第107回(R3) 保健師国家試験 解説【午後6~10】

 

6 市では母子保健推進員が未就学児を対象とした遊びの会を実施している。参加している数名の母親から「自主グループとして活動したいがどうすればよいのか」と相談があった。
 母親への保健師の助言で適切なのはどれか。

1.「最初に会則を決定してください」
2.「自主グループ参加希望者の名簿を提出してください」
3.「自主グループの代表者は母子保健推進員にしてください」
4.「自主グループ参加希望者でグループの目標を話し合ってください」

解答

解説
1.× 会則の決定は、開始期の支援である。参加希望者が活動目標を検討したあとに行う。
2.× 自主グループ参加希望者の名簿の提出は、開始期の支援である。名簿を作成するのは、参加希望者が活動目標を検討したあとに行う。
3.× 自主グループの代表者は、母子保健推進員ではなく、グループメンバーが主体的に選出するのが望ましい。なぜなら、メンバーの自主性・主体性を大切にするため。
4.〇 正しい。「自主グループ参加希望者でグループの目標を話し合ってください」と伝えることは、母親への保健師の助言で適切である。自主グループの準備期には、①参加者のニーズや課題、グループ活動に期待していることを明確化するために、参加希望者で活動の目標を共有できるような支援が必要である。

 

詳しくまとめました。参考にしてください。

【保健師国家試験】グループの発達段階と主要課題について完全解説

 

 

 

 

 

7 生活習慣病予防の栄養教室の運営方法で適切なのはどれか。

1.グループワークを用いて運営する。
2.参加者がお互い競争するよう促す。
3.参加者に連絡先の交換をするように促す。
4.発言の多い参加者をリーダーに指名する。

解答

解説

1.〇 正しい。グループワークを用いて運営する。生活習慣病予防の栄養教室の目的は、参加者のセルフケア能力の向上である。そのためには、参加者が生活習慣病予防のための食生活に関する知識や技術を習得でき主体的に健康行動を実践できる健康教室の運営方法が望ましい。グループワークを通じて参加者同士が話し合いや共同作業を行うことにより、グループダイナミクスが生まれ、学びが促進されるとともに行動への欲が高められる。ちなみに、グループダイナミクスとは、人間の意識や行動は、所属するグループの力による影響や支配を受けるという集団理論(集団力学あるいは社会力学)のことをいう。個人・個人間・環境の3要素から構成され、相互に影響し合いグループ全体の方向性を決定づける。グループメンバーは、グループダイナミクスにより「相互に癒し合うこと」、「相互に学び合うこと」、「相互に新しい挑戦や創造的活動に向かう意志が生じること」という効果を得る。
2.× 参加者がお互い競争するよう促す必要はない。なぜなら、参加者間での優劣意識を生じさせることにつながり、「他の参加者に勝つこと」が教室参加の目的にすり替わってしまう危険があるため。
3.× 参加者に連絡先の交換をするように促す必要はない。なぜなら、連絡先は参加者の個人情報であり、運営側が交換を促すことはできないため。ただし、栄養教室実施後に参加者同士が自発的に連絡を取り合い、情報交換を行うことは健康行動を継続するうえで効果的ではある。
4.× 発言の多い参加者をリーダーに指名する必要はない。なぜなら、発言が多い参加者がリーダーに適しているとは限らないため。むしろ、リーダーばかりが発言することによりメンバー同士のコミュニケーションが減少する可能性もある。

 

 

 

 

 

8 A地区の人口静態をアセスメントする方法で、適切なのはどれか。

1.統計資料の二次活用
2.社会調査
3.地区踏査
4.分析疫学

解答

解説

人口静態とは?

人口静態とは、特定の時点(瞬間的断面)における人口や世帯の状態を指す。日本における人口静態統計は5年ごとに行われる国勢調査によって得られる。

1.〇 正しい。統計資料の二次活用することは、A地区の人口静態をアセスメントする方法として適切である。A地区に住んでいる総人口と属性を把握する国勢調査などの統計資料を二次活用(原作品・原論文・原資料などを引用・転載・コピーするなどして利用すること。)する。
2.× 社会調査とは、社会や集団における事象を、データの収集・集計・分析のプロセスを経て明らかにするものである。調査目的に沿った調査項目が設定されるのがる。
3.× 地区踏査とは、地域へ出向き、地域の環境や人々の様子を観察することである。
4.× 分析疫学とは、記述疫学などで立てた仮説を検証する方法で、コホート研究や症例対象研究などがある。

 

 

 

 

 

9 地域保健活動におけるソーシャルキャピタルの説明で正しいのはどれか。

1.集団全体の広いリスクを対象とした支援対策である。
2.住民が主体的に活動できるよう支援することである。
3.地域の人々の社会的な結びつきに関する資本である。
4.個人の認識に働きかけて行動変容を促すモデルである。

解答

解説

ソーシャルキャビタルとは?

ソーシャルキャビタルとは、地域の健康課題解決のための資源のことである。ソーシャルキャピタルが醸成されることで高まる地域の力を考えることが重要である。人々の協調行動が活発化することにより社会の効率性を高めることができるという考え方のもとで、社会の信頼関係、規範、ネットワークといった社会組織の重要性を説く概念である。

1.× 集団全体の広いリスクを対象とした支援対策は、ポピュレーションアプローチである。
2.× 住民が主体的に活動できるよう支援する概念は、ヘルスプロモーションもしくはコミュニティ・エンパワメントである。
3.〇 正しい。地域の人々の社会的な結びつきに関する資本であることは、地域保健活動におけるソーシャルキャピタルの説明で正しい。ソーシャルキャピタル(社会関係資本)とは、醸成されると地域の人々の結び付きが強まり、健康課題を解決するための効果的な地域づくつりにつながるとされている。
4.× 個人の認識に働きかけて行動変容を促すモデルは、ヘルス・ビリーフ・モデルである。

 

 

 

 

 

10 A市の介護保険計画は、現在3年計画のうち2年目に入ったところである。
 今年度担当になった保健師が最初に行う活動として適切なのはどれか。

1.A 市の高齢者にニーズ調査を行う。
2.前年度の活動の評価結果を確認する。
3.実施する事業のマニュアルを作成する。
4.介護保険計画のパブリックコメントを募集する。

解答

解説

1.× A 市の高齢者にニーズ調査を行うのは、3年計画の初年度に実施する活動である。
2.〇 正しい。前年度の活動の評価結果を確認するのは、今年度担当になった保健師が最初に行う活動として適切である。なぜなら、そうすることで前年度の活動の評価結果から現状分析を行ったうえで、新年度のA市の介護保険計画を立案できるため。
3.× 実施する事業のマニュアルを作成するのは、最初に行う活動ではない。なぜなら、2年目に実施する事業が確定したのちに作成されるため。
4.× 介護保険計画のパブリックコメントを募集するのは、最初に行う活動ではない。パブリックコメントとは、公的な機関が規則あるいは命令などの類のものを制定しようとするときに、広く公に、意見・情報・改善案などを求める手続きをいう。パブリックコメントは、前年度の活動の評価結果および2年目の計画素案をあらかじめ提示し、市民の意見を広く募集することで有効となる。

 

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