第107回(H30) 看護師国家試験 解説【午後61~65】

 

61 精神科デイケアの目的で最も適切なのはどれか。

1.陽性症状を鎮静化する。
2.家族の疾病理解を深める。
3.単身で生活できるようにする。
4.対人関係能力の向上を目指す。

解答4

解説

 精神科デイケアは、当事者の地域生活を支える通院医療サービスである。主に集団療法を中心としたさまざまなリハビリテーションプログラムが行われている。

1.× 陽性症状を鎮静化は、薬物療法で行われるものである。精神科デイケアの目的ではない。また、陽性症状が活発な際は刺激からの保護も重要であり、デイケアのように多くの人が集まる場所へ足を運ぶことは不適切といえる。
2.× 家族の疾病理解を深めるのは不適切である。家族の疾病理解を深めるための心理教育プログラムを実施している施設もあるが、医療機関の方が充実しており適切である。基本的に、精神科デイケアが対象にしているのは患者本人であり、他の選択肢と比較して最も適切であるとはいえない。
3.× 単身で生活できるようにするのは不適切である。精神科デイケアを利用しているのは、退院直後の人から職場復帰前の人までとさまざまである。利用者によっては単身生活ができるようになることを目的としていることもあるが、全員が全員「単身で生活できるようにする」ことを目的としていない。
4.〇 正しい。対人関係能力の向上を目指す。精神科デイケアでは、社会生活技能訓練(SST)、スポーツ、創作活動やレクリエーションなど、集団で行われるプログラムに参加することを通して、仲間を作ったり対人技能を獲得したりしながら対人関係能力の向上を目指す

 

 

 

 

 

62 健康保険法による訪問看護サービスで正しいのはどれか。

1.サービス対象は75 歳以上である。
2.訪問看護師が訪問看護計画を立案する。
3.要介護状態区分に応じて区分支給限度基準額が定められている。
4.利用者の居宅までの訪問看護師の交通費は、診療報酬に含まれる。

解答2

解説

 訪問看護は、『介護保険法』によるもの、『健康保険法』によるもの、『高齢者の医療の確保に関する法律(高齢者医療確保法)』によるものに分けられる。

1.× サービス対象は75 歳以上ではなく、全年齢対象である。ただ、医師からサービスが必要だと認められる必要がある。
2.〇 正しい。訪問看護師が訪問看護計画を立案する。主治医からの訪問看護指示書を受けて、訪問看護師は訪問看護計画を立案して訪問する。
3.× 要介護状態区分に応じて区分支給限度基準額が定められているのは、『健康保険法』ではなく、『介護保険法』による訪問看護である。
4.× 利用者の居宅までの訪問看護師の交通費は、診療報酬に含まれず、保険適用外である。交通費が原則として診療報酬に含まれるのは、『介護保険法』による訪問看護である。

 

 

 

 

 

63 Aさん(75歳、男性)。1人暮らし。慢性閉塞性肺疾患(COPD)のため、2年前から在宅酸素療法を開始し、週に2回の訪問看護を利用している。訪問看護師はAさんから「最近、洗濯物を干すときに息が苦しくて疲れるが、自分でできることは続けたい」と相談された。
 Aさんの労作時の息苦しさを緩和する方法について、訪問看護師が行う指導で適切なのはどれか。

1.労作時は酸素流量を増やす。
2.呼吸は呼気より吸気を長くする。
3.動作に合わせて短速呼吸をする。
4.腕を上げるときは息を吐きながら行う。

解答4

解説

1.× 労作時は酸素流量を増やすのは不適切である。なぜなら、看護師や患者本人であっても、医師の指示なく酸素流量を勝手に変更してはならないため。必要があれば、主治医へ報告し、指示を仰ぐ。
2.× 呼吸は呼気より吸気ではなく、吸気より呼気を長くする。なぜなら、患者に吸気を延長させることはさらなる呼吸困難につながるため。慢性閉塞性肺疾患の患者は、壁の線維化や肺胞の弾性収縮力の低下などがおこっている。
3.× 動作に合わせて短速呼吸をするのは不適切である。短速呼吸とは、「ハッハッハ」と小刻みに短くする呼吸である。出産に際して行われるものが代表的である。慢性閉塞性肺疾患では、動作と呼吸を同調させることが大切であり無理に呼吸を早めると呼吸苦が増す。口すぼめ呼吸が正しい。
4.〇 正しい。腕を上げるときは息を吐きながら行う。腕を上げる動作は胸郭などの動きを妨げるため呼吸が苦しくなる。また、洗濯竿の高さを低くして手を高く上げずに済むような工夫も有効である。

 

 

 

 

 

64 Aさん(80歳、男性)は、20年前に大腸癌でストーマを造設し、現在週1回の訪問看護を利用している。訪問看護師は、訪問時にAさんから「2日前から腹痛がある」と相談を受けた。Aさんのバイタルサインは、体温36.4 ℃、呼吸数24/分、脈拍84/分、血圧138/60mmHgである。
 訪問看護師がAさんの腹痛をアセスメントするための情報で最も優先度が高いのはどれか。

1.排便の有無
2.身体活動量
3.食物の摂取状況
4.ストーマ周囲の皮膚の状態

解答1

解説

 大腸癌の術後リスクとしてイレウス(腸閉塞)を考慮する。

1.〇 正しい。排便の有無である。イレウスに伴って起こりうる症状として、腹痛以外には、悪心・嘔吐、排ガス・排便の停止、腹部膨満などがある。このため、まずは排便の有無を確認する。
2.3.× 身体活動量/食物の摂取状況は不適切である。なぜなら、大腸癌の術後リスクとしてのイレウス(腸閉塞)の症状を優先する必要があるため。身体活動量や食物の摂取状況も必要な情報だが、Aさんの状況を踏まえると選択肢1よりも優先度は低い。
4.× ストーマ周囲の皮膚の状態は、訪問時の観察項目である。ただし、患者は腹痛を訴えているため、まずは排便の有無を優先されるべきである。

 

 

 

 

 

65 Aさん(70歳、男性)。1人暮らし。脳出血の手術後、回復期リハビリテーション病棟に入院中である。神経因性膀胱のため、膀胱留置カテーテルを挿入している。要介護2で、退院後は看護小規模多機能型居宅介護を利用する予定である。
 退院後にAさんが行う膀胱留置カテーテルの管理で適切なのはどれか。

1.蓄尿バッグに遮光カバーをかぶせる。
2.カテーテルは大腿の内側に固定する。
3.外出前に蓄尿バッグの尿を廃棄する。
4.カテーテルと蓄尿バッグの接続は外さない。

解答3

解説

 Aさんの身体的・環境的な状況を踏まえて、適切な勝脱留置カテーテルの管理を考える。本問の要介護2という状態は尿を破棄するなどのカテーテル管理ができるか不安が残るものの、厚労省発表の正答肢を優先した解答とした。

 

1.× 蓄尿バッグに遮光カバーをかぶせるのは不適切である。蓄尿バッグにカバーをかける目的は、消臭や目隠しである。特に本人が見られたくないというニーズを示しているわけではないため適切とはいえない。
2.× カテーテルは大腿の内側ではなく、下腹部に固定する。なぜなら、男性の場合、大腿にカテーテルを固定するとカテーテルによる尿道損傷の恐れ(抜去の恐れ)があるため。陰茎が上向きになるように下腹部に固定する。
3.〇 正しい。外出前に蓄尿バッグの尿を廃棄する。なぜなら、蓄尿量が多いと移動の妨げや尿の重みによる事故抜去につながるおそれがあるため。外出前に蓄尿バッグ内の尿を破棄しておくことにより、Aさんがより安全に外出できることにつながる。しかし,Aさんは要介護2であるため、カテーテル管理をAさんが適切に行えるのかという疑問は残る。また、外出前に蓄尿バックがあまりにも入っていない場合は、必ずしも廃棄する必要があるかと聞かれると疑問が残る。
4.△ カテーテルと蓄尿バッグの接続は外さない。正解選択肢は、厚生労働省の発表では3となっている。しかし、カテーテルと蓄尿バッグの接続を不用意に外して接続部が不潔になると、逆行性の尿道感染をおこすおそれがある。外さないように指導する必要がある。本選択肢は内容的に誤りではないため△とする。

 

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