第108回(H31) 看護師国家試験 解説【午後116~120】

次の文を読み115〜117の問いに答えよ。
 Aさん(70歳、男性)は、妻(68歳)と2人暮らし。3年前に筋萎縮性側索硬化症(ALS)と診断され、在宅で療養生活を続けていた。その後、Aさんは症状が悪化し、入院して気管切開下の人工呼吸療法、胃瘻による経管栄養法を受けることになった。妻は、退院後に必要なケアの技術指導、人工呼吸器や胃瘻の管理方法、緊急・災害時の対応について病棟看護師から指導を受けた。退院前カンファレンスにおいて、訪問看護のほかに必要な在宅サービスについて検討することになった。妻は慢性腎不全のため、週に3回の血液透析を受けており、1回に約6時間の外出が必要である。

116 退院から1週後に妻から訪問看護ステーションに連絡があり「人工呼吸器のアラームが鳴り続けていて、どうしたらいいのかわかりません。低圧アラームが点灯しています。気管カニューレも抜けていないし、呼吸もいつも通りにしているように見えます」と尋ねた。
 この時の訪問看護師の妻への回答で正しいのはどれか。

1.「気管内の吸引を行ってください」
2.「回路にゆるみがないか確認してください」
3.「電源プラグが抜けていないか確認してください」
4.「ウォータートラップに水が溜まっていないか確認してください」

解答2

解説

1.× 気管内の吸引を行う必要はない。なぜなら、Aさんの気管内に痰などが貯留している場合、高圧アラームが点灯すると考えられるため。また、本症例の呼吸も安定している。
2.〇 正しい。回路のゆるみを確認するよう指示する。なぜなら、低圧アラームの点灯は、気管カニューレが抜けておらず、呼吸状態も変化がないため、呼吸器の回路からガスのリーク(空気漏れ)が考えられるため。
3.× 電源プラグの確認は必要ない。なぜなら、低圧アラームが点灯しているため。電源プラグが外れていれば電源関連のアラームが点灯する。
4.× ウォータートラップの水溜まりの確認は必要ない。なぜなら、ウォータートラップはガスがリークしやすい場所のため。定期的には必要であるが、確実に接続できているか確認するよう指示する

 

 

 

 

 

 

次の文を読み115〜117の問いに答えよ。
 Aさん(70歳、男性)は、妻(68歳)と2人暮らし。3年前に筋萎縮性側索硬化症(ALS)と診断され、在宅で療養生活を続けていた。その後、Aさんは症状が悪化し、入院して気管切開下の人工呼吸療法、胃瘻による経管栄養法を受けることになった。妻は、退院後に必要なケアの技術指導、人工呼吸器や胃瘻の管理方法、緊急・災害時の対応について病棟看護師から指導を受けた。退院前カンファレンスにおいて、訪問看護のほかに必要な在宅サービスについて検討することになった。妻は慢性腎不全のため、週に3回の血液透析を受けており、1回に約6時間の外出が必要である。

117 退院から2週後、妻から「昨日、私が透析を受けている病院で災害が発生した場合の診療について説明がありました。在宅での生活にも少し慣れてきたし、夫のことも気になるので、あらためて災害に備えておきたいのですが、何から始めればよいでしょうか」と訪問看護師に相談があった。
 訪問看護師が妻に指導する内容で最も優先度が高いのはどれか。

1.予備の電源の選び方
2.福祉避難所への移動手段
3.災害用持ち出し物品の準備
4.足踏み式吸引器の使用方法

解答1

解説

1.〇 正しい。予備の電源の選び方である。なぜなら、災害時は停電する可能性があり、外部バッテリーや発電機などの予備電源を用意することが重要であるため。また、災害時においては、すぐに福祉避難所へ移動することができない場合もある。そのため、まずは外部バッテリーや非常用電源の準備について検討することが最優先である。
2~4.× 福祉避難所への移動手段/災害用持ち出し物品の準備/足踏み式吸引器の使用方法/は、優先度が低い。なぜなら、予備電源は生命にかかわることであるが、他選択肢はすぐに生命にかかわることとはいえないため。

 

 

 

 

 

 

次の文を読み118〜120の問いに答えよ。
 Aさん(55歳、男性、自営業)は、父親(78歳)と2人暮らし。Aさんは、2年前から食後に心窩部痛を感じていたが、医療機関を受診していなかった。午後3時、Aさんは胃部不快感を訴えた直後、突然コップ1杯程度の吐血があり倒れた。父親が救急車を呼び、救急病院に搬送された。到着時、意識はジャパン・コーマ・スケール(JCS)Ⅰ-3。バイタルサインは、体温36.4℃、呼吸数20/分、脈拍124/分、整、血圧86/50mmHg。経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)95%。顔面は蒼白で、皮膚は湿潤している。四肢冷感を認める。眼瞼結膜は軽度貧血様であるが、黄染を認めない。腹部は平坦で腸蠕動音は微弱、心窩部に圧痛を認めるが、筋性防御はない。胃部不快感は受診前よりも改善している。担当した医師に父親が「息子は黒い便が出ると言っていた」と伝えた。

118 Aさんの状態で考えられるのはどれか。

1.出血性ショック
2.イレウス
3.低血糖
4.脱水

解答1

解説

1.〇 正しい。出血性ショックである。なぜなら、吐血や黒色便があったことから上部消化管出血に伴い、血圧低下・顔面蒼白・頻脈・皮膚の湿潤・SpO295%といった状態が起こっていることが推測できるため。循環血液量減少性(出血性)ショックが考えられる。
2.× イレウス(何らかの要因により腸管通過が妨げられる状態)は考えにくい。なぜなら、主な症状は腹痛・腹部膨満・悪心・嘔吐だが、本症例にはみられていないため。
3.× 低血糖は考えにくい。なぜなら、低血糖の症状である悪心、動悸、手指の振戦、意識障害などがみられないため。
4.× 脱水は考えにくい。なぜなら、脱水は、発汗・下痢・嘔吐・出血などの水分喪失量に対して、水分摂取量が不足することにより起こるため。

 

 

 

 

 

 

 

次の文を読み118〜120の問いに答えよ。
 Aさん(55歳、男性、自営業)は、父親(78歳)と2人暮らし。Aさんは、2年前から食後に心窩部痛を感じていたが、医療機関を受診していなかった。午後3時、Aさんは胃部不快感を訴えた直後、突然コップ1杯程度の吐血があり倒れた。父親が救急車を呼び、救急病院に搬送された。到着時、意識はジャパン・コーマ・スケール(JCS)Ⅰ-3。バイタルサインは、体温36.4℃、呼吸数20/分、脈拍124/分、整、血圧86/50mmHg。経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)95%。顔面は蒼白で、皮膚は湿潤している。四肢冷感を認める。眼瞼結膜は軽度貧血様であるが、黄染を認めない。腹部は平坦で腸蠕動音は微弱、心窩部に圧痛を認めるが、筋性防御はない。胃部不快感は受診前よりも改善している。担当した医師に父親が「息子は黒い便が出ると言っていた」と伝えた。

119 Aさんは緊急入院となり、医師から「少なくとも2週間程度の入院が必要です」と説明を受けた。立ち会っていた看護師長にAさんは「最近、父の物忘れがひどくて、1人でどこかに行ってしまったこともあるので、家に帰せません。何とかなりませんか」と訴えた。父親は要介護認定を受けているが、現在は介護保険サービスを利用せず、Aさんが介護をしながら生活していた。
 Aさんの父親に対する看護師長の対応で適切なのはどれか。

1.自院への入院を調整する。
2.地域包括支援センターに相談する。
3.精神保健福祉センターに相談する。
4.特別養護老人ホームに入所相談する。

解答2

解説

1.× 自院への入院を調整することはできない。なぜなら、病院に入院するのは、何らかの症状があり治療医学的管理が必要な場合であるため。
2.〇 正しい。地域包括支援センターに相談する。地域包括支援センターは、介護・医療・保健・福祉の面から高齢者を含む地域住民を支える役割がある。Aさんの父親が今までどおり生活できるよう、介護サービス。日常生活支援などについて相談できる。Aさんの父親は要介護認定を受けているので、介護保険サービスを利用できるよう相談していくことができるため正しい。
3.× 精神保健福祉センターに相談するのは不適切である。なぜなら、精神保健福祉センターは、認知症など精神保健上の困りごとのある高齢者の相談にも応じるが、対象となるのは通常、精神疾患による受診拒否や介護拒否のある場合などであるため。Aさんの父親のケースでは、選択肢2.地域包括支援センターのほうが相談先として適切と考えられる。
4.× 特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)に入所相談するのは不適切である。なぜなら、特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)は、在宅での生活が困難となった要介護度3以上の高齢者が入居できる施設であるため。Aさんの父親が入所できるか判断できない状況であるため、先ずは地域包括支援センターに相談する方が適切である。

 

 

 

 

 

 

 

次の文を読み118〜120の問いに答えよ。
 Aさん(55歳、男性、自営業)は、父親(78歳)と2人暮らし。Aさんは、2年前から食後に心窩部痛を感じていたが、医療機関を受診していなかった。午後3時、Aさんは胃部不快感を訴えた直後、突然コップ1杯程度の吐血があり倒れた。父親が救急車を呼び、救急病院に搬送された。到着時、意識はジャパン・コーマ・スケール(JCS)Ⅰ-3。バイタルサインは、体温36.4℃、呼吸数20/分、脈拍124/分、整、血圧86/50mmHg。経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)95%。顔面は蒼白で、皮膚は湿潤している。四肢冷感を認める。眼瞼結膜は軽度貧血様であるが、黄染を認めない。腹部は平坦で腸蠕動音は微弱、心窩部に圧痛を認めるが、筋性防御はない。胃部不快感は受診前よりも改善している。担当した医師に父親が「息子は黒い便が出ると言っていた」と伝えた。

120 Aさんは、医師から「検査の結果、スキルス胃癌でした。膵臓や広範囲な腹膜への転移があって手術ができない状態でした。おそらく余命半年だと思います」と告知され、1週後に退院となった。退院後3か月、Aさんは外来看護師に「ずいぶん腰痛と腹痛がひどく、腹水が溜まって動くのも大変になってきました。最期は人工呼吸器の装着など延命をしたくないのですが、それを意識がなくなったあとにも医師に伝える方法はありますか」と尋ねた。そこで、看護師はAさんにリビングウィルの説明をすることにした。
 Aさんに対して看護師が行うリビングウィルの説明で正しいのはどれか。

1.「法律で定められた文書です」
2.「父親のグリーフケアに必要な書類です」
3.「Aさんの自由意思で作成することができます」
4.「一度作成すると内容を変更することはできません」

解答3

解説

リビングウィル(英語: living will)

末期状態になり自分の意思で表明できない事態となった場合に備えて、患者自身の希望(延命治療の希望または拒否、苦痛を緩和する治療の希望、植物状態となった際の生命維持装置の継続または中止)を医師にあらかじめ指示する書面をいう。

1.× 日本の法律で定められた文書ではない
2.× 父親のグリーフケアに必要な書類ではない。グリーフケアとは、遺族の複雑で深刻な心の状態を理解して寄り添うことで回復のサポートをする取り組みである。
3.〇 正しい。Aさんの自由意思で作成することができる。リビングウイルは患者本人の自由意思で作成できるとともに、変更することも自由にできるものである。
4.× 一度作成しても内容を変更は自由に行える。なぜなら、法的な制限はないため。

 

 

※注意:著者は看護師で、解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究・自己研鑽のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。またコメントにて解き方等教えてくださると幸いです。

 

問題引用:第105回保健師国家試験、第102回助産師国家試験、第108回看護師国家試験の問題および正答について

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