第107回(R3) 保健師国家試験 解説【午前1~5】

 

問題の引用:第107回保健師国家試験、第104回助産師国家試験及び第110回看護師国家試験の合格発表

※注意:解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。コメント欄にて誤字・脱字等、ご指摘お待ちしています。よろしくお願いいたします。

 

1 保健師の業務従事者届について正しいのはどれか。

1.医療法で規定されている。
2.届出の間隔は一年ごとである。
3.居住地の都道府県知事に届け出る。
4.届出は業務に従事する保健師の義務である。

解答

解説

保健師の業務従事者届

①届け出先:「就業地」の都道府県知事。

②届け出義務者:業務に従事する保健師。

③届け出時期:2年ごとの年の12月31日現在の事項を届け出る。

1.× 医療法ではなく、「保健師助産師看護師法」に規定されている。
2.× 届出の間隔は、一年ごとではなく、「2年ごと」である。
3.× 居住地ではなく、「就業地」の都道府県知事に届け出る。翌年の1月15日までに届け出す。
4.〇 正しい。届出は業務に従事する保健師の義務である。

 

 

 

 

 

2 地域包括ケアシステムにおける相互援助の概念と具体的な取り組みとの組合せで適切なのはどれか。

1.自助:民間サービスの購入
2.互助:医療保険
3.共助:生活保護
4.公助:ボランティア

解答

解説

地域包括ケアシステムとは?

地域包括ケアシステムでは、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で生活を継続することができるような包括的な支援・サービス提供体制の構築を目指している。

「自助・互助・共助・公助」を重視している。
「公助」は税による公の負担。
「共助」は介護保険などリスクを共有する仲間(被保険者)の負担。
「自助」には「自分のことを自分でする」ことに加え、市場サービスの購入も含まれる。
「互助」は相互に支え合い、費用負担が制度的に裏づけられていない自発的なものである。

1.〇 正しい。自助民間サービスの購入は、自助に該当する。なぜなら、自助は国民ー人ひとりが自らの責任と努力によって生活を営むことであるため。
2.× 医療保険は、互助ではなく共助に該当する。なぜなら、互助はインフォーマルな相互扶助(ボランティアなど)のことであるため。
3.× 生活保護は、共助ではなく公助に該当する。なぜなら、共助は制度化された相互扶助(医療保険、年金保険などの社会保険)のことであるため。
4.× ボランティアは、公助ではなく、互助に該当する。公助は、自助・互助・共助で対応できない場合に、所得や生活水準・家庭状況などの受給要件を定めたうえで、公費により必要な社会保障を行うことある。したがって、公的扶助(生活保護)や社会福祉が該当する。

 

 

 

 

 

3 市町村保健師の家庭訪問対象として優先度が高いのはどれか。

1.切迫早産で主治医から自宅安静を指示された妊婦
2.特定健康診査で血圧150/90 mmHg の未治療者
3.訪問看護サービスを開始した難病患者
4.1歳6か月児健康診査で虐待の可能性がある児

解答

解説

家庭訪問の優先順位

① 生命にかかわるような緊急性の高い対象者
例:自傷他害のおそれがある者、感染拡大による社会的影響が大きい感染症、重症疾患の治療中断者・放置者、児童・高齢者虐待 等。

②健康問題の悪化が予測される対象者
例:未治療者、健康診査で発見された要治療者、健康診査・精密検査未受診者 等。

③ 問題解決が困難な対象者
例:家族のなかにキーパーソンとなる人がいない、複数の問題を抱えている 等。

1.× 切迫早産で主治医から自宅安静を指示された妊婦より優先度の高いものが選択肢の中にある。妊産婦の訪問指導は『母子保健法』に規定されており、必要に応じて家庭訪問が行われる必要がある。「生命にかかわるような緊急性の高い対象者」ではないため選択肢から除外できる。
2.× 特定健康診査で血圧150/90 mmHg の未治療者より優先度の高いものが選択肢の中にある。なぜなら、本症例は家庭訪問以外の方法での支援が可能であるため。「生命にかかわるような緊急性の高い対象者」であり選択肢から除外できる。
3.× 訪問看護サービスを開始した難病患者より優先度の高いものが選択肢の中にある。本症例は、社会資源(訪問看護サービス)を利用して健康問題に対応できていると判断できる。
4.〇 正しい。1歳6か月児健康診査で虐待の可能性がある児が最も優先度の高い。児童虐待は生命に関わる緊急性の高い対象者である。家庭訪問で育児状況や養育環境を把握し、必要に応じて早期に介入する必要がある。

 

 

 

 

 

4 地域包括支援センターに、住民Aさんから「近所に住む1人暮らしのBさん(85歳、男性)が、自宅の庭にごみを山のように置いている。一人ではごみを片付けられない様子なので、何とかしてほしい。年齢のこともあるので火の始末も気になる」と、電話相談があった。
 地域包括支援センターの保健師の最初の対応として適切なのはどれか。

1.消防署にBさん宅の訪問を依頼する。
2.Aさんに自治会で話し合うよう助言する。
3.市のごみ収集担当部署に対応を依頼する。
4.地域包括支援センターの職員とBさん宅を訪問する。

解答

解説

Aさんは、Bさんの自宅の状況から、Bさん個人への支援の必要性とともに、火事による周辺への影響に不安を覚え、相談を寄せている。まずは、相談を受けた地域包括支援センターの保健師が、Bさんの家庭訪問を行い、Bさんの状況や本人の考えを確認する必要がある。したがって選択肢4.地域包括支援センターの職員とBさん宅を訪問する

1.× 消防署にBさん宅の訪問を依頼する必要はない。なぜなら、消防署は主に火事になった際に消火する機関であるため。
2.× Aさんに自治会で話し合うよう助言する必要はない。Aさんへの負担が大きいと考えられる。
3.× 市のごみ収集担当部署に対応を依頼する必要はない。なぜなら、Aさんから見たゴミでも、Bさんからするとゴミとして認識していない可能性もあるため。

 

 

 

 

 

5 職場の特定健康診査の結果、血圧が高い者の割合が多かった。血圧が高い者の食事摂取内容を確認すると、味の濃い食事や麺類を好んで食べていることが分かったため、事業所の保健師は、血圧が高かった者を対象に月2回の6か月コースで減塩教室を実施することにした。
 減塩教室実施後のアウトカム評価で最も適切なのはどれか。

1.血圧値
2.1日の食塩摂取量
3.減塩教室の参加率
4.産業医との面談回数

解答

解説

アウトカム評価とは?

アウトカム評価とは、事業の目的を達成したかどうかを判断するものである。

1.〇 正しい。血圧値は、減塩教室実施後のアウトカム評価で最も適切である。なぜなら、減塩教室を実施する目的は参加者の血圧値低下であるため。
2~3.× 1日の食塩摂取量/減塩教室の参加率は、アウトプット評価である。なぜなら、これらは事業実施過程と参加状況などから直接生じた結果(数や量)を評価するものであるため。
4.× 産業医との面談回数を増やすことや減らすことが目的でないため不適切である。

事業評価

①ストラクチャー評価:事業を実施するための仕組みや体制を評価するもの。
例:マンパワー、予算、会場の状況、関係機関との連携体制 等。

②プロセス評価:事業の手順や実施過程、活動状況の妥当性を評価するもの。
例:事業参加者の募集方法、健康診査の従事者数・受診者数,事業の実施内容等。

③アウトプット評価:事業実施過程と参加状況などから直接生じた結果(数や量)を評価するもの。

④アウトカム評価(成果評価):事業の目的を達成したかどうかの最終的な成果を判断するもの。
例:参加者の6か月後のBMI値、糖尿病の治療継続者の割合、腹囲の減少率、参加者の運動回数 等。

 

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