第106回(H29) 看護師国家試験 解説【午後76~80】

 

76 急性炎症と比較して慢性炎症に特徴的な所見はどれか。2つ選べ。

1.好中球浸潤
2.CRPの上昇
3.リンパ球浸潤
4.形質細胞の浸潤
5.血管透過性の亢進

解答3/4

解説

急性は数日程度、亜急性は数週間程度、慢性は数か月から数年以上にわたって起こる現象を指して用いられることが多い。

 

1.× 好中球浸潤は、急性炎症に特徴的な所見である。好中球は、微生物や壊死組織を貧食して排除する働きを持つ。
2.× CRPの上昇は、急性炎症に特徴的な所見である。CRPの上昇は、急性炎症の程度を反映する指標となる。炎症や組織細胞の破壊が起こると血清中に増加する。
3.〇 正しい。リンパ球浸潤は、慢性炎症に特徴的な所見である。リンパ球は、主に免疫反応にかかわっている。
4.〇 正しい。形質細胞の浸潤は、慢性炎症に特徴的な所見である。形質細胞は、Bリンパ球から分化した細胞で、免疫グロブリンを産生する。つまり、免疫反応に関与する。
5.× 血管透過性の亢進は、急性炎症に特徴的な所見である。血管透過性の亢進は、血中から水分や血漿タンパク質、白血球を炎症の場に導く。

炎症に対する身体の反応

身体では、炎症を鎮めるため血管の透過性を亢進させて、血中から水分や血漿タンパク質、白血球を炎症の場に導く。急性期に現場に駆けつける細胞は、好中球で、微生物や壊死組織を貧食し排除する。その後、マクロファージもこれに加わる。さらに、肉芽組織・修復・瘢痕化あるいは再生、予防に、リンパ球による免疫反応で備えることになる。しかし、ウイルス感染などでは、リンパ球が急性期から出現することが多い。

 

 

 

 

 

77 狭心症の治療に用いる薬はどれか。2つ選べ。

1.アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬
2.スルホニル尿素薬
3.ジギタリス製剤
4.抗血小板薬
5.硝酸薬

解答4/5

解説

狭心症とは?

狭心症は、心臓に血液を供給する血管の狭窄により、心筋が虚血(酸素不足)状態になることによって生じる。治療は、血管を拡張させる薬(硝酸薬)や、狭窄の原因となる動脈硬化や血栓を予防する薬(抗血小板薬)を用いる。

1.△ アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬は、末梢血管の収縮を抑制する作用があり、降圧薬として高血圧や心不全の治療に使用される。冠攣縮性狭心症に対する治療効果や心不全予防効果の報告があり使用しないわけではないが、エビデンスなどに乏しい。
2.× スルホニル尿素薬(SU薬)は、ランゲルハンス島β細胞からのインスリン分泌を促進するⅡ型糖尿病治療薬である。
3.× ジギタリス製剤は、心収縮力を高める強心薬ため、心不全治療に用いる。
4.〇 正しい。抗血小板薬(アスピリン)は、低用量で抗血小板薬として血栓予防に用いられ、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞の治療に用いられる。
5.〇 正しい。硝酸薬(ニトログリセリン)は、血管平滑筋を弛緩させ、血管を拡張させる作用があり、狭心症発作時に用いられる。

 

 

 

 

 

78 出血傾向を把握するために重要なのはどれか。2つ選べ。

1.血糖値
2.血清鉄
3.血小板数
4.アルカリフォスファターゼ値
5.活性化部分トロンボプラスチン時間<APTT>

解答3/5

解説

1.× 血糖値は、出血傾向の把握には重要でない。血糖値は血液中のグルコース濃度を示す値であり、糖尿病の診断などに用いられる。
2.× 血清鉄は、出血傾向の把握には重要でない。血清鉄は、出血が続くと低値となり、貧血の診断や鑑別などに用いられる。出血自体は出血傾向がなくても外傷や腫瘍、月経などによって起こるため、血清鉄は出血傾向の把握に重要とはいえない。
3.〇 正しい。血小板数は、出血傾向の把握に重要である。なぜなら、出血が生じると、血小板が凝集し一次血栓が形成される(一次止血)ため。血小板数の減少は出血傾向を引き起こす。
4.× アルカリフォスファターゼ値は、出血傾向の把握には重要でない。アルカリフォスファターゼ値(ALP)値は、肝臓や骨の疾患の診断などに用いられる。
5.〇 正しい。活性化部分トロンボプラスチン時間<APTT>は、出血傾向の把握に重要ある。なぜなら、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)は血液凝固能検査の一つであるため。血小板によるー次止血に引き続いて、凝固因子の働きによってフィブリンが一次血栓をより強固にする(二次止血)。この凝固系の異常を調べる検査として、活性化部分トロンボプラスチン時間<APTT>がある。

 

 

 

 

 

79 胃食道逆流症について正しいのはどれか。2つ選べ。

1.食道の扁平上皮化生を起こす。
2.上部食道括約筋の弛緩によって生じる。
3.食道炎の程度と症状の強さが一致する。
4.プロトンポンプ阻害薬が第一選択の治療法である。
5.Barrett<バレット>上皮は腺癌の発生リスクが高い。

解答4/5

解説

胃食道逆流症(GERD)とは?

下部食道括約筋圧の低下などにより、胃酸を含む胃内容物が食道に逆流する症状である。

1.× 食道の扁平上皮化生ではなく、円柱上皮化生(バレット食道)を起こす。
2.× 上部食道括約筋ではなく、下部食道括約筋の弛緩によって生じる。この弛緩により、胃酸を含んだ胃内容物が食道に逆流する。
3.× 食道炎の程度と症状の強さは、必ずしも一致しない。なぜなら、逆流症状が認められても、内視鏡検査で異常が見つからないことも多々あるため。
4.〇 正しい。プロトンポンプ阻害薬が第一選択の治療法である。プロトンポンプ阻害薬は、胃酸の分泌を強力に抑えることができる。
5.〇 正しい。Barrett<バレット>上皮は、腺癌の発生リスクが高い。胃食道逆流症が長期的に続くことでバレット上皮(円柱上皮化生)ができ、これを発生母地として腺癌が発生すると考えられている。

 

 

 

 

 

80 患者の自立支援で適切なのはどれか。2つ選べ。

1.不足している知識を補う。
2.発病前の生活習慣を尊重する。
3.支援目標を看護師があらかじめ定める。
4.できないことに焦点を当てて行動を修正する。
5.支援者である看護師が上位の関係が望ましい。

解答1/2

解説

1.〇 正しい。不足している知識を補う。なぜなら、関連する知識のすべてを教えるのではなく、不足部分のみ補うことが自立支援を促進しやすいため。
2.〇 正しい。発病前の生活習慣を尊重する。なぜなら、個々人の生活習慣を否定した方法は自立の継続が難しいため。
3.× 支援目標を看護師があらかじめ定める必要はない。なぜなら、支援目標は患者本人が定めないと、看護師に依存することにつながり自立支援にならないため。
4.× できないことに焦点を当てて行動を修正する必要はない。むしろ、できないことよりも、できていることに焦点を当てて行動を継続することが自立支援につながる。自立支援においては、できないことに焦点を当てることは患者の意欲をそぐ結果となってしまうことが多い。
5.× 支援者である看護師が、上位の関係ではなく対等な立場が望ましい。患者とその家族を含めたチームメンバーは、上下関係ではなく対等な立場で協働、連携する関係性がよいとされている。

 

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