第106回(H29) 看護師国家試験 解説【午前111~115】

 

次の文を読み109〜111の問いに答えよ。
 Aさん(38歳、男性、会社員)。両親と3人暮らし。25歳のころに双極性障害と診断された。3か月前から気分が落ち込み夜も眠れず、食欲もなくなり仕事を休むことが多くなってきた。無力感を感じるようになり、休職して精神科病棟に任意入院した。入院後は1日中ベッドで横になって過ごし、他の患者との交流もみられない。看護師が話しかけても簡単な返事をするだけで無表情である。食事は病室で摂取しており、摂取量は少ない。

111 入院後3か月が経過した。Aさんは気分が安定し、食事も全量摂取できるようになり、日中は作業療法に週4日参加している。「もう死にたい気持ちはなくなりました。でも、まだ短時間しか新聞を読めないので、仕事に戻るのが不安です」と話している。
 Aさんの退院に向けた支援として適切なのはどれか。2つ選べ。

1.転職を勧める。
2.上司との面会を設定する。
3.再発のサインを一緒に見つける。
4.自信が持てるようになるまで待つ。
5.作業療法に集中力を高めるプログラムを入れる。

解答3/5

解説

1.× 転職を勧める必要はない。なぜなら、抑うつ状態時に大きな決断をさせてはならないため。転職によって生じる環境変化がストレスとなることも考えられる。
2.× 上司との面会を設定する必要はない。なぜなら、現段階では回復途中で仕事に戻ることに不安を抱えていることから、時期尚早であるため。Aさんを焦らせるだけになる可能性が高い。
3.〇 正しい。再発のサインを一緒に見つける。なぜなら、双極性障害は再発しやすいため。再発のサインを見つけておくことは、次に不調になりそうになった時の早期発見・早期対処につながり、仕事を安心して続けていくうえでも有効である。
4.× 自信が持てるようになるまで待つ必要はない。なぜなら、現在、作業療法にも参加できるエネルギーが出てきているので、無理のない範囲でリハビリテーションをしていく方が望ましいため。
5.〇 正しい。作業療法に集中力を高めるプログラムを入れる。Aさんの希望は、仕事に戻ることである。Aさんは集中力が続かないことに不安を抱いているので、作業療法に集中力を高めるプログラムを取り入れることも有用である。

 

 

 

 

 

次の文を読み112〜114の問いに答えよ。
 Aさん(23歳、女性)は、大学を卒業後、インテリア会社に事務職として就職した。入社後に「ユニフォームが似合うようになりたい」とダイエットを始め、次第にやせが目立つようになった。母親がAさんに食事を作っても「太るのが怖い」と言って食べず、体重は2週間で5kg減少した。心配した母親とともに精神科外来を受診し、摂食障害と診断され、開放病棟へ入院した。入院時、身長160cm、体重37kgであった。

112 入院から1週間の期間に観察すべき項目はどれか。2つ選べ。

1.浮腫の程度
2.過食の有無
3.活動量の低下
4.嚥下障害の有無
5.振戦せん妄の有無

解答1/2

解説

神経性無食欲症(神経性やせ症)の症状

①食行動異常・排出行動などの行動異常
②低栄養による身体症状
③強迫症状・ボディイメージの障害
④不安定な対人関係などの精神症状など

1.〇 正しい。浮腫の程度は、入院から1週間の期間に観察すべき項目である。なぜなら、摂食障害、特に拒食症は低蛋白血症から浮腫をきたすため。
2.〇 正しい。過食の有無は、入院から1週間の期間に観察すべき項目である。なぜなら、摂食障害の食行動異常では,拒食だけでなく過食と嘔吐(自己誘発嘔吐や下剤乱用など)を繰り返す場合もあるため。そのほか、隠れ食い・盗み食いにも注意が必要である。
3.× 活動量の低下は考えにくい。なぜなら、入院治療によって体重が増加することを恐れて、むしろ過活動となることが多いため。
4.× 嚥下障害の有無は考えにくい。なぜなら、摂食障害は、心理的要因に基づく食行動の障害であるため。
5.× 振戦せん妄の有無は考えにくい。なぜなら、振戦せん妄は、アルコール離脱症状のひとつであるため。

 

 

 

 

 

次の文を読み112〜114の問いに答えよ。
 Aさん(23歳、女性)は、大学を卒業後、インテリア会社に事務職として就職した。入社後に「ユニフォームが似合うようになりたい」とダイエットを始め、次第にやせが目立つようになった。母親がAさんに食事を作っても「太るのが怖い」と言って食べず、体重は2週間で5kg減少した。心配した母親とともに精神科外来を受診し、摂食障害と診断され、開放病棟へ入院した。入院時、身長160cm、体重37kgであった。

113 入院後2週が経過した。Aさんは食事の時間に食べ物を細かく刻み、1時間以上時間をかけるが、摂取量はスプーン1杯ほどである。ベッド上でストレッチを2時間行っている。Aさんと話し合ったところ「私はこの病棟で一番太っているから少しでも痩せなきゃ」と話した。
 看護師の関わりとして適切なのはどれか。

1.体重測定の回数を増やす。
2.鏡でAさんの全身を映して見せる。
3.痩せたいという気持ちについて話し合う。
4.Aさんは看護師よりも痩せていると伝える。

解答3

解説

1.× 体重測定の回数を増やす必要はない。なぜなら、体重測定の回数を増やすと、患者の強迫行為を悪化させる恐れがあるため。摂食障害の患者は、体重の数値に過度に(強迫的な)こだわりがあり、測定を希望することが多い。
2.× 鏡でAさんの全身を映して見せる必要はない。なぜなら、Aさんはボディイメージの障害が生じているため。鏡で自分の姿を見ても太っていると感じることが多い。
3.〇 正しい。痩せたいという気持ちについて話し合う。その結果、やせ願望の背景に潜む自尊心の低さや体重増加に伴う不安・葛藤などを理解し、患者が主体的に治療に取り組める可能性が高くなるため。
4.× Aさんは看護師よりも痩せていると伝える必要はない。なぜなら、摂食障害では自分の身体像を正確に認識できないボディイメージの障害があり、これは他者と比較して修正できるものではないため。

 

 

 

 

 

次の文を読み112〜114の問いに答えよ。
 Aさん(23歳、女性)は、大学を卒業後、インテリア会社に事務職として就職した。入社後に「ユニフォームが似合うようになりたい」とダイエットを始め、次第にやせが目立つようになった。母親がAさんに食事を作っても「太るのが怖い」と言って食べず、体重は2週間で5kg減少した。心配した母親とともに精神科外来を受診し、摂食障害と診断され、開放病棟へ入院した。入院時、身長160cm、体重37kgであった。

114 入院後3か月が経過した。Aさんは体重が43kgまで増加し、主治医と相談して、退院の準備をすることになった。退院の話題が出ると、Aさんと母親は口論することが多くなった。父親は出張が多く、面会に来たのは一度のみであった。
 退院に向けてAさんと家族に勧めることとして最も適切なのはどれか。

1.栄養指導
2.作業療法
3.家族療法
4.単身生活の開始

解答3

解説

1.× 栄養指導の優先度は低い。なぜなら、現在退院の話題が出るだけでAさんと母親が口論をする状況であるため。栄養指導も必要ではあるが、そのような状況ではむしろマイナスに働く可能性がある。
2.× 作業療法の優先度は低い。なぜなら、作業療法は、家族に勧めるものではなく、Aさんが行うものであるため。
3.〇 正しい。家族療法は、退院に向けてAさんと家族に勧めることとして最も適切である。家族療法の効果として、①疾病の理解や、②家族内役割分担の確認、③家族での共同作業などの促進ができる。摂食障害の患者の特徴として、不安定な対人関係をもち、家族関係が混乱していることが多い。したがって、家族療法を行うことを勧められる。
4.× 単身生活の開始の優先度は低い。なぜなら、退院の話題でAさんと母親が口論している様子から、退院に向けての不安がある可能性があり、退院後すぐに単身生活を始めるのは難しいと考えられるため。家族にも治療に参加してもらい、まずは親子関係の歪みを是正することが必要である。また、単身生活をしたからといって、家族との関係改善につながらない可能性が高い。

 

 

 

 

 

次の文を読み115〜117の問いに答えよ。
 Aさん(70歳、男性)。妻(74歳)と2人で暮らしている。Aさんがトイレに入ったまま戻ってこないので妻が見に行くと、トイレで倒れていた。妻が発見直後に救急車を要請した。救急隊からの情報ではジャパン・コーマ・スケール<JCS>Ⅱ-20で右片麻痺があり、バイタルサインは、体温36.5℃、呼吸数16/分、脈拍108/分、血圧200/120mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度<SpO2>96%であった。

115 救命救急センター到着時に観察する項目で最も優先するのはどれか。

1.体温
2.心電図波形
3.意識レベル
4.尿失禁の有無

解答3

解説

到着時に観察する項目は、生命維持に重要なバイタルサイン(血圧・脈拍・呼吸数・体温・意識レベル)の確認を優先すべきである。したがって、選択肢3.意識レベルを救命救急センター到着時に観察する項目で最も優先する。意識レベルの急激な悪化は、気管挿管などの緊急処置が必要になる場合がある。

 

1.× 体温は、最も優先される項目ではない。なぜなら、本症例は、脳血管障害(急性発症の片麻痺を生じていることから)を最も疑うべきであり、体温の大きな変動は少ないと考えられるため。
2.× 心電図波形は、最も優先される項目ではない。なぜなら、基礎疾患として心疾患があるかも知れないが、心電図波形は到着時に観察する項目として最も優先されるものではないため。
4.× 尿失禁の有無は、最も優先される項目ではない。なぜなら、尿失禁は必ずしも重症度を表すものではないため。

 

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