第107回(R3) 保健師国家試験 解説【午後16~20】

 

16 公衆衛生看護管理で人材管理に当てはまるのはどれか。

1.報道機関への対応は事業担当者が行う。
2.地域住民に必要なサービスの開発を行う。
3.保健師のキャリアに応じた研修を計画的に実施する。
4.地域診断に基づいた地区活動計画を立案する。

解答

解説

1.× 報道機関への対応は事業担当者が行うことは、情報管理である。組織としての方針と窓口の一本化を行う。
2.× 地域住民に必要なサービスの開発を行うことは、地区管理である。業務開発にあたる。
3.〇 正しい。保健師のキャリアに応じた研修を計画的に実施することは、人材管理である。保健師に求められる能力開発を計画的に継続して実施することである。
4.× 地域診断に基づいた地区活動計画を立案することは、地区管理である。業務計画にあたる。

保健師に求められる看護管理機能

①事例管理:個々の事例のケアから始まり、それを地域の問題としてとらえ、ダイナミックな活動を展開する。
②地区管理:地域のニーズや課題から地域診断を行い、住民と協働した施策化を行う。
③事業・業務管理:地方自治体の上位計画や組織目標に基づく、事業計画策定や進行管理を行い、評価結果を次年度の計画等へ反映させる。
④組織運営管理:組織理念・目標や地域の課題を共有して組織としての方針を決定し、業務の効率化を高めながら組織体制を機能させる。
⑤予算編成:予算の仕組みを把握し、事業企画に伴う予算編成を行う。
⑥予算管理:新たな政策や人材確保等のための予算獲得および適切な執行と評価を行い、予算面から公衆衛生看護活動を担保する。
⑦人材育成:保健師の育成過程に応じて、中・長期的な研修計画および生涯学習企画と実施を行い、実践報告を評価する。
⑧人事管理:組織の目標を達成するため、組織に必要な保健師人員数を確保し、職員を計画的に適材適所へ配置するとともに、人事評価を行う。
⑨情報管理:地域の実態を把握するための情報収集・分析や正確な情報伝達のための体制整備、マスコミ対応、個人情報への配慮を行う。
⑩健康危機管理:危機発生を予測し,住民と協働する健康危機管理の体制づくり全般を行う。

 

 

 

 

 

17 「地域における保健師の保健活動に関する指針」に基づく保健師の保健活動の基本的な方向性の10 項目に該当するのはどれか。

1.業務分担制の推進
2.予算の適切な執行管理
3.顕在化している課題への介入重視
4.部署横断的な保健活動の連携・協働

解答

解説

1.× 業務分担制(業務の内容で担当を分けること)の推進は該当しない。保健師は、分野横断的に担当地区を決めて保健活動を行う地区担当制(市町村をいくつかの地区に分け、各担当地区内の業務全般を行うこと)が推進される。
2.× 予算の適切な執行管理は該当しない。地域における保健師の保健活動に限らず基本的な事項である。
3.× 顕在化している課題への介入重視は該当しない。顕在化している課題だけでなく、潜在する健康問題を予見して早期に介入することも重要である。
4.〇 正しい。部署横断的な保健活動の連携・協働は、保健師の保健活動の基本的な方向性の10 項目に該当する。保健師は、多職種・多機関、住民とも連携・協働し、健康課題の解決に取り組む。

地域における保健師の保健活動に関する指針

地域における保健師の保健活動は、『地域保健法』および「地域保健対策の推進に関する基本的な指針」に基づいて実施される。「地域における保健師の保健活動に関する指針」は、保健師に求められる役割が変化、拡大していることを受け、平成25(2013)年4月に厚生労働省が定め、通知したものである。

①地域診断に基づくPDCAサイクルの実施。
②個別課題から地域課題への視点及び活動の展開。
③予防的介入の重視。
④地区活動に立脚した活動の強化。
⑤地区担当制の推進。
⑥ 地区特性に応じた健康なまちづくりの推進。
⑦部署横断的な保健活動の連携及び協働。
⑧地域のケアシステムの構築。
⑨各種保健医療福祉計画の策定及び実施。
⑩人材育成。

 

 

 

 

 

18 A市の保健師が現在担当している子育て支援事業の次年度予算を作成することになった。
 この保健師が行う予算管理として適切なのはどれか。

1.予算要求には市の基本計画との整合性を重視する。
2.1月1日から12 月31 日までの予算を作成する。
3.予算の執行権は予算案を作成した保健師にある。
4.補正予算で作成する。

解答

解説

予算管理とは?

予算管理は、保健師に求められる看護管理機能のひとつである。新たな政策や人材確保のための予算獲得と適切な執行・評価を行い、予算面から公衆衛生看護活動を担保することである。

1.〇 正しい。予算要求には市の基本計画との整合性を重視する。新たな政策や人材確保等のための予算獲得および適切な執行と評価を行い、予算面から公衆衛生看護活動を担保する。
2.× 「1月1日から12 月31 日まで」ではなく、「4月1日から翌年3月31日まで」の予算を作成する。予算とは、4月1日から翌年3月31日までの問における収入と支出の見積もりのことである。
3.× 予算の執行権は、予算案を作成した保健師ではなく、市長にある。
4.× 予算の作成は、補正予算で作成するのではなく、年度開始前に年間予算として編成・成立した当初予算で作成する。

地方自治体の予算

一般会計:地方自治体の4月1日~翌年3月31日(一会計年度)の歳入・歳出を包括的に経理する会計を指す.特別会計に属さない地方自治体の基本的な行政活動を行うための会計を指す。単一予算主義の原則に基づく。

特別会計:地方自治体の特定の事業(介護保険、国民健康保険、水道事業 等)を行うための会計を指す。一般会計のように単一の会計では適切な処理が難しい事業について、効率性や運用の観点から一般会計とは別に扱う特別会計が設置される。

補正予算:予算製後の事由(災害対応等)によって、一般会計で予算化した事業に修正が見要になった場合に設定する。

暫定予算:予算が会計年度の開始前(3月31日)までに成立しない場合に、短期的に組まれる予算である。本予算が成立した後は、本予算に組み込まれる。

 

 

 

 

 

19 同じ集団における同一のスクリーニング検査で、基準値を変えて敏感度を上げた場合に上昇するのはどれか。

1.特異度
2.偽陽性率
3.偽陰性率
4.陰性者数

解答

解説

1.× 特異度は下がる。なぜなら、敏感度が上がると、検査の陰性者数が減るため。
2.〇 正しい。偽陽性率は上昇する。なぜなら、敏感度が上がると、疾病がある人を陽性と判定する割合も増えるが、同時に、疾病がない人を陽性と判定する割合も増えるため。同一集団に対するスクリーニング検査で敏感度が上がると、検査で陽性・陰性と判定される人数(割合)は変わるが、本当に疾病を有しているかどうか(疾病あり・なし)の事実は変わらない。
3.× 偽陰性率は下がる。なぜなら、敏感度が上がると、疾病がある人を陽性と判定する割合が増えるため。
4.× 陰性者数は減少する。なぜなら、敏感度が上がると、検査の陽性者数が増えるため。

 

 

 

 

 

20 国民健康・栄養調査について正しいのはどれか。

1.血圧値は調査項目である。
2.3日間の食事調査が行われる。
3.調査日の食費は調査項目である。
4.栄養素等摂取量が市区町村別に比較される。

解答

解説

国民健康・栄養調査とは?

国民健康・栄養調査とは、国民の健康状態、生活習慣や栄養素摂取量を把握するための調査である。 毎年、食生活状況、各種身体・血液検査や飲酒、喫煙、運動習慣などを調べており、国における健康増進対策や生活習慣病対策に不可欠な調査となっている。国民健康・栄養調査は、『健康増進法』に基づき、国民の身体の状況、栄養素等摂取状況および生活習慣の状況についての調査で、標本調査により実施される。

1.〇 正しい。血圧値は調査項目である。他にも、身長、体重、血圧血液検査、問診がある。
2.× 食事調査(栄養摂取状況調査)は、3日間ではなく、「調査時期(毎年11月)の任意の1日」の行われる。
3.× 調査日の食費は、調査項目に含まれない。食生活に関する調査項目は、料理名・食品名・使用量・廃棄量と家庭食・外食・給食などの食事状況である。
4.× 栄養素等摂取量(国民健康・栄養調査)は、市区町村別ではなく、都道府県別に比較される。層化無作為抽出による標本調査で実施される。ちなみに、市区町村別の比較が可能なのは、全市町村を対象見とした悉皆調査と標本調査の組み合わせである。

国民健康・栄養調査の調査項目

1)身体状況調査票
ア.身長、体重(満1歳以上)
イ.腹囲(満6歳以上)
ウ.血圧測定(満20歳以上)
エ.血液検査(満20歳以上)
オ.問診<服薬状況、糖尿病の治療の有無、運動>(満20歳以上)

2)栄養摂取状況調査票
満1歳以上の世帯員の食品摂取量、栄養素等摂取量、食事状況(欠食・外食等)、1日の身体活動量(歩数:満20歳以上)

3)生活習慣調査票
満20歳以上が対象。食生活、身体活動・運動、休養(睡眠)、飲酒、喫煙、歯の健康等に関する生活習慣全般を把握。

 

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