第107回(H30) 看護師国家試験 解説【午前51~55】

 

51 Aさん(80 歳、女性)。大腿骨頸部骨折のため人工骨頭置換術を受けた。手術後14日、Aさんの経過は順調で歩行訓練を行っている。歩行による疼痛の訴えはない。
 現在のAさんの状態で最も注意すべきなのはどれか。

1.せん妄
2.創部感染
3.股関節脱臼
4.深部静脈血栓症

解答3

解説

1.× せん妄(特に、術後せん妄)は、術後数時間から数日間後に出現し、通常1週間以内に消退することが多いため、現在のAさんの状態で最も注意すべきことから除外できる。
2.× 創部感染は、現在のAさんの状態で最も注意すべきことから除外できる。なぜなら、術後7~10日で創部は癒合するため。創部感染は術後早期に注意すべき合併症である。
3.〇 正しい。股関節脱臼である。人工骨頭置換術後、歩行訓練などのリハビリテーションを行っている時期に患者の活動が活発となり生じる合併症である。
4.× 深部静脈血栓症は、人工骨頭置換術後1か月以内起こりやすい。無症候性の深部静脈血栓症に続発する肺梗塞を発症し突然死する症例が存在するため注意が必要である。ただ、発症率は約0.7%であるため、現在のAさんの状態で最も注意すべきことから除外できる。

 

 

 

 

 

52 胎生期から小児期の血清免疫グロブリン濃度の年齢による変動を図に示す。
 ①が示しているのはどれか。


1.IgA
2.IgD
3.IgG
4.IgM

解答1

解説

1.〇 正しい。①はIgAである。IgAは母乳(特に初乳)に多く含まれ、乳児に受動免疫を与える免疫グロブリンである。10歳ごろに成人と同じレベルに達する。
2.× IgDは、IgAやIgGと比較しても微量しか存在していない免疫グロブリンであり、図中には記載されていない。
3.× IgGのみが胎盤を通過して母体から移行するため、出生時に最も多く存在する。生後3~6カ月には母体由来のIgGは減少・消失し、児のIgG自己産生能も未熟であるため、濃度は最低レベルとなる。5~6歳で成人並みとなる、表内で唯一出生時に100%近くに達している線が母体由来のIgGである。
4.× IgMは、免疫応答の初期に産生され、1歳ごろに成人と同じレベルに達する、

 

 

 

 

 

53 Aちゃん(生後4か月、女児)は、嘔吐とけいれんのため病院を受診した。受診時、Aちゃんは傾眠状態で、顔色不良と眼球上転がみられたため入院となった。受診時の体温は36.8℃であった。四肢は硬直し、数か所の内出血斑があった。大泉門は平坦であったが、次第に膨隆を認めるようになった。このときの頭部CTを下図に示す。
 Aちゃんの所見として考えられるのはどれか。


1.急性脳症
2.てんかん
3.硬膜下血腫
4.細菌性髄膜炎

解答3

解説

1.× 急性脳症とは、多くは感染症に伴い、持続的あるいは進行性の神経症状を急速に呈する症候群である。頭部CT検査では全域もしくは局所に、低吸収域(黒い)が確認される。
2.× てんかんでは、出血を認めない。
3.〇 正しい。硬膜下血腫は硬膜下に出血を認め本問のような画像となる。揺さぶられっこ症候群(SBS)とも呼び、児童虐待の死因として最も多い。
4.× 細菌性髄膜炎では感染症状として発熱がみられる。またCTでは出血を認めない。

 

 

 

 

 

54 性同一性障害(GID)/性別違和(GD)について正しいのはどれか。

1.出現するのは成人期以降である。
2.ホルモン療法の対象にはならない。
3.生物学的性と性の自己認識とが一致しない。
4.生物学的性と同一の性への恋愛感情をもつことである。

解答3

解説

性同一性障害は、生物学的には性別が明らかではあるが、心理的にそれとは別の性別であるという持続的な確信をもち、かつ自己を身体的および社会的に別の性別に適合させようとする者を指す。

1.× 出現するのは成人期以降ではなく、個人差があり、就学前の者もいれば、思春期になってからの者もいる。詳細な養育歴・生活史・性行動歴について聴取し、DSM-5やlCD-10(評価法)を参考にしながら性別違和の実態を明らかにすることが重要である。
2.× ホルモン療法の対象になる。「性同一性障害に関する診断と治療のガイドライン」(第3版)では、身体的治療として、ホルモン療法性別適合手術乳房切除術が挙げられている。
3.〇 正しい。生物学的性と性の自己認識とが一致しない。ちなみに診断の確定は、2人の精神科医が一致して性同一性障害と診断することで確定する。
4.× 生物学的性と同一の性への恋愛感情をもつことは必ずしもそうとは限らない。恋愛対象が異性か同性かは関係ない。恋愛対象とは性的趣向として、他者に向けられるものであり、性同一性障害は自己の性に対する認識である。

 

 

 

 

 

55 ルービン,R.による母親役割獲得過程におけるロールプレイはどれか。

1.友人の出産体験を聞く。
2.人形で沐浴の練習をする。
3.購入する育児用品を考える。
4.看護師が行う児の抱き方を見る。

解答2

解説

ルービン,R.による母親役割獲得過程とは、模倣、ロールプレイ、空想、取り込みー投影ー拒絶、悲嘆作業の5つの認識的操作を行いながら児との心理的絆形成が進むプロセスである。

1.× 友人の出産体験を聞くのは、ロールプレイではなく、模倣である。模倣とは、一般的な母親や専門家の行動を手本として、よいといわれることを同じようにやってみる行動である。行動に移る前の体験談を聞くこと、考えること、見ることも模倣に含まれる。また、選択肢3.4(購入する育児用品を考える/看護師が行う児の抱き方を見る。)も模倣に該当する。
2.〇 正しい。人形で沐浴の練習をするのはロールプレイである。ロールプレイは、子どもを対象にして母親役割を演じることであり、ほかの母親たちが経験していることを自分も体験する。

 

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