第107回(H30) 看護師国家試験 解説【午前56~60】

 

56 産科外来を初めて受診した妊婦。夫婦ともに外国籍で、日本の在留資格を取得している。
 この妊婦への説明で正しいのはどれか。

1.「母子健康手帳は有料で入手できます」
2.「妊婦健康診査は公費の助成を受けられます」
3.「出生届は外務省に提出します」
4.「生まれた子どもは出生時に日本国籍を取得できます」

解答2

解説

1.× 母子健康手帳は有料ではなく、市町村より無償で交付される。母子健康手帳の外国語版には、「英語」「ハングル」「中国語」「タイ語」「タガログ語」「ポルトガル語」「インドネシア語」「スペイン語」「ベトナム語」がある。母子健康手帳は『母子保健法』に基づき、妊婦からの妊娠の届出により原則としている。
2.〇 「妊婦健康診査は公費の助成を受けられます」が正しい。在留外国人妊婦であっても、妊婦健康診査は公費による助成を受けられる。
3.× 出生届は外務省ではなく、市区町村の役所に提出する。戸籍法により、出生届は出生日を含めて14日以内に在住している市区町村の役所に提出する。両親の国籍にかかわらず、日本で出産した場合は届け出なければならない。
4.× 生まれた子どもは出生時に日本にいても日本国籍を取得することはできない。ただそれは、外国人同士から生まれた子どもであって、両親のどちらかが日本人なら日本国籍になる。

 

 

 

 

 

57 大震災の2日後、避難所にいる成人への心理的援助で適切なのはどれか。

1.宗教の多様性への配慮は後で行う。
2.会話が途切れないように話しかける。
3.確証がなくても安全であると保証する。
4.ストレス反応に関する情報提供を行う。

解答4

解説

1.× 宗教の多様性への配慮はできるだけ後回しにしない。なぜなら、信仰する宗教への配慮は、精神的安寧を保つうえで重要であるため。災害時に限らず、どのような状況にあっても、対象者の霊的な欲求を尊重し、それを満たすのを助けるのは基本的看護ケアの一部である。
2.× 会話が途切れないように話しかけるのは反対に精神的負担となる。被災者への心理的援助(こころのケア)では、むしろ話を聞くこと(積極的傾聴法)を心掛け、被災者が安心して話せる場を整える必要がある、
3.× 確証がなくても安全であると保証するのは不適切である。そもそも確証がないことは安易に口にするべきではない。被災者との信頼関係なくして心理的援助(こころのケア)は成り立たないため、不適切である。
4.〇 正しい。ストレス反応に関する情報提供を行う。大規模災害後のストレス反応は誰にでも起こる可能性がある。これは、異常な出来事に対する正常な反応で、その多くは時間の経過とともに回復する。ストレス反応に関する適切な情報提供は、被災者がストレス反応を肯定的に捉え、回復を促進させることに繋がる。

 

 

 

 

 

58 修正型電気けいれん療法について正しいのはどれか。

1.保護室で行う。
2.全身麻酔下で行う。
3.強直間代発作が生じる。
4.発生頻度の高い合併症は骨折である。

解答2

解説

修正型電気けいれん療法は、麻酔薬と筋弛緩薬を用いたうえで脳に通電する治療法である。脳波上には発作波が記録されるが、筋弛緩薬を用いるので全身けいれんは起こらない。

1.× 保護室でなく、麻酔科医の管理のもと、手術室で行われる。
2.〇 正しい。全身麻酔下で行う。麻酔科医が静脈麻酔薬を用いて、全身麻酔をかけるたうえで行われる。
3.× 強直間代発作は生じない。筋弛緩薬を用いるため、強直間代発作のような全身けいれんは起こらない。その際、呼吸筋も弛緩するため麻酔科医が補助呼吸を行う。
4.× 発生頻度の高い合併症は骨折である。従来の電気けいれん療法ではけいれん発作時における骨折などの合併症がみられたが、修正型電気けいれん療法では全身けいれんを起こさないので骨折は起こらない。実施直後に起こる副作用として、血圧上昇頻脈不整脈などである。

MEMO
強直間代発作とは、てんかんの全般発作にみられる症状で、意識消失とともに、全身の筋肉を硬直させた状態(強直相)から、全身の筋肉の収縮・弛緩を繰り返す状態(間代相)へ移行するけいれん発作のことを指す。泡沫状の唾液や転倒による外傷、舌咳傷、失禁を伴いやすい。通常4分以内に終わり、発作後は筋弛緩が生じるとともに睡眠、またはもうろう状態となることが多い。

 

 

 

 

 

59 自殺念慮を訴える患者で、自殺が最も切迫している状態はどれか。

1.自殺の手段が未定である。
2.自殺する日を決めている。
3.将来の希望について時々話す。
4.普段と変わらない様子で生活している。

解答2

解説

「自殺念慮(じさつねんりょ)」とは、死にたいと思い、自殺することについて思い巡らす事のことをいう。自殺念慮の切迫度は、計画の具体性が高い場合、また実際に準備をしている場合に高いと判断する。よって、自殺に関する計画として最も具体的である選択肢2.自殺する日を決めている。が正しい。

1.3~4.× (自殺の手段が未定である/将来の希望について時々話す/普段と変わらない様子で生活している)は、具体的な自殺計画や行動がみられないため、切迫度という点に関しては2より低いと考えられる。

 

 

 

 

 

60 養護者による虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者が、高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(高齢者虐待防止法)に基づき通報する先として正しいのはどれか。

1.市町村
2.警察署
3.消防署
4.訪問看護事業所

解答1

解説

『高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(高齢者虐待防止法)』に基づいて、虐待を発見したら、速やかに市町村に報告しなければならない(7条)。なお、市町村から包括的支援事業の委託を受け、権利擁護の機能を有する地域包括支援センターに相談・通報することもできる。その他の選択肢は、法律で規定されていない。よって、選択肢1.市町村が正しい。
2~4.× 警察署/消防署/訪問看護事業所は、法律柄規定されていない。

MEMO

また看護師は、高齢者虐待を発見しやすい立場にあることを自覚して早期発見に努めなくてはならない。

看護師が高齢者虐待を発見して通報した場合、守秘義務違反にならないとされている。

 

 

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