第109回(R1) 看護師国家試験 解説【午前51~55】

 

51 高齢者の性について正しいのはどれか。

1.女性の性交痛は起こりにくくなる。
2.男性は性ホルモンの分泌量が保たれる。
3.高齢になると異性に対する羞恥心は減退する。
4.セクシュアリティの尊重はQOLの維持に影響する。

解答4

解説

1.× 女性の性交痛は起こりにくくではなく、起こりやすくなる。なぜなら、閉経後に女性ホルモンであるエストロゲンの分泌は低下し、膣粘膜の非薄化や膣分泌液の減少が生じるため。局所的症状として性交時の出血や性交痛がみられ、萎縮性膣炎となる。
2.× 男性は、性ホルモン(テストステロン)の分泌量が保たれず、加齢とともに低下する。テストステロンが低下すると、性能力の低下や無気力などの男性更年期障害がみられる。
3.× 高齢になっても、異性に対する羞恥心は減退せず維持する。そのため、排泄や入浴援助において十分な配慮が必要となる。
4.〇 正しい。セクシュアリティの尊重は、QOLの維持に影響する。セクシュアリティは、健康の概念においても重要である。セクシュアリティ(人間の性)とは、人間における性的本能の充足に関係する行動や性的振る舞いの総体を指す。 

 

 

 

 

 

52 老化による身体機能の変化と薬物動態への影響との組合せで正しいのはどれか。

1.血中蛋白の低下:薬効の減少
2.腎血流量の低下:薬効の減少
3.肝血流量の低下:薬効の増大
4.消化機能の低下:薬効の増大

解答3

解説

 内服薬は、消化管より吸収され、門脈を経て肝臓に達し、血中タンパク質との抱合や代謝を受けて、全身に循環する。その後、薬物およびその代謝物は、肝臓(胆汁)や腎臓(尿)より排出される。

 

1.× 血中蛋白が低下すると、薬効は減少するのではなく、増大する。なぜなら、結合していない状態の薬物が増加するため。血中タンパクと薬物の結合率は分布と表現される。そもそも薬物は、血中タンパク(主にアルブミン)と結合(抱合)することで、薬物の貯蔵や代謝を受ける。また、薬物は血中タンパクと結合せず、遊離している場合に薬効を発揮している。
2.× 腎血流量が低下すると、薬効は減少するのではなく、増大する。なぜなら、腎血流量の低下により、尿中に排出される薬剤量も低下し、薬剤の血中濃度は高くなるため。
3.〇 正しい。肝血流量が低下すると、薬効は増大する。なぜなら、胆汁中に排出される薬剤量が低下し、薬剤の血中濃度は高くなるため。
4.× 消化機能が低下すると、薬効は増大するのではなく、低下する。なぜなら、薬剤の吸収が減弱し、薬剤の血中濃度は低くなるため。

 

 

 

 

 

53 軽度認知障害で正しいのはどれか。(※不適切問題:解答2つ)

1.一過性の障害である。
2.実行機能障害がある。
3.物忘れを自覚している。
4.日常生活動作(ADL)が障害される。

解答2/3(複数の選択肢が正解を採用)
理由:複数の正解があるため。

解説

軽度認知障害とは、認知症には至らないが、認知機能(記憶・見当識・計算など)の一部が低下している状態である。認知症とは、さまざまな原因で脳の神経細胞が破壊・減少し、日常生活が正常に送れない状態になることをいう。

 

1.× 一過性の障害ではなく、持続的に認知機能が低下している状態である。一過性の障害とは、せん妄や高熱時のもうろう状態などであり、認知機能障害に含まれない。
2.〇 正しい。実行機能障害がある。実行機能障害(料理を作る、洗濯をするなどの段取り)は、前頭葉の障害で出現する。実行機能障害のみでほかの認知機能(記憶や言語など)の障害がない場合でも、軽度認知障害に相当することがある。
3.〇 正しい。物忘れを自覚している。物忘れの自覚が、診断の出発点になる場合もある。物忘れは、認知症患者では記憶の3段階(①記銘、②保持、③再生)のうち、①記銘が障害されて生じる。部分的に記銘できるヒントがあると再生でき、その際に物忘れを自覚する。
4.× 日常生活動作(ADL)が障害されている場合、軽度認知障害とはいわず認知症となる。認知症とは、さまざまな原因で脳の神経細胞が破壊・減少し、日常生活が正常に送れない状態になることをいう。

 

 

 

 

 

54 認知症が疑われる人や認知症の人およびその家族を訪問し、複数の専門職でアセスメントや自立生活の支援を行うのはどれか。

1.成年後見人
2.介護認定審査会
3.認知症対応型通所介護
4.認知症初期集中支援チーム

解答4

解説

1.× 成年後見人とは、認知症などで判断能力が不十分になった者にかわり契約などの法律行為を援助するものである。法定後見制度により家庭裁判所が選定した保護者のことである。
2.× 介護認定審査会とは、介護保険の給付を受けるために必要な要介護認定の手続きのうち、二次判定を行うものである。保健・医療・福祉の学識経験者で構成される。
3.× 認知症対応型通所介護とは、認知症の要介護者がデイサービスなどの施設に通い、入浴・排泄・食事などの介護や日常生活上の世話を受けるものである。
4.〇 正しい。認知症初期集中支援チームとは、認知症が疑われる人や認知症の人およびその家族を訪問し、複数の専門職でアセスメントや自立生活の支援を行うチームのことを指す。対象者の自宅を訪問・評価し、そのうえで、家族支援などの初期の支援を包括的、集中的(おおむね6か月)に行う。チームのメンバーには、保健師・看護師・社会福祉士・介護福祉士などの専門職と専門医が含まれる。

 

 

 

 

 

55 日本で用いているDENVER Ⅱ(デンバー発達判定法)で6か月児の90%ができるのはどれか。

1.寝返りをする。
2.積み木をもちかえる。
3.喃語様のおしゃべりをする。
4.自分で食べ物を口へもっていく。

解答1

解説

(図:デンバー式発達スクリーニング検査)

1.〇 正しい。寝返りの通過率は、6か月頃に90%となる。
2.× 積み木をもちかえる(積み木を片方の手からもう片方の手へ持ち替える)行動の通過率は、9か月頃に90%となる。
3.× 喃語(なんご:乳児が発する意味のない声で、あっあっ・えっえっなど)様のおしゃべりをするの通過率は、11か月頃に90%となる。
4.× 自分で食べ物を口へもっていく行動の通過率は、9か月頃に90%となる。

DENVER Ⅱ(デンバー発達判定法)

0~6歳の子どもが月齢を重ねるにつれてできるようになるさまざまな行動を、「個人‐社会」、「微細運動‐適応」、「言語」、「粗大運動」の4つの分野に分類し、それぞれの行動について、25・50・75・90%の通過率を図示している。発達の遅れを診断するものではなく、発達に問題のある子どもを早期に発見して的確な対応につなげるスクリーニングの目的で使用される。

 

 

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