第106回(R2) 保健師国家試験 解説【午前1~5】

 

※注意:著者は看護師で、解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究・自己研鑽のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。またコメントにて解き方等教えてくださると幸いです。

 

問題引用:第106回保健師国家試験、第103回助産師国家試験、第109回看護師国家試験の問題および正答について

 

 

1 国際連合児童基金(UNICEF)の説明で正しいのはどれか。(※不適切問題:高難易度問題)

1.活動資金は国際連合から拠出されている。
2.2国間援助の形態で技術協力を担っている。
3.万人のための教育の促進を戦略目標として掲げている。
4.各国の事業計画に基づき、女性が地域社会の経済発展に全面的に参加できるようにすることを支援している。

解答(採点対象から除外)
理由:問題としては適切であるが、受験生レベルでは難しすぎるため。

解説
1.× 活動資金は、国際連合からではなく、①各国政府から任意拠出金と②民間からの寄付金より成り立っている。
2.× 2国間援助の形態で技術協力を担っているのは、国際協力機構(JICA)である。国際連合児童基金(UNICEF)は、国連機関であるため多国間協カの一環として活動している。
3.× 万人のための教育の促進を戦略目標として掲げているのは、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)である。国際連合児童基金(UNICEF)は、世界中の子どもたちの命と健康、成長を守るために活動連機関であり「すべての子どもが教育を受けられる」ことを戦略目標の1つとしている。
4.〇 正しい。国際連合児童基金(UNICEF)は、その使命として、各国の事業計画に基づき、女児と女性が平等な権利を獲得できるように支援し、女性が地域社会の政治・社会経済発展に全面的に参加できるようにすることを目指している。

 

 

 

 

 

2 親による子への虐待発生の可能性を高める要因はどれか。

1.高齢出産
2.経済的問題
3.共働き世帯
4.祖父母が同居する世帯

解答

解説

1.× 高齢出産は、虐待発生のリスクを高める要因とはいえない。高齢出産は、妊娠に伴う合併症などのリスクを高める要因であり健康管理が特に必要となる。
2.〇 正しい。経済的問題は、虐待発生のリスクを高める要因である。なぜなら、経済的問題を抱える家庭では生活に困窮し、時間的・精神的余裕がないストレス状況にあるため。
3.× 共働き世帯は、虐待発生のリスクを高める要因とはいえない。なぜなら、共働きの場合には夫婦で協力したり、育児サービスを利用する機会があると考えられるため。また現在、核家族化が進み共働きの世帯は増加している。
4.× 祖父母が同居する世帯は、虐待発生のリスクを高める要因とはいえない。なぜなら、祖父母との関係性にもよるが、同居家族がいる場合には、周囲からの育児支援が得られる機会があると考えられるため。

 

 

 

 

 

3 保健師は、住民が自分の生活を振り返り、必要な情報を集め、自己決定できることを目指した健康教育を実施した。
 この健康教育の参加者の行動変容に関係するのはどれか。

1.リスクコミュニケーション
2.コンプライアンス
3.ヘルスリテラシー
4.リーダーシップ

解答

解説
1.× リスクコミュニケーション(リスクの意見交換)とは、個人・集団・組織間でリスクやその管理手法について相互に意見交換をすることである。
2.× コンプライアンス(遵守行動)とは、専門職が健康のために必要であると勧めた指示を患者が遵守する行動のことである。
3.〇 正しい。ヘルスリテラシー(健康の情報理解)とは、健康の保持増進に役立つ情報にアクセスし、情報を理解・活用して、よりよい意思決定をする力のことである。したがって、設問の「保健師は、住民が自分の生活を振り返り、必要な情報を集め、自己決定できることを目指した健康教育を実施した」行動は、ヘルスリテラシーといえる。
4.× リーダーシップとは、集団の目標が達成されるように働きかけるとともに、集団が全体としてまとまりを保ちながら機能するように支援することである。

 

 

 

 

 

4  Aさん(78歳、女性)。1人暮らし。別居する息子から「最近、母は買い物以外は外出せず、物忘れもひどくなっているようだ。どうしたらよいか」と、市の保健センター保健師に相談があった。保健師が状況把握を目的に息子と一緒に初回訪問をしたところ、Aさんに「私は何も困っていないし、家事も全部できている。来ないでほしい」と言われた。
 息子への保健師の対応で適切なのはどれか。

1.「Aさんとの同居を検討しましょう」
2.「近隣の住民に見守りを依頼しましょう」
3.「Aさんが医療機関を受診できるよう一緒に考えましょう」
4.「Aさんの意思を尊重して保健師の訪問は控えたいと思います」

解答

解説
1.× Aさんとの同居を検討する必要はない。なぜなら、Aさんも息子さんも別居の希望は聞かれておらず、根本的な解決にならないため。また、息子がAさんと同居可能か、それを希望しているかといったことを確認せずに同居を勧めることは適切な対応とはいえない。いずれにしても、本人の状態だけではなく、家族の意向を確認したうえで対応を決める必要がある。
2.× 近隣の住民に見守りを依頼する必要はない。なぜなら、Aさんのようにまだ初回訪問の場合(十分な評価ができていない場合)、専門職ではない近隣住民に見守りを依頼することが、Aさんへの有効な支援につながるとは考えにくく、またトラブルも起こる可能性があるため。
3.〇 正しい。Aさんが医療機関を受診できるよう一緒に考える。なぜなら、Aさんは外出頻度の低下や物忘れの進行などの認知症を疑う症状があり、医療機関の受診や介護保険サービスの導入などの支援が必要な状態と考えられるため。医療機関受診に向けて家族と協力していく。
4.× Aさんの意思を尊重しても、保健師の訪問は控える必要はない。なぜなら、Aさんは、自分自身の症状や置かれている状況、支援の必要性などを正確に把握できない状態である可能性が高いため。本人のみの希望に基づいて訪問を控えることは、息子さんの不安の解決にならず、Aさんの受診や支援につながりにくくなる。

 

 

 

 

 

5 市のがん検診の受診率が伸びないため、事業担当保健師は、受診率向上に向けた取り組みを検討している。
 最も効果的な取り組みはどれか。

1.広報誌による受診勧奨
2.医療機関でのポスターの掲示
3.がん予防に関する講演会の開催
4.未受診者への個別通知による受診の再勧奨

解答

解説

健康寿命延伸プランの疾病予防・重症化予防として、がん検診の受診率向上のため、ナッジ理論を活用した受診勧奨など、科学的根拠に基づいた取り組みが推奨され、厚生労働省より「がん検診受診率向上施策ハンドブック」が公表されている。未受診者への個別通知による受診勧奨は、再勧奨で個別通知の回数を増やす方法であり、がん検診の受診率向上に効果的な取り組みである。厚生労働のがん検診受診率向上施策ハンドブック」において、検診の従来の受診勧奨(コール)のあとに、行動を促すためのきっかけづくりとして再勧奨(リコール)を行うことが、受診率向上に最も効果的な方法として紹介されている。したがって、選択肢4.未受診者への個別通知による受診の再勧奨が最も効果的な取り組みといえる。

1~3.× 広報誌による受診勧奨/医療機関でのポスターの掲示/がん予防に関する講演会の開催/は、がん検診の未受診者の受診率向上に効果的な取り組みとはいえない。なぜなら、いずれも不特定多数を対象とした介入方法であるため。

 

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