第107回(R3) 保健師国家試験 解説【午後26~30】

 

26 A市では、避難行動要支援者名簿の見直しをすることになった。まず、医療依存度の高い難病患者の現在の状況を確認することにした。
 協力を求めるのに最も適切なのはどれか。

1.消防機関
2.自主防災組織
3.地域包括支援センター
4.訪問看護ステーション
5.民生委員児童委員協議会

解答

解説

避難行動要支援者とは?

要配慮者のうち、災害が発生し、または災害が発生する恐れがある場合に自ら避難することが困難なものであって、その円滑かつ迅速な非難の確保を図るため特に支援を要するもの。

1~2.× 消防機関/自主防災組織は優先度は低い。なぜなら、消防機関・自主防災組織は提供された名簿を有するが、要支援者の状況は把握していないため。市町村は、避難行動要支援者本人からの同意を得て、平常時から消防機関や自主防災組織、民生委員などの避難支援者等関係者に情報提供を行う。
3.× 地域包括支援センターは、介護保険法で定められた、地域住民の保健・福祉・医療の向上、虐待防止、介護予防マネジメントなどを総合的に行う機関である。地域包括支援センターは、実態把握などを通して支援が必要な人の名前や住所は把握しているが、難病患者の療養生活の状況までは詳細に把握していない。
4.〇 正しい。訪問看護ステーションは、医療依存度の高い難病患者の現在の状況を確認することへの協力を求めることに最も優先度が高い。訪問看護ステーション(訪問看護)とは、在宅医療の一つで、看護師などが療養を必要とする者の自宅や老人ホームなどの施設を訪問すること。またはその訪問時に行われるサービスのこと。つまり、医療依存度の高い難病患者が安心して療養するためには、訪問看護が欠かせない。避難行動要支援者名簿に登録する際に必要な情報には、名前や住所などの基本情報や病名だけでなく、要介護度、移動能力、医療機器の使用、治療薬などがある。これらの情報を有する訪問看護ステーションの協力を求めることは最も適切である。
5.× 民生委員児童委員協議会とは、地域で平時の見守りや災害発生時の安否確認を担う。ただし、地域には避難行動要支援者として情報提供を拒む要支援者もいるため、協カを求める最も適切な機関ではない。

 

 

 

 

 

27 健康日本21(第二次)で生活習慣病のリスクを高める1日の飲酒量の定義はどれか。
 ただし、日本酒換算で、日本酒1合は純エタノール20g相当とする。

1.男性1合以上、女性0.5 合以上
2.男性2合以上、女性1合以上
3.男性2合以上、女性1.5 合以上
4.男性3合以上、女性1.5 合以上
5.男性3合以上、女性2合以上

解答

解説

健康日本21(第二次)では、飲酒における生活習慣の改善のひとつに「生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している者の割合の減少」が掲げられている。がんや高血圧などの飲酒に関連する健康問題は1日平均飲酒量が多いほどリスクが高まる。健康日本21(第二次)では、「生活習慣病のリスクを高める飲酒量を、1日の平均純アルコール摂取量が男性で40g以上、女性で20g以上」と定義している。エタノールもアルコールも同じものと考える。本問題では、「日本酒換算で日本酒1合は、純エタノール20g相当」とされていることから、男性では2合以上、女性では1合以上が生活習慣病のリスクを高める飲酒量となる。したがって、選択肢2.男性2合以上、女性1合以上が正しい。

 

 

 

 

 

28 従属人口指数はどれか。

1.老年人口÷総人口×100
2.老年人口÷生産年齢人口×100
3.(年少人口+老年人口)÷総人口×100
4.(年少人口+老年人口)÷生産年齢人口×100
5.老年人口÷年少人口袷生産年齢人口)×100

解答

解説
1.「老年人口÷総人口×100」は、老年人口が総人口に占める割合(高齢化率)を示している。
2.「老年人口÷生産年齢人口×100」は、老年人口指数であり生産年齢人口100人が何人の老年人口を支えているかを示している。
3.「(年少人口+老年人口)÷総人口×100」は、総人口における従属人口の割合を示している。年少人口と老年人口の和は従属人口と呼ばれる。
4.〇 正しい。「(年少人口+老年人口)÷生産年齢人口×100」は、従属人口指数である。従属人口指数とは、生産年齢人口における従属人口の割合のことであり、生産年齢人口100人が何人の従属人口を支えているかを示す。
5.「老年人口÷年少人口袷生産年齢人口)×100」は、年少人口と生産年齢人口の和における老年人口の割合を示している。

 

 

 

 

 

29 子育て世代包括支援センターで正しいのはどれか。

1.要保護児童対策地域協議会を設置する。
2.母子保健推進員の配置が定められている。
3.児童福祉法において設置が定められている。
4.妊娠期から子育て期にわたるまでの切れ目のない支援を行う。
5.市町村は子育て世代包括支援センターを設置しなければならない。

解答

解説

子育て世代包括支援センターとは

子育て世代包括支援センターは、妊娠から出産・育児までの切れ目のない包括的な支援を目的に、平成28(2016)年の『母子保健法』改正により設置された。主な事業は,健康診査や家庭訪問などによる相談や保健指導であり,保健師が母子保健コーディネーターとして継続支援の必要な妊産婦や家族をケアすることも多
い。

【子育て世代包括支援センターが行う事業】
・母性・乳幼児の健康の保持増進に関する実情の把握
・母子保健に関する相談への対応
・母性・乳幼児に対する保健指導
・母子保健に関する機関との連絡調整等、健康の保持・増進に関する支援
・健康診査、助産その他の母子保健に関する事業

1.× 要保護児童対策地域協議会を設置するのは、『児童福祉法』である。要保護児童の保護要支援児童や特定妊婦への適切な支援を目的としている。ちなみに、子育て世代包括支援センターは平成28(2016)年の『母子保健法』改正により設置された。
2.× 母子保健推進員の配置は定められていない。子育て世代包括支援センターは、保健師等を1名以上配置することとしている。
3.× 「児童福祉法」ではなく、『母子保健法』において設置が定められている。
4.〇 正しい。妊娠期から子育て期にわたるまでの切れ目のない支援を行う。子育て世代包括支援センターは、母子保健施策と子育て支援施策を一体的に提供する。
5.× 市町村は、子育て世代包括支援センターを設置しなければならない(義務)というわけではなく、「必要に応じ、設置に努めなければならない(努力義務)」である。

 

 

 

 

 

30 特定保健指導の事業評価に用いる項目で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.動機づけ支援の対象者数
2.特定保健指導の中断者数
3.特定健康診査の未受診者数
4.特定保健指導対象者の指導への満足度
5.特定健康診査結果における要医療者の割合

解答2・4

解説

1.× 動機づけ支援の対象者数は、集団間での比較や性・年齢ごとの分析を行い、保健指導の成果を集団という側面から判断するために用いられる項目である。
2.〇 正しい。特定保健指導の中断者数(継続性)は、特定保健指導の事業評価に用いる項目で正しい。なぜなら、事業としての特定保健指導が効果的に実施されていることを評価するプロセス評価に含まれるため。
3.× 特定健康診査の未受診者数は、特定健康診査の事業のプロセスを評価する指標である。
4.〇 正しい。特定保健指導対象者の指導への満足度は、特定保健指導の事業評価に用いる項目で正しい。なぜなら、プログラム内容の適切性や効果といった事業のプロセスを評価する項目であるため。
5.× 特定健康診査結果における要医療者の割合は、集団間の比較や性・年齢別ごとの分析を行い、保健指導の成果を集団という側面から評価するために用いられる項目である。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)