第107回(H30) 看護師国家試験 解説【午後41~45】

 

41 成人に対する一次救命処置(BLS)において、胸骨圧迫と人工呼吸との回数比で正しいのはどれか。

1.20対1
2.20対2
3.30対1
4.30対2

解答4

解説

 成人に対する一次救命処置では、胸骨圧迫を30回したのち、人工呼吸を2回行い(30対2)、これを繰り返す。成人であれば胸骨が少なくとも5~6cm沈むように圧迫し、1分間に100~120回のテンポで行う。絶え間なく圧迫することが重要である。よって、選択肢4.30対2が正しい。

 

 

 

 

 

42 成人男性に対する全身麻酔下の膵頭十二指腸切除術が9時に開始されてから40分間の経過を表に示す。
 9時40分の時点で、間接介助の看護師が医師に確認の上、実施することとして適切なのはどれか。

1.輸血を準備する。
2.下半身を心臓より高くする。
3.加温マットの設定温度を上げる。
4.次の尿量測定を40分後に実施する。

解答3

解説

 膵頭十二指腸切除術は、全身麻酔下で開腹をし、膵頭部・遠位胆管・胆嚢・十二指腸を周囲のリンパ節、神経。脂肪組織とともに切除する侵襲の大きな術式である。

1.× 輸血を準備は必要ない。なぜなら、本症例の出血量は40分で30mLと少ないため。手術時においては、循環血液量に対する出血量の割合が20%未満の場合、原則として輸血の適応とならない。
2.× 下半身を心臓より高くする必要はない。なぜなら、血圧は低下傾向であるが、収縮期血圧90mmHg以下ではないため。つまり、ショック状態ではないと判断できる。現在は推奨されておらず、手術時の血圧低下に対しては、輸液と昇圧剤の投与で対処する。
3.〇 正しい。加温マットの設定温度を上げる。なぜなら、大きな切開創を伴う開腹術で、術野からの水分が蒸発し気化熱が奪われたり、輸液や洗浄液へ体温が移動する伝導により体温が低下したりするため。手術室において、低体温とは核心体温が36℃未満の状態と定義されている。本症例は、体温が35.4℃に下がってきているので、体温の低下への配慮が必要である。体温低下による麻酔覚醒遅延や悪寒戦慄(シバリング)が起こることで酸素消費量が増大するのを防ぐことができる。
4.× 次の尿量測定を40分後ではなく20分後に実施する。なぜなら、次の測定を20分後にすることで、1時間100mLという目安に達するかどうか観察するため。本症例は、20分ごとの測定で徐々に減少しているが、40分で計80mLである。全身麻酔による腎血流量・糸球体濾過率の低下、出血、外科的ストレスによる抗利尿ホルモンの分泌が増加することにより、尿量は減少する。

 

 

 

 

 

43 インスリン製剤について正しいのはどれか。

1.経口投与が可能である。
2.冷凍庫で長期保存できる。
3.皮下注射は同じ部位に行う。
4.飛行機に搭乗する際は手荷物として持ち込む。

解答4

解説

1.× 経口投与は効果がない。なぜなら、インスリンはホルモンであるため。皮下注射で与薬する。
2.× 冷凍庫で長期保存はできない。なぜなら、インスリン製剤は凍結させてしまうと品質に変化が生じるため。未使用の製剤は2~8℃ で冷蔵保存する必要がある。開封後は室温で保管し、4~8週間程度が使用期限となる。したがって、インスリン製剤は冷蔵庫で保管し、開封後は室温で保存する。
3.× 皮下注射は同じ部位ではなく、毎回約2cmずつずらしながら行う。なぜなら、インスリンの皮下注射は、同じ部位に注射を行うと皮下結節が生じ、インスリン吸収にばらつきができてしまうことが知られているため。
4.〇 正しい。飛行機に搭乗する際は手荷物として持ち込む。インスリンは、機内で食事をすることも想定して飛行機に手荷物として持ち込むことができる。主治医の証明書があるとなお良い。

 

 

 

 

 

44 廃用症侯群を予防する方法で正しいのはどれか。

1.関節固定後の等張性運動
2.ギプス固定後からの等尺性運動
3.下腿の中枢から末梢へのマッサージ
4.足底板の装着による下腿三頭筋の収縮

解答2

解説

 廃用症候群とは、安静・不動などの活動性が低下した状態によって生じる二次的な身体臓器・精神活動の機能低下である。関節拘縮や筋萎縮、褥瘡などの局所性症状だけでなく、起立性低血圧や心肺機能の低下、精神症状などの症状も含まれる。一度生じると、回復には多くの時間を要し、寝たきりの最大のリスクとなるため予防が重要である。

1.× 関節固定後の等張性運動は不適切である。等張性運動とは、関節を動かす関節可動域訓練であり、筋線維が伸展・収縮を繰り返す。関節固定後にはできない。関節固定後に行うのは、等尺性運動であり、これは廃用症候群の予防につながる。
2.〇 正しい。ギプス固定後からの等尺性運動である。等尺性運動とは、関節の動きを伴わない、関節を屈伸させずに筋肉に力を入れる運動である。ギプスにより患部の安静が長期間になると、同一肢位が長時間続くことから関節と筋肉の拘縮と筋力低下を起こし、廃用症候群を起こしやすくなる。そのため、患肢のギプス固定後の等尺性運動は廃用症候群の予防に有効である。
3.× 下腿の「中枢から末梢へ」ではなく、「末梢から中枢へ」のマッサージである。血流改善のために、末梢から中枢に向けたマッサージが効果的である。
4.× 足底板の装着で下腿三頭筋の収縮は起こらない。なぜなら、足底板(インソール)は、足の筋肉、靱帯、関節の負担を軽減するために用いられるため。下腿三頭筋(腓腹筋とヒラメ筋)は、その下端がアキレス腱となり踵に付着し、足関節の底屈を行っている。

 

 

 

 

 

45 造影CTの際に最も注意が必要なのはどれか。

1.閉所に対する恐怖がある患者
2.気管支喘息の既往がある患者
3.ペースメーカーを装着している患者
4.既往に上部消化管造影検査後の腹痛がある患者

解答2

解説

 造影CTは、ヨード造影剤を静脈内に注入し行うCT検査のことである。造影CT検査の一番の禁忌は、前回検査時の重篤な副作用である。今回の問題ではそれは問われていない。

1.× 閉所に対する恐怖がある患者より選択肢の中から優先度が高いものがある。なぜなら、CT検査に要する時間は比較的短く(5~10分)、またMRIよりも開口部が広いので、閉所に恐怖感を感じる患者でも対応可能なことが多い。より長時間のMRI検査は、閉所恐怖症患者には困難なことが多い。
2.〇 正しい。気管支喘息の既往がある患者である。なぜなら、気管支瑞息患者は造影CTの副作用を起こす頻度が高いため。他にも、造影CTの検査にあたり、特にアレルギー歴(特に以前の造影CT検査における副作用)、気管支瑞息、腎障害、糖尿病、甲状腺疾患のある患者には注意が必要である。
3.× ペースメーカーを装着している患者より選択肢の中から優先度が高いものがある。なぜなら、CTはX線を用いた検査であり、基本的にペースメーカーに影響は与えないため。ペースメーカーが問題となるのは、強力な磁気の力を用いるMRI検査である。
4.× 既往に上部消化管造影検査後の腹痛がある患者より選択肢の中から優先度が高いものがある。上部消化管造影検査では一般的に硫酸バリウム製剤が用いられ、造影CTで用いられるヨード系造影剤とは異なる。上部消化管造影検査後の腹痛は頻度の高い訴えであるが、造影CTの副作用との関係はない。

 

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