第106回(R2) 保健師国家試験 解説【午後26~30】

 

26 症例対照研究で正しいのはどれか。

1.寄与危険の近似値を推定できる。
2.研究対象とする疾病が治癒した者を対照群とする。
3.症例群と対照群の過去の要因曝露状況を比較する。
4.症例群と対照群を追跡調査して死亡率を比較する。
5.症例群に試験薬、対照群に偽薬(プラセボ)を投与する。

解答

解説
1.× 寄与危険度(リスク差)の近似値ではなく、相対危険度(リスク比)の近似値であるオッズ比を推定することができる。
2.× 研究対象とする疾病が治癒した者ではなく、罹患していない人を対照群とする。ちなみに、症例群は、研究対象とする疾病に現在罹患している人とする。
3.〇 正しい。症例群と対照群の過去の要因曝露状況を比較する。症例対照研究は、研究対象とする疾病の有無(=結果)に対して、その疾病に影響する曝露要因(=原因)を過去にさかのぼって調査し症例群と対照群で要因の曝露状況を比較する方法である。
4.× 症例群と対照群を追跡調査して死亡率を比較する方法は、コホート研究などで用いられる。ちなみに、症例対照研究の場合、死亡ありを症例群、死亡なしを対照群として、死亡に影響する曝露要因を比較する。
5.× 症例群に試験薬、対照群に偽薬(プラセボ)を投与する方法は、介入研究である。

 

 

 

 

 

27 割合の差の検定に用いるのはどれか。

1.t検定
2.回帰分析
3.一元配置分散分析
4.χ2(カイ2乗)検定
5.Wilcoxon(ウィルコクソン)の順位和検定

解答

解説

検定とは、標本から得られた情報をもとに母集団に対する仮説をテストすることを指す。

1.× t検定は、2群間の平均値の差の検定である。
2.× 回帰分析とは、2つ以上の変数の関係について、x(独立変数)を用いて、y(従属変数)を予測するものであり、割合の差の検定に用いるものではない。
3.× 一元配置分散分析(F検定)とは、3群間以上の平均値の差の検定である。ちなみに、一元配置分散分析とは、分析に1つの要因(独立変数)を用いた分散分析を指す。要因が2つの場合は「二元配置分散分析」、3つ以上の場合は「多元配置分散分析」といわれる
4.〇 正しい。χ2(カイ2乗)検定は、割合の差の検定に用いる。χ2(カイ2乗)検定とは、2つの変数のカテゴリー同士の観察された頻度に理論値との差(割合の差)があるかどうかを検定するものである。
5.× Wilcoxon(ウィルコクソン)の順位和検定とは、順序尺度のデータを対象に、2群をひとまとめにして順位をつけた順位の和を用いて、2群間に差があるかどうかを検定するものである。

検定とは?

 検定とは、統計学的手法を用いて、帰無仮説が正しいか、正しくないかを判断することである。

検定の方法
①パラメトリック検定(母集団が正規分布をするという仮説のもとに行う)
例:パラメトリック検定には、①t検定(2群の平均値の差を検定する)、②分散分析(3群以上の平均値に差があるかどうかを検定する)などがある。

②ノンパラメトリック検定(母集団の分布にかかわらず用いることのできる)に大別される。
例:ノンパラメトリック検定には、①Mann-Whitney検定(2群の中央値の差を検定する)、②X2検定(割合の違いを求める)、③Wilcoxon符号付順位検定(一対の標本による中央値の差を検定する)などがある。

 

 

 

 

 

28 標準化死亡比(SMR)で正しいのはどれか。

1.人口の大きな集団ほど高くなる。
2.高齢化率の高い集団ほど高くなる。
3.昭和60年モデル人口を基準人口として用いる。
4.計算には観察集団の年齢階級別人口が必要である。
5.直接法による年齢調整死亡率の計算過程で得られる。

解答

解説

直接法と間接法の特徴

直接法:①観察集団の年齢別死亡率が、基準集団の人口構成で起きた場合、全体の死亡率がどうなるかを求める。②観察集団の年齢調整死亡率を用いて計算するため、都道府県等の年齢階級別死亡率がわかる大規模な集団で適用される。

間接法:①標準化死亡比(SMR)を用いる。②市町村等の年齢階級別死亡率がわからない小規模な集団に適用される。

1.× 人口の大きな集団と標準化死亡比(SMR)の高低は関係しない。なぜなら、標準化死亡比(SMR)は、観察集団の年齢階級別死亡率が不明でも、観察集団の人口構成と全死亡数がわかっているときに用いられるものであるため。
2.× 高齢化率の高い集団と標準化死亡比(SMR)の高低は関係しない。なぜなら、標準化死亡比(SMR)は、基準人口における年齢階級別死亡率を用いて観察集団の死亡水準を求めるものであるため。むしろ、年齢という交絡因子の影響は排除される。
3.× 昭和60年モデル人口を基準人口として用いるのは、直接法の年齢調整死亡率を算出する際である。それは、昭和60年モデル人口は、日本の高齢化による人口構成の著しい変化に対応するためである。ただし時代が変われば、異なる年の人ロがモデル人口として採用される。
4.〇 正しい。計算には観察集団の年齢階級別人口が必要である。観察集団の年齢階級別人口は、標準化死亡比(SMR)を算出するのに必要な情報である。標準化死亡比(SMR)とは、期待死亡数と実際の死亡数の比をいう。標準化死亡比は比で表す場合と百分率で表す場合がある。
5.× 直接法による年齢調整死亡率の計算過程で得られるのではなく、間接法による年齢調整死亡率を求める計算過程で得られる。

 

 

 

 

 

29 平成28年(2016年)の日本の人口動態統計における自殺死亡で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.男性の死亡率は女性よりも高い。
2.20〜24歳の死因の第1位である。
3.死因順位別死亡数は第5位である。
4.自殺死亡率は10年前よりも増加している。
5.男性の死亡率が最も高い年齢階級は40〜44歳である。

解答1・2

解説
1.〇 正しい。男性の死亡率は女性よりも高い。自殺の死亡率(人口10万対)は、男性22.9で、女性9.7である。
2.〇 正しい。20〜24歳の死因の第1位である。
3.× 死因順位別死亡数は、第5位ではなく、第10位ある。
4.× 自殺死亡率は10年前よりも増加ではなく減少している。自殺の死亡率(人口10万対)は、平成20(2008)年においては24.0であったが、平成30(2018)年においては16.1である。
5.× 男性の死亡率が最も高い年齢階級は、40〜44歳ではなく、50~54歳である。

(※データ引用:平成30(2018)年の人口動態統計(厚生労働省)より)

 

 

 

 

 

30 児童に感染症の疑いがある場合の養護教諭の対応で適切なのはどれか。2つ選べ。

1.学級閉鎖の期間を決定する。
2.全学級に保健だよりを配布する。
3.保健所に出席停止の措置を連絡する。
4.当該児童の保護者に出席停止を指示する。
5.当該児童の保護者に医療機関受診を勧奨する。

解答2・5

解説
1.× 学級閉鎖の期間を決定するのは、養護教諭ではなく学校の設置者が行う。
2.〇 正しい。全学級に保健だよりを配布するのは、養護教諭の対応である。養護教諭は、児童生徒および保護者に感染症の予防行動などを促すため、全学級に保健だよりを配布する。
3.× 保健所に出席停止の措置を連絡するのは、養護教諭ではなく学校長である。学校長が出席停止を指示したときは、その旨を学校の設置者に報告しなければならない。さらに、学校の設置者は保健所に出席停止の連絡をしなければならない。
4.× 当該児童の保護者に出席停止を指示するのは、養護教諭ではなく学校長である。
5.〇 正しい。当該児童の保護者に医療機関受診を勧奨するのは、養護教諭の対応である。養護教諭は、児童生徒および保護者に必要な保健指導を行う。

 

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