第107回(H30) 看護師国家試験 解説【午後116~120】

 

次の文を読み115〜117の問いに答えよ。
 Aさん(72 歳、男性)。妻と2人暮らし。朝時に、妻が一緒に寝ていたAさんの様子がおかしいことに気付き、救急車を呼んだ。Aさんは病院に搬送された。病院到着時、ジャパン・コーマ・スケール(JCS)Ⅱ- 10。右片麻痺および失語がみられる。
 Aさんのバイタルサインは、体温37.0 ℃、呼吸数20/分、心拍数110/分、血圧150/90 mmHg。身長160 cm、体重60 kg。頭部CTで明らかな異常所見はなく、頭部MRI を行う予定である。

116 Aさんは、左中大脳動脈領域の脳梗塞と診断され、組織プラスミノーゲンアクチベータ(t-PA)による血栓溶解療法が行われた。入院から2日後、右片麻痺は残存しているものの、ジャパン・コーマ・スケール(JCS)Ⅰ-3 と改善がみられた。
 多職種カンファレンスで経口栄養を検討したが、言語聴覚士による評価では、Aさんは誤嚥のリスクが高いと判断され、経鼻胃管による経管栄養を行うこととなった。
 Aさんに行う経管栄養法について適切なのはどれか。

1.白湯から開始する。
2.開始前に胃残渣を確認する。
3.経鼻胃管挿入中は嚥下訓練を中止する。
4.1日の目標摂取エネルギー量は2,200kcal とする。

解答2

解説

1.× 白湯(さゆ:水を沸かしただけで何も入れていない湯のこと)から開始するのは不適切である。消化管機能の低下があったとしても、栄養剤の代わりに白湯から投与を開始する必要はない。患者の状態に合わせた栄養剤を選択して開始する。終了後は白湯を流す。
2.〇 正しい。開始前に胃残渣を確認する。胃残渣量が多い場合には、胃排出能の低下が考えられる。さらに経管栄養剤を投与すると胃内圧が上昇し、胃食道逆流を起こす可能性がある。そのため、開始前に胃内容物を吸引して胃残澄量を確認する。
3.× 経鼻胃管挿入中は嚥下訓練を中止するのは不適切である。なぜなら、経鼻胃管挿入中も継続的に嚥下訓練を実施できる。嚥下機能を保持・向上していく必要がある。
4.× 1日の目標摂取エネルギー量は2,200kcal とするのは不適切である。2,200kcalは、70歳以上の男性の身体活動レベルⅡの推定エネルギー必要量である。Aさんは坐位が大部分で静的な活動が中心のレベルI(1,850kcal)に該当する。

 

 

 

 

次の文を読み115〜117の問いに答えよ。
 Aさん(72 歳、男性)。妻と2人暮らし。朝時に、妻が一緒に寝ていたAさんの様子がおかしいことに気付き、救急車を呼んだ。Aさんは病院に搬送された。病院到着時、ジャパン・コーマ・スケール(JCS)Ⅱ- 10。右片麻痺および失語がみられる。
 Aさんのバイタルサインは、体温37.0 ℃、呼吸数20/分、心拍数110/分、血圧150/90 mmHg。身長160 cm、体重60 kg。頭部CTで明らかな異常所見はなく、頭部MRI を行う予定である。

117 入院3日の20時、Aさんは覚醒し、点滴を触ったり、経鼻胃管を抜こうとしたりしており、落ち着かない様子である。
 担当看護師が最初に行う対応で適切なのはどれか。

1.身体拘束を行う。
2.早めに消灯をする。
3.バイタルサインを測定する。
4.向精神薬の使用を検討する。

解答3

解説

1.× 身体拘束を行うのは不適切である。身体拘束が認められる3つの条件(切迫性非代替性一時性)がないと行えない。また、人権侵害につながるおそれがある。
2.× 早めに消灯をするのは不適切である。なぜなら、Aさんは覚醒し、点滴を触ったり、経鼻胃管を抜こうとしたりしており、落ち着かない様子であり、このような状態のときに消灯しても入眠する可能性は低いため。
3.〇 正しい。バイタルサインを測定する。第一に、優先すべきことは、Aさんの状態把握のためにバイタルサインを測定し、身体的な変化や異常がないかを確認することである。脳梗塞の悪化などが生じている可能性がある。
4.× 向精神薬の使用を検討するのは不適切である。なぜなら、まず看護援助を行う(不安やストレスの除去、身体的苦痛の除去、生活を整えるなど)ことが最優先であるため。それでも改善がみられない場合には、向精神薬の使用も検討する。

 

 

 

 

 

次の文を読み118、119 の問いに答えよ。
 Aさん(34歳、経産婦)は、夫(35歳)と長男のB 君(3歳)との3人暮らし。これまでの妊娠経過に異常はなかった。20時に体重3,150gの男児を正常分娩した。分娩所要時間は6時間30分、分娩時出血量は480mLであった。第1度会陰裂傷のため、縫合術を受けた。その他の分娩の経過に問題はなかった。

118 Aさんは翌日の2時に尿意があり、自然排尿があった。時に「昨夜は後陣痛の痛みが強くて眠れませんでした。おっぱいを飲ませたら、後陣痛がさらに強くなって、汗が出てきました」と言う。子宮底の高さは臍高、子宮は硬く触れ、血性悪露が中等量みられる。Aさんのバイタルサインは、体温37.0 ℃、脈拍68/分、血圧125/70mmHgであった。
 このときのAさんへの対応で適切なのはどれか。

1.授乳を促す。
2.入浴を勧める。
3.骨盤底筋体操を指導する。
4.鎮痛薬の使用を医師に相談することを伝える。

解答4

解説

 本症例は、正常分娩(満期産)であり、児の体重も妊娠週数相当(AFD児)である。分娩所要時間にも問題はなく、分娩時出血量も正常範囲(500mL以下)にある。会陰裂傷は第1度で、産祷期の生活に支障となるような裂傷とは考えられない。

 また、分娩後6時間で自然排尿があり、8時(12時間後)の子宮復古状態は良好と判断できる。バイタルサインは正常範囲にあるが、強い後陣痛の訴えがある。後陣痛は子宮復古を促進する生理な反応のひとつであり、初産婦に比べ経産婦で強い。産褥期は、発汗が多い時期であり、Aさんはさらに授乳による強い後陣痛のため発汗を訴えている。過度の疼痛は、産褥期のセルフケア不足を生じる可能性もある。後陣痛のケアを考える。

 

1.× 授乳を促すのは不適切である。なぜなら、授乳時の乳頭への吸啜刺激は、後陣痛促進作用のあるオキシトシンの放出を促進し、後陣痛が増強する可能性がある。授乳を中止する必要はないが、疼痛緩和に配慮すべきである。
2.× 入浴を勧めるのは不適切である。なぜなら、入浴は産後1か月ほどは上行感染の予防のため。清拭、寝衣交換を勧めることはよい。
3.× 骨盤底筋体操を指導するのは不適切である。骨盤底筋体操は、分娩によって弛緩した骨盤底筋群を鍛える効果(尿漏れ予防など)があるが、後陣痛を抑える効果はみられない。
4.〇 正しい。鎮痛薬の使用を医師に相談することを伝える。後陣痛が強くて眠れないこと、発汗を伴う痛みであることから、医師に相談して疼痛緩和を図ることは適切な対応といえる。

 

 

 

 

次の文を読み118、119 の問いに答えよ。
 Aさん(34歳、経産婦)は、夫(35歳)と長男のB君(3歳)との3人暮らし。これまでの妊娠経過に異常はなかった。20時に体重3,150gの男児を正常分娩した。分娩所要時間は6時間30分、分娩時出血量は480mLであった。第1度会陰裂傷のため、縫合術を受けた。その他の分娩の経過に問題はなかった。

119 産褥5日。Aさんの退院のため、夫とB君が迎えに来た。AさんはB君の自宅での様子を夫から聞いた。B君は「ご飯を食べさせてほしい」と訴えたり、「赤ちゃんを家に連れて来ないで」と泣いたりしていたという。そのことを知ったAさんはB君を抱きしめ、B君の話をゆっくり聞いていた。Aさんは退院後のB君への対応について心配になり、看護師に相談した。
Aさんへの説明で最も適切なのはどれか。

1.「B君に好きな物を食べさせましょう」
2.「B君の世話は夫にしてもらいましょう」
3.「B君と一緒に赤ちゃんの世話をしましょう」
4.「B君に兄としてしっかりするように話しましょう」

解答3

解説

 新生児の誕生によって、B君には兄としての役割が期待される。しかしB君は、周囲の自分への関心が赤ちゃんに移るのではないかという不安から、「赤ちゃん返り(退行)」の症状をみせている。新生児を家族として受け入れながら、B君の情緒的な安定が保てるように配慮することが大切になる。

 

1.× 「B君に好きな物を食べさせましょう」・・・好きな物を食べることがニーズではないため、適切とはいえない。赤ちゃんと同じように大切に扱ってほしいと願っている気持ちを理解して接する。
2.× 「B君の世話は夫にしてもらいましょう」・・・B君は母親・父親両方からの愛情も求めているため、夫に世話を任せるのは適切ではない。
3.〇 正しい。「B君と一緒に赤ちゃんの世話をしましょう」・・・赤ちゃんの様子を見せたり、手伝わせたりするとよい。世話が必要な弟の状況を知ることで、B君の不安な気持ちや競争心を軽減できる。
4.× 「B君に兄としてしっかりするように話しましょう」・・・お母さんの関心が赤ちゃんに移ってしまったように感じて不安なときに、兄としての役割を求められても受け入れられないことが多い。B君への愛情をしっかり伝えることが必要である。

 

 

 

 

 

次の文を読み120の問いに答えよ。
 Aさん(82歳、男性)。長男夫婦との人暮らし。4年前に認知症と診断された。Barthel(バーセル)インデックスは100点、Mini Mental State Examination(MMSE)は18点。環境の変化で落ち着きがなくなることがある。日頃は温泉旅行やカラオケを楽しんでいる。右外果にできた創傷から右下の腫脹と疼痛が出現したため病院を受診したところ、蜂窩織炎と診断されて入院した。入院翌日、右下の腫脹と疼痛は続いている。担当看護師は、認知症の行動・心理症状(BPSD)を最小限にするための看護を計画することとした。

120 担当看護師が計画するAさんへの看護で適切でないのはどれか。

1.右下を足浴する。
2.右下を挙上する。
3.温泉旅行の話をする。
4.Aさんが好きな歌を歌う機会をつくる。

解答1

解説

1.× 右下を足浴するのは不適切である。なぜなら、蜂窩織炎は急性炎症であるため。急性炎症には、患肢に冷罨法を施す必要がある。また、感染のリスクからも不適切といえる。
2.〇 正しい。右下を挙上する。蜂窩織炎で腫脹した右下腿を挙上することで、腫脹のケアとなる。
3.〇 正しい。温泉旅行の話をする。過去の思い出を語ってもらう心理療法は回想法と呼ばれ、不安や混乱を和らげる効果がある。認知症でも保たれていることが多い古い体験記憶を手がかりに、それらを話題として信頼関係を深めていくことは、適切な認知症ケアとなる。
4.〇 正しい。Aさんが好きな歌を歌う機会をつくる。認知症の作業療法には認知刺激療法などがあり、音楽活動は認知刺激療法のひとつである。声に出して好きな歌を歌う音楽活動は、行動・心理症状(BPSD)を改善する効果が期待できる。

RICE処置

 疼痛を防ぐことを目的に患肢や患部を安静(Rest)にし、氷で冷却(Icing)し、弾性包帯やテーピングで圧迫(Compression)し、患肢を挙上すること(Elevation)が基本である。頭文字をそれぞれ取り、RICE処置といわれる。

 

 

※注意:著者は看護師で、解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究・自己研鑽のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。またコメントにて解き方等教えてくださると幸いです。

 

※問題引用:第104回保健師国家試験、第101回助産師国家試験、第107回看護師国家試験の問題および正答について

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