第107回(H30) 看護師国家試験 解説【午後46~50】

 

46 下垂体腺腫について正しいのはどれか。

1.褐色細胞腫が最も多い。
2.トルコ鞍の狭小化を認める。
3.典型的な視野障害として同名半盲がある。
4.代表的な外科治療として経鼻的な経蝶形骨洞法による下垂体切除術がある。

解答4

解説

 下垂体腺腫は、成人の原発性脳腫瘍の一種で、髄膜腫・神経膠腫(グリオーマ)に次いで多い。その症状には、産生するホルモンによる症状のほか、腫瘍による圧迫症状などがある。

1.× 褐色細胞腫はない。なぜなら、褐色細胞腫は、副腎髄質交感神経幹に発生する腫瘍であるため。下垂体腺腫で代表的なものは、プロラクチン産生腫瘍(プロラクチノーマ)、成長ホルモン(GH)産生腫瘍、ACTH産生腫瘍などのホルモンを産生する機能性腫瘍である。そのほか、ホルモンを産生しない非機能性腫瘍も存在する。
2.× トルコ鞍の狭小化ではなく、拡大化を認める。下垂体は、脳の正中部にあるトルコ鞍の中に存在する。下垂体が腫大してくるので、下垂体が収まるトルコ鞍に風船様拡大がみられる。
3.× 典型的な視野障害として同名半盲ではなく、両耳側半盲がある。なぜなら、下垂体の前方に視神経交叉があり、腫瘍の増大とともにこれが圧迫を受けるためである。
4.〇 正しい。代表的な外科治療として経鼻的な経蝶形骨洞法による下垂体切除術がある。経蝶形骨洞手術(TSS)はハーディ手術ともいわれ、下垂体腺腫の摘出によく用いられる手術法である。鼻腔と蝶形骨洞を経由して下垂体に到達する術式である。

 

 

 

 

 

47 緑内障と診断された患者への説明で適切なのはどれか。

1.「治療すれば視野障害は改善します」
2.「水晶体の代謝が低下して起こる病気です」
3.「自覚症状がなくても進行しやすい病気です」
4.「眼瞼のマッサージが眼圧降下に効果的です」

解答3

解説

1.× 「治療すれば視野障害は改善します」・・・一旦生じた視野障害は回復しない。なぜなら、緑内障により網膜の視神経が圧迫され不可逆的な変性を起こし、視野障害となるため。
2.× 「水晶体の代謝が低下して起こる病気です」・・・これは、緑内障の説明ではなく、白内障の機序についての正しい説明である。
3.〇 正しい。「自覚症状がなくても進行しやすい病気です」・・・進行するまで気づかないことが多い。なぜなら、視野障害は鼻側から生じ、また視野障害を生じる部位は両眼で補いあう関係のため。
4.× 「眼瞼のマッサージが眼圧降下に効果的です」・・・眼験マッサージを行っても眼圧は下降しない

 

 

 

 

 

48 梅毒について正しいのはどれか。

1.ウイルス感染症である。
2.感染経路は空気感染である。
3.治療の第一選択薬はステロイド外用薬である。
4.梅毒血清反応における生物学的偽陽性の要因に妊娠がある。

解答4

解説

1.× ウイルス感染症ではなく、細菌の一種である。梅毒は、梅毒トレポネーマという細菌が原因で発症する性感染症である。
2.× 感染経路は空気感染ではなく接触感染である。梅毒は、代表的な性感染症のひとつであり、感染経路は粘膜や微細な外傷のある皮膚を介して感染する接触感染である。ちなみに、空気感染を生じる感染症は3つ(結核・麻疹・水痘)のみである。
3.× 治療の第一選択薬はステロイド外用薬ではなく、ペニシリン系抗菌薬である。ステロイド外用薬は、接触性皮膚炎やアトピー性皮膚炎といった炎症性皮膚疾患の治療に使用される軟膏である。
4.〇 正しい。梅毒血清反応における生物学的偽陽性の要因に妊娠がある。梅毒の検査であるSTS(脂質抗原法)で、梅毒ではないのに陽性となることを生物学的偽陽性という。その要因に妊娠自己免疫疾患などがある。

梅毒

 細菌の一種である梅毒トレポネーマを病原体とする感染症で、性行為や胎盤を通じて感染する。梅毒に特徴的な症状として、陰茎・外陰部を中心に生じる無痛性の硬結(指で触れることのできる硬い丘疹)やバラ疹(全身にできる淡い紅斑)などがあり、進行すると神経系の病変を生じてに至ることもある。なお、治療にはペニシリンGを用いる。

 

 

 

 

 

49 老年期の加齢に伴う生殖器および生殖機能の変化で正しいのはどれか。

1.卵巣が肥大する。
2.腟壁が薄くなる。
3.精液中の精子がなくなる。
4.男性はテストステロンが増加する。

解答2

解説

1.× 卵巣が肥大ではなく退縮し、機能を停止する。卵巣重量は、閉経後では最大重量の約1/2に,80歳台では1/3にまで減少する。
2.〇 正しい。腟壁が薄くなる。膣と周辺組織が萎縮し、膣壁が薄くなる。その結果、萎縮性膣炎や、膣分泌液量の低下による外陰部搔痒症や感染症が起こりやすくなる。
3.× 精液中の精子は減少はするものの完全になくなることはない。なぜなら、加齢に伴い精巣は萎縮するが、精子の生成は生涯続くため。しかし、精子の数と運動性は減少し、勃起するのに時間を要するうえ、射精量も減少する。
4.× 男性はテストステロンが増加ではなく減少する。代表的な男性ホルモンであるテストステロンは、加齢とともに分泌が低下する。70歳男性の血中濃度は、20歳男性の70%以下になるといわれている。

 

 

 

 

 

50 高齢者の薬物動態の特徴で正しいのはどれか。

1.薬物の吸収の亢進
2.薬物の代謝の亢進
3.薬物の排泄の増加
4.血中濃度の半減期の延長

解答4

解説

1.× 薬物の吸収の亢進ではなく低下する。なぜなら、加齢変化による胃酸分泌や消化管運動、胃腸管血流量の低下、皮下脂肪・筋肉の組織透過性と末梢血流の低下によるため。
2.× 薬物の代謝の亢進ではなく低下する。なぜなら、加齢に伴う肝細胞数や肝血流量、薬物代謝酵素の減少によるため。
3.× 薬物の排泄の増加ではなく低下する。なぜなら、加齢に伴う腎臓や肝臓の機能低下によるため。
4.〇 正しい。血中濃度の半減期が延長する。なぜなら、加齢に伴う薬物代謝の低下や、薬物排泄機能の低下によるため。肝臓での代謝率が高い薬物(カルシウム措抗薬・鎮痛薬など)の副作用(有害事象)に注意する。

 

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