第107回(R3) 保健師国家試験 解説【午前51~55】

 

次の文を読み50、51の問いに答えよ。
 Aさん(52歳、女性)。1人暮らし。5年前に仕事を解雇されて以降、自宅に引きこもっている。母親は2年前に他界し、その頃より「外出するとストーカーに追われる」「赤外線で狙われて怖い」と他県に住む姉に訴えるようになった。姉が受診を勧めたが「私は病気じゃない」と言う。
 Aさんは、3日前に隣人宅に来た郵便配達員を見て「お前がストーカーだな」と隣人宅に怒鳴り込み、警察に通報された。

51 その後、Aさんは統合失調症と診断され入院した。徐々に症状も落ち着き、2か月後には退院が決まったが「外出するとストーカーに追われないか心配です」と話した。退院に向け、病院の相談員から保健師に相談があった。保健師は退院後の生活について、Aさんを含めたケア会議を開催することとした。
 Aさんにケア会議の出席者として提案する者で適切なのはどれか。

1.隣人
2.警察官
3.公共職業安定所の相談員
4.訪問看護ステーションの看護師
5.地域生活定着支援センターの職員

解答

解説
1.× 隣人は優先度は低い。なぜなら、Aさんの個人情報保護の観点を重視する必要があるため。
2.× 警察官は優先度は低い。なぜなら、ストーカーに関する発言は、統合失調症の陽性症状に関連している可能性が高いため。
3.× 公共職業安定所の相談員は優先度は低い。なぜなら、就労支援は、退院後に生活が落ち着いた時点で主治医や本人の意向を確認しながら進める必要があるため。
4.〇 正しい。訪問看護ステーションの看護師は、Aさんにケア会議の出席者として提案する者で適切である。なぜなら、退院後のAさんの症状管理・服薬管理の支援や日常生活の支援など、定期的な看護の導入のため。
5.× 地域生活定着支援センターの職員は優先度は低い。なぜなら、地域生活定着支援センターは、高齢または障害により支援を必要とする矯正施設(刑務所、少年院等)の退所者に対して支援を行う機関であるため。つまり、Aさんは対象者ではない。

 

 

 

 

 

次の文を読み52、53の問いに答えよ。
 A市B地区。県庁所在地のベッドタウンであり市外に通勤・通学する者が多く居住している地区である。B地区の1990年から2018年までの人口と高齢者人口に関するグラフを示す。

52 B地区の高齢者について正しいのはどれか。

1.1990年の老年人口割合は2018年より高い。
2.2000年には前期高齢者人口が人口の30%を超えた。
3.2015年の高齢者人口における後期高齢者の占める割合はおよそ20 %である。
4.2018年の高齢化率は全国の高齢化率よりも高い。

解答

解説
1.× 1990年の老年人口割合は2018年より、高いのではなく低い。老年人口割合(%)は、『老年人口 ÷ 総人口 × 100』で求めることができる。1990年が「600 ÷ 6200 × 100 = 9.7%」、2018年が「1200 ÷ 6000 × 100 = 20%」である。
2.× 2000年には前期高齢者人口が、人口の30%以上ではなく、9.6%である。2000年の人口6250人のうち、前期高齢者は約600人である。したがって、前期高齢者の占める割合は、「600 ÷ 6250 × 100 = 9.6%」である。
3.〇 正しい。2015年の高齢者人口における後期高齢者の占める割合は、およそ20%である。2015年の高齢者人口1000人のうち後期高齢者は約200人である。したがって、後期高齢者が占める割合は、「200 ÷ 1000 × 100 = 20%」である。
4.× 2018年の高齢化率は、全国の高齢化率よりも高いのではなく低い。高齢化率の求め方は、老年人口割合と同様である。B地区の高齢化率は、約20%である。2018年の全国における高齢化率は28.1%総務省統計局:平成30年10月1日現在人口推計)。

 

 

 

 

 

 

次の文を読み52、53の問いに答えよ。
 A市B地区。県庁所在地のベッドタウンであり市外に通勤・通学する者が多く居住している地区である。B地区の1990年から2018年までの人口と高齢者人口に関するグラフを示す。

53 A市のB 地区を担当する保健師は、地区住民の自治会加入率が減少しており、自治会が主催している高齢者サロンの参加者が減っていることが気になっていた。そこで地域包括支援センターと協働し、サロンの活性化とともにB地区全体の地区組織活動の促進につなげていくことができないか検討していくことにした。
 保健師が最初に取り組むこととして最も適切なのはどれか。

1.サロンのチラシを住民に配布する。
2.サロンと地域の子ども会との交流会を企画する。
3.サロン及び自治会の担当者と話し合う場を設定する。
4.自治会と一緒に住民向けの介護予防の講演会を開催する。

解答

解説

地区組織活動とは?

地区組織活動とは、住民自らが組織的に地域の健康課題を解決していけるように、住民のもつ力を引き出し、支援する活動である。

1~2.4.× サロンのチラシを住民に配布する。/サロンと地域の子ども会との交流会を企画する。/自治会と一緒に住民向けの介護予防の講演会を開催する。これらの選択肢は、対象が限定的かつ、目的に効果的に働かないため優先度が低い
3.〇 正しい。サロン及び自治会の担当者と話し合う場を設定する。なぜなら、保健師が最初に取り組むこととしてサロンを運営する自治会が、課題を明確にして解決策討するため。

 

 

 

 

 

次の文を読み54、55の問いに答えよ。
 人口2万人のA市。高齢化率が34.7%で、高齢者福祉計画では「高齢者が安心・安全に暮らせるまちづくり」を目標に掲げている。A市の高齢者対策を担当するのは高齢福祉課、市直営の地域包括支援センターと社会福祉協議会であり、実務担当者が参加する地域ケア会議は毎月開催している。A市では、認知症高齢者の増加と徘徊などの問題が増えている。

54 A市の課題に対する地域包括支援センターの取り組みで、優先するのはどれか。

1.地域ケア会議に参加する関係者を増やす。
2.認知症高齢者の見守り体制を強化する。
3.高齢者の健康増進対策を推進する。
4.介護予防事業を拡大する。

解答

解説
1.× 地域ケア会議に参加する関係者を増やすのは優先度は低い。なぜなら、地域ケア会議は、個々の介護予防に関するマネジメントを行う会議であるため。
2.〇 正しい。認知症高齢者の見守り体制を強化するのは優先度が最も高い。なぜなら、A市の課題は、認知症高齢者の増加と徘徊対策であるため。
3.× 高齢者の健康増進対策を推進するのは優先度は低い。なぜなら、高齢者の健康増進対策は、認知症予防の観点からは必要であるが、徘徊対策にはつながりにくいため。
4.× 介護予防事業を拡大するのは優先度は低い。なぜなら、介護予防事業には認知症予防の事業も含まれるが、A市の課題は認知症高齢おける者の増加と徘徊という発症後の対策が必要であるため。

 

 

 

 

 

次の文を読み54、55の問いに答えよ。
 人口2万人のA市。高齢化率が34.7% で、高齢者福祉計画では「高齢者が安心・安全に暮らせるまちづくり」を目標に掲げている。A市の高齢者対策を担当するのは高齢福祉課、市直営の地域包括支援センターと社会福祉協議会であり、実務担当者が参加する地域ケア会議は毎月開催している。A市では、認知症高齢者の増加と徘徊などの問題が増えている。

55 A市は、今年度から、住民が携帯電話から登録できる「安心・安全ネット」を導入した。このシステムでは災害情報、行方不明者の情報、不審者・空き巣の発生など多様な情報を発信できる。システム始動から半年、「安心・安全ネット」の登録者は住民の約2割で、毎日メールが配信され、認知症高齢者を探している内容が多かった。
 行方不明になった認知症高齢者を保護するためにA市が取り組む事業で適切なのはどれか。2つ選べ。

1.認知症予防教室を開催する。
2.認知症の家族会を立ち上げる。
3.広報誌に「安心・安全ネット」の登録方法を掲載する。
4.認知症高齢者を発見したときの連絡先をポスターで掲示する。
5.高齢者にMini-Mental State Examinations(MMSE)の質問紙を郵送する。

解答3・4

解説
1.× 認知症予防教室を開催する必要はない。なぜなら、認知症予防教室は、認知症の予防を目的とした教室であるため。
2.× 認知症の家族会を立ち上げる必要はない。なぜなら、認知症の家族会の主な目的は、介護者間の交流や情報取得・交換であるため。
3.〇 正しい。広報誌に「安心・安全ネット」の登録方法を掲載する。「安心・安全ネット」の登録は住民の2割にとどまっている。そもそも「安心・安全ネット」を知らない層や、登録方法が分からない層にも伝わる。また、行方不明の情報を住民に周知するためには、広報誌に登録方法を掲載し、より多くの住民に登録してもらう必要がある。
4.〇 正しい。認知症高齢者を発見したときの連絡先をポスターで掲示する。なぜなら、「安心・安全ネット」の登録が住民の2割にとどまっている状況から、「安心・安全ネット」のシステム自体の運用は難しい可能性がある。それ以外にも、未登録の住民が認知症高齢者を発見した際に、連絡先がわかるようにする対応は必要である。
5.× 高齢者にMini-Mental State Examinations(MMSE)の質問紙を郵送する必要はない。なぜなら、行方不明になった認知症高齢者の保護にはつながらないため。Mini-Mental State Examinations(MMSE)は、認知機能を評価する検査のひとつであり、質問紙を送付することは、認知症の早期発見になる。

 

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