第107回(R3) 保健師国家試験 解説【午後41~45】

 

次の文を読み39〜41の問いに答えよ。
 Aさん(80歳、男性)。1人暮らし。自宅で転倒し、腰椎圧迫骨折の治療のために1か月間入院し、自宅に退院した。退院後は整形外科に定期的に通院している。要介護認定を申請し要支援1と認定されたが、介護保険サービスは利用していない。自宅は団地で4階建ての3階に居住しておりエレベーターはない。Aさんの退院から1か月後、団地の担当民生委員からAさんの状態について、地域包括支援センターの保健師に相談があった。入院前、Aさんは団地の集会所で行われている高齢者サロンによく参加していたが、退院後は来ることが少なくなったという。高齢者サロンの参加者に聞くと「Aさんが、病院には通っているがサロンに行くのは億劫だ、と言っていた」とのことであった。

41 保健師は団地の民生委員から「団地の高齢者は、Aさん以外にも転倒をきっかけに、階段昇降が困難になる高齢者が多い」との相談を受け、集会所で行われている高齢者サロンの場で転倒予防の取り組みを行うこととした。
 この取り組みに活用できる事業で適切なのはどれか。

1.地域生活支援事業
2.日常生活自立支援事業
3.在宅医療・介護連携推進事業
4.地域リハビリテーション活動支援事業

解答

解説
1.× 地域生活支援事業は、転倒予防の取り組みには活用できない。地域生活支援事業は、障害をもつ人が自立した日常生活、社会生活を営むことを目標に、地域の特性や利用者の状況に応じて実施される事業である。
2.× 日常生活自立支援事業は、転倒予防の取り組みには活用できない。日常生活自立支援事業は、認知症高齢者・知的障害者・精神障害者等により判断能カが不十分な対象者が地域において自立した生活が送れることを目的に、福祉サービスの利用援助等を行う事業である。
3.× 在宅医療・介護連携推進事業は、転倒予防の取り組みには活用できない。在宅医療・介護連携推進事業は、医療と介護の両方を必要とする高齢者が住み慣れた地域での生活を継続できるよう、包括的かつ継続的な在宅医療・介護を提供することを目的とした事業である。
4.〇 正しい。地域リハビリテーション活動支援事業は、転倒予防の取り組みには活用できる。地域リハビリテーション活動支援事業は、一般介護予防事業のひとつである。地域における介護予防機能を強化するために、通所・訪問地域ケア会議・サービス担当者会議・住民運営の通いの場等へのリハビリテーション専門職等の関与を促進する事業である。高齢者サロンはこのうちの通いの場に相当し、保健師等専門職がかかわる事業として活用可能である。

 

 

 

 

 

次の文を読み42〜44の問いに答えよ。
 Aちゃん(2歳、男児)。出生体重2,800g。先天性疾患により出生直後から呼吸管理、経管栄養が必要であったが、成長とともに状態が安定し、2週後に退院することとなった。現在、呼吸状態は問題ないが、経管栄養は今後も継続して行うため、両親は必要な手技を習得中である。発語は1、2語あり、最近自立歩行を始めたところである。
 家族は両親と兄(5歳)である。両親は共働きで、母親は自宅近くでパートタイムの仕事をしており、兄は市の保育所に通っている。退院にあたり、今後の生活について母親から市の障害福祉課に相談があり、担当保健師が家庭訪問を行った。

42 Aちゃんが現在利用することが可能なサービスはどれか。2つ選べ。(※不適切問題:解1つ)

1.日常生活用具給付等事業
2.養育支援訪問事業
3.児童発達支援事業
4.保育所等訪問支援
5.児童扶養手当

解答 なし(採点対象外)
理由:選択肢において正解を得ることが困難なため

解説
1.× 日常生活用具給付等事業は、障害者等の日常生活がより円滑に行われるための用具を給付または貸与することにより、福祉の増進に資することを目的とした事業である。ほとんどが身体障害者手帳を取得している者や難病患者が対象であるため、Aちゃんが利用できるものではない。
2.× 養育支援訪問事業は、乳児家庭全戸訪問事業の実施その他により把握した要支援児童および特定妊婦等に対し養育に関する相談・指導・助言その他必要な支援を行う。Aちゃんは乳児家庭全戸訪問事業などの母子保健事業を通じて把握した要支援児童にあてはまらない。
3.〇 正しい。Aちゃんの発語や歩行の状況から、児童発達支援事業を利用できる。児童発達支援事業は、障害児に対し、児童発達支援センター等において、日常生活における基本的な動作の指導・知識技能の付与・集団生活への適応訓練その他の便宜を提供するものである。
4.× 保育所等訪問支援は、保育所等に通う障害のある児童について、通い先の施設等を訪問し、障害のある児童および保育所等のスタッフに対し集団生活に適応するための専門的な支援や支援方法等の指導等を行うものである。Aちゃんは保育所に通っていない。
5.× 児童扶養手当は、ひとり親家庭の生活の安定と自立を助け、児童の健全育成を図ることを目的としている。父子・母子家庭の父または母や、父母にかわってその児童を養育している者に対して支給される。Aちゃんは両親と暮らしているため、利用することができない。

 

 

 

 

 

次の文を読み42〜44の問いに答えよ。
 Aちゃん(2歳、男児)。出生体重2,800g。先天性疾患により出生直後から呼吸管理、経管栄養が必要であったが、成長とともに状態が安定し、2週後に退院することとなった。現在、呼吸状態は問題ないが、経管栄養は今後も継続して行うため、両親は必要な手技を習得中である。発語は1、2語あり、最近自立歩行を始めたところである。
 家族は両親と兄(5歳)である。両親は共働きで、母親は自宅近くでパートタイムの仕事をしており、兄は市の保育所に通っている。退院にあたり、今後の生活について母親から市の障害福祉課に相談があり、担当保健師が家庭訪問を行った。

43 母親は「兄が保育所で毎日とても楽しく過ごしているので、Aにも同じように他の子どもたちと一緒にいろいろな経験をさせたいと思っています。Aを保育所に入所させることはできるでしょうか」と話した。
 この母親の思いを支援する上で基盤となる概念として適切なのはどれか。

1.コミュニティオーガニゼーション
2.ピアエデュケーション
3.グローバリゼーション
4.インクルージョン

解答

解説
1.× コミュニティオーガニゼーションとは、地域の課題に対して、住民が社会資源を開発・利用しながら主体的・組織的に解決できるよう支援する過程を指す。つまり、個人へのアプローチでは解決せず、地域に共通して存在する課題に対して行われる手法である。
2.× ピアエデュケーションとは、あるテーマについて正しい知識・スキル・行動を同世代の仲問で共有する健康教育である。
3.× グローバリゼーションとは、①情報通信技術の進展、②交通手段の発達による移動の容易化、③市場の国際的な開放などにより、人・物材・情報の国際的移動が活性化して、さまざまな分野で国境の意義があいまいになることである。また、各国が相互に依存し、他国や国際社会の動向を無視できなくなっている現象のこともいう。
4.〇 正しい。インクルージョン(障害者の地域社会への参加・包容)は、母親の思いを支援する上で基盤となる概念として適切である。インクルージョンとは、障害者の地域社会への参加・包容を意味する。障害のある子どもへの支援にあたっては、可能な限り地域の保育、教育等の支援を受けられるようにするとともに、同年代の子どもとの仲間づくりを図っていくことが求められている。

 

 

 

 

 

次の文を読み42〜44の問いに答えよ。
 Aちゃん(2歳、男児)。出生体重2,800g。先天性疾患により出生直後から呼吸管理、経管栄養が必要であったが、成長とともに状態が安定し、2週後に退院することとなった。現在、呼吸状態は問題ないが、経管栄養は今後も継続して行うため、両親は必要な手技を習得中である。発語は1、2語あり、最近自立歩行を始めたところである。
 家族は両親と兄(5歳)である。両親は共働きで、母親は自宅近くでパートタイムの仕事をしており、兄は市の保育所に通っている。退院にあたり、今後の生活について母親から市の障害福祉課に相談があり、担当保健師が家庭訪問を行った。

44 保育所への入所を希望している母親に対する保健師の説明で適切なのはどれか。

1.「経管栄養を行う看護師の配置を市で検討します」
2.「身体障害者手帳を取得していることが必要です」
3.「保護者が保育所に付き添うことが必要です」
4.「障害児福祉施設の通所が適しています」

解答

解説
1.〇 正しい。Aちゃんは経管栄養が必要であることから、「経管栄養を行う看護師の配置を市で検討します」は、保育所への入所を希望している母親に対する保健師の説明で適切である。保育の提供主体となる市区町村は、医療的ケアを必要とする児童も保育が必要な場合には必要な配慮のもとに、他の児童と等しく保育を受けることができるようにすることを目指すことが求められる。
2.× 「身体障害者手帳を取得していることが必要です」:保育所に入所する要件として、身体障害者手帳の取得は含まれない
3.× 「保護者が保育所に付き添うことが必要です」:医療的ケア児においても他の児と同様、付き添いは不要である。市町村は、医療的ケア児の保護者が医療的ケアが必要なことを理由に就労できないようなことがないよう、受け入れを検討することが求められている。
4.× 「障害児福祉施設の通所が適しています」:母親は保育所への入所を希望しているため、その可否を検討せずに障害児福祉施設の通所が適していると伝えることは適切でない。

医療的ケア児とは?

医療的ケア児とは、医学の進歩を背景として、新生児集中治療室(NICU)などに長期入院した後、引き続き人工呼吸器や胃ろうを使用し、たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアが日常的に必要な児童のことである。

 

 

 

 

 

次の文を読み45〜47の問いに答えよ。
 建設業のA社は、毎年ストレスチェックを従業員に実施している。会社全体の健康リスクの評価において、多くの従業員が高ストレスに該当した。A社の保健師が部門ごとに分析したところ、設計部は他の部署より高ストレスの該当者の割合が高かった。

45 高ストレスの該当者への保健師の対応で適切なのはどれか。

1.医師との面接の案内を送付する。
2.職務上の配慮を人事部に提案する。
3.該当者を集めてセルフケア研修を開催する。
4.管理者に、該当者が記入したストレスチェック票を渡す。

解答

解説

ストレスチェック制度

ストレスチェック制度は、労働者に対して行う心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)や、検査結果に基づく医師による面接指導の実施などを事業者に義務づける制度である。平成26(2014)年6月の法改正で、労働者50人以上の事業所で毎年1回、すべての労働者に対してストレスチェックを実施することが義務づけられた。

1.〇 正しい。医師との面接の案内を送付する。ストレスチェックの実施者は、医師保健師などである。面接指導の対象者に対しては、事業者への面接指導の申出窓口・申出方法などを通知する。
2.× 職務上の配慮を人事部に提案する優先度は低い。なぜなら、この段階では、ストレスの原因が職務上起きたものとは言い切れないため。職務上の配慮の提案は、医師との面接後、必要に応じて行われる。なお、面接指導の結果に基づき就業上の措置を行う場合は、話し合いを通じて労働者からの了解が得られるように努め、労働者の不利益にならないよう留意する。
3.× 該当者を集めてセルフケア研修を開催する優先度は低い。なぜなら、労働者のプライバシーの保護に配慮する必要があるため。
4.× 管理者に、該当者が記入したストレスチェック票を渡す優先度は低い。なぜなら、ストレスチェックの結果は、実施者から直接労働者本人に通知されるため。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)