第106回(H29) 看護師国家試験 解説【午後41~45】

 

41 Aさん(59歳、女性)は、半年前に下咽頭癌で放射線治療を受けた。口腔内が乾燥し、水を飲まないと話すことも不自由なことがある。
 Aさんに起こりやすいのはどれか。

1.う歯
2.顎骨壊死
3.嗅覚障害
4.甲状腺機能亢進症

解答1

解説

1.〇 正しい。う歯(一般的に虫歯)は、起こりやすい。なぜなら、口腔内が乾燥すると口腔内の自浄作用が低下するため。両耳下腺・両顎下腺が照射野内に入ると、高度の唾液分泌障害が生じる。これは、問題文で示されているAさんの状態と一致する。
2.× 顎骨壊死が起こるとは考えにくい。なぜなら、顎骨壊死は、治療後の抜歯や口腔内不衛生が原因となることが多いため。
3.× 嗅覚障害とは考えにくい。口腔が照射野内に入ると、味蕾が減少して味覚障害が生じる。におい(嗅覚)は、鼻腔の上方にある嗅上皮から嗅細胞・嗅神経を介して伝わるが、下咽頭癌の放射線照射部位を考えると唄覚障害は考えにくい。
4.× 甲状腺機能亢進症とは考えにくい。甲状腺が照射野内に入った場合の副作用は、甲状腺機能低下症である。

 

 

 

 

 

42 Ⅰ型糖尿病と診断された人への説明で適切なのはどれか。

1.自己血糖測定の試験紙の費用は医療保険の対象外である。
2.食事が摂取できないときはインスリン注射を中止する。
3.低血糖症状には振戦などの自律神経症状がある。
4.運動は朝食前が効果的である。

解答3

解説

1.× 自己血糖測定の試験紙の費用は、医療保険の対象外ではなく適応の対象である。1型糖尿病と診断されているので、インスリン療法が必要である。インスリン療法をしている場合、血糖値測定に必要な機器や物品(簡易血糖測定機器、試験紙(センサー)、穿刺用器具、穿刺針、消毒用アルコール綿など)は医療保険が適用される。
2.× 食事が摂取できないときも、インスリン注射を中止してはならない。なぜなら、風邪などで体調が悪い日(シックデイ)に、インスリン注射を中止すると、高血糖やケトアシドーシスが起こりやすいため。特にインスリン療法中は、食事がとれないときに自己判断でインスリン注射を中断せず、主治医に連絡するように指導する。
3.〇 正しい。低血糖症状には、振戦などの自律神経症状がある。血糖値が約70mg/dL以下になると、自律神経症状のうち交感神経症状(発汗、動悸、手指振戦、顔面蒼白)が表れる。50mg/dL程度になると中枢神経症状(頭痛、集中力低下)、さらに低下すると異常行動やけいれんなどが表れる。
4.× 運動は、朝食前ではなく食後30分から1時間後が効果的である。なぜなら、食事前の運動は低血糖となる可能性が高くなるため。

 

 

 

 

 

43 アレルギー性鼻炎について正しいのはどれか。

1.食後に症状が増悪する。
2.Ⅳ型アレルギーである。
3.スクラッチテストで原因を検索する。
4.アレルゲンの除去は症状の抑制に有効である。

解答4

解説

1.× 食後ではなく、朝方に症状が増悪する。食後に症状が増悪するのは食物アレルギーである。
2.× Ⅳ型アレルギーではなく、Ⅰ型(即時型)アレルギーである。ちなみに、他にもⅠ型(即時型)アレルギーは気管支喘息や蕁麻疹などがあり、IgEが関与する。Ⅳ型(遅延型)アレルギーは、T細胞が関与するもので接触性皮膚炎や移植片対宿主病などでみられる。Ⅳ型アレルギーを利用した検査としてツベルクリン反応が挙げられる。
3.△ スクラッチテストではなく、血清特異的IgE抗体検査などで原因を検索する。ただ、スクラッチテストは、アレルギー性鼻炎の診断に用いられることもあるため、△とした。針で傷つけた皮膚に抗原(アレルゲン)を含んだ水溶液をのせ、一定時間の後、腫れ・赤みが出現すれば陽性である。
4.〇 正しい。アレルゲンの除去は、症状の抑制に有効である。たとえば、スギ花粉症では、アレルゲンの除去の方法として鼻洗浄、回避の方法として外出時のマスク着用が有効である。

 

 

 

 

 

44 他動運動による関節可動域<ROM>訓練を行うときの注意点で適切なのはどれか。

1.有酸素運動を取り入れる。
2.等尺性運動を取り入れる。
3.近位の関節を支持して行う。
4.痛みがある場合は速く動かす。

解答3

解説

他動運動とは?

他動運動とは、身体の特定部位を第三者が用手的に、または器具などの外力によって動かすことである。 麻痺などによって随意的に筋収縮が行われない場合や筋力が著しく低下している場合、外傷後や術後などの拘縮予防、関節可動域の維持・拡大、皮膚の柔軟性の維持のために行う。

1.× 有酸素運動を取り入れる必要はない。有酸素運動とは、酸素を摂取しながら行う運動の総称で、ジョギングや水泳などの運動を指す。一方、関節可動域訓練では、患者はベッド上に仰臥位になり、リラックスした状態で行うのが一般的である。
2.× 等尺性運動を取り入れる必要はない。なぜなら、等尺性運動とは関節の動きを伴わない運動であるため。関節を動かすのが目的の関節可動域(ROM)訓練では、筋の長さの変化を伴う等張性運動を取り入れることができる。
3.〇 正しい。近位の関節を支持して行う。なぜなら、近位(体幹に近い)の関節を支持することで、遠位にある目的の関節を無理なくゆっくりと正しい方向に動かすことができるため。
4.× 痛みがある場合は速くではなく、ゆっくり動かす。なぜなら、速い動きでは筋肉が反射的に収縮してしまい、結合組織も十分に伸長できず拘縮の予防・解消にならないため。

 

 

 

 

 

45 Aさん(80歳、女性)は、要介護2となったため長男家族(長男50歳、長男の妻45歳、18歳と16歳の孫)と同居することとなった。在宅介護はこの家族にとって初めての経験である。
 Aさんの家族が新たな生活に適応していくための対処方法で最も適切なのはどれか。

1.活用できる在宅サービスをできる限り多く利用する。
2.家族が持つニーズよりもAさんのニーズを優先する。
3.介護の負担が特定の家族に集中しないように家族で話し合う。
4.10代の子どもを持つ家族の発達課題への取り組みを一時保留にする。

解答3

解説

1.× 活用できる在宅サービスをできる限り多く利用する必要はない。なぜなら、サービスをできる限り多く利用することだけが、Aさんや家族にとってよりよい生活になるわけではないため。本人・家族の自立に向けて適切なサービスをアセスメントし、必要なサービスを利用していくことが望ましい。
2.× 家族が持つニーズよりもAさんのニーズを優先するといった優先順位はない。なぜなら、Aさんと家族それぞれのニーズを確認して、何が必要かアセスメントしていくことが大切であるため。どちらを優先すべきということはいえない。
3.〇 正しい。介護の負担が、特定の家族に集中しないように家族で話し合う。なぜなら、家族にとって初めての在宅介護で、特定の家族に介護負担が集中する可能性があるため。本人を含めて家族でしっかり話し合い、家族間の役割分担やサービスの調整などを考える必要がある。
4.× 10代の子どもを持つ家族の発達課題への取り組みを一時保留にする必要はない。家族の発達課題を保留すべきではなく、家族で介護しながら発達課題に取り組めるよう支援する。

 

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