第106回(H29) 看護師国家試験 解説【午後46~50】

 

46 平成24年(2012年)の就業構造基本調査における65歳以上75歳未満の高齢者の就業について正しいのはどれか。

1.女性では就業している者の割合は40%以上である。
2.就業していない者よりも就業している者の割合が多い。
3.就業していない者のうち40%以上が就業を希望している。
4.就業している者のうち非正規職員・従業員の割合は成人期より多い。

解答4

解説

就業構造基本調査とは?

就業構造基本調査とは、統計法に基づいて行われる統計調査で、日本の就業および不就業の状態を調査し、全国および地域別の就業構造に関する基礎資料を得ることを目的としている。調査は、昭和31年(1956年)から5年ごと(昭和57年まではおおむね3年おき)に行われている。

1.× 女性では就業している者の割合は、40%以上ではなく、29.8%(65歳以上70歳未満)ある。ちなみに、70歳以上75歳未満では18.0%である。
2.× 就業していない者よりも就業している者の割合が、多いのではなく少ない。就業している者の割合は、65歳以上70歳未満では39.0%、70歳以上75歳未満では24.7%である。いずれも就業していない者の割合のほうが多い。
3.× 就業していない者のうち、就業を希望しているのは、20%に満たない。65歳以上70歳未満では17.9%、70歳以上75歳未満では12.0%である。
4.〇 正しい。就業している者のうち非正規職員・従業員の割合は、成人期より多い。就業している者のうち非正規職員・従業員の割合は、成人期(25~60歳)では25~30%程度である。しかし、65歳以上70歳未満では43.1%、70歳以上75歳未満では30.8%である。

 

 

 

 

 

47 高齢者施設に入所中のAさん(78歳、女性)は、長期間寝たきり状態で、便秘傾向のため下剤を内服している。下腹部痛と便意を訴えるが3日以上排便がなく、浣腸を行うと短く硬い便塊の後に、多量の軟便が排泄されることが数回続いている。
既往歴に、消化管の疾患や痔はない。
 Aさんの今後の排便に対する看護として最も適切なのはどれか。

1.直腸の便塊の有無を確認する。
2.止痢薬の処方を医師に依頼する。
3.1日の水分摂取量を800mL程度とする。
4.食物繊維の少ない食事への変更を提案する。

解答1

解説

 Aさんは、長期間寝たきり状態に伴う便秘傾向に対して、下剤を服用して便の硬さをコントロールしている。一部硬い便塊があるものの、便の性状は軟便であることから、おおむね目標の便の硬さであると考えられる。

 

1.〇 正しい。直腸の便塊の有無を確認する。なぜなら、浣腸を行った際、最初に短く硬い便塊が出てくることから、直腸の便塊が排便を阻害している可能性があるため。
2.× 止痢薬の処方を医師に依頼する必要はない。なぜなら、止痢薬の使用で腸蠕動がさらに低下し、便秘傾向が悪化することが考えられるため。
3.× 1日の水分摂取量を800mL程度とする必要はない。なぜなら、高齢者の水分摂取量は、食事も含めて1500~2000 mL/日が理想的であるため。したがって、800 mL/日は少ないといえる。水分摂取量が少ないと便秘を助長するだけでなく脱水症状を起こすおそれもある。
4.× 食物繊維の少ない食事ではなく、多い食事への変更を提案する。なぜなら、食物繊維は排便を促す作用があるため。含有量を減らした食事にすると便秘傾向を助長してしまうおそれがある。

 

 

 

 

 

48 老年期のうつ病に特徴的な症状はどれか。

1.幻覚
2.感情鈍麻
3.心気症状
4.着衣失行

解答3

解説

1.× 幻覚は、主に統合失調症(陽性症状)でみられる。幻覚は「本来であれば、ないはずの知覚を体験する」症状のことで、幻視(本来ないはずのものが見える)、幻聴(本来聞こえないものが聞こえる)などがある。
2.× 感情鈍麻は、主に統合失調症の慢性期に出現する。感情の表出が乏しくなる症状である。
3.〇 正しい。心気症状は、老年期のうつ病でみられる。心気症状とは、医学的には異常はないのに、些細な症状に対して「自分は大変な病気にかかっているのではないか」という想いにとらわれてしまう症状である。
4.× 着衣失行は、脳血管性認知症などでみられる。高次脳機能障害の失行(目的に合った動作をすることができなくなる)のひとつで、衣服の着方がわからなくなってしまう症状である。

 

 

 

 

 

49 高齢者に術後の呼吸器合併症が発症しやすい理由で正しいのはどれか。

1.残気量の減少
2.肺活量の低下
3.嚥下反射の閾値の低下
4.気道の線毛運動の亢進

解答2

解説

1.× 残気量は、減少ではなく増加する。なぜなら、高齢者では、肺胞の弾性収縮力が低下し息を吐きづらくなるため。
2.〇 正しい。肺活量の低下する。なぜなら、高齢者では、肺胞の弾性収縮力が低下し、息を吐きづらくなるため。また、肺胞が減るため。これにより咳をしたときの呼気流速が低下し、痰を排出しにくくなり、肺炎や無気肺などの合併症が発症しやすくなる。
3.× 嚥下反射の閾値は、低下ではなく上昇する。高齢者では、嚥下反射の闘値(嚥下反射が起こるのに必要な咽頭などへの刺激の最小値)が上昇する。つまり、嚥下しにくくなるため、誤嚥などが起こりやすく、誤嚥性肺炎の原因となる。
4.× 気道の線毛運動は、亢進ではなく低下する。よって、痰(起動分泌物)を排出しにくくなる。結果的に、肺炎などの感染症を発症しやすくなる。

 

 

 

 

 

50 学童期の肥満について正しいのはどれか。

1.肥満傾向児は肥満度30%以上と定義される。
2.肥満傾向児は高学年より低学年が多い。
3.肥満傾向児は男子より女子が多い。
4.成人期の肥満に移行しやすい。

解答4

解説

1.× 肥満傾向児は、肥満度30%以上ではなく、20%以上と定義される。学童期では、肥満度20%以上で軽度肥満、30%以上を中等度肥満、50%以上を高度肥満と評価している。
2.× 肥満傾向児は、高学年より低学年のほうが、多いのではなく少ない。小児の肥満は男女ともに12歳が最も多い。
3.× 逆である。肥満傾向児は、女子より男子が多い。学齢期の各年齢で約1%ほど男子の方が女子より多い。
4.〇 正しい。成人期の肥満に移行しやすい。学童前期の肥満児の約40%が、思春期では70~80%が成人肥満に移行する。

 

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