第106回(H29) 看護師国家試験 解説【午前31~35】

 

31 腹部CTを下に示す。
 矢印で示す部位について正しいのはどれか。

1.肥満細胞で構成される。
2.厚さはBMIの算出に用いられる。
3.厚い場合は洋梨型の体型の肥満が特徴的である。
4.厚い場合はメタボリックシンドロームと診断される。

解答3

解説

1.× 矢印が指すのは、肥満細胞ではなく、皮下の脂肪組織である。肥満細胞は全身の粘膜下組織や結合組織などに存在する。肥満細胞は肥満とは関係がなく、IgE抗体を結合し、Ⅰ型(即時型)アレルギー反応を引き起こす。
2.× 皮下の脂肪組織の厚さは、BMIの算出に用いられない。BMIは、[体重÷身長の2乗]で求められる肥満度の指数である。
3.〇 正しい。厚い場合は、洋梨型の体型の肥満が特徴的である。皮下脂肪型肥満は洋梨型の体型、内臓脂肪型肥満はリンゴ型の体型が特徴である。
4.× メタボリックシンドロームは、皮下の脂肪組織が厚い場合に加えて条件がさらにある。メタボリックシンドロームの診断では、内臓脂肪面積(通常は腹囲で代用される)100cm2以上が必須の診断基準である。ほかにも血圧や血糖値,脂肪値などの診断も必要である。

 

 

 

 

 

32 放射線療法について正しいのはどれか。

1.Gyは吸収線量を表す。
2.主に非電離放射線を用いる。
3.電子線は生体の深部まで到達する。
4.多門照射によって正常組織への線量が増加する。

解答1

解説

1.〇 正しい。Gy(グレイ)は、吸収線量を表す。吸収線量の単位でどれだけ物質に吸収されたかを表す。ちなみに、Bq(ベクレル)は、放射線量の単位で放射能の強さである。また、Sv(シーベルト)は、線量当量の単位で人体への影響の程度を表す単位である。
2.× 放射線療法は、主に非電離放射線ではなく、電離放射線を用いる。非電離放射線は、可視光(目に見える光)や赤外線(リモコンなどに用いられる)などの低エネルギーの放射線である。電離放射線は、エックス線をはじめとする高エネルギーの放射線である。したがって、放射線療法には、エックス線など高エネルギーの電離放射線が用いられる。
3.× 電子線は、生体の深部まで到達せず。ほぼ身体表面近くで吸収される。そのため、電子線は、表面近くのがん治療に適している。一方、エックス線やガンマ線は高エネルギーの電離放射線で深部まで到達するため、深部のがん治療に適している。
4.× 多門照射(深部のがん病変に対して2方向以上から放射線ビームを集中して照射する方法)によって、正常組織への線量は、増加ではなく減少する。

 

 

 

 

 

33 Alzheimer<アルツハイマー>病で正しいのはどれか。

1.基礎疾患として高血圧症が多い。
2.初期には記銘力障害はみられない。
3.アミロイドβタンパクが蓄積する。
4.MRI所見では前頭葉の萎縮が特徴的である。

解答3

解説

1.× 基礎疾患として高血圧症が多いのは、脳血管性認知症である。アルツハイマー病の危険因子としては、高齢・頭部外傷の既往・アルツハイマー病の家族歴などがある。
2.× 初期には記銘力障害はみられる。記銘力障害とは、新しいことが覚えられなくなることをいう。
3.〇 正しい。アミロイドβタンパクが蓄積する。アルツハイマー病では、①アミロイドβ蛋白の蓄積により生じる老人斑、②タウ蛋白の蓄積により生じる神経原線維変化の2つの病理学的変化が特徴である。
4.× MRI所見で、前頭葉の萎縮が特徴的であるのは前頭側頭型認知症である。 アルツハイマー病の脳画像所見の特徴は、海馬の萎縮である。また、進行すると大脳は全般的に萎縮する。

 

 

 

 

 

 

34 ペースメーカー装着患者における右心室ペーシング波形の心電図を下に示す。心電図の記録速度は通常の25mm/秒であり、矢印で示した小さなノッチがペースメーカーからの電気刺激が入るタイミングを示している。
 心電図波形によって計測した心拍数で正しいのはどれか。


1.30/分以上、50/分未満
2.50/分以上、70/分未満
3.70/分以上、90/分未満
4.90/分以上、99/分以下

解答3

解説

 心電図の記録速度は、25mm/秒であり、記録用紙の大きいマス目5つ分で1秒を示している。心拍数は、「心拍数(回/分)= 60(秒) ÷ RR間隔(秒)」という式で求められる。また、簡易的には、「心拍数 = 300 ÷ 大きいマス数」で求められ、1マスに1個心拍があれば300/分、2マスに1個で150/分、3マスに1個で100/分,4マスに1個で75/分、5マスに1個で60/分、6マスに1個で50/分となる。

 問題のこの心電図では、心室ペーンングによって、ほぼ4マスに1個で、QRS波が発生している。心拍数は75/分に近い値と考えられる。したがって、選択肢3.70/分以上、90/分未満が正しい。

MEMO

矢印の間隔はおおよそ18マスである。
心拍間は0.04(秒)×18=0.72秒である。そこから心拍数を算出すると、60(秒)÷0.72=83.33・・/分となる。
したがって、心拍数は70/分以上、90/分未満である。

 

 

 

 

 

35 労働者災害補償保険法に規定されているのはどれか。

1.失業時の教育訓練給付金
2.災害発生時の超過勤務手当
3.有害業務従事者の健康診断
4.業務上の事故による介護補償給付

解答4

解説

1.× 失業時の教育訓練給付金は、『雇用保険法』に規定されている。
2.× 災害発生時の超過勤務手当は、『労働基準法』に規定されている。
3.× 有害業務従事者の健康診断(特殊健康診断)は、『労働安全衛生法』に規定されている。事業者は有害な業務に常時従事する労働者に対し、医師による特別の項目についての健康診断を行わなければならない。
4.〇 正しい。業務上の事故による介護補償給付は、『労働者災害補償保険法』に規定されている。業務災害に関するものと通勤災害に関するものがあり、要介護状態になれば介護補償給付・介護給付が支給される。

 

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