第106回(R2) 保健師国家試験 解説【午前11~15】

 

11  Aさん(92歳、女性)。1人暮らし。近所と良好な関係を築いていた。1か月前から姿を見せなくなったため、近隣者がAさんの自宅を訪ねた。A さんはどこも悪くないと言うが、近隣者は不安を感じて、地域包括支援センターに連絡した。
 近隣者への保健師の対応で最も適切なのはどれか。

1.「一緒にAさん宅へ行きましょう」
2.「民生委員に連絡を取ってみます」
3.「地域包括支援センターで対応します」
4.「Aさんの主治医に連絡を取ってみます」

解答

解説

1.〇 正しい。一緒にAさん宅へ行く。なぜなら、近隣者の不安に寄り添うとともに、高齢で1人暮らしをしているAさんの健康状態や生活状況を確認できるため。近隣者と協働して家庭訪問を行うことが、保健師の対応として最も適切である。
2~4.× 民生委員/地域包括支援センター/Aさんの主治医と連携を取ることは優先度が低い。なぜなら、それぞれと連携をとったことを近隣者に伝えても、近隣者の不安を解消することはできない。ちなみに、地域包括支援センターは、介護保険法で定められた、地域住民の保健・福祉・医療の向上、虐待防止、介護予防マネジメントなどを総合的に行う機関である。

 

 

 

 

 

12 難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)に基づく指定難病で正しいのはどれか。

1.治療方法が確立している。
2.発病の機構が明らかである。
3.客観的な指標による一定の診断基準が定まっている。
4.患者数が日本の人口のおおむね百分の一程度に相当する。

解答

解説

難病と指定難病の定義は『難病法』に定められている。

1.× 治療方法が確立されていない。難病とは、「発病の機構が明らかでなく、かつ、治療方法が確立していない希少な疾病であって、当該疾病にかかることにより長期にわたり療養を必要とすることとなるもの」である。
2.× 発病の機構が明らかではない。難病とは、「発病の機構が明らかでなく、かつ、治療方法が確立していない希少な疾病であって、当該疾病にかかることにより長期にわたり療養を必要とすることとなるもの」である。
3.〇 正しい。客観的な指標による一定の診断基準が定まっている。指定難病とは、「難病のうち患者の置かれている状況からみて、良質かつ適切な医療の確保を図る必要性が高いものとして、①患者数が一定の人数に達しない、②客観的な診断基準が確立しているという2つの要件を満たす疾病」である。
4.× 患者数が日本の人口のおおむね百分の一程度ではなく、千分の一程度に相当する。指定難病の定義にある「患者数が一定の人数に達しない」の一定の人数とは、患者数が日本の人ロのおおむね千分の一程度に相当する数と定められている。

 

 

 

 

 

13 感染症サーベイランスで、医療機関、保健所、都道府県を経て厚生労働省に報告されるのはどれか。

1.積極的疫学調査
2.感染症発生動向調査
3.感染症流行予測調査
4.院内感染サーベイランス事業

解答

解説

感染症サーベイランスとは、患者の発生情報を統一的な手法で持続的に収集・分析し得られた情報を「疾病の予防と対策」のために迅速に還元するものである。

1.× 積極的疫学調査とは、感染症などの疾病について、発生した集団感染の全体像や病気の特徴などを調べるものである。感染拡大防止対策に用いることを目的として行われる調査であり、保健所や国立感染症研究所などの公的な機関が行う。
2.〇 正しい。感染症発生動向調査は、感染症サーベイランスである。『感染症法』に基づき診断した医師もしくは医機関から保健所へ届出のあった感染症に関する情報を、オンラインシステムにより都道府県を通じて厚生労働省に報告する。
3.× 感染症流行予測調査とは、『予防接種法』に基づき集団免疫の現況把握および病原体の検索などの調査を行い、各種疫学資料と併せて検討し、予防事業の効果的な運用を図り、さらに長期的視野に立ち総合的に疾病の流行を予測することを目的としている。厚生労働省、国立感染症研究所、道府県・都道府県衛生研究所などが協力して行う。
4.× 院内感染サーベイランス事業は、厚生労働省が実施している事業である。医療機関の院内感染対策の推進を目的とした改善方策を支援するため、院内感染の発生状況、薬剤耐性菌の分離状況や薬剤耐性菌による感染症の発生状況などの監視や分析、情報提供などを行う。

 

 

 

 

 

14 2か月前に発生した大規模災害後に設置された仮設住宅を巡回訪問中の保健師に、Aさん(16歳、高校生)の母親から、娘が登校中に被災し、被災後3週から不眠を訴え、泣いたり怒鳴ったり感情の起伏が激しく、ほとんど部屋から出ず、学校に行かないため心配だとの相談があった。訪問時は、Aさんには会えなかった。
 保健師が行う母親への助言で適切なのはどれか。

1.「このまま見守りましょう」
2.「精神科医に相談しましょう」
3.「学校のカウンセラーに相談しましょう」
4.「被災時にどのような体験をしたのか聞いてみましょう」

解答

解説
1.× このまま見守る必要はない。なぜなら、不眠や情緒不安定部屋から出ないといったストレス反応が1か月以上継続しており、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の発症が強く疑われるため。早期に専門的治療が必要な状態と考えられる。
2.〇 正しい。精神科医に相談を勧める。なぜなら、心的外傷後ストレス障害(PTSD)が疑われる状態であり、早期に専門的な治療が必要であるため。
3.× 学校のカウンセラーに相談を勧める優先度は低い。なぜなら、発災直後に関わることは有効と考えられるがAさんはすでに心的外傷後ストレス障害(PTSD)が疑われる状態であり、早期に専門的な治療が必要であるため。ちなみに、学校カウンセラーは、児童生徒の問題行動の防止・早期発見や、学校での災害・事件・事故時の心のケアを担う職種である。
4.× 被災時にどのような体験をしたのか聞く必要はない。なぜなら、災害時の体験を聞くことは、Aさんに災害時の恐怖を再現(フラッシュバック)させることにつながるため。

 

 

 

 

 

15 自治体で働く保健師が、新任期1年目から担う管理機能はどれか。

1.人材管理
2.人事管理
3.地区管理
4.組織運営管理

解答

解説

保健師が担う管理機能には、キャリア発達の段階に沿って、新任期1年目から担うものと、中堅や管理者になってから担うものに分けられる。

1.× 人材管理は、新任期1年目ではなく、管理職が担う管理機能である。人材管理は、人材(人的資源)を効率的に活用するための取り組みである。
2.× 人事管理は、新任期1年目ではなく、管理職が担う管理機能である。人事管理は、採用・配置・教育訓練・労働時間の管理などを指し、組織が労働力の効果的な利用を図るために行う。
3.〇 正しい。地区管理は、新任期1年目が担う管理機能である。地区管理は、地区活動をもとに地域診断を行い、地域の健康課題や不足する社会資源について把握し、住民や関係機関と協働しながら、地域の支援者の発掘や、地域の課題解決に向けた施策化につなげるものである。
4.× 組織運営管理は、新任期1年目ではなく、管理職が担う管理機能である。組織運営管理は、組織を円滑に運営管理することであり、さまざまな知識やノウハウが必要となる。

保健師に求められる看護管理機能

①事例管理:個々の事例のケアから始まり、それを地域の問題としてとらえ、ダイナミックな活動を展開する。
②地区管理:地域のニーズや課題から地域診断を行い、住民と協働した施策化を行う。
③事業・業務管理:地方自治体の上位計画や組織目標に基づく、事業計画策定や進行管理を行い、評価結果を次年度の計画等へ反映させる。
④組織運営管理:組織理念・目標や地域の課題を共有して組織としての方針を決定し、業務の効率化を高めながら組織体制を機能させる。
⑤予算編成:予算の仕組みを把握し、事業企画に伴う予算編成を行う。
⑥予算管理:新たな政策や人材確保等のための予算獲得および適切な執行と評価を行い、予算面から公衆衛生看護活動を担保する。
⑦人材育成:保健師の育成過程に応じて、中・長期的な研修計画および生涯学習企画と実施を行い、実践報告を評価する。
⑧人事管理:組織の目標を達成するため、組織に必要な保健師人員数を確保し、職員を計画的に適材適所へ配置するとともに、人事評価を行う。
⑨情報管理:地域の実態を把握するための情報収集・分析や正確な情報伝達のための体制整備、マスコミ対応、個人情報への配慮を行う。
⑩健康危機管理:危機発生を予測し,住民と協働する健康危機管理の体制づくり全般を行う。

 

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