第107回(H30) 看護師国家試験 解説【午前111~115】

 

次の文を読み109〜111の問いに答えよ。
 Aさん(76歳、女性)は、長女(46歳、会社員)との2人暮らし。Aさんは5年前に2型糖尿病と診断された。1年前から血糖測定とインスリン自己注射を朝1回行っている。炊事は主にAさんが担当している。Aさんは、長女の帰宅に合わせて夕食を摂るため、夕食時間にばらつきがある。定期の外来受診時にAさんは「時々汗が出て手が震えることがあります」と外来看護師に相談した。Aさんのバイタルサインは、体温36.4℃、脈拍74/分、血圧128/80mmHg。身長154cm、体重68kg である。

111  6か月後の外来受診時に、同席していた長女が「甘い物ばかり食べる母を叱ってしまいます」と外来看護師に話した。Aさんは黙って話を聞いていた。前回の受診から低血糖症状はなく、体重は3kg増加した。Aさんは日中テレビを観て過ごしていることが多い。
 外来看護師が別室で長女に提案する内容で最も適切なのはどれか。

1.「糖尿病食の作り方を覚えましょう」
2.「厳しいことを言わないようにしましょう」
3.「甘い物をAさんから見えない場所に置きましょう」
4.「甘い物を食べてしまうAさんの気持ちを聞いてみましょう」

解答4

解説

1.× 「糖尿病食の作り方を覚えましょう」・・・糖尿病食の作り方を覚えることも大切である。しかし、問題文でいう「甘い物」は既製品で間食の可能性もある。また、炊事は主にAさんが担当している点からも、長女に作り方を提案する優先度は低い。
2.× 「厳しいことを言わないようにしましょう」・・・長女が食事について厳しいことを言ってしまう双方の気持ちも受容する必要がある。厳しい口調は逆効果になることもあるので不適切である。
3.× 「甘い物をAさんから見えない場所に置きましょう」・・・甘い物を見えない場所に置いても、隠れ食いなどをしてしまうことがある。自己管理を促す提案が適切である。
4.〇 正しい。「甘い物を食べてしまうAさんの気持ちを聞いてみましょう」・・・まずはAさん本人の気持ちを傾聴、共感し、Aさん親子の意思疎通を図りつつ改善案を考えることが大切である。

 

 

 

 

 

次の文を読み112〜114の問いに答えよ。
 Aさん(38歳、男性)。23時ころ、徒歩で来院した。Aさんは胸を押さえ苦しそうに待合室で座っており、救急外来の看護師が声をかけると、Aさんは日本語を少し話すことができ、外出中に急に胸が痛くなったと話した。Aさんは英語は話せないようだった。Aさんは日本語学校の学生であり、Aさんの指定した番号に電話したところ、Aさんの妻につながり、日本語でのコミュニケーションが可能であった。
 妻は1時間後に病院に到着できるということだった。この病院には、夜間にAさんの母国語を話せる職員はいなかった。

112 医師の診察までに救急外来の看護師が行う対応として適切なのはどれか。

1.Aさんの在留資格を確認する。
2.Aさんの母国の大使館に連絡する。
3.Aさんの理解度に応じた日本語で症状を聴取する。
4.妻が来院するまでAさんに待合室で待ってもらう。

解答3

解説

 言葉によるコミュニケーションが不十分な場合にはなおさら、問診やフィジカルアセスメントの技術を用いて、より多くの情報を本人から得るよう努力する。

1.× Aさんの在留資格を確認するのは優先度が低い。なぜなら、患者の状態によっては緊急の対応が必要になる可能性もあるため。
2.× Aさんの母国の大使館に連絡してはならない。なぜなら、守秘義務の観点から患者の個人情報を第三者に開示してはいけないため。
3.〇 正しい。Aさんの理解度に応じた日本語で症状を聴取する。胸痛のなかには緊急の対応が必要な疾患もあるため、症状を丁寧に確認する。また患者の反応を慎重に観察し、日本語がどの程度通じているかを確認する。
4.× 妻が来院するまでAさんに待合室で待ってもらうのは不適切である。なぜなら、患者の状態によっては緊急の対応が必要になる可能性もあるため。また、妻が来院するまでAさんを1時間待たせるのではなく、まずは症状を把握することから始めるべきである。

 

 

 

 

次の文を読み112〜114の問いに答えよ。
 Aさん(38歳、男性)。23時ころ、徒歩で来院した。Aさんは胸を押さえ苦しそうに待合室で座っており、救急外来の看護師が声をかけると、Aさんは日本語を少し話すことができ、外出中に急に胸が痛くなったと話した。Aさんは英語は話せないようだった。Aさんは日本語学校の学生であり、Aさんの指定した番号に電話したところ、Aさんの妻につながり、日本語でのコミュニケーションが可能であった。
 妻は1時間後に病院に到着できるということだった。この病院には、夜間にAさんの母国語を話せる職員はいなかった。

113 Aさんの妻が、Aさんの国民健康保険証を持って救急外来に到着した。妻から聴取した情報によると、Aさんは特に既往はないが、時々頭痛があり、母国で市販されていた鎮痛薬を常用していたとのことであった。心電図でST上昇が認められ、Aさんと妻は、医師から「入院して冠動脈造影(CAG)を受けないと命の危険があるかもしれない」と説明を受けた。しかし、Aさんは「たくさんの費用は支払えないし、学校を休むのが心配だ」と検査を受けることを拒んだ。
 このときの救急外来の看護師の説明で優先されるのはどれか。

1.検査の手順を説明する。
2.学校は退学にならないことを説明する。
3.宗教に応じた食事対応ができることを説明する。
4.医療費は国民健康保険が適用されることを説明する。

解答4

解説

 本症例が心配していることは、本文から「たくさんの費用は支払えないし、学校を休むのが心配だ」と言っており、費用面休学のことである。心配していることに対してどのような説明が適切か考える。

1.× 検査の手順を説明するのは、Aさんが検査を受けようという気持ちになってから行う。
2.× 休むことによってAさんが学校を退学になるかどうかは、本問の説明文の中では不明であるし、救急外来の看護師にもわからないだろう。そのため、不確実な情報をAさんに伝えて励まそうとすることは不適切である。また、検査等により治療方針が決まれば、入院期間等がわかるため、学校を休む期間などを伝えることができる。
3.× 宗教に応じた食事対応ができることを説明するのは不適切である。なぜなら、Aさんは食事の心配はしていないため。もし、宗教上の理由で食べない食品がある場合、入院が確定し終えた後、栄養科と相談して、他の食品に置き換えるなどの対応をする。
4.〇 正しい。医療費は国民健康保険が適用されることを説明する。なぜなら、Aさんが一番心配しているのは、入院や検査に伴う費用であるため。まずは、国民健康保険が適用されることを説明する。制度をよく理解していない可能性も考慮し、わかりやすく説明する。

MEMO

在日外国人は約240万人、訪日外国人は年間約2,800万人であり、看護師は多様性に対応した看護を提供することが期待される。3か月を超えて日本に滞在する外国人は、原則として国民健康保険に加入する。

 

 

 

 

次の文を読み112〜114の問いに答えよ。
 Aさん(38歳、男性)。23時ころ、徒歩で来院した。Aさんは胸を押さえ苦しそうに待合室で座っており、救急外来の看護師が声をかけると、Aさんは日本語を少し話すことができ、外出中に急に胸が痛くなったと話した。Aさんは英語は話せないようだった。Aさんは日本語学校の学生であり、Aさんの指定した番号に電話したところ、Aさんの妻につながり、日本語でのコミュニケーションが可能であった。
 妻は1時間後に病院に到着できるということだった。この病院には、夜間にAさんの母国語を話せる職員はいなかった。

114 入院後2日、冠動脈造影(CAG)が実施された。冠動脈に有意な狭窄はなく、Aさんは急性心外膜炎と診断された。胸痛に対して消炎鎮痛薬が5日分処方された。
処方された2日後、Aさんから「薬がなくなったので追加で処方して欲しい」と病棟看護師に依頼があった。
 看護師の対応で優先されるのはどれか。

1.Aさんの痛みの程度を確認する。
2.医師に鎮痛薬の増量を相談する。
3.Aさんが以前常用していた鎮痛薬の用量を確認する。
4.Aさんが指示された用法を守れていないことを指摘する。

解答1

解説

 本症例は、消炎鎮痛薬が5日分処方されたにもかかわらず、2日後にまた処方の依頼があった。

 看護師は自分の思い込みで対応をせず、対話により事実を正確に確認する。「痛みが強いため指示よりも多く服用したのか」「内服の仕方の説明が理解できていなかったのか」「薬を紛失したのか」などの事態が想定される。

1.〇 正しい。Aさんの痛みの程度を確認する。胸の痛みが強いために決められた用量よりも多く服用してしまった可能性がある。命にかかわる可能性があるので、第一に痛みの程度を確認するべきである。
2.× 医師に鎮痛薬の増量を相談するのは不適切である。なぜなら、「痛みが強いため指示よりも多く服用したのか」「内服の仕方の説明が理解できていなかったのか」「薬を紛失したのか」などの事態が想定されるため。痛みの程度を確認した後、必要があれば医師に鎮痛薬の増量を相談するとよい。
3.× Aさんが以前常用していた鎮痛薬の用量を確認するのは不適切である。なぜなら、現在、患者の症状の把握を優先するべきである。
4.× Aさんが指示された用法を守れていないことを指摘するのは不適切である。なぜなら、Aさんは内服の仕方がわからなかったことも考えられるため。指示された用法を守れていないことを指摘するよりも、服薬の用量や内服の仕方を理解しているか確認するほうがよい。

 

 

 

 

 

次の文を読み115、116 の問いに答えよ。
 Aさん(82歳、男性)。妻との2人暮らし。障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)判定基準はランクJ。Aさんは搔痒感のために皮膚科を受診し、老人性皮膚搔痒症と診断され、抗ヒスタミン内服薬が処方された。身長165cm、体重55kg。Aさんの趣味は散歩で、毎日1km 程度を歩いている。

115 初診から1か月後、皮膚科の外来でAさんは「薬を飲み始めてから、口の中が渇いて食べにくい」と話した。
 この状況から、Aさんに障害が起きていると考えられる摂食・嚥下の段階はどれか。

1.先行期
2.準備期
3.咽頭期
4.食道期

解答2

解説

1.× 先行期は、食物を認識して量を決め、口に運ぶまでのステージである。
2.〇 正しい。準備期は、食物が口に入り、嚥下しやすいように咀嚼し、食塊を形成するステージである。Aさんは「薬を飲み始めてから、口の中が渇いて食べにくい」と話している。口腔乾燥があると食塊を形成しにくくなる。
3.× 咽頭期は、嚥下反射を起こし、喉頭によって気道への食塊の侵入を阻止するとともに、食道入口部を開ロさせて食塊を食道に送るステージである。
4.× 食道期は、食道の嬬動運動で、食塊を胃に送るステージである。

 

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