第106回(H29) 看護師国家試験 解説【午前66~70】

 

66 Aさん(42歳、女性)は、交通事故による脊髄損傷で入院し、リハビリテーションを受けた。Aさんの排泄の状況は、間欠的導尿による排尿と、坐薬による3日に1回の排便である。同居する夫と実母が導尿の指導を受け、退院することになった。初回の訪問看護は退院後3日目とし、その後は訪問看護を週2回受けることになった。
 入院していた医療機関から提供された患者情報のうち、初回訪問のケア計画を立案するのに最も優先度の高い情報はどれか。

1.食事の摂取量
2.1日の導尿回数
3.最終排便の日時
4.リハビリテーションの内容

解答3

解説

1.× 食事の摂取量は、優先度が最も高い事項ではない。なぜなら、本症例の主問題は排便コントロール(坐薬による3日に1回の排便)であるため。排便コントロールを含めて、食事摂取状況についてのケア計画は必要である。
2.× 1日の導尿回数は、優先度が最も高い事項ではない。なぜなら、入院中に夫の実母が実践できるようになっているため。導尿については、夫や実母の手技や困っていることがないかの確認が必要である。
3.〇 正しい。最終排便の日時は、優先度が最も高い。なぜなら、本症例の排便は、3日に1回で座薬を使用しており、初回の訪問看護は退院後3日目の予定で、その後は週2日の予定であるため。坐薬による3日に1回の排便だったことから、入院中から便秘だったことがわかる。坐薬のみで十分排便できているか、摘便などのケアは必要ないか判断するために、最終排便の日時を確認することが優先される。
4.× リハビリテーションの内容は、優先度が最も高い事項ではない。訪問看護師が行うケアに関することとして、このケースでは排泄に関することが優先される。

 

 

 

 

 

67 A君(6歳、男児)は、父母と姉との4人で暮らしている。歳児健康診査で運動機能の発達の遅延を指摘され、5歳のときにDuchenne<デュシェンヌ>型筋ジストロフィーの確定診断を受けた。現在は、床からの立ち上がり動作に介助が必要である。見守りが必要ではあるが、室内の歩行は自立している。在宅支援サービスは利用していない。A君の外来受診時に母親から「最近、Aの世話をしていると、8歳の姉が私にしがみついて離れないので困ります」と看護師に相談があった。
 このときの看護師の対応で最も優先されるのはどれか。

1.姉の小学校の養護教諭に家庭訪問を依頼する。
2.姉にA君の歩行の見守りをさせるよう勧める。
3.短期入所を利用して父母と姉とで旅行するよう勧める。
4.居宅介護を利用して母が姉と関わる時間を確保することを提案する。

解答4

解説

デュシェンヌ型筋ジストロフィーとは?

デュシェンヌ型筋ジストロフィーとは、X連鎖劣性遺伝により随意筋の筋力低下を認める進行性疾患である。好発年齢は、乳幼児期であり、羅患者は原則として男児である。進行性の慢性疾患である。

1.× 姉の小学校の養護教諭に家庭訪問を依頼する必要はない。なぜなら、母が姉と関わる時間を増やすことが必要であるため。
2.× 姉にA君の歩行の見守りをさせるよう勧める必要はない。なぜなら、A君は室内歩行は自立しており、寂しさを感じている姉に負担をさらにかけることになるため。
3.× 短期入所を利用して父母と姉とで旅行するよう勧める必要はない。なぜなら、A君の短期入所中にA君以外の家族だけで旅行をすることは、A君に精神的な負担を与えることになるため。さらに、A君は進行性疾患を患っており、A君と姉との関係性の改善に要する時間や、家族と一緒に過ごす時間を大切にする必要がある。
4.〇 正しい。居宅介護を利用して母が姉と関わる時間を確保することを提案する。現在、母親がA君の身の回りの世話に大きく時間を割いており、その様子をみて姉が寂しさを募らせている状況がある。したがって、姉の精神的ストレス軽減のため、居宅介護支援を導入し、家庭内で母親が姉と過ごす時間をつくることが最も優先される。

 

 

 

 

 

68 在宅で訪問看護師が行う要介護者の入浴に関する援助で適切なのはどれか。

1.入浴前後に水分摂取を促す。
2.浴室の換気は入浴直前に行う。
3.浴槽に入っている間に更衣の準備をする。
4.入浴前の身体状態の観察を家族に依頼する。

解答1

解説

1.〇 正しい。入浴前後に水分摂取を促す。なぜなら、脱水を防ぐため。
2.× 浴室の換気は、入浴直前ではなく入浴後に行う。なぜなら、入浴前に換気を行うと浴室の室温が下がり、要介護者の心血管系への負担が大きくなるため。
3.× 浴槽に入っている間に更衣の準備をする必要はない。なぜなら、要介護者が浴槽に入っている間に目を離すことは溺水の原因となるため。
4.× 入浴前の身体状態の観察を、家族に依頼するのではなく、訪問看護師も行うべきである。

 

 

 

 

 

69 Aさん(65歳、女性)は、夫と実父との3人暮らしである。脊柱管狭窄症の術後、地域包括ケア病棟に入院中である。退院後は自宅に戻り室内で車椅子を利用する予定である。Aさんの障害高齢者の日常生活自立度判定基準はB-1である。
 看護師による家族への指導で最も適切なのはどれか。

1.家族の生活習慣を中心に屋内環境を整備する。
2.夜間の車椅子によるトイレへの移動は制限する。
3.退院後の生活の課題に応じて福祉用具を選定する。
4.ベッドから車椅子への移動介助にリフトの導入を勧める。

解答3

解説

1.× 家族の生活習慣を中心にするのではなく、Aさんの生活習慣を中心に屋内環境を整備する。なぜなら、日常生活自立度判定基準のランクB-1は、屋内では介助を要するが坐位は可能で、車椅子に移乗し、食事や排泄はベッドから離れて行うものであるため。また、介護者である夫や実父の状況を把握し、介護負担が軽減できるように屋内環境を整えていく必要がある。
2.× 夜間の車椅子によるトイレへの移動は制限する必要はない。しかし、安全面や家族の介護負担などを考慮し、本人・家族と相談して、夜間はポータブルトイレを利用するなど転倒に注意し、環境を整えていく必要がある。
3.〇 正しい。退院後の生活の課題に応じて福祉用具を選定する。なぜなら、屋内での生活には介助が必要な状況にあるため。本人の自立を促し、家族の介護負担が軽減するため。
4.× ベッドから車椅子への移動介助にリフトの導入を勧める必要はない。なぜなら、Aさんは坐位保持や車椅子への移乗は可能であり、リフトの導入は必要ないため。日常生活自立度判定基準のランクB-1は、屋内では介助を要するが坐位は可能で、車椅子に移乗し、食事や排泄はベッドから離れて行うものである。

 

 

 

 

 

70 特定行為に係る看護師の研修制度に関して正しいのはどれか。

1.特定行為は診療の補助行為である。
2.研修は都道府県知事が指定する研修機関で実施する。
3.研修を受けるには10年以上の実務経験が必要である。
4.看護師等の人材確保の促進に関する法律に定められている。

解答1

解説

1.〇 正しい。特定行為は診療の補助行為である。特定行為とは、「診療の補助であって、看護師が手順書により行う場合には、実践的な理解力・思考力及び判断力並びに高度かつ専門的な知識及び技能が特に必要とされるものとして厚生労働省令で定めるもの」と定められている。
2.× 研修は、都道府県知事ではなく厚生労働大臣が指定する研修機関で実施する。
3.× 研修を受けるには、10年以上の実務経験は必要なく、法令上、実務経験は規定されていない。特定行為研修の受講資格は養成機関によって違い、3~5年以上の実務経験を有することが想定されている。
4.× 「看護師等の人材確保の促進に関する法律」ではなく、『保健師助産師看護師法』に定められている。

 

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