第109回(R1) 看護師国家試験 解説【午前66~70】

 

66 Aさん(25歳、男性)は、統合失調症と診断された。抗精神病薬の内服を開始した2日後、Aさんはそわそわして落ち着かず「足がムズムズする」と歩き回るようになった。
 Aさんにみられている状態はどれか。

1.アカシジア
2.ジストニア
3.ジスキネジア
4.ミオクローヌス

解答1

解説

1.〇 正しい。アカシジアは、「身体がそわそわしたり足がムズムズしたりして、じっとしていられない」という。内的不穏感と焦燥感のために、絶えず四肢や体幹を動かし歩き回るというもので、抗精神病薬による錐体外路系副反応のひとつである。本症例は、統合失調症と診断され、抗精神病薬の内服を開始した2日後であるため、副作用が出現したと考えられる。
2.× ジストニアは、四肢・体幹・頭頚部の筋群に筋固縮や痙直が生じるもので、眼球上転・眼険けいれん・舌突出・痙性斜頚(首や肩の筋緊張異常が原因で、自分の意志とは無関係に,頭部の一方向への回転、前後左右への傾斜などが生じる)などの形態でみられる。抗精神病薬による錐体外路系副反応のひとつで急性と遅発性があるが、本症例の訴えとは合致しない。
3.× ジスキネジアは、口頬部・舌・下顎などの不規則な不随意運動である。抗精神病薬による錐体外路系副反応のひとつで、長期の使用や急激な中止などで生じるため、本症例の訴えとは合致しない。
4.× ミオクローヌスは、顔面・体幹・四肢などの個々の筋に限局した短い収縮が起こる不随意運動で、てんかんなどの神経疾患でみられるが生理的なものもある。本症例の訴えとは合致しない。

 

 

 

 

 

67 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法)に定められている隔離について正しいのはどれか。

1.隔離の理由は解除する時に患者に説明する。
2.開始した日時とその理由を診療録に記載する。
3.隔離室には同時に2人の患者まで入室可能である。
4.行動制限最小化委員会で開始の必要性を判断する。

解答2

解説

『精神保健福祉法』に定められている隔離とは、「患者本人の意思によって出ることができない部屋の中へ入室させることにより、当該患者をほかの患者から遮断する行動制限のこと」である。

 

1.× 隔離の理由は解除する時ではなく、隔離を行う際に患者に説明する。
2.〇 正しい。開始した日時とその理由を診療録に記載する。記載する内容は、①隔離を行った旨とその理由、②隔離を開始した日時と解除した日時である。
3.× 隔離を行っている閉鎖的環境の部屋に2人以上患者を入室させてはいけない。
4.× 開始の必要性を判断するのは、行動制限最小化委員会ではなく、医師によるものである。12時間を超える隔離については、精神保健指定医の判断が必要である。行動制限最小化委員会は、隔離および身体拘束の必要性と妥当性について検討を行う病院内審査機関である。

 

 

 

 

 

68 Aさん(82歳、女性)は、要支援2である。
 Aさんの屋内での転倒予防と自立の促進のため、自宅で介護する家族への指導で適切なのはどれか。

1.車椅子での移動とする。
2.移動時にスリッパを使用する。
3.手すりがない場所での歩行を避ける。
4.移動の前に立ちくらみの有無を確認する。

解答4

解説

高齢者の転倒の内的要因(加齢変化、疾患・障害、使用中の薬物など)と外的要因(屋内外の生活環境、履き物、衣服など)である。

 

1.× 車椅子での移動とするのは時期尚早である。なぜなら、本症例は要支援2(基本的に独力で生活できるが、日常生活のごく一部に介護が必要な状態)であり、歩行が可能と考えられる。また、車椅子の使用は自立促進を阻害することもある。
2.× 移動時にスリッパを使用するのではなく、控えるべきである。スリッパは踵部分がなく、歩行時に踵が浮くためにずれや脱げが生じやすい特徴を持つ。そのため、スリッパでは、すり足歩行になりやすく、段差・障害物にも引っかかりやすくなるため、スリッパは転倒リスクの高い履き物である。
3.× 手すりがない場所での歩行を避ける必要はない。手すりのない場所は、転倒予防と自立の促進のため伝え歩き歩行補助具(歩行器、杖など)を使用して安全に歩行する。
4.〇 正しい。移動の前に立ちくらみの有無を確認する。なぜなら、加齢に伴う血圧の調節予備能の低下などにより、高齢者は起立性低血圧を生じやすいため。起立直後の立ちくらみは、血圧が急激に低下して脳が酸素不足の状態となることで起こる。転倒予防のためにも、移動前に症状の有無を確認することが重要である。

 

 

 

 

 

69 Aさん(68歳、男性)は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)のため在宅療養中で、気管切開下で人工呼吸器を使用し、要介護5の認定を受けている。
 Aさんに提供される訪問看護で適切なのはどれか。

1.医療保険から給付される。
2.特別訪問看護指示書を受けて実施される。
3.複数の訪問看護事業所の利用はできない。
4.理学療法士による訪問は給付が認められない。

解答1

解説

 訪問看護は、主として介護保険制度あるいは医療保険制度によるサービスとして提供されている。原則的に介護保険制度が優先されるが、状況により医療保険制度によるサービス提供となる。医療保険制度による訪問看護利用者は、全利用者の約30%であるが、医療依存度の高い在宅療養者数の増加に伴い、年々利用者数が上昇している。

 

1.〇 正しい。医療保険から給付される。介護保険における要介護状態として認定された療養者であっても、筋萎縮性側索硬化症(ALS)であれば、「厚生労働大臣が定める疾病等」に該当し、訪問看護は医療保険から給付される。
2.× Aさんに提供される訪問看護は、特別訪問看護指示書を受けて実施されるものではない。特別訪問看護指示書は、主治医が診療により、利用者が急性増悪期終末期または退院直後で「週4日以上で頻回の訪間看護の必要がある」と認めた場合に交付できるものであり、疾患や症状の制限はない。本症例の場合、在宅療養中であり、急性増悪期終末期または退院直後に該当しないため不適切である。
3.× 複数の訪問看護事業所を利用できる。原則、医療保険の訪問看護の場合は、複数の訪問看護事業所の利用はできない。しかし、「厚生労働大臣が定める疾病等」に該当する場合は、複数の利用が可能である。介護保険の場合は、訪問看護事業所数の制限はない。
4.× 理学療法士による訪問も給付が認められる。なぜなら、介護保険制度での訪間看護は、「保健師・看護師または准看護師・理学療法士・作業療法士または言語聴覚士」が実施するため。医療保険制度での訪問看護は、介護保険制度の実施者に加えて、助産師も実施する。なお、精神科訪問看護の場合は、理学療法士・言語聴覚士・助産師による訪問は給付が認められない。

 

 

 

 

 

70 Aさん(85歳、女性)は、要支援1で介護予防通所リハビリテーションを月2回利用している。Aさんから「最近排便が3〜4日に1回しかなくて、お腹が張って困っている」と通所施設の看護師に相談があった。
 看護師が行うAさんへの便秘に対する助言で適切なのはどれか。

1.〇 正しい。毎日、朝食後に便座に座る。
2.× 就寝前に水を500mL飲む。
3.× 1日1万歩を目標に歩く。
4.× 蛋白質を多めに摂る。

解答1

解説

1.〇 正しい。毎日、朝食後に便座に座る習慣は、便秘の改善に有効である。
2.× 就寝前に水を500mLは多すぎるため不適切である。ただ、飲水は便秘の改善に有効である。多すぎる就寝前の飲水は、夜間頻尿につながる可能性があるためコップ一杯分(150ml)ほどが推奨される。
3.× 1日1万歩は多すぎるため不適切である。ただ、散歩などの適度な運動は便秘の改善に有効である。85歳の女性に1日1万歩は現実的でなく、6000~8000歩ほどが推奨される。
4.× 蛋白質ではなく、食物繊維を多めに摂る。なぜなら、食物繊維は、腸粘膜に刺激を与えて蠕動運動を高めるため。

 

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