第107回(R3) 保健師国家試験 解説【午前36~40】

 

36 放射線被ばくによる影響で正しいのはどれか。2つ選べ。(※不適切問題:解3つ)

1.肝硬変の原因となる。
2.クラッシュ症候群を起こす。
3.晩発症状として不妊が起こる。
4.早期症状に白血球の減少が起こる。
5.胎児期の被ばくでは精神発達遅滞のリスクが高まる。

解答3・4・5(複数の解答が正解)
理由:3つの選択肢が正解であるため。

解説
1.× 肝硬変を起こすことは少ない。肝硬変の原因の多くは、「B型・C型肝炎、アルコール性肝炎」である。
2.× クラッシュ症候群を起こすことは少ない。クラッシュ症候群は、長時間の圧迫による血流障害後、血流が再開した際、崩壊した筋細胞から血中にカリウムやミオグロビンが漏出し、高カリウム血症による不整脈(心室細動)や高ミオグロビン血症による腎障害が生じるものである。
3.〇 正しい。晩発症状(晩発障害)として不妊が起こる。ただ、不妊の分類は、早期障害または晩期障害で、専門家によって意見が分かれている。
4.〇 正しい。早期症状(早期障害)に白血球の減少が起こる。
5.〇 正しい。胎児期の被ばくでは精神発達遅滞のリスクが高まる。

放射線の人体影響

身体的影響
①早期障害(直後~数週):皮膚の紅斑、皮膚潰瘍、脱毛、白血球減少、不妊 等
②晩発障害(数か月以降):白内障、胎児の障害(奇形)、不妊、白血病、悪性リンパ腫、がん、加齢現象

遺伝的影響:染色体異常(突然変異)等

 

 

 

 

 

37 衛生管理者について正しいのはどれか。2つ選べ。

1.国家資格である。
2.労働安全衛生法に規定されている。
3.安全に関する技術的事項を管理する。
4.作業者の健康障害を防止するための作業指揮を行う。
5.常時100人以上の労働者を使用する事業場は専任とする。

解答1・2

解説

衛生管理者とは?

「労働安全衛生法」では、事業者は安全衛生管理体制を整備することが義務づけられており、それぞれの事業規模に応じた①衛生管理者、②総括安全衛生管理者などを選任しなければならない。

①衛生管理者
職場の衛生にかかわる技術的事項の管理を行う。少なくとも毎週1回作業場の巡視を行い、設備、作業方法または衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに健康障害防止措置を講じなければならない。

②総括安全衛生管理者
安全管理者、衛生管理者を指揮し、安全・衛生・健康・事故防止などの統括管理を行う。その事業場で統括管理する者(工場長、支店長 等)を充てなければならない。

1~2.〇 正しい。衛生管理者は、国家資格で、「労働安全衛生法」に規定されている。事業者は、一定の規模以上の事業場ごとに、業務の区分に応じて衛生管理者を選任し、衛生に関する技術的事項を管理させる義務がある。
3.× 安全に関する技術的事項を管理するのは、安全管理者の役割である。ただし、総括安全衛生管理者の指示のもと行う必要がある。
4.× 作業者の健康障害を防止するための作業指揮を行うのは、作業主任者の役割である。労働災害を防止するための管理を必要とする一定の作業について、その作業区分に応じて選任が義務づけられている。
5.× 常時100人以上ではなく、常時50人以上(業種を問わず)の労働者を使用する事業場は専任とする。

 

 

 

 

 

38 保健師が行う事例管理はどれか。2つ選べ。

1.継続的な支援が終了した家庭訪問記録を定められた期間保存する。
2.精神疾患を有する妊婦の支援方法について精神科医に相談する。
3.退院後の支援体制構築のため入院中にケア会議を開催する。
4.介護支援専門員への情報提供について本人の同意を得る。
5.運動習慣啓発のためのシンポジウムを開催する。

解答2・3

解説

事例管理は、個々の事例のケアから始まり、それを地域の問題としてとらえ、ダイナミックな活動を展開する。つまり、保健師の事例管理の目的は、「対象者の支援」である。

1.× 継続的な支援が終了した家庭訪問記録を定められた期間保存するのは、情報管理である。
2.〇 正しい。精神疾患を有する妊婦の支援方法について精神科医に相談するのは、事例管理である。精神疾患を有する妊婦の疾患や治療について精神科医に相談することは多職種連携のー環である。
3.〇 正しい。退院後の支援体制構築のため入院中にケア会議を開催するのは、事例管理である。退院後の支援体制は、対象者主体の地域包括ケアの推進のためにも、入院中にケア会議を開催する。
4.× 介護支援専門員への情報提供について本人の同意を得るのは、個人情報管理である。
5.× 運動習慣啓発のためのシンポジウムを開催するのは、地区管理である。集団に対する健康教育である。

保健師に求められる看護管理機能

①事例管理:個々の事例のケアから始まり、それを地域の問題としてとらえ、ダイナミックな活動を展開する。
②地区管理:地域のニーズや課題から地域診断を行い、住民と協働した施策化を行う。
③事業・業務管理:地方自治体の上位計画や組織目標に基づく、事業計画策定や進行管理を行い、評価結果を次年度の計画等へ反映させる。
④組織運営管理:組織理念・目標や地域の課題を共有して組織としての方針を決定し、業務の効率化を高めながら組織体制を機能させる。
⑤予算編成:予算の仕組みを把握し、事業企画に伴う予算編成を行う。
⑥予算管理:新たな政策や人材確保等のための予算獲得および適切な執行と評価を行い、予算面から公衆衛生看護活動を担保する。
⑦人材育成:保健師の育成過程に応じて、中・長期的な研修計画および生涯学習企画と実施を行い、実践報告を評価する。
⑧人事管理:組織の目標を達成するため、組織に必要な保健師人員数を確保し、職員を計画的に適材適所へ配置するとともに、人事評価を行う。
⑨情報管理:地域の実態を把握するための情報収集・分析や正確な情報伝達のための体制整備、マスコミ対応、個人情報への配慮を行う。
⑩健康危機管理:危機発生を予測し,住民と協働する健康危機管理の体制づくり全般を行う。

 

 

 

 

 

39 市町村保健師が実施する保健サービスで保健師が知り得た秘密を漏らしてはならないことについて規定している法律はどれか。2つ選べ。

1.母子保健法
2.地域保健法
3.地方公務員法
4.保健師助産師看護師法
5.次世代育成支援対策推進法

解答3・4

解説
1.× 母子保健法は、母性・乳幼児の健康の保持・増進を図ることを目的とした法律である。乳幼児の健康診査・妊娠の届出・母子健康手帳・産後ケア事業・養育医療などを規定している。
2.× 地域保健法は、地域保健対策の総合的な推進の確保、地域住民の健康の保持増進を図るための法律である。保健所や市町村保健センターの設置や業務内容などを規定している。
3.〇 正しい。地方公務員法とは、地方公務員の職、任免、服務、労働関係など、地方公務員の身分取扱に関する基本的な事項を定めた法律である。職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならないとされている。市町村保健師は、地方公務員である。
4.〇 正しい。保健師助産師看護師法(保助看法)は、保健師・助産師および看護師の資質を向上し、もって医療および公衆衛生の普及向上を図ることを目的とする日本の法律である。保健師・看護師または准看護師は、正当な理由がなく、職務上知り得た人の秘密を漏らしてはならないとされている。ちなみに、看護者の倫理網領でも守秘義務に関する事項が記載されている。
5.× 次世代育成支援対策推進法は、次世代育成支援対策を迅速かつ重点的に衛推進するための法律である。都道府県・市町村の行動計画、一般事業主の行動計画を次世代育成支援対策推進センターなどを規定している。

 

 

 

 

 

40 人口10万人のA市におけるある年度の死亡数は1,000 人であった。悪性新生物の罹患数は300人であり、その死亡数は200 人であった。
 死亡に占める悪性新生物の相対頻度を求めよ。
 ただし、小数点以下の数値が得られた場合には、小数点以下第1位を四捨五入すること。
  解答: ① ② %
   ①:0~9
   ②:0~9

 

解答2・0

解説

相対頻度とは?

相対頻度とは、いくつかのカテゴリーにおけるそれぞれの度数(データ数)が全体に占める割合の大きさを示すものである。

死亡に占める悪性新生物の相対頻度は求める。

悪性新生物の死亡数 ÷ 全死亡数 × 100

= 200人 ÷ 1000人 × 100

= 20(%)

 

 

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