。
3.× 線維芽細胞は、結合組織を構成する細胞である。コラーゲンなどのマトリクス成分を産生・分泌する。
4.× 血管内皮細胞は、血管の内腔を覆う細胞である。血管内で血栓が形成されないようにしてくれている。
5.〇 正しい。マクロファージは、単球から分化し、貧食能を有する。異物を貪食して抗原提示細胞になり、抗原情報がリンパ球に伝えられる。

 

 

 

 

 

70 流行性角結膜炎の原因はどれか。

1.淋菌
2.緑膿菌
3.クラミジア
4.アデノウイルス
5.ヘルペスウイルス

解答4

解説

流行性角結膜炎とは?

 流行性角結膜炎は、眼感染症のひとつで、いわゆる「はやり目」のことである。ウイルス性結膜炎で最も多くみられる疾患である。

1.× 淋菌は、淋菌性結膜炎を起こす。淋菌は、性行為感染症である淋病の原因となる。また、淋菌に感染した妊婦の出産では、産道感染により新生児に化膿性結膜炎(新生児膿漏眼)を起こすことがある。
2.× 緑膿菌は、日和見感染症の主要病原体である。コンタクトレンズに起因する角膜感染症の原因として、緑膿菌があり、緑膿菌角膜感染症を起こす。
3.× クラミジアは、クラミジア結膜炎(トラコーマ)封入体結膜炎を起こす。
4.〇 正しい。アデノウイルスは、流行性角結膜炎の原因である。有効な治療法はなく感染力が強いため、接触感染予防が重要である。
5.× ヘルペスウイルスが目に感染すると、角膜炎や角膜ヘルペス、眼瞼に水庖を伴った皮疹を生じる。

 

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