第109回(R1) 看護師国家試験 解説【午前116~120】

 

次の文を読み115〜117の問いに答えよ。
 Aさん(57歳、男性)は、妻(55歳)と長女(28歳)の3人暮らし。4年前に直腸癌と診断され、手術を受けてストーマを造設した。その後、Aさんは直腸癌を再発し、治療を行ったが効果がなく、腹部のがん疼痛を訴えたため、疼痛をコントロールする目的で入院した。主治医からAさんと家族に余命4か月程度と告知され、Aさんは「痛みは取り除いてほしいが、延命治療は望まない。自宅で好きなことをして過ごしたい」と話している。現在、Aさんはオキシコドン塩酸塩を1日2回内服し、痛みがなければ日常生活動作(ADL)は、ほぼ自立している。

116 退院後、Aさんは痛みが強くなってきたため、主治医はオキシコドン塩酸塩を増量したが、Aさんは眠気が強くなり「薬を飲みたくない」と訴えた。そのため、フェンタニル貼付剤に切り替え、レスキュー薬としてフェンタニルクエン酸塩舌下錠が処方された。
 訪問看護師によるAさんの家族への疼痛緩和のための薬物療法の指導で適切なのはどれか。

1.副作用で便秘が生じた場合には貼付しない。
2.残ったオキシコドン塩酸塩は自宅で保管する。
3.レスキュー薬は使用間隔を気にせず使用してよい。
4.フェンタニル貼付剤の交換時に家族が貼付面に触れないようにする。

解答4

解説

1.× 副作用で便秘が生じた場合でも貼付してもよい。なぜなら、フェンタニル貼付剤(強オピオイドの一種)は、副作用として便秘があるが、一定の血中濃度が保たれることで効果を発揮し、下剤と併用して使用することよくあるため。
2.× 残ったオキシコドン塩酸塩は、自宅ではなく医療機関に速やかに返却してもらう。なぜなら、オキシコドン塩酸塩は『麻薬および向精神薬取締法』に定められている薬であるため。
3.× レスキュー薬は、使用間隔を気にせず使用してよいものではなく、「1時間以上あけてから投与」する必要がある。なぜなら、過剰投与にならないため。痛みが緩和しない場合は、定期投与薬の間隔の変更や増量を検討する。レスキュー薬とは、疼痛管理において、徐放製剤に追加して即効性の高い速放製剤を追加投与することである。 突発性の痛みからの救出という意味でこう呼ばれる。 常用の薬とは別の処方がされ、患者自身で管理される。 経口のみならず、注射や坐剤の場合もある。
4.〇 正しい。フェンタニル貼付剤の交換時に家族が貼付面に触れないようにする。なぜなら、フェンタニル貼付剤は、経皮的に吸収されるため。

 

 

 

 

 

次の文を読み115〜117の問いに答えよ。
 Aさん(57歳、男性)は、妻(55歳)と長女(28歳)の3人暮らし。4年前に直腸癌と診断され、手術を受けてストーマを造設した。その後、Aさんは直腸癌を再発し、治療を行ったが効果がなく、腹部のがん疼痛を訴えたため、疼痛をコントロールする目的で入院した。主治医からAさんと家族に余命4か月程度と告知され、Aさんは「痛みは取り除いてほしいが、延命治療は望まない。自宅で好きなことをして過ごしたい」と話している。現在、Aさんはオキシコドン塩酸塩を1日2回内服し、痛みがなければ日常生活動作(ADL)は、ほぼ自立している。

117 退院後3か月。Aさんの食事や水分の摂取量は減り、徐々に傾眠傾向になってきた。Aさんの妻は訪問看護師に「少し怖いが、できればこのまま自宅で看ていきたい」と話した。
 Aさんを自宅で看取るための訪問看護師の対応で適切なのはどれか。

1.高カロリー輸液の開始を医師と相談する。
2.Aさんの清潔ケアは看護師が行うことを妻に伝える。
3.今後起こりうるAさんの状態の変化を妻に説明する。
4.Aさんが亡くなるまで家族がそばを離れないように伝える。

解答3

解説

1.× 高カロリー輸液の開始を医師と相談する必要はない。なぜなら、がん終末期の患者に高カロリー輸液を投与すると、腹水・胸水・浮腫・気道分泌・せん妄などの症状を悪化させるため。
2.× Aさんの清潔ケアは、看護師が行うことを妻に伝える必要はない。なぜなら、家族は「自分たちは何もしてあげられない」という無力感を抱くことが多いため。清潔ケアの場面でも患者の苦痛を最小限にしながら、家族が参加できるような方法を提案し、家族がケアに参加できるように援助する。
3.〇 正しい。今後起こりうるAさんの状態の変化を妻に説明する。なぜなら、家族があわてずに見守ることができるよう、あらかじめ説明しておく。
4.× Aさんが亡くなるまで家族がそばを離れないように伝える必要はない。なぜなら、在宅でケアをしている家族に負荷がかかりすぎないように配慮する必要があるため。

 

 

 

 

 

次の文を読み118〜120の問いに答えよ。
 Aさん(75歳、女性)は、脂質異常症と高血圧症で通院中で、定期受診のため、外来待合室で順番を待っていた。Aさんは、待合室の雑誌を取ろうと立ち上がり、歩こうとしたところ、右足が思うように動かず引きずって歩いた。外来看護師が声をかけると、Aさんは「らいじょうぶ」と返答したが、ろれつが回らなかった。

118 この時のAさんの症状はどれか。

1.痙縮
2.失語
3.構音障害
4.パーキンソニズム

解答3

解説

1.× 痙縮とは、麻痺側の筋肉の緊張により、手足が動かしにくく、勝手につっぱったり動いたりする状態のことである。脳卒中の発症直後は、弛緩性麻痺がおこりやすく、痙縮は時間の経過とともに出現することが多い。
2.× 失語は、主に2種類あり、①ブローカ失語(皮質性運動性失語)、②ウェルニッケ失語(皮質性感覚性失語)である。状況から、言語を理解しているという点で、②ウェルニッケ失語(皮質性感覚性失語)は否定できる。②ブローカ失語(皮質性運動性失語)とは、 発語のある場合でも努力を要し、特に話し始めに顕著で言葉の流暢さに欠けるのが特徴である。例えば、目の前にリンゴがある状態で、これはなんですか?と聞かれた場合、「りんご」とスムーズに言うことができず、「あ、、、あ、、り・・・」となる症状(喚語困難)である。Aさんは、「らいじょうぶ」と返答しているため、ブローカ失語である可能性も否定できる。
3.〇 正しい。構音障害である。看護師の声かけに、「らいじょうぶ(大丈夫)」と返答していることから、言葉の理解・喚語は正常であることがわかる。つまり、麻痺により、言葉の発生に必要な構音器官に何らかの異常が生じたために、うまく発声できない状態である。構音障害とは、正しく発音が出来ない状態の事をいう。
4.× パーキンソニズムとは、パーキンソン病の症状(振戦、無動など)を呈する疾患の総称のことをいう。

 

 

 

 

 

次の文を読み118〜120の問いに答えよ。
 Aさん(75歳、女性)は、脂質異常症と高血圧症で通院中で、定期受診のため、外来待合室で順番を待っていた。Aさんは、待合室の雑誌を取ろうと立ち上がり、歩こうとしたところ、右足が思うように動かず引きずって歩いた。外来看護師が声をかけると、Aさんは「らいじょうぶ」と返答したが、ろれつが回らなかった。

119 検査の結果、Aさんは左脳の運動野に脳梗塞を発症していることが分かった。Aさんは3週間の入院治療を経て転院し、2か月間のリハビリテーションを行うことになった。
 転院先の医療機関に提供する情報で最も優先するのはどれか。

1.診療情報提供書
2.要介護認定の申請書
3.医療相談員の相談記録
4.使用中の車椅子の機種
5.身体障害者手帳の申請書

解答1

解説

 急性期病院から回復期リハビリテーション病院に転院する際の情報提供に関する問題である。

 

1.〇 正しい。診療情報提供書とは、発症から現在までAさんが診療の過程でどのような治療を行ってきたのか、患者の身体状況や病状について記載されたものである。リハビリテーション病院でリハビリテーションの方針を決定するうえで重要となり、転院後すぐに必要となる情報が記載されているため最も優先すべきである。
2.× 要介護認定の申請書は、介護保険のサービスを使用するための申請に必要な書類である。したがって、要介護認定の申請書は、退院後の生活を見据えた場合、申請が必要と考えられる。しかし、Aさんは2か月のリハビリテーションを行うことが決まっており、その期間で、身体機能の向上が見込まれる。したがって、急いで申請をする必要はなく、退院時の身体機能について審査されることが望ましい。
3.× 医療相談員の相談記録とは、転院先の決定に至るまでのプロセス家族の情報などを記載されている。退院後の療養環境を整えるうえで重要な情報であるが、リハビリテーション病院への転院時にすぐに必要とはいえない。
4.× 使用中の車椅子の機種は、転院時の情報としては優先度が低い。なぜなら、一般的に、リハビリテーション病院の入院時に患者の身体機能・認知機能の評価を行い、その際に、患者の身体だけではなく療養環境を考慮したうえで適切な車椅子を選択するため。
5.× 身体障害者手帳の申請書は、症状・障害の程度によって等級が異なる。Aさんは2か月のリハビリテーションを行うことが決まっており、その期間で、身体機能の向上が見込まれる。したがって、急いで申請をする必要はなく、退院時の身体機能について審査されることが望ましい。

 

 

 

 

 

次の文を読み118〜120の問いに答えよ。
 Aさん(75歳、女性)は、脂質異常症と高血圧症で通院中で、定期受診のため、外来待合室で順番を待っていた。Aさんは、待合室の雑誌を取ろうと立ち上がり、歩こうとしたところ、右足が思うように動かず引きずって歩いた。外来看護師が声をかけると、Aさんは「らいじょうぶ」と返答したが、ろれつが回らなかった。

120 Aさんは、2か月間のリハビリテーションの結果、健側をつかってベッド上で端坐位ができるようになり、補装具をつければ軽介助で歩行できる状態まで回復した。退院後はベッド柵をつけた介護用ベッドを設置し、自宅で生活をする予定である。Aさんが自宅で使用する介護用ベッドの柵の配置を図に示す。
 ベッド柵の配置で適切なのはどれか。

解答1

解説

 問題119の設問より「検査の結果、Aさんは左脳の運動野に脳梗塞を発症していること」が分かっている。したがって、Aさんは、右片麻痺で、非麻痺側は左側であることがわかる。

 

1.〇 正しい。左手(非麻痺側)で柵をつかんで端座位をとるためには、ベッド上のAさんの左側かつ頭側に柵があり、足側の柵は外されている必要がある。
2.4.× 柵が左手(非麻痺側)になく、起き上がること、端坐位が困難であるため不適切である。
3.× 柵が左手(非麻痺側)にあるが、起き上がっても足を下ろすことができず、端坐位の保持が困難であるため不適切である。

 

 

※注意:著者は看護師で、解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究・自己研鑽のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。またコメントにて解き方等教えてくださると幸いです。

 

問題引用:第106回保健師国家試験、第103回助産師国家試験、第109回看護師国家試験の問題および正答について

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