第106回(R2) 保健師国家試験 解説【午前26~30】

 

26 健康増進法に基づきA市が策定した第2次健康増進計画の見直しを、住民と一緒に行うことにした。
 計画の見直しを担当するA市の保健師が最初に行うのはどれか。

1.住民から要望を聞く。
2.長期的な目的と目標を考える。
3.他市の健康増進計画について情報収集する。
4.保健師や他の専門職を集めた会議を開催する。
5.現計画の実施で明らかになった健康課題をまとめる。

解答

解説

健康増進法とは?

健康増進法は、国民の健康維持と現代病予防を目的として制定された日本の法律である。都道府県と市町村は、地域の実情に応じた健康づくりの促進のため、都道府県健康増進計画(義務)および市町村健康増進計画(努力義務)を策定する。

1.× 住民から要望を聞くことは、一般的にはニーズ調査として、現計画を新規で策定する際の計画段階で行う。
2.× 長期的な目的と目標を考えるのは、現計画を新規で策定する際の計画段階で行う。
3.× 他市の健康増進計画について情報収集するのは、現計画を新規で策定する際、もしくは現計画実施後に評価が行われて、健康課題や改善すべき事項が明らかになった後に、参考にすべき他市の事項や取り組みを知るために行う。
4.× 保健師や他の専門職を集めた会議を開催するのは、住民の参加を得て行われるべきものである。なぜなら、健康増進計画は、住民の主体的な健康増進の推進を目的とするものであるため。したがって、専門職のみで構成される会議ではなく、多様な人々が参加する場において、計画の見直しを検討することが望ましい。
5.〇 正しい。現計画の実施で明らかになった健康課題をまとめるのは、計画の見直しを担当するA市の保健師が最初に行うことで正しい。住民と一緒に現計画で明らかになった健康課題をまとめることで、住民の計画に対する理解が進み、計画の改善につながるため。また、この過程を通して住民が地域の健康課題を自分ごととして捉えることができ、主体的な健康行動の推進にもつながる。

 

 

 

 

 

27 疾病のスクリーニングの要件で正しいのはどれか。

1.疾病の自然史が不明でも対象になる。
2.無症状の期間が無い疾病が対象となる。
3.治療方法が確立していなくても対象となる。
4.検査方法が、対象者より検者に受け入れやすい。
5.スクリーニング陽性者の確定診断の手技が確立している。

解答

解説

スクリーニングの目的は、疾病の自覚症状のない集団から疾病の擢患が疑われる者をふるい分け、早期発見につなげることである。

1.× スクリーニングでの対象者は、疾病の自然史が明らかなもの(疾病の経過が判明していること)である。
2.× 無症状の期間が無いではなく、無症状の期間がある疾病が対象となる。スクリーニングは、無症状の期間に特定の疾病に罹患している可能性を判断し、早期発見につなげるものであるため。
3.× 治療方法が確立しているもの対象となる。なぜなら、スクリーニングでは、疾病の早期発見・早期治療を目的としているため。
4.× 逆である。検査方法が、検者より対象者に受け入れやすい。なぜなら、スクリーニングでは、身体的・精神的負担を与えず、対象者にとって受け入れやすい方法であることが要件となるため。
5.〇 正しい。スクリーニング陽性者の確定診断の手技が確立している。疾病の早期発見・早期治療を目的としているためスクリーニング陽性者に対して、精密検査で確定診断ができることが要件となる。

スクリーニングの条件

①罹患率が高い。または、発見・治療が遅れると重篤化する疾病であること。
②疾患の自然史が判明していること(疾患の経過が判明していること)。
③最初の徴候が現れてから顕在化するまでの期間がある程度長いこと。
④スクリーニング陽性者に対して、精密検査で確定診断できる疾患であること。
⑤簡便で低侵襲で信頼性の高い。比較的安価な検査方法が存在すること。
⑥敏感度・特異度が高いこと。
⑦被検者に肉体的・精神的負担を与えないこと。
⑧疾患に対する治療法が確立されていること。

 

 

 

 

 

28 A市の2地区間で、喫煙率が異なると予想して両地区で喫煙状況に関する標本調査を行った。統計学的検定を行い「仮説B:2地区の母喫煙率は等しい」が棄却されたので、2地区の喫煙率には有意差があると判断した。
 仮説Bはどれか。

1.閾値仮説
2.帰無仮説
3.研究仮説
4.対立仮説
5.直線仮説

解答

解説

統計学的検定では、研究仮説に対して①対立仮説と②帰無仮説を立て、②帰無仮説が成り立つと仮定した場合に、②帰無仮説が否定されることで①対立仮説を採用する考え方である。

本問では、研究で明らかにしたいことを指す研究仮説は「2地区で喫煙率が異なる」であり、対立仮説は「2地区で喫煙率が等しくない」、帰無仮説は「2地区の喫煙率は等しい」となる。したがって、選択肢2.帰無仮説が正しい。

 

なお、選択肢1.闘値仮説選択肢5.直線仮設は、放射の被ばく線量に関する用語で、統計学的検定とは関係がない。

選択肢3.研究仮説とは、「ここをこうすればこんなふうに良くなるのではないか」「これを行うことでこんな効果が得られるのではないか」といった具体的なビジョンのことである。

 

 

 

 

 

29 人口動態統計で、人口1,000 対で表すのはどれか。

1.出生率
2.純再生産率
3.総再生産率
4.周産期死亡率
5.合計特殊出生率

解答

解説
1.〇 正しい。出生率は、人口1,000 対で表す。出生率は、1年間の出生数をその年の人口で除したものである。
2.× 純再生産率は、総再生産率に母親の世代(15~49歳の女性)の死亡率を考慮に入れたときの平均女児数を表したものである。
3.× 総再生産率は、15~49歳の女性が、それぞれの年齢別出生率に従って子どもを生むと仮定した場合、1人の女性が生むであろう平均女児数を表したものである。
4.× 周産期死亡率は、妊娠満22週以後の死産数と早期新生児死亡数を合計したものを出生数と妊娠満22週以後の死産数を加えたもので除したものである。
5.× 合計特殊出生率は、15~49歳の女性の年齢別出生率を合計したものである。1人の女性が一生の間に生む平均子ども数を表したものである。

 

 

 

 

 

30 全国から無作為抽出された世帯及び世帯員を対象として行われる調査はどれか。

1.患者調査
2.人口動態調査
3.食中毒統計調査
4.学校保健統計調査
5.国民生活基礎調査

解答

解説

1.× 患者調査は、入院や外来患者の傷病の状況などを明らかにする調査である。無作為に拍出された医療機関を対象にした標本調査である。
2.× 人口動態調査は、出生、死亡、婚姻、離婚および死産の全数を対象とした悉皆調査(しっかいちょうさ)、全数調査である。それらの事象(人口動態事象)を把握する調査である。
3.× 食中毒統計調査は、食中毒の患者ならびに食中毒死者の発生状況の把握と、複雑な発生状況の解明を目的としている。全国の保健所を対象とした悉皆調査(全数調査)で調査である。
4.× 学校保健統計調査は、学校を対象にした標本調査で、児童生徒の発育や健康の状態を明らかにすることを目的としている。
5.〇 正しい。国民生活基礎調査は、無作為に抽出された世帯・世帯員を対象とした標本調査である。保健、医療、福祉、年金、所得など、国民生活の基礎的事項を調査している。

 

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