第108回(H31) 看護師国家試験 解説【午後61~65】

61 知的障害(精神遅滞)の原因となる疾患はどれか。

1.統合失調症
2.フェニルケトン尿症
3.Alzheimerr(アルツハイマー)病
4.Creutzfeldt-Jakobr(クロイツフェルト・ヤコブ)病

解答2

解説

知的障害の原因

出生前要因:染色体異常、奇形症候群、先天代謝異常、神経変性疾患、神経筋疾患、内分泌疾患、子宮内感染など。

周産期要因:胎内環境異常、新生児疾患など。

出生後要因:外傷、事故、養育環境などが挙げられる。

1.× 統合失調症は、知的障害の原因ではない。統合失調症とは、思春期から青年期に好発する精神疾患である。思考や感情、行動を統合する能力が長期間にわたって低下し、特徴的な思考障害や行動障害が生じた病態である。
2.〇 正しい。フェニルケトン尿症は、知的障害の原因である。フェニルケトン尿症とは、指定難病の一つで遺伝性疾患である。血液中にフェニルアラニンの高値が続くと、知的能力の発達が同年代の人に比べて低い水準となる知的障害の原因となる。
3.× Alzheimerr(アルツハイマー)病は、知的障害の原因ではない。アルツハイマー病とは、進行性の脳変性疾患である。主要症状である記憶障害で発症し、進行すると見当識障害や失語・失行・失認、遂行機能障害などの症状を起こす。
4.× Creutzfeldt-Jakobr(クロイツフェルト・ヤコブ)病は、知的障害の原因ではない。Creutzfeldt-Jakobr(クロイツフェルト・ヤコブ)病とは、50~60歳代の初老期に好発する疾患である。特殊な立体構造をもった異常プリオンが脳に蓄積することが原因である。症状は、認知症や異常行動などで発症し、ミオクローヌス、錐体路障害、錐体外路症状などがみられる。

 

 

 

 

 

62 Aさん(24歳、男性)は、昼間の過剰な眠気を主訴に来院した。半年前に居眠り運転で交通事故を起こした。入眠時の幻視や睡眠と覚醒の移行期に体を動かせなくなることがある。また、笑ったり、怒ったりしたときに脱力してしまうこともある。
 最も考えられる疾患はどれか。

1.睡眠時遊行症
2.ナルコレプシー
3.睡眠時無呼吸症候群
4.睡眠・覚醒スケジュール障害

解答2

解説

1.× 睡眠時遊行症(夢遊病)は、子どもに多く睡眠中に起き上がって歩き回ってしまう睡眠障害である。深い眠りの最中に起こるので覚醒させるのが難しく、覚醒したときは遊行中のことを覚えていない。
2.〇 正しい。ナルコレプシーの症状は、①睡眠発作(突然眠ってしまう)、②情動脱力発作(びっくりしたり笑ったりしたときに力が抜ける)、③入眠時幻覚、④睡眠麻痺(金縛り)を四徴とする睡眠障害である。Aさんの症状は、これらに当てはまる。
3.× 睡眠時無呼吸症候群は、一定時間の呼吸停止を特徴とする睡眠障害である。睡眠の質が悪くなるため日中に眠気が強く、よく居眠りをしてしまう。
4.× 睡眠・覚醒スケジュール障害は、本来の睡眠・覚醒リズムが乱れる睡眠障害である。原因は、交代勤務、時差がある地域への旅行など、身体的環境や社会的スケジュールの変化により生じる。

 

 

 

 

 

63 現在の日本の精神医療で正しいのはどれか。

1.精神保健福祉センターは各市町村に設置されている。
2.精神病床に入院している患者の疾患別内訳では認知症が最も多い。
3.精神障害者保健福祉手帳制度によって通院医療費の給付が行われる。
4.人口当たりの精神病床数は経済協力開発機構(OECD)加盟国の中では最も多い。

解答4

解説

1.× 精神保健福祉センターは、各市町村ではなく、各都道府県および指定都市に設置されている。精神保健福祉センターは、精神保健福祉に関する総合技術センターの役割をもち、保健所を中心とする地域精神保健業務を技術面から指導・援助する機関である。
2.× 精神病床に入院している患者の疾患別内訳では、認知症ではなく「統合失調症、統合失調症型障害および妄想性障害(5割)」が最も多い。平成26(2014)年の厚生労働省「患者調査」による。
3.× 通院医療費の給付が行われるのは、精神障害者保健福祉手帳制度ではなく、自立支援医療(精神通院医療)の制度である。通院による精神医療を続ける必要がある者が申請を行うことで、通院医療費の自己負担が軽減される。
4.〇 正しい。人口当たりの精神病床数は、経済協力開発機構(OECD)加盟国の中では最も多い。OECD Health Statistics2017によると、人口千人当たり精神ケア病床数は日本がOECD加盟国の中で最も多く、2位のドイツの2倍ほどある。しかし、人口千人あたりの精神病床数は、年々減少している。

 

 

 

 

 

64 Aさん(60歳、女性)は、統合失調症で10年間入院していた。来月退院予定となったため、Aさん、医師、看護師でチームを作り、退院支援計画を立てることになった。Aさんは「両親も亡くなってしまい、これからの生活費や住む場所がとても心配だ」と訴えてきた。
 退院支援を進めるにあたり、チームに加わるメンバーで最も適切なのはどれか。

1.薬剤師
2.精神保健福祉士
3.ピアサポーター
4.臨床心理技術者(臨床心理士・公認心理師等)

解答2

解説

1.× 薬剤師の主な役割は、退院後の生活に合わせた正しい服薬管理の獲得である。本人の不安が今後の生活費や住居であるため、最も適切とはいえない。
2.〇 正しい。精神保健福祉士である。精神保健福祉士の主な役割は、精神疾患患者とその家族を対象に、生活上の困難や社会問題の解決のための援助を行うことである。Aさんが心配する退院後の生活費や住居についての相談支援を進める上で、メンバーとして最も適切である。
3.× ピアサポーターとは、同じ立場の当事者同士が体験を語り合うことで支え合うことをいい、その当事者のことである。生活費や住居など具体的な支援をする上では最も適切とはいえない。
4.× 臨床心理技術者(臨床心理士・公認心理師等)とは、心理学に関する専門的知識および技術を持ち、心理に関する相談に応じ、助言・指導その他の援助を行う能力を有すると認められる専門職である。臨床心理技術者は、精神科においてなくてはならない存在だが、退院支援の段階では役割は多くない。

 

 

 

 

 

65 訪問看護制度で正しいのはどれか。

1.管理栄養士による訪問は保険請求できる。
2.精神科訪問看護は医療保険から給付される。
3.医療処置がなければ訪問看護指示書は不要である。
4.訪問看護事業所の開設には常勤換算で3人以上の看護職員が必要である。

解答2

解説

訪問看護とは、看護を必要とする患者が在宅でも療養生活を送れるよう、かかりつけの医師の指示のもとに看護師や保健師などが訪問して看護を行うことである。

 

1.× 管理栄養士による訪問は、保険請求できない。なぜなら、訪問看護サービスを提供できる職種は、保健師・助産師・看護師または准看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士であるため。管理栄養士による訪問は、訪問看護制度ではなく、介護保険制度では「居宅療養管理指導」、医療保険制度では「在宅患者訪間栄養食事指導」として保険請求できる。
2.〇 正しい。精神科訪問看護は、医療保険から給付される。精神疾患を有する者であり、「精神科訪問看護指示書」あるいは「精神科特別訪問看護指示書」が交付された場合などでは、精神科訪問看護は医療保険(精神科訪問看護基本療養費)から給付される。ただし、認知症が主傷病である者(精神科在宅患者支援管理料を算定する者を除く)については介護保険からの給付となる。
3.× 医療処置がなくても、訪問看護指示書は必要(必須)である。訪問看護には、医療処置の有無にかかわらず主治医からの訪問看護指示書が必須となる。
4.× 訪問看護事業所の開設には、常勤換算で3人以上ではなく、2.5人以上の看護職員が必要である。

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