第107回(H30) 看護師国家試験 解説【午前86~90】

 

86 労働基準法で定められているのはどれか。2つ選べ。

1.妊娠の届出
2.妊婦の保健指導
3.産前産後の休業
4.配偶者の育児休業
5.妊産婦の時間外労働の制限

解答3/5

解説

1.× 妊娠の届出は、『母子保健法』に定められている。妊娠した者は、速やかに市町村長に妊娠の届出をするようにしなければならない。これにより市町村は母子健康手帳を交付する
2.× 妊婦の保健指導は、『母子保健法』に定められている。妊産婦とその配偶者や乳児・育児の保護者に対して、妊娠、出産又は育児についての保健指導を定めている
3.〇 正しい。産前産後の休業は、『労働基準法』に定められている。産前6週間と産後8週間の休業、その後、子が1歳になるまでの育児時間(1日2回30分ずつ)も規定している。
4.× 配偶者の育児休業は、『育児・介護休業法』に定められている。
5.〇 正しい。妊産婦の時間外労働の制限は、『労働基準法』に定められている。妊産婦が請求した場合には、時間外労働・休日労働をさせてはならないことが定められている。

 

 

 

 

 

87 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症について適切なのはどれか。2つ選べ。

1.本人より先に家族に病名を告知する。
2.国内では異性間性的接触による感染が最も多い。
3.適切な対応によって母子感染率を下げることができる。
4.性行為の際には必ずコンドームを使用するよう指導する。
5.HIVに感染していれば後天性免疫不全症候群(AIDS)と診断できる。

解答3/4

解説

1.× 本人より先に家族に病名を告知することはない。家族に告知するときは必ず本人の同意を得る必要がある。2.× 国内では異性間性的接触ではなく、同性間の性的接触による感染が最も多い。平成28年エイズ発生動向(厚生労働省)によると、日本のHIV感染者の感染経路は、同性間の性的接触が58.7%と最も多い。
3.〇 正しい。適切な対応によって母子感染率を下げることができる。母子感染を防止するために、妊娠初期のHIVスクリーニング検査の実施、妊娠中や分娩時の抗HIV療法、選択的帝王切開術、帝王切開時の抗HIV薬点滴投与、出生児への抗HIV薬シロップ予防投与、人工乳哺育などを行う。
4.〇 正しい。性行為の際には必ずコンドームを使用するよう指導する。HIVは血液、精液、腔分泌液などに多く分泌されるので、HIV感染を防ぐために必ずコンドームを使用する。
5.× HIVに感染していても後天性免疫不全症候群(AIDS)と診断できない。HIVに感染したあと数年が経過し、CD4陽性T細胞が徐々に減少し免疫不全となった状態をAIDSという。ニューモシスチス肺炎などのエイズ診断のための指標疾患のうち、ひとつ以上を認めればエイズ発症と診断される。

 

 

 

 

 

88 Aさん(63 歳、男性)。BMI 24。前立腺肥大症のため経尿道的前立腺切除術を受け、手術後日で膀胱留置カテーテルが抜去された。数日後に退院する予定である。
 Aさんへの退院指導で適切なのはどれか。2つ選べ。

1.散歩を控える。
2.水分摂取を促す。
3.長時間の座位を控える。
4.時間をかけて入浴する。
5.排便時に強くいきまないようにする。

解答2/5

解説

前立腺切除術後の注意すべき合併症について理解したうえで、合併症リスクをあげないような退院指導を考えよう。経尿道的前立腺切除術後に多い合併症は、①尿路感染症、②前立腺切除部位の再出血、③術後浮腫による尿閉である。

1.× 散歩を控える必要はない。散歩などの軽い運動は、前立腺へのうっ血を予防することができ、手術後には推奨される。
2.〇 正しい。水分摂取を促す。手術後の尿路感染予防のために、水分摂取を促し、尿量を増加させることは重要である。
3.× 長時間の座位を控える必要はない。通常の坐位(車の運転)であれば問題はない。しかし、会陰部の一部(前立腺の近く)を強く圧迫する座位の場合(自転車に乗るなど)には、前立腺に機械的な圧がかかり、再出血のリスクがあるため一か月程度は避けるべきである。
4.× 時間をかけての入浴は避けるべきである。なぜなら、長時間の入浴により、前立腺への血流が増え、再出血のリスクが高まるため。
5.〇 正しい。排便時に強くいきまないようにする。過度のいきみにより、前立腺に圧がかかり、切除部位からの再出血のリスクが高まるため、手術後しばらくは避けるべきである。

 

 

 

 

 

89 精神科病院で行動制限を受ける患者への対応で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.行動制限の理由を患者に説明する。
2.原則として2名以上のスタッフで対応する。
3.信書の発受の対象は患者の家族に限定する。
4.精神保健指定医による診察は週1回とする。
5.12時間を超えない隔離は看護師の判断で実施する。

解答1/2

解説

精神科における行動制限とは、隔離や身体拘東のことを意味し、これらの運用については『精神保健福祉法』にて厳格に定められている。

1.〇 正しい。行動制限の理由を患者に説明する。行動制限の理由を患者に説明することは、精神保健福祉法で定められているが、患者への説明や診療録の記載などが必要である。。また、なぜ行動制限を受けなければならないのかという患者の不安や恐怖、医療者に対する敵意を軽減するという観点においても重要である。
2.〇 正しい。原則として2名以上のスタッフで対応する。行動制限は、自傷・他害のおそれが強い患者の医療および保護を図ることを目的として行われるものである。対応するスタッフ数は法律に明記されていないが、患者および医療者の安全を確保するため、原則2名以上で対応する。
3.× 信書の発受の対象は患者の家族に限定することは禁止されている。信書とは、「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書」のことである。信書の発受の制限は、いかなる場合でも行ってはならない。それは、たとえ患者が行動制限中であっても例外ではない。
4.× 精神保健指定医による診察は週1回は不適切である。診察は、行動制限が漫然と行われることのないよう、隔離中は少なくとも毎日1回、身体拘束中であれば頻回に、医師によって行われる必要がある。精神保健指定医によって最低週1回行われる必要があるのは、行動制限の継続を判断するための診察である。
5.× 12時間を超えない隔離は看護師ではなく医師の判断で実施する。12時間を越えない隔離にあたっては医師が、それ以上の隔離にあたっては精神保健指定医が必要と認める場合でなければ行うことができない。したがって、看護師の判断で隔離を実施することはできない

 

 

 

 

 

90 3L/分で酸素療法中の入院患者が、500L酸素ボンベ(14.7MPa で充塡)を用いて移動した。現在の酸素ボンベの圧力計は5MPa を示している。
 酸素ボンベの残りの使用可能時間を求めよ。
 ただし、小数点以下の数値が得られた場合には、小数点以下第1位を四捨五入すること。
解答: ① ② 分
選択肢:①1~9.②1~9

解答①:5、②:7

解説

まず、500L酸素ボンべが14.7MPaであることから、酸素残量が何Lあるかを算出する。

次に、3L/分酸素を吸入すると、何分間使用できるかを算出する。

酸素ボンべは14.7MPa充填で500Lであるため、5MPaでの酸素残量を計算する。

 

 

酸素残量は、ボンべの容量(L)×内圧/充填圧である。

500(L) × 5(MPa)/14.7(MPa) =170(L)

 

 

次に、使用可能時間を計算する。

酸素ボンべの使用可能時間は、酸素残量+1分間の酸素流量(L/分)である。

170(L) ÷ 3(L/分)=56.66(分)小数点第1位を四捨五入し、57分である。

 

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