第107回(H30) 看護師国家試験 解説【午後111~115】

 

次の文を読み109〜111の問いに答えよ。
 Aさん(23 歳、女性)。両親との3人暮らし。Aさんは大学受験に失敗して以来、自宅に引きこもりがちになった。 1年前から手洗いを繰り返すようになり、最近では夜中も起き出して手を洗い、手の皮膚が荒れてもやめなくなった。心配した母親が付き添って受診したところ、Aさんは強迫性障害と診断された。母親は、Aさんについて「中学生までは成績優秀で、おとなしい子どもだった」と言う。Aさんには極度に疲労している様子がみられたことから、その日のうちに任意入院となった。

111 入院1か月後、手洗い行為は軽減してきた。Aさんはカーテンを閉め切って1人で過ごしていることが多いが、担当看護師や主治医とは治療についての話ができるようになってきた。Aさんは「薬を飲む以外にできることはありますか」と聞いてきた。
このときのAさんに最も有効と考えられるのはどれか。

1.催眠療法
2.作業療法
3.認知行動療法
4.就労移行支援

解答3

解説

1.× 催眠療法は不適切である。催眠療法とは、人為的に催眠状態を作り出し、直接的な暗示によって症状の除去や情動カタルシス(心の中に溜まっていた澱(おり)のような感情が解放され、気持ちが浄化されること)、自然回復力の賦活などを目指すものである。神経症性障害心身症に効果があるとされており、強迫性障害にも適用できるかもしれないが、優先順位は低い。
2.× 作業療法は不適切である。作業療法とは、心身の障害がある人に対して、料理や工芸といった自立に必要な作業を治療に取り入れることで、精神的・身体的・社会的能力の改善や維持に貢献する治療法である。医師からの指示で作業療法士が行うもので、強迫性障害にも医師の指示があれば適応となる。しかし、選択肢の中にさらに優先度が高いものがあるため不適切である。
3.〇 正しい。認知行動療法とは、患者のもののとらえ方や考え方の癖と行動を修正していこうとする治療法である。強迫性障害をはじめとする不安障害や、うつ病、摂食障害、不眠症、統合失調症など、幅広い精神疾患に対して有効である。曝露反応妨害法は、認知行動療法のひとつである。
4.× 就労移行支援は不適切である。就労移行支援とは『障害者自立支援法』に基づく支援である。具体的には、就職に必要な能力向上のための訓練や求職活動にかかわる支援、職場定着のための相談支援などである。現在のAさんは、事業所に通う必要があり入院中の利用は難しく、強迫性障害が完治した状況でもないため、就労移行支援は適切ではない。

 

 

 

 

 

次の文を読み112〜114の問いに答えよ。
 Aさん(76歳、女性)。夫(74歳)と2人暮らし。6年前にParkinson(パーキンソン)病と診断された。現在、Hoehn-Yahr(ホーエン・ヤール)の重症度分類でステージⅢ、要介護1である。トイレと浴室には手すりが設置されている。レボドパ(L-dopa)を1日3回内服している。最近、足がすくむことが増えたため受診した。
 Aさんは主治医から「薬剤の効果を評価するために、服薬時間や生活の状況を日誌に記録しましょう。2週後にまた受診してください」と説明を受けた。

112 外来看護師が日誌に記録する内容をAさんに指導することになった。
日誌に記録する内容で最も重要なのはどれか。

1.食事の量
2.便の性状
3.振戦の有無
4.排尿の回数

解答3

解説

 パーキンソン病とは、振戦(ふるえ)、動作緩慢、筋強剛(筋固縮)、姿勢保持障害を主な運動症状とする病気である。いわゆる4大症状の変化の記載が最も大切である。つまり選択肢3.振戦の有無が正しい。パーキンソン病の4大症状のひとつである振戦が治療中の患者で悪化した場合、レボドパの効果が低下している状態と考えられる。

 

1.2.4.× 食事の量/便の性状/排尿の回数は、選択肢3.振戦の有無と比較すると最重要とはいえない。

Hoehn&Yahr の重症度分類でステージ

ステージⅠ:片側のみの症状がみられる。軽症で機能障害はない。
ステージⅡ:両側の症状がみられるが、バランス障害はない。また日常生活・通院にほとんど介助を要さない。
ステージⅢ:歩行障害、姿勢保持反射障害が出現し、ADLに一部介助に一部介助が必要になる。
ステージⅣ:日常生活・通院に介助を必要とする。立位・歩行はどうにか可能。
ステージⅤ:寝たきりあるいは車いすで、全面的に介助を要する。歩行・起立は不能。

 

 

 

 

 

次の文を読み112〜114の問いに答えよ。
 Aさん(76歳、女性)。夫(74歳)と2人暮らし。6年前にParkinson(パーキンソン)病と診断された。現在、Hoehn-Yahr(ホーエン・ヤール)の重症度分類でステージⅢ、要介護1である。トイレと浴室には手すりが設置されている。レボドパ(L-dopa)を1日3回内服している。最近、足がすくむことが増えたため受診した。
 Aさんは主治医から「薬剤の効果を評価するために、服薬時間や生活の状況を日誌に記録しましょう。2週後にまた受診してください」と説明を受けた。

113 Aさんと夫は、2週後に日誌を持って受診した。レボドパ(L-dopa)の処方が1日4回に増量されることになり、病状管理と療養指導のためAさんは週1回の訪問看護を利用することになった。薬剤が増量されてから1週が経過し、足がすくむことが少なくなった。A さんから「足がすくむようになってから浴槽に入るのをやめていたけれど、入浴しても大丈夫でしょうか」と訪問看護師に相談があった。
 Aさんに指導する内容で最も適切なのはどれか。

1.「レボドパが効いている時間に入浴しましょう」
2.「通所介護の入浴を利用しましょう」
3.「訪問入浴介護を利用しましょう」
4.「シャワー浴にしましょう」

解答1

解説

1.〇 正しい。「レボドパが効いている時間に入浴しましょう」・・・薬剤が増量され、問題となっていたすくみ足の改善が得られている。すくみ足によってできていなかった入浴動作への意欲が出てきており、自宅の浴室には手すりが設置されている。以上のことから、入浴時の安全性が確保できる薬が効いている時間に入浴を勧めることが大切である。
2.× 「通所介護の入浴を利用しましょう」・・・通所介護の入浴は、デイサービスなどに行き、入浴サービスを利用することである。A さんから「足がすくむようになってから浴槽に入るのをやめていたけれど、入浴しても大丈夫でしょうか」と、自宅への入浴の希望と意欲と考えられる。自宅での入浴において安全性が確保できない状況では、通所介護を利用した入浴を勧めることがあるが、すくみ足や転倒が薬効により改善されている現在は自宅の入浴を勧めることができる。
3.× 「訪問入浴介護を利用しましょう」・・・訪問入浴介護は、簡易型浴槽を居間などに設置し、在宅で入浴のできない寝たきりの患者などに対して行うサービスである。Aさんの身体状況から、訪問入浴介護を利用する必要はない。
4.× 「シャワー浴にしましょう」・・・シャワー浴の方が安全ではあるが、Aさんは入浴を希望している。レボドパが効いている時の入浴で症状に注意していれば、シャワー浴に限定することは適切とはいえない。

 

 

 

 

次の文を読み112〜114の問いに答えよ。
 Aさん(76歳、女性)。夫(74 歳)と2人暮らし。6年前にParkinson(パーキンソン)病と診断された。現在、Hoehn-Yahr(ホーエン・ヤール)の重症度分類でステージⅢ、要介護1である。トイレと浴室には手すりが設置されている。レボドパ(L-dopa)を1日3回内服している。最近、足がすくむことが増えたため受診した。
 Aさんは主治医から「薬剤の効果を評価するために、服薬時間や生活の状況を日誌に記録しましょう。2週後にまた受診してください」と説明を受けた。

114 Aさんは「病気になる前は夫と近くの公園を毎日散歩していたけれど、最近は通院以外に外出をしていません。以前のように、夫と近くの公園を散歩したいな」と訪問看護師に話した。
 Aさんへの提案で最も適切なのはどれか。(※不適切問題:解答なし)

1.歩行器の利用
2.電動車椅子の利用
3.住宅内の段差の改修
4.自宅でのリハビリテーションの実施

解答(解答なし:採点対象外)

理由:設問の状況設定が不十分で正解が得られないため

解説

1.× 歩行器の利用は不適切である。なぜなら、パーキンソン病はすくみ足や小刻み歩行、突進現象などの歩行障害により、歩行器では反対に歩きにくく不安定になりやすいため。パーキンソン病では、T字杖四点杖が適応になることが多い。
2.× 電動車椅子の利用は不適切である。なぜなら、外出時の移動は楽になるが、歩きたいという希望には合致しないため。歩行が不安定であっても歩行が可能である現段階で、電動車椅子を勧めることはない。
3.× 住宅内の段差の改修は不適切である。なぜなら、本症例の外出の課題が、住宅内の段差ではないため。住宅内の段差の改修をしても、夫と以前のような散歩をしたいことの実現にはつながらない。
4.× 自宅でのリハビリテーションの実施は不適切である。なぜなら、「公園を散歩したい」という希望に対し解決手段として合致しないため。自宅でのリハビリテーションの実施は、自宅内での生活の再獲得に当たって行う。自宅外でのリハビリテーションを行うべきである。

 

パーキンソン病の現象

wearing off現象:レボドパの効果持続時間の短縮によって症状の日内変動を起こすこと。

on-off現象:服用時間と無関係に急激に症状がよくなったり悪くなったりすること。

 

 

 

 

 

次の文を読み115〜117の問いに答えよ。
 Aさん(72歳、男性)。妻と2人暮らし。朝6時に、妻が一緒に寝ていたAさんの様子がおかしいことに気付き、救急車を呼んだ。Aさんは病院に搬送された。病院到着時、ジャパン・コーマ・スケール(JCS)Ⅱ- 10。右片麻痺および失語がみられる。
 Aさんのバイタルサインは、体温37.0 ℃、呼吸数20/分、心拍数110/分、血圧150/90mmHg。身長160cm、体重60kg。頭部CTで明らかな異常所見はなく、頭部MRIを行う予定である。

115 妻から聴取したAさんに関する以下の情報のうち、治療方針を決定するために最も重要な情報はどれか。

1.5年前から禁煙していた。
2.最近、眠りが浅いと言っていた。
3.今朝5時にトイレから戻って来た。
4.健康診査を2年間受診していなかった。

解答3

解説

 突然に発症した右片麻痺と失語から、脳出血や脳梗塞などの脳卒中が第一に疑われる。朝5時の時点ではトイレ歩行可能なことから、症状発症は朝5~6時の間であることがわかる。症状から脳梗塞が疑われ、経過時間により治療法が検討できる。具体的な治療法は、発症から4~5時間以内の脳梗塞に対しては、血栓溶解療法(t-PA療法)という治療が行われる。本問では最終無事確認が5時であることから、発症から1時間で発見されており、血栓溶解療法が適応となる可能性がある。よって、、治療方針を決定するために最も重要な情報は、選択肢3.今朝5時にトイレから戻って来たである。

 

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