第107回(H30) 看護師国家試験 解説【午後86~90】

 

86 甲状腺ホルモンの分泌が亢進した状態の身体所見について正しいのはどれか。2つ選べ。

1.徐脈
2.便秘
3.眼球突出
4.皮膚乾燥
5.手指振戦

解答3/5

解説

 甲状腺ホルモンの分泌が亢進した状態は、交感神経の働きが活発になる症状が起こる。

 

1.× 徐脈ではなく、頻脈が起こる。徐脈は甲状腺機能低下症の症状である。
2.× 便秘ではなく、下痢が起こる。便秘は甲状腺機能低下症でも起こる。
3.〇 正しい。眼球突出である。眼球突出は、甲状腺機能充進症の原因疾患であるバセドウ病の症状である。バセドウ病の代表的な症状は、メルセブルク三徴(①眼球突出、②びまん性甲状腺腫、③頻脈)である。
4.× 皮膚乾燥ではなく、皮膚湿潤(多汗)が起こる。
5.〇 正しい。手指振戦である。手指振戦は、甲状腺機能充進症の代表的な症状である。ほかの症状として、体重減少、精神不安定などがある。

 

 

 

 

 

87 下部尿路症状のうち蓄尿症状はどれか。2つ選べ。

1.尿失禁
2.残尿感
3.腹圧排尿
4.尿線途絶
5.尿意切迫感

解答1/5

解説

 下部尿路症状は、3つの症状(①蓄尿症状、②排尿症状、③排尿後症状)に大別される。蓄尿症状とは、排尿を支配する神経の異常や筋肉の変化によって、尿を膀胱にためる機能が障害された状態である。

 

1.〇 正しい。尿失禁は、蓄尿症状に分類される。尿失禁とは、膀胱に貯留された尿が無意識、または不随意に漏出する状態である。切迫性尿失禁や腹圧性尿失禁が多くみられる。
2.× 残尿感は、排尿後症状に分類される。残尿感とは膀胱への刺激によって生じる。排尿後も膀胱に尿が残っているように感じる状態である。実際に膀胱内に残尿が残っている場合にも生じることがある。
3.× 腹圧排尿は、排尿症状に分類される。腹圧排尿とは、尿道の閉塞により引き起こされる排尿困難に対して、腹圧をかける(いきむ)ことにより尿勢を保つ状態である。
4.× 尿線途絶は、排尿症状に分類される。尿線途絶とは、前立腺肥大症による尿道の閉塞、膀胱内の結石や腫蕩による内尿道口の閉塞によって、排尿中に突然尿の流出が止まる状態をいう。
5.〇 正しい。尿意切迫感は、蓄尿症状に分類される。尿意切迫感は、膀胱への過剰な神経刺激により引き起こされる。我慢できないほどの強い尿意を感じる状態であり、尿失禁を伴う場合もある。

 

 

 

 

 

88 妊娠の成立の機序で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.原始卵胞から卵子が排出される。
2.排卵後の卵子は卵管采によって卵管に取り込まれる。
3.受精は精子と卵子との融合である。
4.受精卵は子宮内で2細胞期になる。
5.着床は排卵後3日目に起こる。

解答2/3

解説

 男性から射精された精子と卵巣から排卵された卵子は卵管内で受精卵となり、分裂を繰り返しながら卵管を輸送され、子宮内膜に着床し、妊娠が成立する。

1.× 原始卵胞ではなく、グラーフ(Graaf)卵胞から卵子が排出される。一次卵母細胞を含む原始卵胞は、卵胞刺激ホルモンの作用で発育卵胞を経て成熟したグラーフ(Graaf)卵胞となり、グラーフ卵胞から卵子が排出される。
2.3.〇 正しい。排卵後の卵子は卵管采によって卵管に取り込まれる/受精は精子と卵子との融合である。受精とは、精子と卵子が合体融合して、受精卵が生じる現象を指す。受精は卵管膨大部で起こる。
4.× 受精卵は子宮内で2細胞期ではなく、分裂を繰り返し桑実胚の状態となって子宮に到達する。受精卵は、分裂を繰り返しながら卵管内を通過する。卵管内を通過中、受精後約30時間で2細胞期になる。子宮内には、受精後3~4日に桑実腫の状態で子宮腔に到達する。
5.× 着床は排卵後3日目ではなく、排卵後7~10日ほど経ってから起こる。着床とは、輸送された受精卵が子宮内膜に接着し、さらに埋没するまでの過程をいう。受精卵は、胚盤胞の状態で子宮内膜に接着する。着床は排卵後7~10日頃から始まり、受精後12日頃に完了する。

 

 

 

 

 

89 Aさん(65歳、女性)は、5年前に乳癌の左胸筋温存乳房切除術と左腋窩リンパ節郭清術を受けた。1年前に大骨転移のため日常生活動作(ADL)に一部介助が必要となり、訪問看護を利用し在宅で療養している。Aさんの左上腕内側の皮膚をつまむと健側より厚みがある。
 訪問看護師がAさんに指導する左上腕のケア方法で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.指圧する。
2.皮膚の露出は少なくする。
3.保湿クリームを塗布する。
4.ナイロン製タオルで洗う。
5.アルカリ性石けんで洗浄する。

解答2/3

解説

 本症例は、5年前に左胸筋温存乳房切除術と左腋窩リンパ節郭清術を受け、左上腕内側の皮膚に厚みが出現してきた。そこから、初期のリンパ浮腫の可能性が考えられる。リンパ浮腫の治療は、以下の4つを組み合わせた複合的治療が有効である.圧迫療法を基本に、組み合わせて治療する。①スキンケア(清潔・乾燥防止・皮膚の保護)、②用手的リンパドレナージ、③圧迫療法(弾性着衣や弾性包帯を用いる)、④圧迫療法下での運動療法

 

1.× 指圧するのは不適切である。なぜなら、強く指圧した場合は傷ができやすく、蜂巣炎(蜂窩織炎)の原因にもなるため。リンパ浮腫の治療として、有効なのは、腕にたまったリンパ液を正常なリンパ節へ誘導してむくみを改善するリンパドレナージがある。
2.〇 正しい。皮膚の露出は少なくする。なぜなら、小さな傷や虫刺されによる細菌感染で蜂巣炎(蜂窩織炎)をおこしやすいため、皮膚を保護する。
3.〇 正しい。保湿クリームを塗布する。なぜなら、皮膚が乾燥すると、皮膚の保護機能が低下し細菌感染を起こしやすくなるため。
4.× ナイロン製タオルで洗うのは不適切である。なぜなら、皮膚にができやすいため。柔らかい素材のスポンジやタオルを使用して優しく洗う。
5.× アルカリ性石けんで洗浄するより、刺激が少ない弱酸性のものを使用するほうがよい。

 

 

 

 

 

90 出生体重3,200gの新生児。日齢の体重は3,100gである。
 このときの体重減少率を求めよ。
 ただし、小数点以下の数値が得られた場合には、小数点以下第位を四捨五入すること。
解答: ①.② %
選択肢①1~9、②1~9

解答①3、②1

解説

 新生児では、授乳が胎便の排出や排尿・不感蒸泄による体重減少に追いつかないことにより、生後3~5日頃までは生理的に体重が減少する。減少率とは、出生時体重からの減少の割合である。

 新生児の体重減少率(%)は、

(出生時の体重-現在の体重)÷ 出生時の体重×100

で算出される。

 

この場合は、

(3200-3100) ÷ 3200×100

=3.125(%)となる。

小数点以下第2位を四捨五入する。

なので、解答①3、②1となる。

 

MEMO

 生理的体重減少の範囲は、3~10%で、生後約1~2週間で出生時体重に戻る。10%以上体重が減少する場合、5日以上経過しても体重が増加しない場合は原因を検索し、その対処が必要である。

 

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