第106回(H29) 看護師国家試験 解説【午後101~105】

 

次の文を読み100〜102の問いに答えよ。
 Aさん(24歳、初産婦、会社員)は、現在、両親と妹の4人で暮らしている。パートナー(24歳、会社員)と結婚する予定である。Aさんは、妊娠週の妊婦健康診査で「朝起きると気持ちが悪くあまり食べられません。台所から食べ物の匂いがするだけで吐き気がします」と話している。

101 このときの妊婦健康診査で「妊娠することは考えていなかったので、これから自分の体にどういうことが起こるのか分かりません」とAさんから相談があった。看護師は、次の妊婦健康診査までに生じやすい変化について説明することにした。
 Aさんに生じやすいのはどれか。

1.痔
2.便秘
3.腰痛
4.静脈瘤

解答2

解説

正常な経過をとる妊婦の定期健康診査は、①妊娠初期~23週までは4週に1回、②妊娠24~35週は2週に1回、③妊娠36週以降は1週に1回を基準とする。

 

1.× 痔は、妊娠後期に起こりやすい。痔核は増大した子宮によって骨盤内静脈が圧迫され、肛門周囲の血液循環が不良となり、直腸肛門静脈叢のうっ血が亢進することによって発生する。
2.〇 正しい。便秘は、妊娠初期または後期に起こりやすい。プロゲステロンの増加によって消化管の平滑筋が弛緩し、腸の嬬動が減少する。そのため、水分の再吸収が進み、便秘が生じる。つわりによる食事量の減少も便秘を助長する因子である。
3.× 腰痛は、妊娠後期に起こりやすい、なぜなら、子宮の増大に伴い重心が前方に移動するため。次第に反身になり、腰仙骨部の前弯度が増大して腰痛が起こりやすくなる。
4.× 静脈瘤は、妊娠後期に起こりやすい。静脈癌は下肢や外陰の表在静脈が拡張し、怒張して浮き出た状態である。プロゲステロンの増加による静脈管壁の緊張低下や、子宮の増大によって下肢静脈血の還流が障害される。

 

 

 

 

 

次の文を読み100〜102の問いに答えよ。
 Aさん(24歳、初産婦、会社員)は、現在、両親と妹の4人で暮らしている。パートナー(24歳、会社員)と結婚する予定である。Aさんは、妊娠週の妊婦健康診査で「朝起きると気持ちが悪くあまり食べられません。台所から食べ物の匂いがするだけで吐き気がします」と話している。

102 Aさんは、妊娠23週に結婚し、パートナーの家に転居した。翌週の妊婦健康診査で、Aさんは「最近は、結婚や引っ越しで忙しかったです。これから新しい環境に慣れていきたいと思っています」と話した。妊娠経過は順調である。
 このときに看護師がAさんに対して説明する内容で優先度が高いのはどれか。

1.保育所の選択
2.乳房の手入れ
3.側臥位での睡眠
4.妊婦健康診査の受診頻度

解答4

解説

看護師は、妊婦が妊娠を受容し、心身の変化に適応できるように働きかけ、母児の健康管理や日常生活行動に役立つ情報を提供する役割をもつ。Aさんは妊娠先行婚であり、妊娠中期に結婚と転居をしている。生活が大きく変わり、ストレスが大きいと想像できる。勤労女性であることも考慮する必要がある。

 

1.× 保育所の選択は、現段階では判断できない。なぜなら、Aさんは会社員であり、出産後に仕事を続ける予定なのか確認する必要があるため。ただ、妊娠中から認可保育所の申込受付が可能な場合はある。
2.× 乳房の手入れ(産後の授乳の準備)は、妊娠後期ごろから始める。しかし、現在では、いずれも皮膚や授乳に関連する筋肉にダメージを与える可能性があり、効果が明らかでないことから、WHO・UNICEFに従い推奨されていない
3.× 側臥位での睡眠を勧めるのは、お腹が特に大きくなる妊娠後期ごろからである。しかし、まだ妊娠24週なので、妊婦が望む楽な姿勢で睡眠がとれればよい。
4.〇 正しい。妊婦健康診査の受診頻度は、看護師がAさんに対して説明する内容で優先度が高い。なぜなら、妊婦健診の受診間隔は、妊娠23週までは4週間に1回だが、24週から35週は2週間に1回に変わるため。

 

 

 

 

 

次の文を読み103〜105の問いに答えよ。
 Aさん(26歳、経産婦)は、夫(30歳)と長女(2歳)の3人で暮らしている。妊娠37週2日、これまでの妊娠経過に異常はない。9時に陣痛が開始し、10時に夫に付き添われ入院した。入院時、陣痛間欠9分、陣痛発作30秒であった。内診所見は子宮口2cm開大で、少量の羊水の流出を認めた。羊水混濁はなかった。21時30分に子宮口全開大、22時30分に3,200gの男児を正常分娩で出産した。会陰裂傷は第2度。23時に胎盤娩出し、子宮底の位置は臍高で硬く触れた。児のApgar<アプガー>スコアは1分後8点、5分後9点。分娩2時間後、子宮底の位置は臍下1横指で硬く触れた。分娩時出血量は360mL。

103 Aさんの分娩時のアセスメントで適切なのはどれか。

1.正期産である。
2.適時破水である。
3.遷延分娩である。
4.分娩時出血量は異常である。

解答1

解説

1.〇 正しい。正期産である。正期産は、37週0日~41週6日である。
2.× 適時破水ではなく、早期破水である。なぜなら、陣痛開始後の子宮口2cm開大時に羊水が流出しているため。
3.× 遷延分娩ではなく、正常である。なぜなら、陣痛周期が10分以内となった10時から児娩出した22時30分まで12時間30分であり、経産婦で15時間以内のため。遷延分娩とは、初産婦では分娩開始から30時間、経産婦では分娩開始から15時間を経過しても児娩出に至らないことをいう。
4.× 分娩時出血量は、異常ではなく正常範囲内である。なぜなら、分娩時の異常出血は500mL以上と定義されており、このケースでは360mLのため。

破水の種類

①前期破水:分娩陣痛が開始する前の破水。

②早期破水:分娩開始から子宮口全開大前の破水。

③適時破水:分娩第2期にかけて(全開大直前後)または子宮口がほぽ全開大の破水。

 

 

 

 

 

 

次の文を読み103〜105の問いに答えよ。
 Aさん(26歳、経産婦)は、夫(30歳)と長女(2歳)の3人で暮らしている。妊娠37週2日、これまでの妊娠経過に異常はない。9時に陣痛が開始し、10時に夫に付き添われ入院した。入院時、陣痛間欠9分、陣痛発作30秒であった。内診所見は子宮口2cm開大で、少量の羊水の流出を認めた。羊水混濁はなかった。21時30分に子宮口全開大、22時30分に3,200gの男児を正常分娩で出産した。会陰裂傷は第2度。23時に胎盤娩出し、子宮底の位置は臍高で硬く触れた。児のApgar<アプガー>スコアは1分後8点、5分後9点。分娩2時間後、子宮底の位置は臍下1横指で硬く触れた。分娩時出血量は360mL。

104 Aさんは、翌日1時に帰室した。5時、尿意はなかったが、トイレでの排泄を促し排尿がみられた。排尿後の観察で、子宮底の位置は臍下1横指で硬く触れ、悪露は赤色で量は中等量であった。会陰縫合部に異常はないが、痛みがあるため円座を使用している。
 Aさんへの対応で適切なのはどれか。

1.「下腹部を温めましょう」
2.「水分摂取を控えましょう」
3.「腹筋を強化する体操をしましょう」
4.「尿意がなくても3〜4時間ごとにトイレに行きましょう」

解答4

解説

1.× 下腹部の温めではなく、冷やす方が適切である。なぜなら、産後の子宮収縮を促すため。
2.× 水分摂取を控えるではなく、促す方が適切である。なぜなら、母乳を分泌するためや、脱水予防および尿路感染予防のため。また分娩期には多量な発汗があり、360mLの出血もしていることから、体内の水分量は低下している。
3.× 腹筋を強化する体操は適切ではない。なぜなら、経腟分娩の場合、通常1日後から腹筋運動は可能となるが、まだ1日経過していない時点であるため。経過後、産褥体操により、悪露の排出・子宮収縮・弛緩した腹壁や骨盤底筋群の回復を促す。ちなみに、高度裂傷の場合は禁忌である。
4.〇 正しい。尿意がなくても3〜4時間ごとにトイレに行くことを促す。なぜなら、分娩の影響により産後は尿意を感じにくいため。また、排尿を促進する目的は、膀胱充満を予防し子宮収縮を促進することである。

 

 

 

 

 

次の文を読み103〜105の問いに答えよ。
 Aさん(26歳、経産婦)は、夫(30歳)と長女(2歳)の3人で暮らしている。妊娠37週2日、これまでの妊娠経過に異常はない。9時に陣痛が開始し、10時に夫に付き添われ入院した。入院時、陣痛間欠9分、陣痛発作30秒であった。内診所見は子宮口2cm開大で、少量の羊水の流出を認めた。羊水混濁はなかった。21時30分に子宮口全開大、22時30分に3,200gの男児を正常分娩で出産した。会陰裂傷は第2度。23時に胎盤娩出し、子宮底の位置は臍高で硬く触れた。児のApgar<アプガー>スコアは1分後8点、5分後9点。分娩2時間後、子宮底の位置は臍下1横指で硬く触れた。分娩時出血量は360mL。

105 産褥3日。Aさんは母乳育児を希望している。Aさんの乳房の形は左右ともⅡa型で、乳房は緊満している。両乳頭に損傷はない。左腋窩に副乳があり「腫れて痛い」と話す。本日の児の体重は3,100gであった。
 Aさんに対する看護師の援助で適切なのはどれか。

1.左腋窩に冷罨法を行う。
2.乳房マッサージを行う。
3.3時間ごとの授乳を勧める。
4.左乳房での授乳を中止する。

解答1

解説

1.〇 正しい。左腋窩に冷罨法を行う。副乳は、ヒトの発生時に腋窩から乳腺を通り鼠径部に至る線上に乳腺組織が残存したものであり、多くは乳頭のみが多い。産褥初期にしばしば腫大し圧痛を伴うことがあるため、局所の冷器法すると症状が軽快する。その後は自然に軽快する。
2.× 乳房マッサージを行う必要はない。なぜなら、本症例の乳房はすでに緊満しており、乳房マッサージは乳房分泌を過剰にし、今まで以上に乳房を緊満した状態にしてしまうため。
3.× 3時間ごとの授乳ではなく、自律授乳では、児の覚醒と空腹欲求・母親の母乳産生を合わせることが必要である。
4.× 左乳房での授乳を中止する必要はない。なぜなら、母乳育児を希望しており、母乳生成を継続的に促すため。

 

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