第108回(H31) 看護師国家試験 解説【午後111~115】

次の文を読み109〜111の問いに答えよ。
 Aさん(19歳、男性、専門学校生)は、1人暮らし。「皆が自分を嫌っている」と言い、昨年から学校を休学し、アパートに引きこもるようになった。先週、夜中に大声で叫ぶ日が続いたため、アパートの管理人が両親へ連絡をした。連絡の翌日、Aさんの両親が訪ねてみると、Aさんは「隣の人に嫌がらせを受けている。助けてくれ」と叫び続けたため、両親とともに精神科病院へ行き、その日のうちに任意入院となった。Aさんは統合失調症と診断され、抗精神病薬による治療が開始された。

111 入院後2か月。Aさんは症状も落ち着いてきたため、退院の準備をすることになった。Aさんは看護師に「病気はすっかりよくなったのに、ずっと薬を飲まなければならないのか。体がだるく、体力が落ちた気がする。朝から学校へ行けるかどうか心配だ」と話した。
 Aさんの退院の準備のために行う支援で優先度が高いのはどれか。

1.服薬心理教育
2.食事への援助
3.筋力トレーニングの指導
4.アサーティブトレーニングの指導

解答1

解説

1.〇 正しい。服薬心理教育とは、統合失調症の症状や原因などの知識から、治療に前向きに取り組んでいくための教育的支援である。統合失調症は長く付き合っていく病気であり、再燃防止のためには服薬を継続していく必要がある。服薬心理教育は心理面に配慮しながら病気のことや治療のことをわかりやすく話していくものであり、本症例の退院に向け有効である。
2.× 食事への援助の優先度は低い。なぜなら、入院中も含め食事のことは問題になっていないため。
3.× 筋力トレーニングの指導の優先度は低い。なぜなら、本症例の倦怠感や体力が落ちた気がするというのは、薬の副作用であるため。筋力トレーニングで解決できるものではない。
4.× アサーティブトレーニングの指導の優先度は低い。アサーティブトレーニングとは、自分も相手も大切にした自己主張の訓練である。Aさんの心配(薬など)への対処法ではないため、これを行う優先度は低いといえる。

 

 

 

 

 

 

次の文を読み112〜114の問いに答えよ。
 Aさん(40歳、男性、会社員)は、うつ病と診断されていた。最近、仕事がうまくいかず、大きなミスを起こし、会社に損失を与えたことから自分を責め不眠となり、体重が減少した。ある朝、リビングの床で寝ているAさんを妻が発見し、大きな声で呼びかけたところ、Aさんは1度目を開けたが、すぐ目を閉じてしまった。ごみ箱に、からになった薬の袋が大量に捨ててあり、机には遺書があった。救急搬送後、意識が清明となり、身体的問題がないため精神科病院に入院となった。

112 入院時の看護師のAさんに対する関わりで適切なのはどれか。

1.いま死にたい気持ちがあるか尋ねる。
2.命を大切にしたほうがよいと伝える。
3.死ぬ気があれば何でもできると話をする。
4.家族が悲しむから死んではいけないと伝える。

解答1

解説

1.〇 正しい。いま死にたい気持ち(自殺念慮)があるか尋ねるのは正しい。なぜなら、再度の自殺企図を防止するため。自殺未遂患者のケアで重要である。また、希死念慮があることを確認した場合は、計画の具体性などから切迫度の確認を行う。
2.× 命を大切にしたほうがよいと伝えるのは不適切である。なぜなら、命を大切にという言葉はAさんを否定していると思わせる恐れがあるため。うつ病によって引き起こされる希死念慮は病的なものであり、一般論で気持ちがおさまるものではない。
3.× 死ぬ気があれば何でもできると話をするのは不適切である。なぜなら、急性期のうつ病患者を𠮟咤激励するのは、余計に患者を追い詰めることになるため。
4.× 家族が悲しむから死んではいけないと伝えるのは不適切である。なぜなら、家族を引き合いに出すと、余計に責任を感じさせることになりかねないため。うつ病が重篤な場合、罪業妄想(自分の行為や内面的な心の動きに罪悪感をもち、自分自身を責める妄想)なども出現し、自分の存在自体が家族にも周りにも迷惑をかけていると思い込んでいることがある。

 

 

 

 

 

 

次の文を読み112〜114の問いに答えよ。
 Aさん(40歳、男性、会社員)は、うつ病と診断されていた。最近、仕事がうまくいかず、大きなミスを起こし、会社に損失を与えたことから自分を責め不眠となり、体重が減少した。ある朝、リビングの床で寝ているAさんを妻が発見し、大きな声で呼びかけたところ、Aさんは1度目を開けたが、すぐ目を閉じてしまった。ごみ箱に、からになった薬の袋が大量に捨ててあり、机には遺書があった。救急搬送後、意識が清明となり、身体的問題がないため精神科病院に入院となった。

113 入院後1か月、Aさんのうつ症状は改善を認めたが、同室患者とトラブルが続き、不眠や多弁傾向となった。また焦燥感が強く落ち着いて食事ができなくなった。そのため双極性障害と診断され、主治医から炭酸リチウムの内服の指示が出た。Aさんは炭酸リチウムを服用して1週後、手の震え、嘔気が出現した。
 Aさんの手の震え、嘔気の原因を判断するための検査で最も適切なのはどれか。

1.尿検査
2.髄液検査
3.頭部MRI検査
4.薬物血中濃度検査

解答4

解説

 炭酸リチウムは双極性障害の治療でよく用いられるが、適正な血中濃度が保てない場合は、リチウム中毒となる。炭酸リチウムの有効血中濃度の範囲は、0.60~1.20mEq/Lと非常に狭い。したがって、それを超えるとリチウム中毒を引き起こしてしまう。リチウム中毒の症状は、悪心・嘔吐、下痢、血圧低下、不整脈、意識障害、振戦、乏尿など多岐にわたる。重篤になると命の危険にもつながるため、定期的な血中濃度検査が推奨されている。したがって、選択肢4.薬物血中濃度検査が正しい。

 

1.× 尿検査とは、尿中の成分を検査することにより腎・尿路系、もしくは腎前性疾患を推測する検査である。
2.× 髄液の機能として、栄養を補給し老廃物を排除する働きと、脳や神経を保護する役目がある。 そのため、脳や脊髄に病気や異常があると、髄液に変化がみられ、この髄液を採取し調べ病気の診断、治療、予後を判定するのが髄液検査である。
3.× 頭部MRI検査は、頭部断面の構造をみるMRI、頭部の血管の様子を調べるMRAの両方を調べられる。 この検査は、症状の出ていない脳の病気をみつけるのが目的である。

 

 

 

 

 

 

次の文を読み112〜114の問いに答えよ。
 Aさん(40歳、男性、会社員)は、うつ病と診断されていた。最近、仕事がうまくいかず、大きなミスを起こし、会社に損失を与えたことから自分を責め不眠となり、体重が減少した。ある朝、リビングの床で寝ているAさんを妻が発見し、大きな声で呼びかけたところ、Aさんは1度目を開けたが、すぐ目を閉じてしまった。ごみ箱に、からになった薬の袋が大量に捨ててあり、机には遺書があった。救急搬送後、意識が清明となり、身体的問題がないため精神科病院に入院となった。

114 入院後3か月、Aさんは退院予定となり、元の職場に戻るための準備をすることになった。Aさんは「すぐに仕事に戻るのではなく、規則正しく生活することなどから、段階的に取り組むほうがいいのではないか」と訴えていた。
 Aさんの職場復帰を含めた退院後の生活を支援するために適切なのはどれか。

1.自立訓練
2.就労移行支援
3.就労継続支援
4.精神科デイケア

解答4

解説

1.× 自立訓練(食事や排泄、入浴など日常生活能力が向上するよう訓練すること)は不適切である。なぜなら、本症例は復職の準備をしている段階であるため。
2.× 就労移行支援(一般企業への就職を希望する障害者が、就職に必要なスキルを身に付けるために受ける支援)は不適切である。なぜなら、本症例は、元の職場に戻るための準備をしている段階であるため。
3.× 就労継続支援(就労継続支援は一般企業への就労が困難な障害者が、就労の機会を提供して能力向上に必要な訓練を行う支援)は不適切である。なぜなら、本症例は、元の職場に戻るための準備をしている段階であるため。
4.〇 正しい。精神科デイケア(患者が日中に通所し、社会生活機能の回復を目的として、個々の患者に応じたプログラムに従ってグループごとに治療する施設)が正しい。なぜなら、生活リズムを整えることは、精神科デイケアの目的のひとつであり、Aさんの希望(段階的に取り組む意向)に沿っているため。

 

 

 

 

 

 

次の文を読み115〜117の問いに答えよ。
 Aさん(70歳、男性)は、妻(68歳)と2人暮らし。3年前に筋萎縮性側索硬化症(ALS)と診断され、在宅で療養生活を続けていた。その後、Aさんは症状が悪化し、入院して気管切開下の人工呼吸療法、胃瘻による経管栄養法を受けることになった。妻は、退院後に必要なケアの技術指導、人工呼吸器や胃瘻の管理方法、緊急・災害時の対応について病棟看護師から指導を受けた。退院前カンファレンスにおいて、訪問看護のほかに必要な在宅サービスについて検討することになった。妻は慢性腎不全のため、週に3回の血液透析を受けており、1回に約6時間の外出が必要である。

115 Aさんが利用する在宅サービスで最も優先度が高いのはどれか。

1.定期巡回・随時対応型訪問介護看護
2.通所リハビリテーション
3.短期入所生活介護
4.療養通所介護

解答4

解説

1.× 定期巡回・随時対応型訪問介護看護は優先度は低い。なぜなら、妻が外出する6時間の見守りには対応が困難であるため。定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、要介護度が高い患者等にも対応でき、1日複数回の訪問介護と訪問看護を提供するサービスである。
2.× 通所リハビリテーションは優先度は低い。なぜなら、通所リハビリテーションは自立した生活ができるよう支援する施設であるため。現在の本症例の身体状況だと、通所リハビリテーションより訪問看護の利用の方が適切である。また、訪問看護でもリハビリに対応できる。
3.× 短期入所生活介護(ショートステイ)は優先度は低い。なぜなら、医学的管理をあまり必要としない方を対象としているため。本症例は、医学的な管理も必要な状況であるため、短期入所生活介護(ショートステイ)よりも短期入所療養介護の方が適切である。
4.〇 正しい。療養通所介護は正しい。なぜなら、療養通所介護は常に看護師による観察を必要とする難病も対象としたサービスであり、利用者の自宅から施設までの送迎もあるため。Aさんの妻が血液透析のため外出している間に利用でき、介護者の負担軽減にもつながると考えられるため優先度が高い。。

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