第107回(H30) 看護師国家試験 解説【午前71~75】

 

71 胸腺腫に合併する疾患で多くみられるのはどれか。

1.Parkinson(パーキンソン)病
2.筋ジストロフィー
3.重症筋無力症
4.多発性硬化症
5.多発性筋炎

解答3

解説

胸腺は胸骨の裏側にある組織で、不出来のT細胞を取り除くことから「免疫担当細胞の教室」ともいわれている。自己免疫反応を制御する器官でもある。

1.× Parkinson(パーキンソン)病は、神経伝達物質であるドパミンを産生する神経細胞の変性脱落が原因で起こる神経変性疾患である。振戦、筋強剛(固縮)、無動、姿勢保持障害などがみられる。
2.× 筋ジストロフィーは、骨格筋の壊死・変性を主病変とする筋疾患の総称である。
3.〇 正しい。重症筋無力症は、神経筋接合部の骨格筋側にあるアセチルコリン受容体に対する自己抗体により神経筋接合部が破壊され筋力低下を引き起こす自己免疫疾患である。胸腺腫患者の約30~50%にみられ、胸腺腫に合併する疾患のなかでは最も発生頻度が高い。
4.× 多発性硬化症は、多発性硬化症は中枢神経に時間的(多発性)空間的(多巣性)に病変を生じる脱髄疾患である。病変部位によって症状は様々であるが、視覚障害(視神経炎)を合併することが多く、寛解・増悪を繰り返す病気である。
5.× 多発性筋炎は、骨格筋に炎症をきたし筋力低下を引き起こす炎症性疾患である。原因は不明であるが、自己免疫やウイルスが関与するとされている、一部の患者では、まれに胸腺腫に合併することがあるが、重症筋無力症に比べると発生頻度は非常に低い。

 

 

 

 

 

72 頭部CTを下図に示す。
論理的思考を制御する領域はどれか。


1.A
2.B
3.C
4.D
5.E

解答1

解説

問題の

CT画像を見るとき、まずどこのレベルの画像かを判断する。本問題の画像は、視床‐基底核(尾状核、被殻)を通る断面を下から見上げたものである。前頭葉、頭頂葉、後頭葉が見える。

1.〇 正しい。A(左右の前頭葉)は、判断・思考・創造などに関わる領域である。
2.× B(右頭頂葉)は、主に左半身の感覚情報を受ける領域である。
3.× C(海馬)は、記憶を司っている。
4.× D(左頭頂葉)は、主に右半身の感覚情報を受ける領域である。また、多くの人は優位半球が左半球にあるため、言語理解の中枢がある。
5.× E(左右の後頭葉)は、視覚情報を受ける領域である。

 

 

 

 

 

73 糖尿病の合併症のうち、健康日本21(第二次)の目標に含まれるのはどれか。

1.腎症
2.感染症
3.網膜症
4.神経障害
5.血行障害

解答1

解説

健康日本21(第二次)の生活習慣病発症予防・重症化予防で、糖尿病において目標項目に挙げられている。

1.〇 正しい。腎症(糖尿病性腎症)は糖尿病の合併症である。腎不全を引き起こし、透析治療の原因疾患となる(近年では原因疾患の第1位)。糖尿病性腎症による透析患者数は増加傾向にあり、その減少が健康日本21(第二次)の目標のひとつになっている。
2~5.× 感染症/網膜症/神経障害/血行障害は、糖尿病の合併症であるが、健康日本21(第二次)の目標項目になっていない。

 

 

 

 

 

74 創傷の治癒過程で炎症期に起こる現象はどれか。

1.創傷周囲の線維芽細胞が活性化する。
2.肉芽の形成が促進される。
3.滲出液が創に溜まる。
4.創の収縮が起こる。
5.上皮化が起こる。

解答3

解説

創傷の治癒過程は、血液凝固期、炎症期、増殖期、成熟期に大きく分けることができる。それぞれの創傷治癒過程は明確に分けられるものではなく、オーバーラップして創傷治癒反応は進んでいく

1.× 創傷周囲の線維芽細胞が活性化するのは、増殖期である。
2.× 肉芽の形成が促進されるのは増殖期である。炎症細胞、線維芽細胞、細胞外マトリックス(膠原線維や蛋白質など)、新生血管などが一塊となり、創を埋めていく。この組織のことを肉芽組織といい、増殖期に起こる。
3.〇 正しい。滲出液が創に溜まるのは炎症期である。炎症期は、創部周辺の毛細血管の拡張により透過性が充進し、炎症細胞が創部に遊走する。毛細血管の透過性が充進することにより、惨出液が創に溜まる。
4.× 創の収縮が起こるのは増殖期である。形成が促進される肉芽組織の中には、筋線維芽細胞も存在し、創部の収縮に関与しており、増殖期に起こる。
5.× 上皮化が起こるのは増殖期である。創縁から表皮角化細胞の分裂、増殖、遊走が起こり、肉芽組織の上を表皮細胞が被覆する。この現象を上皮化と呼び、増殖期に起こる。

 

 

 

 

 

75 Ménière(メニエール)病の患者への指導内容について正しいのはどれか。

1.静かな環境を保持する。
2.発作時は部屋を明るくする。
3.めまいがあるときは一点を凝視する。
4.嘔吐を伴う場合は仰臥位安静にする。
5.耳鳴があるときは周囲の音を遮断する。

解答1

解説

Ménière(メニエール)病は、メニエール病の原因は「内リンパ水腫」で、 その根底にはストレス・睡眠不足・疲労・気圧の変化・几帳面な性格などがあると考えられている。感音難聴、耳鳴り、耳閉塞感を伴うめまい発作を繰り返す疾患である。発作時では安静を第一に考えた指導を行い、間欠期では発作が起こらないようにするための指導をする。

1.〇 正しい。静かな環境を保持する。発作時は、外的刺激を避けるために静かな環境を保持する必要がある。間欠期は、十分な休養と睡眠、規則正しい生活をし、過労にならないように指導する。
2~3.× 発作時は部屋を明るくする/めまいがあるときは一点を凝視するのは、不適切である。発作時は、閉眼させ光などの外的刺激を避け、うす暗く静かな部屋で楽な体位で休むと良い。
4.× 嘔吐を伴う場合は仰臥位安静にするのは不適切である。なぜなら、仰臥位で嘔吐すると誤嚥する危険があるため。患者は側臥位とする。
5.× 耳鳴があるときは周囲の音を遮断するのは不適切である。発作時の耳鳴りの対応としては、外的刺激を避けるため静かな環境にする必要があるが、音を遮断までする必要はない。間欠期の耳鳴りの場合、遮断環境が逆に耳鳴りが気になる。周囲に刺激になりすぎない音(静かな環境)があったほうが軽減して感じる。

 

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