第107回(H30) 看護師国家試験 解説【午前116~120】

 

次の文を読み115、116 の問いに答えよ。
 Aさん(82歳、男性)。妻との2人暮らし。障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)判定基準はランクJ。A さんは搔痒感のために皮膚科を受診し、老人性皮膚搔痒症と診断され、抗ヒスタミン内服薬が処方された。身長165cm、体重55kg。Aさんの趣味は散歩で、毎日1km 程度を歩いている。

116 Aさんは「食べにくくてあまり食事が摂れていない。階段の昇り降りをしたり、10分以上歩いたりすると疲れてしまい、あまり外に出なくなった」と言う。体重は1か月間で2kg減少していた。他に自覚症状はなく、血液検査の結果は、血清蛋白の低下の他に異常はなかった。
 このときのAさんに出現している現象として最も考えられるのはどれか。

1.脱水
2.筋肉量の減少
3.胃酸の分泌増加
4.関節可動域(ROM)の制限

解答2

解説

1.× 脱水は、自覚症状の口渇だけでなく、血液検査の結果として腎機能を表す血清クレアチニン尿素窒素の値に異常を認めると考えられる。
2.〇 正しい。筋肉量の減少である。食事が摂れない、体重減少、血清蛋白低下から、栄養状態の悪化が考えられる。これによる疲れやすさによって活動量が低下しており、筋肉量は減少していると推測される。
3.× 胃酸の分泌増加による食欲不振であれば、消化器症状(胃痛やげっぷ、吐き気、胸やけなど)を伴うと考えられる、しかしAさんにこのような自覚症状はなく、提示された情報だけでは胃酸の分泌増加が原因であるとは考えにくい。
4.× 関節可動域(ROM)の制限の制限を疑う情報はみられない。

 

 

 

 

 

次の文を読み117、118 の問いに答えよ。
Aさん(31歳、初産婦)。妊娠40週1日。Aさんは午前5時に、陣痛間欠10分、陣痛発作10秒となり入院した。入院時の内診所見は子宮口1cm開大で、未破水であった。

117 Aさんは、午後2時に子宮口が4cmまで開大し、破水した。このときの胎児心拍数陣痛図を下図に示す。
 胎児心拍数陣痛図の情報で正しいのはどれか。


1.陣痛間欠4分
2.陣痛発作10秒
3.母体脈拍数50/分
4.胎児心拍数基線150〜160 bpm

解答4

解説

 胎児心拍数陣痛図は、母体腹壁に陣痛計を装着し、胎児の状態を評価する検査である。胎児心拍数モニタリングによって得られる。分娩時は、陣痛という負荷がかかるなかでの胎児心拍数の時間的な変化が記録されるため、胎児および胎盤の状態を評価できる。

1.× 陣痛間欠4分ではなく、1分~1分30秒程度である。陣痛間欠とは、個々の収縮を陣痛発作、発作終了から次の発作までの休止をいう。下の波形が子宮収縮圧を示しており、紙送り速度は、1メモリ間隔は20秒である。
2.× 陣痛発作10秒ではなく、1分~1分30秒程度である。下の波形が子宮収縮圧を示しており、山形の曲線が陣痛発作である。
3.× 母体脈拍数50/分は表記されない。胎児心拍数陣痛図は、胎児心拍子宮収縮圧を経時的に記録したものである。
4.〇 正しい。胎児心拍数基線150〜160 bpm。上の波形が胎児心拍数を表している。胎児心拍数基線とは、一過性変動部分を除く、10分間の平均心拍数であり、150~160bpmである。

 

 

 

 

次の文を読み117、118 の問いに答えよ。
 Aさん(31歳、初産婦)。妊娠40週1日。Aさんは午前5時に、陣痛間欠10分、陣痛発作10秒となり入院した。入院時の内診所見は子宮口1cm開大で、未破水であった。

118 このとき、Aさんは陣痛のたびに緊張して身体を固くし、痛みがないときは眠そうにしている。昼食は、プリン1個と牛乳1本を摂っている。Aさんは「赤ちゃんは、なかなか生まれないですね」と疲れた表情で看護師に話す。
 このときのAさんへの対応として適切なのはどれか。

1.「陣痛に合わせていきんでみましょう」
2.「眠いときは眠るようにしましょう」
3.「階段の昇り降りをしましょう」
4.「お風呂に入ってみましょう」

解答2

解説

【正常分娩の経過】

分娩第1期:分娩の開始から子宮口全開大まで。
分娩第2期:子宮口全開大・破水から胎児の娩出まで。
分娩第3期:胎児の娩出後から胎盤の娩出までである。

【初産と経産の一般的な分娩時間】

初産婦は第1期が10~12時間、第2期が1.5~2時間、第3期が15~30分。
経産婦は第1期が4~6時間、第2期が30分~1時間、第3期が10~20分である。

1.× 「陣痛に合わせていきんでみましょう」・・・本症例は、子宮口は4cmであり、分娩第1期である。いきむ(腹圧をかける)のは、子宮口全開大の後、すなわち分娩第2期であるため不適切である。

2.〇 正しい。「眠いときは眠るようにしましょう」・・・陣痛発来から9時間であり、初産婦であるため、第1期の正常時間を超えていない。医学的な介入は現時点では必要ない。疲れた表情をしており、眠そうにしていることから、睡眠を促すのが適切である、
3.× 「階段の昇り降りをしましょう」・・・陣痛発来から9時間であり、初産婦であるため、第1期の正常時間を超えていない。分娩は正常に進んでおり、現時点では介入の必要はないことから不適切である。。
4.× 「お風呂に入ってみましょう」・・・浴槽内の細菌が腔から上行性感染を引き起こす可能性があるため、破水後の入浴は控えるべきである。

 

 

 

 

 

次の文を読み119、120 の問いに答えよ。
 Aさん(17歳、高校生)。身長158cm、体重48kg。Aさんは最近、月経時に下腹部痛が繰り返し出現し、寝込むことが多くなった。心配した母親と一緒に、Aさんは産婦人科クリニックを受診し、医師から機能性月経困難症と診断された。既往歴に特記すべきことはない。

119 Aさんの下腹部痛についての説明で適切なのはどれか。

1.プロスタグランディンの過剰産生によって起こる。
2.無排卵性の月経によって起こる。
3.卵巣内のうっ血によって起こる。
4.経血の流出によって起こる。

解答1

解説

 月経困難症には子宮内膜症、チョコレート嚢胞、子宮腺筋症、子宮筋腫などの器質的疾患を伴う器質性月経困難症と、器質的疾患を伴わない機能性月経困難症がある。本症例は、器質的疾患を伴わない機能性月経困難症がである。

1.〇 正しい。プロスタグランディンの過剰産生によって起こる。月経痛の要因は頚管狭小や、プロスタグランディンなど内因性生理活性物質による子宮の過収縮である。月経困難症では、子宮内膜からのプロスタグランディンの産生が多いといわれている。

2.× 通常、無排卵性の月経から起こらない。機能性月経困難症では、無排卵性月経時には通常症状は起こらない。無排卵月経は、病気でなくても初経から数年の卵巣機能が未熟な思春期や、卵巣機能が低下しつつある更年期の場合には起こる。また、病気が原因で起こることもあり、その病気とは視床下部機能異常、多嚢胞性卵巣症候群である。
3.× 通常、卵巣内のうっ血によって起こらない。なぜなら、月経困難症の症状は、卵巣ではなく、子宮の過収縮に伴う血管の挙縮や子宮筋の虚血によって引き起こされているため。
4.× 通常、経血の流出によって起こらない。頚管狭小により経血が流出しづらくなったときに、収縮痛が生じる。

 

 

 

 

次の文を読み119、120 の問いに答えよ。
 Aさん(17歳、高校生)。身長158cm、体重48kg。Aさんは最近、月経時に下腹部痛が繰り返し出現し、寝込むことが多くなった。心配した母親と一緒に、Aさんは産婦人科クリニックを受診し、医師から機能性月経困難症と診断された。既往歴に特記すべきことはない。

120 Aさんは「次の月経からは、痛みがあれば、処方された鎮痛薬を飲むようにします。部活動で毎日ジョギングをしていますが、その他に日常生活で気を付けることを教えてください」と看護師に聞いてきた。
 このときの看護師の指導で適切なのはどれか。

1.運動量を増やす。
2.下腹部を温める。
3.葉酸を含む食品は控える。
4.腰部のマッサージは控える。

解答2

解説

1.× 運動量を増やすのは不適切である。なぜなら、Aさんにはすでに運動習慣が確立されているため。子宮や骨盤の血流をよくするためにストレッチ運動などが推奨されるが、特にこれ以上運動量は優先度は低い。
2.〇 正しい。下腹部を温める。下腹部を温めることで子宮や骨盤の血流が改善し、子宮の収縮痛がやわらぐことがある。
3.× 葉酸を含む食品は控える必要はない。葉酸は赤血球や核酸の生成において重要な役割を果たしているが、月経困難症との関連はない。
4.× 腰部のマッサージは控える必要はない。なぜなら、腰部のマッサージが有効なことがあるため。

MEMO

若年の機能性月経困難症には、NSAIDs、漢方薬、低用量ピル(LEP)などが用いられることが多い。

 

 

 

※注意:著者は看護師で、解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究・自己研鑽のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。またコメントにて解き方等教えてくださると幸いです。

 

※問題引用:第104回保健師国家試験、第101回助産師国家試験、第107回看護師国家試験の問題および正答について

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